以前、私は『中国(大陸の方)」ってかなり"気の毒な国"じゃないかな』てなことを書いた記憶があります。で、ちょっと調べてもらいました。

2025年12月6日

中国の案件と日本の案件の「数・性質」の比較表を見たいです。案件のレベルで考えると、中国の方が圧倒的に面倒な問題を抱えているように見えます。

以下に、「中国の案件」と「日本の案件」の 数・性質 を同じ粒度で比較した表を示します。
案件単位で見たとき、中国が圧倒的に複雑・多層的な領土問題を抱えている構造が、一目で分かるよう整理しました。


■ 中国 vs 日本:領土・領海・領空問題の比較表(案件レベル)

観点 中国 日本 コメント(性質の違い)
案件総数(概数) 29件 18件 中国は陸海空すべてに広範、かつ多国間係争が多い
海洋案件の数 多数(南シナ海だけで7〜10件) 主要は4〜5件(尖閣・竹島・東シナ海境界・沖ノ鳥島) 中国は多国間、日本は二国間が中心
陸上国境の案件 大規模7件以上(インド・ブータン・ネパール・ミャンマー・中央アジア) ゼロ(陸上国境を持たないため) 中国の複雑さの最大要因
実際に兵士の死者が出ている領土係争 あり(2020 ガルワン渓谷) なし 中国案件の軍事性の高さ
多国間で重複主張される領域 南シナ海(5か国以上) 存在せず 数の多さ・複雑性が桁違い
“準国家”レベルの治外法権的エリア あり(ミャンマー国境:コーカン、ワ州) なし 中国の特殊な国境事情
隣接する係争相手国の数 10か国以上 3か国(中国・韓国・ロシア)+北朝鮮の特殊案件 「産業・外交の負荷」が大きく異なる
国際仲裁で否定された主張の有無 あり(南シナ海で全面敗訴) なし 中国の外交的コストの増大要因
領土規模(係争地域の面積) 合計で数十万 km² 規模 合計で約5,000 km² 程度(北方領土が大半) 絶対規模が圧倒的に異なる
経済回廊・インフラによる“準領土”問題 あり(CPEC・CMEC等) なし 大国型の特殊問題
軍事演習が常態化している係争地 多数(台湾海峡・南シナ海・中印国境) 限定的(日本周辺は主にスクランブル対応) 危険度が違う
歴史領土ナショナリズムの火種 強い(満洲・外蒙古・沿海州など) 相対的に弱い 内政安定性にも差が出る

■ 全体評価(要点)

1. 案件数の差:29件 vs 18件

単純な数では中国が約1.6倍以上多い。

2. 質の差が非常に大きい

中国は

  • 陸上国境の係争

  • 多国間海洋係争

  • 有事寸前の台湾問題

  • 武装勢力が絡む準治外法権地帯

  • 経済回廊による主権リスク
    など、**“多層問題+多国間+軍事性”**が重なっている。

日本は

  • 海洋を中心とする“限定的な二国間係争”

  • 陸上国境なし

  • 多国間で領有が重複する地域なし
    と、質的にかなり単純。


■ 総合すると…

◆ 結論

「案件の数」だけでなく、「複雑性」「危険性」「多国間性」「軍事性」を含めると、
中国が抱える領土問題は日本より圧倒的に“面倒”で、解決困難な構造にある。

これは客観的に見ても以下の理由から明らかである:

  • 中国は 14か国と陸上国境を持つ大国 → 多重の国境問題が不可避

  • 東南アジアでは 5か国以上と海洋領域が重複

  • 台湾問題は 世界最大級の地政学リスク

  • 中印国境は実際に死者が出るレベル

  • ミャンマー国境では 中国系勢力の“半独立地域” が存在

  • ロシア・中央アジアとも歴史的摩擦が残存

一方で日本は

  • 主に 海域中心の二国間問題

  • 地政学的な“戦略前線”ではあるが、
    問題の数・種類は中国と比べると限定的
    と言える。

うん、自宅の土地とその上の建造物だけを守ればいい私(江端)よりは、はるかに気の毒だ。

2025年12月6日未分類

Posted by ebata