『人を褒めないで、くさしておく』『人の評価は公にせずに、内面だけに持っておく』という、日本人の戦略は、日本型社会においては、なかなかの最適戦略なのかもしれないなぁ、などと考えています。

コラムニストの、故小田嶋隆さんが『なるべく人には会わないようにしている。その人を批判するコラムが書きにくくなるから』という言葉を残しています。

The late columnist Takashi Odajima once said, “I try not to meet people if I can help it. It makes it harder to write a critical column about them.”

世間で、人懐っこく飄々とした語り口という芸風で、まるで関西の親戚のおっちゃんのような親近感という感じで『あいつ、めっちゃいい奴やねん』を口癖としている、笑福亭鶴瓶さんが、

Shofukutei Tsurube, known for his friendly, easygoing style and the warmth of a Kansai uncle, often says, “That guy’s a good person.”

朋友でもあった中居正広氏の性暴力事件の報道以降、そのことについて何を語ったのか――少なくとも、私の耳には届いてきません。

Since the reports of sexual assault involving his longtime friend Masahiro Nakai, I haven’t heard anything from him about it—at least not that has reached my ears.

ただ、随分、難しい苦しい心情だろうな、とは推測できます。

Still, I can imagine the emotional conflict must be painful.

私、これまで「日本人は他人を褒めない」ということを言い続けてきており、それが我が国の国力低下を招いている、とまで主張してきましたが、

I’ve long argued that “Japanese people don’t praise others” and that this mindset has contributed to the nation’s decline in overall vitality.

『人を褒める』ということには、リスクもあるのだと、実感しています。

But now, I realize that praising someone also carries its risks.

例えば、過去の事件においては、

For instance, in past incidents—

・元東京五輪組織委員会会長の森喜朗氏が、女性蔑視発言で批判を浴びた際、それ以前に彼を「日本ラグビー界の父」として持ち上げていた関係者たちが一斉に沈黙した件

- When Yoshiro Mori, former Tokyo Olympics chief, was criticized for sexist remarks, those who had praised him as “the father of Japanese rugby” immediately fell silent.

・渡部建氏の多目的トイレ不倫事件の直前に、テレビ番組で「育メン芸能人」として好意的に取り上げられていたこと

- Before Ken Watabe’s affair scandal in a multipurpose restroom, he had been favorably portrayed on TV as a devoted family man.

・元テレビ局アナウンサーの登坂淳一氏が「NHKの貴公子」として評価された直後に、過去のセクハラ疑惑が報道され、起用が白紙になった件

- Shortly after being hailed as “NHK’s prince,” former TV announcer Junichi Tosaka faced past sexual harassment allegations, leading to the cancellation of his appearances.

などがあります。

These are just a few examples.

このようなことを考えていくと、『人を褒めないで、くさしておく』『人の評価は公にせずに、内面だけに持っておく』という、

When I think about it, strategies like “don’t praise people, just keep a little sarcasm in reserve,” or “keep my evaluation of others to myself”—

日本人の戦略は、日本型社会においては、なかなかの最適戦略なのかもしれないなぁ、などと考えています。

—might be one of the most effective survival strategies in Japanese society.

誰のことも褒めず、無表情に生きていれば、誰からも裏切られることもなく、傷つけられることもなく、信用もされず、もちろん、好かれることもない。

If you go through life without praising anyone and keeping a blank expression, no one will betray you, no one will hurt you—of course, no one will trust you either, nor will they like you.

それでも、最近「それはそれで“アリ”なのかもしれない」と思う自分が、確かにいます。

And yet lately, I find myself thinking—maybe that’s not such a bad way to live.

(7)総じて「プロジェクトX」は、「エンジニアの夢や希望を搾取」して「プロジェクトを完成させた」というストーリで構成されており、現在の若者への「やりがい搾取」と1mmも変わっていないように見える

2025,江端さんの忘備録

Posted by ebata