『選挙における「当選確実」は、当然、各ニュースメディアがオリジナルの方式を取っていると思います。 私は、事後確率を使ったベイズ統計方式程度のことは知っていますが、各メディアがどのような方法を用いているのか、また、「当選確実の取消」はどの程度発生するのかを教えて下さい。』とChatGPTに聞いてみた件
選挙における「当選確実」は、当然、各ニュースメディアがオリジナルの方式を取っていると思います。
私は、事後確率を使ったベイズ統計方式程度のことは知っていますが、各メディアがどのような方法を用いているのか、また、「当選確実の取消」はどの程度発生するのかを教えて下さい。
ご質問のポイントは大きく ①「当選確実」は何を根拠に出しているのか、②各メディアで方式に違いはあるのか、③「当選確実の取消」はどれくらい起きるのか、の3点だと思います。順に整理します。
1. 「当選確実」はベイズ推定か?
結論から言うと、純粋なベイズ統計モデルではありません。
考え方としては事後確率に非常に近いものの、実運用では 統計モデル+経験則+現場情報 を重ねたハイブリッドです。
各社とも内部では、
- 出口調査・期日前投票調査
- 開票速報(ごく一部の開票率でも「票の質」が高い区画)
- 過去選挙データ(得票構造、地域差、都市/農村バイアス)
- 候補者要因(現職・新人・分裂選挙など)
を入力として、「この先どんな票が、どの順で出てくるか」を推定しています。
数理的に言えば、
- 事前分布:過去選挙+調査
- 尤度:現在出ている開票結果
- 更新:開票進行に応じてリアルタイム更新
という構造なので、思想的にはベイズ的です。ただし、
- 数式モデルをそのまま自動判定に使う
- 一定確率を超えたら機械的に「当確」
というやり方ではありません。
2. 各メディアの方式の違い
方式の詳細は非公開ですが、「何を重視するか」にははっきりした傾向差があります。
公共放送系(例:NHK)
- 出口調査・期日前調査を極めて重視
- 「誤報ゼロ」を最優先
- 当確は遅めだが、取り消しはほぼ出さない
民放キー局・新聞社
- NHKと同様の統計基盤は持つ
- 過去の選挙地図・地域票の流れを強く使う
- 接戦区ではNHKより慎重/非接戦区では早出し
ネットメディア・速報特化型
- 開票速報への依存度が高い
- 早いが、保守性は低め
- 「当確相当」「優勢」など段階表現で逃げることが多い
共通点として、**どの社も「人が最終判断する」**点は同じです。
完全自動化は、意図的に避けられています。
3. 「当選確実の取消」はどの程度起きるか
これはかなり重要な点ですが、
大手メディアでは極めて稀(体感的に数年に一度あるかないか)
です。
理由は単純で、
- 当確を出すハードルが非常に高い
- 取消は報道機関の信用に直結する
ためです。
取消が起きる典型パターン
- 期日前投票の偏りを読み違えた
- 僻地・特定組織票の開票が最後に集中した
- 無効票・按分票の想定外増加
いずれも「統計モデルの破綻」というより、
票の出方が想定と構造的に違ったケースです。
なお、
- 「当選確実」→取消
は激レアですが、 - 「優勢」→落選
はそれなりに起きます。
そのため、各社とも「当確」という言葉の運用は年々慎重になっています。
4. まとめ(技術者目線で言うと)
- 「当選確実」は確率モデルの出力そのものではない
- ベイズ的更新+人間の判断による安全側判定
- 取消は「設計上、起きないように作られている例外事象」
言い換えれば、
「当確」は統計の結果ではなく、統計に裏打ちされた編集判断
です。
もしご関心があれば、
- 「どの時点で何%なら当確と言えるのか」
- 「機械判定にすると何が危険なのか」
といった点も、もう一段掘り下げて整理できます。
「どの時点で何%なら当確と言えるのか」「機械判定にすると何が危険なのか」の両方を教えて下さい。
了解しました。ここは**選挙報道の中でも、いちばん「工学と社会が衝突する部分」**なので、やや踏み込みます。
1. 「どの時点で何%なら当確と言えるのか」
結論
明確な%の閾値は存在しませんし、意図的に作られていません。
理由は、「当確」が確率論上の命題ではなく、不可逆な編集判断だからです。
1.1 もし確率で言うなら?
仮に純粋な確率論の話をするなら、
- 95% → 学術的には「かなり確からしい」
- 99% → 工学的には「ほぼ確定」
- 99.9% → 金融・安全工学では「実用上の確定」
という感覚になります。
しかし、選挙報道で 99%や99.5%では当確を出しません。
なぜなら、
残り0.5〜1%が「現実に起きる世界」だからです。
選挙は1回限りで、やり直しが効かず、
その1%が起きた瞬間に「誤報」になります。
1.2 実際の判断基準(非公開だが推測可能)
各社の内部基準は公表されていませんが、
複数の証言・過去事例から見ると、以下が同時に成立したときに初めて「当確」が出ます。
- 残り票を全て相手に足しても逆転しない
- 残り票の性質が既知で、偏りが想定内
- 過去の最大誤差を考慮しても差が残る
- 期日前・当日・地域別の票構造が破綻していない
- 人間(デスク)が説明責任を持てる
これを確率風に言えば、
「この結果が覆るには、既知の票構造が同時に複数崩壊する必要がある」
という状態です。
つまり、「90何%」ではなく
「逆転のために必要な条件が現実的に存在しない」
ことを確認している。
1.3 なぜ「%表示」をしないのか
もし「当選確率 99.8%」と表示した瞬間、
- 0.2%が起きたとき
→ 「なぜ出した?」ではなく
→ 「誤報を出した」になる
からです。
確率は説明には便利だが、責任の所在を曖昧にする。
報道はそれを嫌います。
2. 「機械判定にすると何が危険なのか」
ここが本質です。
2.1 技術的な危険:モデルの前提が壊れる
機械判定は必ず以下を前提にします。
- 投票行動の分布は過去と連続している
- 調査誤差はランダム
- 残り票は統計的に推定可能
しかし、選挙では前提が壊れるイベントが普通に起きます。
例:
- 特定団体票が「最後にだけ」まとまって出る
- 離島・山間部票が想定より極端
- 無効票・按分票が異常増加
- 終盤での候補者トラブル
これらは確率的ノイズではなく、構造変化です。
モデルは、
「起きないはずのことが起きる」
ことに最も弱い。
2.2 社会的な危険:責任主体が消える
機械が「当確」と出した場合、
- 誰が説明するのか?
- 誰が責任を負うのか?
という問題が即座に発生します。
「AIがそう言った」は
報道では免罪符になりません。
だから必ず、
- 「この判断は人が出した」
- 「誤ったら人が謝る」
構造を残す必要があります。
2.3 情報戦としての危険
さらに重要なのはここです。
もし当確判定が
- 数式
- 閾値
- アルゴリズム
で固定化されたら、
意図的に誤判定を誘発する戦術が成立する
からです。
例えば、
- 特定地域の開票を遅らせる
- 初動票だけを意図的に偏らせる
- 世論調査を攪乱する
などは、人間の編集判断があるから防げている。
3. まとめ(江端さん向けに一言で)
- 「当確」は確率問題ではなく不可逆な意思決定
- 機械判定は「説明責任・前提崩壊・情報戦」に弱い
- だから各社は
ベイズ+経験+人間の覚悟
という一番面倒で、一番安全な方法を選んでいる
言い換えれば、
当選確実とは「99.9%」ではなく
「誤っても人間が腹を切る覚悟が持てる状態」
です。
もし次に進むなら、
「では海外(米国・欧州)はどうしているのか」
「将来、AI判定が許容される条件はあるのか」
このあたりも、かなり面白い論点になります。