勝負してはいけないもの
我が家には、
「携帯電話を紛失した場合、その紛失に気がついた時点で報告すれば、その過失を絶対に叱責しない」
というルールがあります。
私が制定したルールです。
-----
これは、「携帯電話を紛失した」ことで、子ども達が「叱られる」ことを恐れ、親に報告せずに、自力で見つけ出そうとすることによって、対応が遅れることを防止する為です。
携帯電話は、自分のみならず他の人のプライバシー情報を、たんまりと含んでいる情報端末です。
無断使用による課金くらいですめば足りますが、他の人の情報が悪用された場合、その被害は図り知れないものになります。
紛失した場合には、その携帯電話を無効にして、また遠隔処理で携帯電話をロックしてしまうこともできます。
が、子どもは、そこまで思いが至らない。
当然、親に叱られることを回避する為、「見つかる方に賭ける」ことになるのです。
-----
思い出しましょう。
○2000年夏、雪印は食中毒発生後、組織的隠蔽を行い、被害を拡大させるという事件を起こしました。
事件発生後、雪印が公表してきた一連の事実が不正確であり、組織的に嘘の報告と情報を流し続け、結果的に、食中毒の被害者が
1万人を越える
という、過去最大級の食中毒事件となりました。
○三菱自動車は、リコール隠しが明かになり、1998年4月以降だけでも
6万5000件
の情報を隠蔽し、運輸省に届けずに、内密に車を修理し続け、人身事故を含む重大事故を幾つも起しました。
○動燃は、1997年3月11日(震災より14年も前の話)、茨城県東海村にある動燃再処理工場で爆発事を発生させました。
敷地の外にまでプルトニウムなど長寿命の放射能を含めて放出された可能性が高く、その種類、量を正確に把握できないという深刻な事態になっていました。
しかし、それを隠し続け、見つかる度に謝罪するものの、また次の事故の隠蔽を続けました。
-----
このような優良企業が、かかる不合理を行った理由は、簡単に言えば
「見つからない方に賭け」て
「何もなかったかのように現状を維持する」ことで、
リスクコストをゼロとする可能性で、大勝負をしてしまったからです。
-----
我が家では、「勝負して良いこと」と「良くないこと」を分けて考えるようにしています。
子ども達には、
○「物を無くした場合、見つかる方に賭けても良い。その場合、見つかれば、お前たちの勝ちだし、見つからなければ滅茶苦茶に叱られるだろう。好きな方を選んで良い」
○「ただし、携帯電話は除く」
と言い聞かせています。