さくらインターネット上のWordpressをエクスポートしたものを、Amazon Lightsailにインストールする方法
2025/01/27
江端智一
さくらインターネット上のWordPressをエクスポートし、Amazon Lightsailにインストールする手順を説明します。
1. さくらインターネットのWordPressデータをエクスポート
(1) WordPressの管理画面からデータエクスポート
- WordPress管理画面にログイン(例:
https://example.com/wp-admin
) - [ツール] →[エクスポート] を開く
- 「すべてのコンテンツ」を選択 → [エクスポートファイルをダウンロード]
- これで
.xml
ファイルが取得できる(投稿・固定ページ・コメント・設定など)
- これで
(2) データベースのエクスポート
- さくらのphpMyAdminにログイン
- WordPressで使用している データベースを選択
- [エクスポート] →「クイック」形式 → 「SQL」 でエクスポート
wordpress.sql
というファイルがダウンロードされる
(3) wp-contentフォルダのバックアップ
- FTP(FileZillaなど)を使用して、さくらサーバーに接続
/wp-content/
フォルダ(テーマ・プラグイン・アップロードファイルが含まれる)をダウンロードwp-content.zip
などに圧縮しておくと便利
2. Amazon LightsailでWordPressをセットアップ
(1) Lightsail インスタンスの作成
- Amazon Lightsail にログイン
- 「インスタンスの作成」
- プラットフォーム: Linux/Unix
- ブループリント: WordPress
- プラン: 必要なスペックを選択(例: 5ドルプラン)
- 「作成」をクリック
- インスタンスのIPアドレスを確認し、
http://<LightsailのIP>/
にアクセスできることを確認
(2) SSHでLightsailに接続
- Lightsailの管理画面 懼 インスタンスを選択 懼 「SSH接続」
- コマンドラインで以下を実行し、MySQLのパスワードを取得
cat $HOME/bitnami_application_password
- これがWordPressの管理画面の初期パスワードになる
- WordPress管理画面にログイン
http://<LightsailのIP>/wp-admin
- ユーザー:
user
- パスワード: 上記で取得したもの
3. 旧データをLightsailにインポート
(1) WordPress XMLのインポート
- LightsailのWordPress管理画面にログイン
- [ツール] → [インポート] → 「WordPressインポーター」
- エクスポートした
.xml
ファイルをアップロード- 投稿・固定ページ・カテゴリ・タグなどが移行される
(2) wp-contentのアップロード
- LightsailのSSHに接続
wp-content.zip
を/opt/bitnami/wordpress/
にSFTPでアップロード- 以下のコマンドで展開
sudo unzip wp-content.zip -d /opt/bitnami/wordpress/ sudo chown -R bitnami:daemon /opt/bitnami/wordpress/wp-content sudo chmod -R 775 /opt/bitnami/wordpress/wp-content
(3) データベースのインポート
wordpress.sql
をSFTPでLightsailにアップロード- MySQLに接続し、データベースをインポート
mysql -u root -p bitnami_wordpress < wordpress.sql
(
bitnami_wordpress
はLightsailのデフォルトDB) - WordPressのテーブル名が異なる場合、
wp-config.php
のtable_prefix
を変更
(4) ドメインの変更(URL修正)
- MySQLにログイン
mysql -u root -p
- WordPressのURLを修正
USE bitnami_wordpress; UPDATE wp_options SET option_value = 'http://<LightsailのIP>' WHERE option_name = 'siteurl'; UPDATE wp_options SET option_value = 'http://<LightsailのIP>' WHERE option_name = 'home';
- パーマリンクの再設定
- WordPress管理画面 → [設定] → [パーマリンク設定] で「変更を保存」をクリック
4. SSL設定(HTTPS化)
(1) Let's Encrypt証明書の設定
- SSHでLightsailにログインし、Let's Encryptを設定
sudo /opt/bitnami/bncert-tool
- 指示に従い、
example.com
などのドメインを入力し、SSL証明書を設定 - 設定が完了すると、自動的にHTTPSにリダイレクトされる
5. 動作確認
http://<LightsailのIP>
にアクセスし、正しく表示されるか確認- WordPress管理画面(
/wp-admin
)にログイン - 投稿・画像・テーマ・プラグインが正常に動作しているかチェック
以上で、さくらインターネットからAmazon LightsailへのWordPress移行が完了します。
さくらインターネット上のWordPressをエクスポートしたものを、そのままAmazon Lightsailにインポートするだけではダメですか
さくらインターネットのWordPressをそのままAmazon Lightsailにインポートするだけでは、いくつかの問題が発生する可能性があります。以下の点を考慮する必要があります。
1. サーバー環境の違い
- さくらインターネットとLightsailのWordPress環境は異なる。
- LightsailのWordPressは Bitnami環境 で動作しており、デフォルトのディレクトリ構成や設定が異なる。
- .htaccess がデフォルトで無効 になっているため、さくらの設定をそのまま適用できない可能性がある。
2. データベースの問題
- さくらのMySQLのデータをそのままインポートすると、テーブルの接頭辞 (
wp_
) やデータベース名 (bitnami_wordpress
) の違いで動作しないことがある。 - 特に、
siteurl
やhome
の値を修正しないと、LightsailのドメインやIPアドレスでアクセスできない。 wp-config.php
の データベース接続情報(DB_NAME
,DB_USER
,DB_PASSWORD
,DB_HOST
)をLightsail用に書き換える必要がある。
3. パーミッション(権限)の違い
- Lightsailでは
bitnami
ユーザーがdaemon
グループと組み合わせて動作するため、ファイルの所有権を適切に設定しないとWordPressが動かなくなる。 wp-content
をアップロードした後に以下を実行しないと、画像やテーマが正しく読み込まれない。sudo chown -R bitnami:daemon /opt/bitnami/wordpress/wp-content sudo chmod -R 775 /opt/bitnami/wordpress/wp-content
4. SSL証明書の違い
- さくらでSSL(Let's Encryptや独自証明書)を使っていた場合、Lightsailで新たに取得し直す必要がある。
- Lightsailでは
bncert-tool
を使ってSSLを設定し、http 懼 https
のリダイレクトも自動で行う。
5. URLの変更が必要
- さくらの
siteurl
(例:https://sakura.ne.jp/your-site
)がLightsailのhttp://<LightsailのIP>/
に変わるため、データベースのwp_options
を変更する必要がある。UPDATE wp_options SET option_value = 'http://<LightsailのIP>' WHERE option_name = 'siteurl'; UPDATE wp_options SET option_value = 'http://<LightsailのIP>' WHERE option_name = 'home';
6. プラグインの互換性
- さくらの環境依存のプラグイン(キャッシュ系、バックアップ系、サーバー最適化系)がLightsail上で動かないことがある。
- 特に、
wp-config.php
にDISALLOW_FILE_MODS
などの設定がある場合、管理画面からプラグインをインストールできなくなる。
結論
「そのままインポートする」だけでは動かない可能性が高い。
ただし、以下の対応をすれば比較的スムーズに移行できる。
- データベースの修正(
siteurl
やhome
の変更) wp-config.php
の修正(データベース情報の更新)- パーミッションの適正化
- SSLの再設定
- プラグインの動作確認
htaccess
設定の見直し
上記を対応すれば、さくらのWordPressをLightsailへスムーズに移行できる。