私が、リュックを背負って、アジアを歩き回っていた時のことです(「バックパッカー」と言われていました)。
バックパッカーの旅行者と一緒に、タイのバンコクを回っていた時、彼の仲間との待ち合わせに付きあったことがあります。
しかし、所定の時間になっても、その仲間は姿を現わしませんでした。このような旅では、よくあることでした。
しかし、その待ち合わせでは、確か「帰国フライトのチケット」の手渡しという重要な内容で、下手すると、彼は、帰国する手段を失うかもしれないという事態でした。
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私が驚いたのは、その後です。
「必ず何かのメッセージを残しているはずだ」と言いながら、彼はその周辺を探し出して、電柱から飛び出している針金に引っかかっている紙を見つけました。
「お、これだ、これだ」
その紙には、『落ち合う時間と場所の変更』を記載した手書きの文章が記載されていました。
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携帯電話もメールもない時代、ましてや海外における連絡手段が絶無であった時代において、
我々、海外一人旅の旅行者は、ほとんどこのような、―― 現代にあっては信じられないような原始的な方法で ―― 海外の旅を生き延びていたのです。