元高角三(げんこう かくぞう)という生き方
たまたま見た、ドラえもんのアニメだったと思います。
ストーリは概ねこんな内容だったかと。
(1)のび太が、タイムマシンで見てきた未来を、「占い」として皆にしゃべっていた時、元高角三という小説家を目指しているもののデビューできずにいる男から、『自分が作家になれるか否かを占って欲しい』と言われる。
(2)のび太は、5年後へ見に行くが、彼は作家としてデビューできていなかったので、その旨を告げると、彼は「きっぱり諦める」といって去っていった。
(3)のび太は、再度、5年後の未来へ行って彼の様子を見にいくと、彼は、アルバイトを続けながら、小説を書き続けていた。
(4)のび太が「どうして、やめなかったのか」と尋ねると、彼は「小説を書いていることが、楽しいから」と笑顔で応えた。
(5)その時、沢山のテレビ局や新聞社の人が家にやってきて、彼の小説が文学賞を受賞したという報告を受ける。
-----
この話、(5)があっただけで、全てが台無しになった。
(4)で終っていれば、名作中の名作で終った筈なのに、「立身出世」「成功賛美」を描いただけの駄作に堕ちた、と思う。
-----
「楽しい」だけで、自分の好きなことを続け、世間に対して揺がない人生は、
『それ自体が「奇跡」と呼べる程の大成功である』
というメッセージを送れる、稀有な機会であったはずなのに、と思えるのです。