2022/01,江端さんの技術メモ

背景は、

階段の電気をつけっぱなしにすると、3分後にブザーが鳴るシステムを作ってみた

に記載した通りなのですが、家族から「警告音がうるさい!」と文句を言われて、システムを停止させております。

そこで、添付ファイルのようなものを実現したいと考えています。ただ、これを実現する回路図や、または、製品を見つけられずにおります。

ご知見のある方のアドバイスをお待ち申し上げております。


追記:読者の方から、「遅れ消灯スイッチ」
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/haisen/switch_concent/cosmo_wide21/lineup/switch/delay/

を勧めて頂きました。しかし、私の環境では、階段に設置する3つのスイッチ(3路、4路スイッチ)を使うもの(私が、説明していませんでした)で、このデバイスは使えないと思います。


追記:さらに読者の方から「あけたらタイマ」の利用を教えて貰いました。
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/haisen/switch_concent/cosmo_wide21/lineup/switch/timer/

『このスイッチ(親機、WTC5332W)はタイマー機能のほか、遅れ消灯機能もあります。これと、子機WT5652を3路の位置、Wt5654を4路の位置に使用すれば、いずれのスイッチからも遅れ消灯が可能かと思われます。』

仕様書を読んでみたら、ドンピシャと思われる記載がありました。

なるほど、これならできる(かもしれない)。

合計金額が、7900円 + 2600円 + 2900円 = 13000円 になりますね。

これでちゃんと動くのであれば、この出資には意味がありそうです。しかも、居留守対策もできそうです。

というか、この装置を買って、分解して、リバースエンジニアリングしてみてもいいな、と思っています。


ちなみに、居留守対策装置は、実家でも稼動中です。

実家の玄関のタイマーの設定

 

 

2022/01,江端さんの忘備録

(昨日の続きです)

(Continuation from yesterday)

それはさておき。

That's beside the point.

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このようなテロリスト壊滅作戦を、そのまま踏襲することになるとすれば、

If they are to follow this kind of terrorist destruction strategy.

『(定義や定量化のできない)"勝ち組"などという歪んだ観念の存在を本気で信じている人間』や、

People who really believe in the existence of a distorted notion of a "winning side" (which cannot be defined or quantified), and,

『学業成績が伸び悩んでいるティーンエイジャ』も、

Even teenagers who are struggling academically...

取り締まりや監視対象にしなければならないことになります。

The police will have to crack down on and monitor them as well.

アニメ「PSYCHO-PASS」の世界の具現化です。

It is the embodiment of the world of the anime "PSYCHO-PASS.

そんでもって、その世界の中では、

And in that world...

―― 私(江端)は、24時間いつでも、犯罪係数"300"越え

"I, Ebata, have a crime coefficient of over 300, 24 hours, 7 days a week"

なのでしょう。

I guess it is.

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再度考えてみたのですが、小田急、京王、東大入試会場のテロリストの心理にアプローチできる、過去の私の体験を一つ見付けました。

I thought about it again, and found one of my past experiences that can approach the psychology of terrorists in Odakyu, Keio, and the University of Tokyo entrance examination hall.

「インド、ニューデリーでの瀕死未遂事件」です。

"A near-death experience in New Delhi, India"

這う這うの体でニューデリー国際空港に辿りつき、ネパールのカトマンズ行きのフライトの窓から、下界の風景を眺めながら、

I crawled my way to the New Delhi International Airport. And as I gazed out the window of my flight to Kathmandu, Nepal, at the scenery below, I thought.

『この街を、核爆発の熱で、街ごと殺菌してやりたい』

"I want to sterilize this entire city with the heat of a nuclear explosion.

と、一瞬でも考えてしまった自分に、震撼したのを覚えています。

I remember being shaken by the fact that I had thought about it even for a moment.

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小田急、京王、東大入試会場で、殺傷事件を起こした奴等は、私があの街に抱いた憎悪と同じ憎悪を抱えていたのだろうか ―― と考えています。

I wonder if the guys who killed and injured people in Odakyu, Keio, and the University of Tokyo entrance exams had the same hatred that I had for that city.

私には、『あの街に殺されかけた』という、言語化できる「憎悪」がありました ―― もちろん、それは、理不尽で、不合理で、差別主義的で、レイシストの謗り(そしり)を受けるほど、滅茶苦茶な理屈である、と自覚しています。

I had a verbal "hatred" that said, "That city almost killed me. Of course, I am aware that this is an unreasonable, irrational, racist, and racist theory that is so outrageous that I have been accused of being a racist.

ただ、彼らを語らなければならなくなった時、『彼らにも、私と同程度の怒りと憎しみと復讐心があったのだろうか』が、私の中での彼らの断罪基準となりそうな気がします。

However, when I have to talk about them, 'Did they have the same level of anger, hatred, and vengeance as I did?' is going to be my standard for their condemnation.

まあ、しかし、奴等は「断罪」で確定でいいでしょう。

Well, but they should be "condemned" for sure.

なぜなら、奴等は、テロ行為を実施しましたけど、私は、核ミサイルの発射を思い留まりましたからね。

Because they carried out a terrorist act, but I refrained from launching a nuclear missile.

2022/01,江端さんの忘備録

私は、カルト宗教や極右や極左のテロリズムについては、通り一遍くらいの理解はできてていると思っています。

I think I have a passing understanding of cults and far-right and far-left terrorism.

個人的な怒りが、自分の中で正当化されて、特定の人間に向けた殺意に変化するプロセスも、(経験的に)知っています。

I also know (from experience) the process by which personal anger can be justified within oneself and transformed into a murderous intent directed at a specific person.

特に、怒りの感情の定量化や忘却化については、数値モデル化して、『江端モデル』と(勝手に)名前をつけてシミュレーションに組み込んでいるくらいです。

In particular, the quantification and forgetting of anger emotions has been numerically modeled and incorporated into simulations under the (self-serving) name of the "Ebata Model".

なにしろ今ですら、殺害したいと思っている人間を3人くらい『実名』で示すことができます。

After all, even now, I can give you three "real names" of people I want to kill.

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しかし、最近の、小田急、京王、そして東大入試会場での無差別殺傷事件に関して、全く理解ができていません。

However, I have no understanding of the recent indiscriminate killings at Odakyu, Keio, and the University of Tokyo entrance exams.

―― 殺害対象が『誰でもいい』って、どういうこと? そんでもって『捕まって死刑になりたい』って、どういうこと?

"What do they mean when they say they don't care who they kill? And what do they mean, "I want to be caught and sentenced to death"?"

と思っています。

I can't understand them.

一言で言えば、合理的ではない。

In a word, it's not rational.

もちろん、世の中には非合理的な負の感情が山ほどあります(恨み、嫉み、怨嗟、憎悪、自棄、破壊衝動など)。

Of course, there are plenty of irrational negative emotions in the world (resentment, jealousy, vindictiveness, hatred, desperation, destructive impulses, etc.).

しかし、それらは、社会の中で共有されている感情であり、また自分の経験からも理解可能な感情です。

However, they are emotions that are shared in our society and also understandable from our own experiences.

そして、宗教や思想、あるいは上記のような個人的な感情に起因するテロリズムや犯罪行為に対しては、国家の治安部隊(刑事警察(*1)や公安警察(*2)とか)に頼るだけではなく、自分自身でもある程度の「予防措置」をとることができます。

And against terrorism and criminal acts caused by religion, ideology, or personal feelings as mentioned above, we can not only rely on the state security forces (such as criminal police (*1) or public security police (*2)), but also take some "preventive measures" by ourselves.

(*1)基本的には事件が起こってから捜査する

(*1) Basically, they investigate after an incident occurs.

(*2)事件が起こる前から国家の治安を脅かしそうな組織や個人について捜査を継続して行なう

(*2) Even before an incident occurs, they will continue to investigate organizations and individuals that may threaten the security of the nation.

ですが、『(テロの対象が)誰でもよくて』『捕まって死刑になりたい』などと言うテロリストに対してとり得る対抗措置が、私には、まったく思いつかないのです。

But I can't think of any countermeasures that can be taken against terrorists who say, "I don't care who I will kill" or "I want to be caught and executed".

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宗教の自由を国是とする米国が、イスラム教徒を「テロリスト予備軍」として迫害していることは、今も現在進行形で続行中です。

The persecution of Muslims as "reserve terrorists" by the United States, whose national policy is freedom of religion, is still ongoing.

もちろん、これが人道的にも(多分、法律的にも)アウトであることは当然ですが、治安を守る国家の政府が『この程度の暴力ならやるだろう』と思います。

Of course, this is out of line humanely (and probably legally), but I think the government of a security state would 'do this level of violence'.

我が国の場合、政府や警察の努力(スパイとしての潜入工作や、インテリジェントな対テロ工作)によって、『暴力行為は無条件で"悪"』という国民合意(洗脳?)の形成に成功し、極左も極右もカルトも、次々と壊滅させられてきました(*)。

In the case of Japan, through the efforts of the government and the police (infiltration as spies and intelligent counter-terrorism operations), they have succeeded in forming a national consensus (brainwashing?) that violent acts are unconditionally "evil, and the far left, far right and cults have been destroyed by them one after another.

(*)そういう意味では「オウム真理教事件」は、壊滅に失敗した事例の一つだと思う。

(*) In this sense, I think the "Aum Shinrikyo case" is one of those cases that failed to be destroyed.

余談ですが、我が国の場合、この『暴力行為は無条件で"悪"』という観念を、宗教やイデオロギーではなく「空気」で実現した、というところに、他国にない特徴があると思っています。

As a side note, I believe that in Japan, the concept that violence is unconditionally "bad" has been realized not through religion or ideology, but through "air", which is a characteristic that no other country has.

(続く)

(To be continued)

2020,江端さんの忘備録

長女は、大学で心理学を専攻しています。

My eldest daughter majors in psychology at college.

心理学は文系とされていますが、実際のところ、理系より理系している学問です。

Psychology is considered a liberal arts, but it is a science that is more science than science.

データ収集と、それに基づく統計計算や有意検定などを、日常的に扱わなければならず、下手な理系よりも実践な、フィールドワークが必要とされているようです。

Psychology must deal with data collection, statistical calculations, and significance tests based on it daily. There seems to be a need for more practical fieldwork than poor science.

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先日、その長女が珍しく、私の部屋にやってきて、頼み込んできました。

The other day, the eldest daughter came to my room and asked for it.

長女;「パパ、ゲーム理論って分かる?」

"Dad, do you know "game theory"?"

ゲーム理論は、心の数値化と定式化を可能とする優れた手法ですが、心理学の学生が、そのフィールドまで学ばねばならないとは、知りませんでした。

Game theory is a great way to quantify and formulate the human mind. However, I did not know that a psychology student had to learn the field.

Ebata: "I know, I'm writing a column in game theory. Didn't you know?"

長女:「知らなかった」

SD: "I didn't know."

まあ、家族といえども、父の著書に目を通す訳ではないので、仕方がないのですが。

Well, even my family can't help reading their father's articles.

江端:「とりあえず、"江端智一" & "ゲーム理論"でググってみろ」

Ebata: "Anyway, try to google with "Tomoichi Ebata" & "Game Theory"

と言っておきました。

I said to her.

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その後、長女から大学から配布されているゲーム理論に関するレジュメを見せて貰ったのですが、『こりゃ、分からんだろうなあぁ』と思いました。

After that, she showed me a resume on game theory distributed by the university. However, I thought, "Who can understand it by this resume?"

「囚人のジレンマ」は、ゲーム理論の概念の説明に過ぎませんし ―― なにより、つまらん。

The "prisoner's dilemma" is just an explanation of the concept of game theory. Above all, it is boring.

せめて、ゲール=シャプレーアルゴリズムをつかった、「実践的な結婚戦略」を教えるくらいのことすればいいのに、とか、まあ、いらんこと考えていました。

At the very least, the teacher should teach a "practical marriage strategy" using the Gale-Shapley algorithm; I was thinking about it.

2022/01,江端さんの技術メモ

<論説の4要素>
(1)解説 (物事がどのようにして、なぜ起こるのかを説明する)→現在形
(2)叙述 (何が起ったのか述べる)→過去形
(3)描写 (図表によるイメージを与える)→現在形
(4)論拠 (理由を挙げることによって納得させる)→現在形

アブストラクト(要約)は通常現在形で書く→(1)解説
サマリー(概要)は通常過去形で書く→(2)叙述
■過去の研究(例えば参考文献にある)は通常過去形で書く→(2)叙述
恒久施設現在形で書く→(1)解説
特定の研究の為の実験手順および装置過去形で書く→(2)叙述
図表に示された結果現在形で書く→(3)描写
研究した試薬品、資料等の挙動過去形で書く→(2)叙述
結論部分では、結論そのものを除いては通常過去形で書く
導かれた結論(演繹)は、研究調査の条件に関係なく「一般真理」であるので、現在形で書く→(1)解説

仮定法は、書き手が「強い疑いを暗示したい場合」のみに使用する

(出典:NASAに学ぶ英語論文・レポートの書き方)

 

2022/01,江端さんの忘備録

先日、「江端家は村上水軍の末裔」という、なんの根拠も証拠もないお話を致しました。

―― 私たち姉弟は「『村上水軍』の末裔かもしれない」という大変眉唾な話

The other day, I told you that the Ebata family is a descendant of the Murakami navy, without any evidence or proof.

この話で、思い出したのですが、小学生のころ

This story reminded me of when I was in elementary school.

―― 俺は、源氏の末裔だ

"I'm a descendant of the Minamoto clan"

と、自己主張している奴がいました。

There was a guy who was asserting himself in my class.

市営住宅から通っていて、クラスの中でも、特に成績が良い訳でも、スポーツに長じている訳でもなく、ただただ、騒がしい奴だったことを覚えています。

I remember that he went to school from the city housing and was not particularly good in his class, not particularly good at grades or sports, but just a noisy guy.

その時、私が思ったことは、

And that's when I thought...

『こいつを含めて、ここの家族は基本的に"バカ"なんだな』

"This family is basically stupid, including him"

ということと、

and

『(彼の中で"源氏"というものが何を差しているのかは不明でしたが)、"源氏"もお前のような子孫にまで落ちぶれて、気の毒なことだ』

"It's a pity that the Minamoto clan has fallen to descendants like you," (although he wasn't sure what "Minamoto" meant in his mind).

と思ったということです。

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ただ、今回の「村上水軍」の話を聞いたあと、ほんのちょっとだけ(1mm未満くらい)、見方が変わってきました。

However, after listening to the story of the "Murakami navy" this time, my view has changed just a little bit (less than 1mm).

―― 私が、村上水軍の末裔なら、私は、まだまだ、がんばれるはずだ

"If I am a descendant of the Murakami navy, I can still do my best"

という、まあ、本当に1ピコの可能性もない、本当に下らない話なのですが、ほんのちょっとした勇気を貰えた気がするのです。

It's a really trivial story, with not even a chance of a single pico, but I think it gave me a bit of courage.

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私の父は、かなり歳を取ってから、木工会社を自分で立ち上げ(起業)ました。

My father, when he was quite old, started his own woodworking company.

そして、今回、姉から、『私と同じ年齢の頃に起業した』ことを知って、私は衝撃を受けました。

This time, I was shocked to learn from my sister that my father started his own business when he was the same age as me.

『定年まぎわに起業した父と、村上水軍の末裔の母の、息子であるこの私が、こんなところで、くたびれていてどうする!』

I am the son of a father who started his own business just before retirement and a mother who was a descendant of the Murakami navy. Why am I depressed here, nonetheless?"

という、(言語化不能の)湧き上がるような勇気を貰えた気がします。

I feel like I was given a (inexpressible) surge of courage.

# もちろん『いや、それ錯覚だからね』という内なる理性の声は、ちゃんと聞こえていますので、ご安心下さい。

# Of course, the voice of inner reason that says, 'No, that's just an illusion,' can be heard, so don't worry.

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冒頭の「俺は、源氏の末裔だ」と主張していたあのバカは、ダメでゴミカスみたいな人間でしたが ――

That idiot at the beginning of the story who claimed to be a descendant of the Minamoto clan was a no-good, trashy human being, however,

それでも『その真偽はどうあれ、そのフレーズは、奴に勇気を与えていたのかもしれないなぁ』と、今、分かったような気がします。

Still, I think I understand now that 'whatever the truth of that phrase, it may have given him courage.

2022/01,江端さんの忘備録

昨日、母の死去に伴い、現時点でできる作業を終えて、帰宅しました。

Yesterday, I finished the work I could do at the moment with the passing of my mother and came home.

まだまだ、法律的な手続は続くのですが、とりあえず、一段落つきました。

There are still a lot of legal procedures to be completed, but for now, we are settled.

一連の葬儀に関することはともかく、姉と私が連携して、なおこれだけの手続と時間を要する、ということに ――

Aside from a series of funeral-related matters, my sister and I have been working together, and it still takes a lot of time and procedures.

改めて「死後イベント」の面倒くささに、疲労し尽しています。

Once again, I am exhausted by the tediousness of "post-mortem events".

『マイナンバーカード一枚で、全ての処理が一瞬で終わる』というくらい、手軽にならないものか、と思います。

I wonder if it would not be so easy to "finish the whole process in an instant with just one My Number card".

実際、これらの処理の面倒くささに、相続等の手続を諦める人も少なくないようです。

In fact, it seems that many people give up on inheritance and other procedures because of the hassle of these processes.

遺産が国庫に帰属するならまだしも、空家や空き地にして放置してしまう人も多くいます。

If the inheritance belongs to the national treasury, there are still many people who leave it as an empty house or vacant lot.

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で、ちょっと調べてみたのですが、空き地や空家というのは、遺産放棄をしたとしても、譲渡先がない限り、永遠に管理責任が発生するようです。

So, I did some research, and it seems that even if you abandon your estate, you will forever be responsible for the management of vacant land and houses, as long as there is no one to transfer them to.

つまり、いつまでも(自分の子々孫々に)付き纏われる背後霊みたいなものです。

In other words, it's like a spirit behind you that will haunt you (and your children) forever.

これ、かなりの社会問題となっているようです。

This seems to be quite a social problem.

しかし、逆に考えれば、利便性やリフォームなどを一切考えないで、ただ「住むところが欲しい」だけであれば、

However, if you think about it the other way around, if you just want a place to live, without any consideration for convenience or remodeling...

―― タダの土地つきの一戸建てなど、日本中どこにでも、ゴロゴロある

"There are plenty of free houses with land all over Japan"

ということです。

逆に『土地つきの一戸建てを貰って』、さらに『謝礼を貰える』まであるかもしれません。

On the other hand, you might even 'get a house with land' and even 'get a gratuity'.

都会でホームレスをしなければならなくなったら、「生活保護(または年金)を受けて田舎の一軒家」という戦略が、スコープに入ってきました(維持・管理費のことは忘れます)。

When I have to be homeless in the city, the strategy of "a house in the country on welfare (or pension)" has come into scope (forget about the maintenance and management costs).

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話を戻しまして。

Back to the topic at hand.

江端:「相続や保険の為の証拠集めって、これだけでビジネスになりそうだようね」

Ebata: "Gathering evidence for inheritance and insurance seems like it could be a business in itself."

姉:「そんなもの、とっくの昔からある」

Sister: "That stuff has been around for a long time."

と言われて調べてみたら、弁護士、税理士、行政書士、銀行・信託銀行の独壇場でした。

So I looked into it and found that it was the sole domain of lawyers, tax accountants, administrative scriveners, and banks and trust banks.

まあ、そりゃそうですよね。ただ、値段もハンパないようです。

Well, that's true, isn't it? However, the price seems to be expensive.

今回、私たち姉弟は、経費削減をしたくて動いた訳ではなく、また、始める前に大体の作業量が見積ることができて、外注に出す手間の方が、逆に手続が面倒になる、という予感もあったからで ――

This time, my sisters and I didn't want to cut costs, but also because we could estimate the amount of work to be done before we started, and we had a hunch that outsourcing would be more trouble than it was worth.

なにより、自分の親の人生を遡るラストクルーズを、他人にやらせる、という選択肢がなかったからです。

Most importantly, I didn't have the option of letting someone else take the last cruise of my parents' life.

2022/01,江端さんの忘備録

昨夜と今朝、実家の遺品整理代行業者(2社)に来てもらって、見積をして貰いました。

Last night and this morning, I had two companies come to my parents' house to give me an estimate for the removal of their belongings.

少なくとも、四十九日の法要が終わるまでは、何もしないつもりですが、金額の「規模感」を知っておきたい、と思いまして。

I'm not going to do anything until at least the 49th day memorial service is over, but I wanted to know the "scale" of the amount.

2つの会社の人に見てもらったのですが、概ね、同程度の見積金額となりました。

I had people from two different companies look at it, and the estimates were generally about the same.

なんか、貰うモノはないかな、と、見回してみたのですが、

I looked around to see if there was anything I could get.

■PCディスプレイ

-PC display

■チェーンソー

-Chainsaw

■電動ドライバー

-Electric screwdriver

など、私が持ち込んだモノか、私が購入したモノばかりでした。

These were all things that I had brought in or purchased.

ちなみに、父が残したオーダーメードの服などもありました。

Incidentally, there were also some custom-made clothes left by my father.

しかし、業者の方から『洋服は、どれも取引対象になりません。和服もごく一部の種類が、僅かなお金で取引されるだけです』と断言されました。

However, the vendor assured me that none of the clothes would be traded. Only a few types of kimonos are traded for a small amount of money, they said to me.

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とは言え、元家具職人でもあった父の作ったテーブル、ライティングディスク、食器棚等は、私から見ても、しっかりしたモノであると思います。

However, as a former furniture maker, my father's tables, writing discs, cupboards, etc., are still very solid, even from my point of view.

膨大な数の布団などは、必要なところ(難民キャンプ等)では役に立つと思いますが、搬送の手段がありません(搬送料金で、新品が購入できる)。

A huge number of beddings and other items would be useful in places where they are needed (refugee camps, etc.), but there is no way to transport them (for the price of transport, you can buy new ones).

つまるところ、

In short,

―― 遺品は、そのほとんどがゴミになる運命にある

"Most of the relics are destined to become garbage"

ということです。

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父と母が、私達姉弟に残したものは、結局「思い出」だけだったな、と、思いました。

In the end, all that my father and mother left for us siblings was "memories".

しかし、価値のある「思い出」を共有できました。

However, we were able to share some worthwhile "memories".

『しんみり』というよりは、姉弟で『大爆笑』できる思い出というのは ―― これはこれで、"プライスレス"だと思うのです。

Rather than being "heartbroken," I think the memories of having a good laugh with my sister and brother are priceless.

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今回の、父と母にまつわる、姉との会話で最高傑作だったのが、

The best part of this conversation with my sister about my father and mother was...

―― 私たち姉弟は「『村上水軍』の末裔かもしれない」という大変眉唾な話

" We may be the descendants of the "Murakami Navy", a very eyebrow-raising story"

でした。

村上水軍 ―― いいじゃないですか。

Murakami Suigun -- That's good, isn't it?

中央権力(宮家や摂関)にも属さず、成り上がりの権力者(織田信長等)にも屈せず、反権力の独立自尊の戦闘集団。

It is an independent and self-respecting fighting group that does not belong to the central power (the imperial family or the regent) and does not bow down to upstart powers (such as Oda Nobunaga).

今回、姉と話して分かってきたことなのですが、

This time, after talking with my sister, I've come to understand...

『銭金は問題じゃない。一度闘うと決めたら、最後まで徹底的に闘い抜く』

"Money is not the issue. Once we decide to fight, we will fight to the bitter end"

というのは、どうやら、「江端家の家風」だったようです。

This seems to have been "the family style of the Ebatas".

私は、これまで色々やらかしてきましたが、これも私のせいではなく、私の「血」のせいのようです。

I've done a lot of things in my life, but it seems that they are not my fault, but my "blood".

未分類

母の葬儀が終った翌日、シバタ先生と私の共著によるコラムを読んで頂いている方から、3週間近くも前にメールを頂いていることに気がつきました(削除フォルダに入っているのを見つけました)。

新型コロナワクチン接種について、複雑な条件(体調、持病)を抱えていらっしゃって、深くお悩みであるという状況がある、ということがよく理解できる内容でしたので、その日の夜にお返事を致しました。

私のメールの部分のみを公開致します。

江端智一

1月13日(木) 22:35 (2 日前)

お返事が遅れまして、誠に申し訳ありませんでした。

ご質問に関しまして、私の個人的見解を申し上げたいと思います。

(1)ブレインフォグにつきまして

この話をシバタ医師から頂いたとき、私は勿論EE Times Japan編集部も相当な衝撃を受けました。これは「感染すれば、発病(軽度の発熱、重篤、死)に至らなくても、体に障害を与えるという話だからですらです。

ブレインフォグが確定的な事実であれば、無症状感染になりやすい子どもたちを、今、現在進行形で攻撃しているはずで、ゆゆしき問題です。ただ、無症状感染は、当然のことながら研究対象となりいくいため、学会でも十分に研究されておらず、世間には出にくいという問題もあります。

何年か後に、私達は、『接種を最優先すべきだったのは子供だった』という後悔を歴史に残す恐れがあるかもしれません。

「ブレインフォグ」という言葉自体が、あまり知られていませんが、一応、罹患後の患者の後遺症の話を聞くと、まずまず事実と認定できるのではないかと、私は考えております。

(2)ワクチンに関する恐怖について

従来のワクチンは、実際の病原菌を無毒化したものを投入するものですが、mRNAワクチンの本体は、本当に適当な塩基配列であり、スパイクタンパク質(外面)だけを、本物にみたたハリボテですので、

『絶対的な意味において、mRNAワクチンによって新型コロナに感染することはできません。不可能です』

問題は、ハリボテを本物と勘違いして攻撃をする私達の抗体反応の方です。これが、あまりに過激な攻撃活動をするので、それが副反応(高熱等)として私達の体に表われてしまうのです。

私の母は、第一回のコロナ接種後に、肺水症を引き起こして入院しましたが、これは「新型コロナウイルス」が原因ではなく、「母の免疫機能」が、眠ったままでいた持病を活性化させてしまったからだと思っております(その母も、3日前に永眠しましたが、これもコロナとは関係のない誤嚥性肺炎に伴う衰弱死でした)。

ワクチンによって新型コロナに感染することはないですが、抗体の過激活動が飛び火して、体の病理を活性化させる可能性までは、私は否定できません(というか、むしろ肯定します)。

ですので、『休眠状態の持病を持っている人は、ワクチン接種が持病を活性化させるかもしれないので、止めた方がいい』と、私は他の人に進言しています。

ただ、これは「どの休眠状態の病状が発火するか」が、実際にワクチンを打ってみないと分からないところに、この問題のいやらしさ/難しさがあります

ですので、ワクチン(ファイザーとモデルナのmRNAワクチン)によってコロナになるという心配は、全くの杞憂ですが、その抗体反応によって「いらんことが起きる」という可能性までは、私は否定できないのです。

と、まあ、仕組みの話としては、これくらいにして、あとは数字(確率)の話をします。

昨年の冬、我が国は、これまで日本中の学校を学級閉鎖に追い込んできたインフルエンザを完全制圧しました(発病者を1/1000以下にした)。

しかし、そのような完全に近い公衆衛生社会において、コロナウイルスは、1週間の感染率が6日間で2~3倍になる勢いの感染力を持ちます。

ですので、私の単純なかけ算の計算では、インフルエンザウイルスと比較して、コロナウイスルの感染率は、約10000倍あり、死亡率(これは、私が退院できなかった人から計算したのですが)は20~40倍あります。

つまり超単純な計算で、インフルエンザと比較した場合のコロナの危険性は、20万倍から40万倍ということになります(ちょっと計算が乱暴に過ぎますが)。

私の場合、この20万倍から40万倍の危険性に対して、アナフラキシーの発生率は0.00005という、驚異的な少数です。そういう訳で、私は『圧倒的にワクチン接種の方が美味しい』という結論に至りました。で、私は「喜んでワクチン接種に出かけに行った」という次第です。

ただ、これは、あくまで、数理研究員のビジョンであって、他の方に押し付けられるものでもありませんし、理解して貰えるものでもないと思っています

つまるところ「怖いものは怖い」が正しくて、それで良いのです。

「怖い」はロジックではありませんし、事実ロジックで安易な数値を振り回すことで、酷い目にあってきました。例えば、福島原発(を含む日本国の原発)は、研究者の叩き出した数値から「原発の安全神話」ができてしまって、私達日本人は、それで酷い目に合わされました

さらに、新型コロナワクチンは、「自己責任が取れる」珍しい対象です。他人に感染を移さない生活をしているかぎり、自分の「怖い」を最優先して頂いて全く問題ないと思います。

(3)お子さんへのワクチン接種について

しかしながら、お子さんは、自己責任の対象外であり、保護者は子供の命を守る義務があります。子供への症状のある感染はレアケースですし、死亡例は(現時点では)絶無に近いです(ただし、数は少数ですが世界で死亡している子どもはいます)

実際、私も「ブレインフォグ」の話がでてくるまでは、『子どもは、自然感染に任せてほっとけ』と思っていた一人です。

ただ、(前述した様に)無症状感染での体組織破壊の話(ブレインフォグ)の話を聞いて、私は青くなりました。

お子さんが、持病または、休眠状態の疾患を持っていないのであれば、年齢が若いほど、ワクチンの副反応の影響は出にくいと思います(逆に、発熱等は大人よりも激しいかもしれませんが)。

結論として、現時点での私の持ちうる全ての知識を動員した上での結論を申し上げるのであれば、「お子さんへのワクチン接種をお勧めします」。

5年後、10年後、『この子どもへのワクチン接種は、殺人行為だった』と言われる可能性を、私は否定はしません。ただ、今の、現時点の世界と私の持っている知識では『ワクチン接種は、子どもこそが、もっとも安全である』と考えています。

また、世界中にあるウイルス性の病気で根絶できたものは、たったの一つしかないことを考えると、これからも世界は、コロナウイルスとともに生きていくしかありません。

何十年もずっとワクチンを回避しながら、無感染のまま生き続けるのは、無理じゃないかなぁ、と思っています。

とは言え、「自分は接種しないのに、子どもに接種させる」ということが、どれほど心理的に重いものであるのかは、想像に難くありません。ただ、重いながらも、その判断を、(多くの人には理解して貰えないかもしれませんが、少なくとも私は)合理的で倫理的な判断であると断言します。

シバタ医師のような病理医学に詳しい方や、私のような数理研究者であれば割り切れるロジックが、多くの人には通用しないことはよく分かっています。

つまるところ、接種する/しないのいずれの選択もイバラの道です。それでも、私達は、明日の自分と子ども達のために、選択をしなればならないのです。

(4)すでにコロナ感染したのにワクチン接種をする必要があるのか、について

私もこの辺のことは分かっていませんが、感染後の後遺症の改善にワクチン接種に効果があったことは、医学論文等で発表されておりますので、その点では接種には意義があると思います。

ただ、正直、私にもその理由がよく分からないのですが、残存したコロナウイルスが固体内で変異して、小規模な攻撃を続けているとしたら(この仮説には無理があると、私ですら思うのですが、このコロナウイスルに関しては、従来のウイルスの動きでは説明できないことが多いのです)、効果があるのは自然なことだと思います。

また、ワクチン接種した方が、中和抗体の量が多くなるという厚生労働省の発表もあります。この事実も私には、やっぱり???とは思うのですが、これはデータが示している事実です。

この事実は、生ワクチンよりも、コンピュータで計算した(mRNA)ワクチンの方が優れている、ということになります(それはそれで、ITエンジニアとしては嬉しかったりするのですが)。

ただ上記の『???』については、変異株になる度に感染している人がいることや、ブレークルー感染の多発の状況と鑑みれば、一応筋は通るかなぁ、とは思っています。

従前のウイルスと、コロナウイルスは、分けて考えた方が良いかもしれないと思います。

結論として、本件は「『感染してもワクチン接種した方がいいようだ』と、データが語っている」という話になると思います、

(5)「私(江端)を信じてワクチン打ってみませんか?」

かなりハードルが高いのですが、私がお勧めするのは、『誰の意見も聞かずに、新型コロナウイルスとワクチンについて、自力で調べて理解をして判断をする』です。人の意見では、不安になるだけですし、人の意見では、最悪の結果に対して、その人を責めるだけではなく、自分自身を責めることになります。

しかし『それができないから困っているんだ』と言う声が聞こえてきそうです。実際、ウイルスやワクチンの内容は難しいのです。私もシバタ先生のレポートを解釈するのに、想像を絶するほど勉強して、今、ここに「開き直った私がいる」という状況です。

そこで提案ですが、いっそうのこと「私(江端)を信じてワクチン打ってみませんか?」

それで、お子さんに不幸が見舞われたら、私を訴えて、呪って、私の生きてる限り非難し続けて、必要なら私に復讐(殺害を含む)して頂いても結構です。さらに、その事件の裁判ではこのメールを証拠として提出して頂き、さらには全世界にこのメールをばらまいて頂いても結構です。

SNSなどを見ていると『私のコラムを読んで、ワクチン接種を決断した』という人が、日本には少なからずいるようです。私は、「その人達をそそのかした当事者として、断罪される」覚悟があります。

多分、世界中のお医者さんは誰も「絶対大丈夫」とは言ってくれないと思います。

「江端を信じる」というのは、本当に最後の、しかも、あまり懸命とは言えないジャッジかもしれません(最悪のチョイスかも)。しかし、もしそれで、あなたの苦しい状況が改善されるなら、私を自由に使って頂いて結構です。

長文になりましたが、貴方のご判断の材料になれば幸いかと存じます。

江端智一

2022/01,江端さんの忘備録

今日は、姉と二人で、母の病歴追跡リレーをしていました。

Today, my sister and I were working on a medical history tracking relay for my mother.

母が、介護老人保健施設(老健)に入所したのは、10年前です。

It was 10 years ago that my mother was admitted to a geriatric health care facility.

そこから、母の入院歴を辿って、3つの病院を訪問して、母の入院の履歴を調べていました。

From there, I traced my mother's hospitalization history, visiting three different hospitals to find out more about her.

■頭蓋骨陥没骨折

-Depressed skull fracture

■うつ病

-Depression

■洞不全症候群・ペースメーカー装着

-Sinusoidal failure syndrome, pacemaker installation

■不眠症

-Insomnia

■鬱血性心不全

-Depressive cardiac insufficiency

■脳梗塞

-Cerebral infarction

■胃瘻増設

-Expansion of gastrostomy

■胆石胆嚢炎

-Gallstones cholecystitis

■脳梗塞後遺症

-Femoral infarction sequelae

■右肘打撲

-Right elbow bruise

■誤嚥性肺炎

-Swallowing pneumonia

■神経因性膀胱

-Neurogenic bladder

■帯状発疹

-Exanthem subitum

■肺炎

-Pneumonia

■慢性心不全増悪

-Chronic cardiac insufficiency additions

■洞不全症候群

-Sinusoidal failure syndrome

■誤嚥性肺炎

-Swallowing pneumonia

■死亡(2022年1月10日)

-Death (January 10, 2022)

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これが、この10年間の母の激痛の歴史です。

This is the history of my mother's severe pain for the past ten years.

いずれも、現在の司法の「尊厳死」判断には該当しません。

None of this falls under the current judicial "death with dignity" decision.

そもそも、母が「尊厳死宣言」をしていませんでしたので、絶対に無理ですが。

In the first place, my mother was not declared to die with dignity, so it is absolutely impossible.

私たちと意思疎通ができなくなってからは、母が何を考えているのかも、全く分かなくなりました。

After she stopped communicating with us, I had no idea what she was thinking.

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私が申し上げたいことは一つです。

I would like to say one thing.

―― もうすぐ、あなたにも、この拷問が日々が始まる。そして、誰もが、そこから逃げることはできない

"Soon, the days of this torture will begin for you, too. And no one can escape from it"

ということです。

今から思えば、母には2回ほど、この長い拷問の開始を、自分で止める機会があったように思えます。

In hindsight, it seems that my mother had two opportunities to stop this long torture from starting on her own.

1つは「胃瘻建造」、もう1つは「ペースメーカー装着」です。

One is "gastrostomy construction" and the other is "pacemaker installation.

この2つは、人類が生み出した「英知」であり、同時に「呪い」です。

These two things are the "wisdom" and at the same time the "curse" created by humanity.

それでも、この2つを選んだのは「母自身」でした。

Nevertheless, it was "my mother herself" who chose these two.

だから ―― もう、母のことはいいのです。

So - I don't need to worry about my mother anymore.

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でも、忘れないで下さい。

But don't forget.

意思疎通ができなくなったら、(少なくとも現状の司法システムでは)あなたは、「死を選ぶ権利」の行使は、一切できなくなります。

If you are unable to communicate, you will not be able to exercise your "right to choose death" at all (at least in the current judicial system).

これは、絶対的な事実です。

This is an absolute fact.

自分を救えるのは自分だけで、そのチャンスは恐しく分かりにくいところにあります。

The only person who can save you is yourself, and the opportunity is frighteningly difficult to grasp.