2025,江端さんの忘備録

3年前に、今の大学院の博士課程に入学願書を出す時に添付する為、当時、京都で過ごしていた時の修士学位と、専門職学位授与証明書を、それぞれ取り寄せる必要がありました。
Three years ago, when I submitted my application for the doctoral program I am currently enrolled in, I needed to obtain both my master’s degree certificate and my professional degree certificate from the time I was living in Kyoto.

Webサイトで申し込んだのですが、運転免許証を添付したら、さくっと郵送で送ってもらいました。
I applied through the university’s website, and after attaching a copy of my driver’s license, they promptly mailed the certificates to me.

もし、「そんなものはない」とか応答されたら、真っ青になって、新幹線に飛び乗って、京都に向かっていただろうなぁ、と ーー そんなことをボンヤリ考えていました。
Had they responded, “We don’t issue such certificates,” I would have turned pale and immediately jumped on a Shinkansen bound for Kyoto, which was the kind of idle thought that crossed my mind.


公職選挙法に、学歴の記載が必須なのかを調べてみたのですが、「必要ない」ということが分かりました。
I looked into whether the Public Offices Election Act requires an academic background to be listed, and I found that it is not mandatory.

以下は、候補者経歴申告書(経歴申告書)の例です
Below is an example of the Candidate’s Career Statement (経歴申告書).

=====

候補者経歴申告書
Candidate Career Statement

選挙の種類 :____________________
Type of Election: ____________________

候補者氏名 :____________________
Candidate Name: ____________________

ふりがな  :____________________
Furigana (phonetic reading): ____________________

生年月日  :__年__月__日 (年齢__歳)
Date of Birth: ____ / ____ / ____ (Age: ___ years)

現住所   :____________________
Current Address: ____________________

職業    :____________________
Occupation: ____________________

【経歴】
(例:学歴、職歴、所属団体、資格などを候補者が任意で記載)
[Career] (Example: Education, employment history, affiliations, qualifications, listed at the candidate’s discretion)
昭和◯年◯月 ◯◯小学校卒業
Showa __, Graduated from __ Elementary School
昭和◯年◯月 ◯◯中学校卒業
Showa __, Graduated from __ Junior High School
昭和◯年◯月 ◯◯高等学校卒業
Showa __, Graduated from __ High School
昭和◯年◯月 ◯◯大学◯◯学部卒業
Showa __, Graduated from __ University, Faculty of __
平成◯年◯月 株式会社◯◯入社
Heisei __, Joined ___ Corporation
令和◯年◯月 ◯◯市議会議員当選(1期)
Reiwa __, Elected as City Councilor (1st term)
令和◯年◯月 現在に至る
Reiwa __, Serving to present

【備考】
(自由記載欄:信条、趣味、家族構成などを記載する場合あり)
[Remarks] (Optional entry: personal creed, hobbies, family composition, etc.)

_____________________________
提出日 :令和  年  月  日
Submission Date: Reiwa __ / __ / __
候補者署名:__________
Candidate Signature: ____________________

=====

■学歴・職歴などは必須ではなく任意です。記載しないことも可能です。
Education and employment history are optional; they may be omitted.

■記載内容は候補者本人の自己申告に基づきます。虚偽を記載した場合、公職選挙法第235条の「虚偽事項の公表罪」に問われる可能性があります。
The entries are based on the candidate’s self-declaration. False entries may fall under Article 235 of the Public Offices Election Act (Crime of False Statement).

■実際には、この内容が「選挙公報」に転載され、有権者に配布されます。
In practice, this information is reprinted in the official election bulletin and distributed to voters.

我が国においては、"卒業"より"入学"に価値が見い出される傾向があるように思います。
In Japan, it seems that more value is often placed on “admission” rather than “graduation.”

ただ、私個人としては、大学在学中に"ラクだった"という時期を思い出すことができないので、私にとっては"卒業"には価値があります。でも、そうでもない人がいてもいいと思うんです。
However, for me personally, I cannot recall any period during my university years that felt “easy,” so I find value in graduation. But I think it is fine if others see it differently.

経歴申告書の学歴・職歴に、『XX大学入学』とだけ書いておけば、それは、それで良いのではないでしょうか。試験に合格して入学したことは、私は、十分に価値があると思うのです。
If one writes “Admitted to XX University” in the career statement, that should be acceptable. Passing the exam and being admitted, in my view, has sufficient value.


伊東市の市長の「学籍詐称問題」で、市が負担した金額をChatGPTにフェルミ推定して貰いました。
I asked ChatGPT to make a Fermi estimate of the cost incurred by Ito City in the mayor’s “academic record falsification” case.

結論から言うと、
(1)伊東市が今回の「学籍詐称問題」で直接負担した額は概ね 4~6百万円 規模。
(2)もし再選挙・リコール等が発生した場合、2~3千万円規模の追加が見込まれる
ということのようです。
In conclusion:
(1) The direct cost borne by Ito City for this issue is estimated at 4 to 6 million yen.
(2) If a re-election or recall were to occur, an additional 20 to 30 million yen would likely be required.

多分、これからも政治家の学歴詐称問題は出てくると思います。だって、これ以前にも、この手の問題、山ほどありましたから。
I suspect that similar cases of politicians falsifying academic backgrounds will continue to surface after all, there have already been plenty in the past.

この手の「学歴」に関して、場合によっては数百万~数千万円規模の公費が投じられる、というバカバカしさを回避する簡単な方法があります。
There is, however, a simple way to avoid the absurdity of spending millions to tens of millions of yen of public funds over such “academic” issues.

「学歴」に関してだけは、在学証明書(入学年月日が記載される)、学位証明書、専門職学位授与証明書の添付を必須とする、とすれば良いのです。
For academic history alone, it should be mandatory to attach an enrollment certificate (showing the date of admission), a degree certificate, or a professional degree certificate.

法律改正のような大掛かりなことはせずとも、選挙管理委員会で、そのような運用にすれば良い ーー と思ったのですが、調べてみたところ、この方法は、現行制度上は、選管の運用では不可であり、法改正や政令改正が必要となるようです。
I initially thought the election commission could implement such a measure without a major legal revision. However, upon checking, it turns out that this is not possible under the current system and would require an amendment to the law or a government ordinance.

もっとも、法改正をしたとしても、在学証明書、学位証明書、専門職学位授与証明書の偽造もありえますが、こうなると、もう、公職選挙法ではなく、刑法上の犯罪に該当します。
Even if the law were amended, forged enrollment certificates, degree certificates, or professional degree certificates could still occur. However, in that case, the matter would fall under not the election law but the criminal law.

刑法第155条(公文書偽造等)、刑法第159条(私文書偽造等)、刑法第161条(偽造文書行使罪)に該当し、こうした犯罪の立件・訴追は、刑事訴訟法に基づいて警察・検察が捜査を行い、公判にかけられることになります。
This would fall under Article 155 of the Penal Code (Forgery of Official Documents), Article 159 (Forgery of Private Documents), and Article 161 (Use of Forged Documents). The prosecution of such crimes would be carried out through an investigation by the police and prosecutors under the Code of Criminal Procedure, leading to a trial.


ともあれ、数百万円から数千万円の税金を費やすよりも、数百円の証明書を添付させた方が、よほど安上がりで健全です。
In any case, requiring candidates to attach certificates costing only a few hundred yen is far cheaper and healthier than spending millions to tens of millions of yen in public funds.

政治家の下らない「学歴問題」に毎度付き合わされる納税者の身にもなってほしいものです。
Politicians should remember the burden on taxpayers who are repeatedly dragged into these pointless “academic background controversies.”

===== 付録 ChatGPTが算出したフェルミ推定の結果 ======

了解です。いま公表情報から**“ざっくりの桁”を出すフェルミ推定**をします(2025年8月30日現在)。

前提(事実ベース)

  • 学歴詐称疑惑で伊東市議会が百条委員会(調査特別委)を設置。8/6が第5回、8/13が第6回会合の報道あり。8/29に故意の学歴詐称を認定し、刑事告発を決定。 (アットエス, TBS NEWS DIG, テレ朝NEWS, 毎日新聞)
  • 別自治体の公開資料では、百条委の運営経費(会議録作成、顧問弁護士費、相談料ほか)が年70万~170万円程度の例。顧問料は年33~65万円、弁護士来庁相談は1回2万円などの内訳が確認できる。 (葛城市公式サイト, 岸和田市公式ウェブサイト)
  • 伊東市の2025年度 当初予算に「各種選挙執行経費 7,143万6千円(参院選・伊東市長選・区議会選を含む)」の記載あり。再選挙が起きれば、この規模感が追加で一部再発生する可能性。 (伊東市)

推定の分解と計算(市が“実費として負担”した/しそうなもの)

※「観光客減少等による間接損失」は含めません(市の直接支出ではないため)。

  1. 会議録作成委託
  • 仮定:会合7回(6回+取りまとめ回)× 1回あたり20万円
  • 根拠:他自治体の年総額(18~55万円)を踏まえつつ、証人喚問や長時間審査を想定してやや厚めに設定。
    約140万円。 (葛城市公式サイト)
  1. 法律相談・顧問弁護士
  • 仮定:顧問料50万円/年相当+来庁相談 10回×2万円=20万円
    約70万円。 (葛城市公式サイト)
  1. 証人への費用弁償・郵送・雑費
  • 仮定:委員会期中の実費等で10万円(他自治体例は数万~十数万円規模)。
    約10万円。 (葛城市公式サイト)
  1. 職員の人件費(時間当たりコスト)
  • 仮定:委員会運営・資料作成・傍聴/警備等で
    10人×4時間×7回=280時間
    人件費の“総コスト”を**@5,000円/時**で概算
    約140万円。(一般的な事務職の人件費・諸経費込みの概算)
  1. 記者会見・広報対応等の追加工数
  • 仮定:会見2回(7/7・7/31)+取材・電話対応等の追加延べ180時間×@5,000円
    約90万円。 (朝日新聞)

小計(現時点まで)

    1. 140万
    1. 70万
    1. 10万
    1. 140万
    1. 90万
      = 約450万円4~6百万円の範囲が妥当)

結論(現時点のフェルミ推定)
伊東市が今回の「学籍詐称問題」で直接負担した額は概ね 4~6百万円 規模。

将来シナリオ(もし再選挙・リコール等が発生した場合)

  • 市長選を単独で再実施する事態になれば、投開票所運営・開票、ポスター掲示板、選挙公営負担等で、数千万円規模が追加発生。
  • 伊東市の2025年度予算では複数選挙合計で約7,100万円計上。仮に同規模作業を1選挙分に按分すると2~3千万円前後市の追加負担目安。実際には国の委託/補助や同時執行の有無で上下します。 (伊東市)

まとめ

  • 現在までの直接コスト(委員会運営・法務・人件費中心):約450万円(4~6百万円)
  • 再選挙などが起きた場合2~3千万円規模追加が見込み。

必要なら、百条委の開催回数・議会事務局の支出科目が決算に出たタイミングで、上の仮定を実数で差し替える再計算もできます。

===== 付録 ChatGPTが算出したフェルミ推定の結果 ここまで ======

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強化学習におけるReinforceを5行程度で説明して下さい

Reinforceは、方策勾配法の最も基本的なアルゴリズムである。
エージェントは環境との相互作用からエピソード全体の報酬を得て、その合計報酬を基準に行動確率を更新する。
具体的には「得られた報酬が大きい行動の確率を高め、報酬が小さい行動の確率を下げる」方向にパラメータを勾配上昇させる。
この方法は単純だが、分散が大きく学習が安定しにくい問題がある。
その後のアルゴリズム(Actor-Criticなど)は、この分散を抑える工夫を加えて発展している。

状態S_0 → 行動A_0 → 報酬R_0 → 状態S_1 → 行動A_1 → 報酬R_1 → .... を繰り返す  というデータがあったとする。

エピソードとは、上記の一連のデータのかたまりのこと

ふむふむ。

なるほど、収益は、その後の行動に影響するが、遠い未来は、rで減衰させる、ということだな。

深層学習の関数とは何ですか。簡単に説明して下さい。簡単な例題があればお願いします

深層学習における「関数」とは、入力を受け取り、出力を返す仕組みを数式で表したものを指す。
ニューラルネットワーク全体は「複雑な関数」であり、各層で「単純な関数(線形変換+非線形変換)」を重ねていくことで成り立っている。
例えば1つの層では、入力ベクトル

xx

に対して重み

WW

とバイアス

bb

を使い、

 

f(x)=σ(Wx+b)f(x) = \sigma(Wx + b)

 

という関数を定義する。ここで

σ\sigma

は活性化関数(例:ReLUやシグモイド)である。


簡単な例題

入力

x=2x = 2

、重み

w=3w = 3

、バイアス

b=1b = 1

、活性化関数をReLU(負の値を0にする関数)とすると、

 

f(x)=ReLU(wx+b)=ReLU(3×2+1)=ReLU(7)=7f(x) = \text{ReLU}(wx + b) = \text{ReLU}(3 \times 2 + 1) = \text{ReLU}(7) = 7

 

となる。
このように、深層学習は「多数の関数を組み合わせて、大きな入力(画像や音声など)から目的の出力(分類ラベルなど)を計算する仕組み」と考えられる。


もっと具体的な関数の種類(例えばシグモイド関数やソフトマックス関数)についても例を見たいですか?

シグモイド関数やソフトマックス関数の例を見たいです

了解しました。代表的な「シグモイド関数」と「ソフトマックス関数」を、簡単な数値例で説明します。


1. シグモイド関数 (Sigmoid)

式:

 

σ(x)=11+ex\sigma(x) = \frac{1}{1 + e^{-x}}

 

入力を 0〜1の範囲に圧縮する関数。確率っぽい値を出すためによく使われる。


  • x=0x = 0

     

    のとき:

 

σ(0)=11+e0=12=0.5\sigma(0) = \frac{1}{1+e^0} = \frac{1}{2} = 0.5

 


  • x=2x = 2

     

    のとき:

 

σ(2)11+e20.88\sigma(2) \approx \frac{1}{1+e^{-2}} \approx 0.88

 


  • x=2x = -2

     

    のとき:

 

σ(2)0.12\sigma(-2) \approx 0.12

 


2. ソフトマックス関数 (Softmax)

式(複数入力

z1,z2,...,znz_1, z_2, ..., z_n

に対して):

 

Softmax(zi)=ezij=1nezj\text{Softmax}(z_i) = \frac{e^{z_i}}{\sum_{j=1}^{n} e^{z_j}}

 

複数の値を 確率分布(合計1になる) に変換する関数。分類問題の出力層でよく使われる。

入力が

[2,1,0][2, 1, 0]

の場合:


  • e2=7.39,e1=2.72,e0=1e^2 = 7.39, \; e^1 = 2.72, \; e^0 = 1

     

  • 合計 =
    7.39+2.72+1=11.117.39 + 2.72 + 1 = 11.11

     

  • Softmaxの出力は:

 

[7.39/11.11,2.72/11.11,1/11.11][0.67,0.24,0.09][\, 7.39/11.11, \; 2.72/11.11, \; 1/11.11 \,] \approx [0.67, \; 0.24, \; 0.09]

 

つまり、入力

[2,1,0][2,1,0]

を確率分布に変換すると「クラス1が67%の確率で正しい」といった形になる。

Reinforceは、離散時刻tのデータがあるものに用いられる、という理解で良いですか?

はい、その理解でおおむね正しいです。

補足説明

Reinforceは方策勾配法 (policy gradient) の一種で、離散的な「時刻

tt

」ごとにエージェントが行動を選び、環境から報酬を受け取る状況を前提にしています。つまり、

  • 状態
    sts_t

     

    を観測

  • 方策
    π(atst)\pi(a_t|s_t)

     

    に従って行動

    ata_t

     

    を選択

  • 報酬
    rtr_t

     

    を得て次の状態に遷移
    という「離散時刻ステップ」で進行する枠組みに適用されます。

例えば「迷路探索」や「強化学習の標準タスク(CartPoleなど)」は、すべて1ステップずつ行動→報酬→次状態、という離散的な流れであり、Reinforceはそのデータを使って方策の更新を行います。


逆に「連続時間」での学習や制御にも拡張は可能ですが、その場合は一度離散化して扱うのが一般的です。

 

図に出てくる記号は、強化学習でよく使われる基本的な要素を表しています。


π(パイ)

方策(policy)のこと。
状態

sts_t

を見て、どの行動

ata_t

をとるかを決める確率分布。
Reinforceでは、この

π(as)\pi(a|s)

のパラメータを勾配法で更新する。


V(バリュー)

価値関数(state value function)。
ある状態

ss

からスタートしたときに、将来得られる報酬の期待値。
式で書くと:

 

Vπ(s)=E[t=0γtrts0=s,π]V^\pi(s) = \mathbb{E}\Big[ \sum_{t=0}^\infty \gamma^t r_t \,\big|\, s_0=s, \pi \Big]

 


Q(キュー)

行動価値関数(action value function)。
状態

ss

で行動

aa

を選んだ場合に、将来得られる報酬の期待値。
式で書くと:

 

Qπ(s,a)=E[t=0γtrts0=s,a0=a,π]Q^\pi(s,a) = \mathbb{E}\Big[ \sum_{t=0}^\infty \gamma^t r_t \,\big|\, s_0=s, a_0=a, \pi \Big]

 


p(ピー)

環境の遷移確率。
「状態

ss

で行動

aa

を取ったら、次に状態

ss'

に遷移する確率」を表す。
式で書くと:

 

p(ss,a)p(s'|s,a)

 


r(アール)

報酬(reward)。
行動を取った直後に得られるスカラー値。
学習の目的は、これをできるだけ大きく積み上げるように方策

π\pi

を改善すること。


要するに、


  • π\pi

     

    :エージェントが「どう動くか」を決める確率分布


  • V,QV, Q

     

    :その動きが「どれだけ得か」を数値化するもの


  • p,rp, r

     

    :環境側のルール(遷移と報酬)
    という役割分担になっています。


VとQの違いを教えて下さい。

良い質問です。VとQはどちらも「将来の報酬の期待値」を表しますが、見る単位が違うのがポイントです。


V(価値関数, Value Function)

  • 状態の価値」を表す
  • 状態
    ss

     

    にいるとき、方策

    π\pi

     

    に従って行動した場合に得られる将来報酬の期待値

  • 数式:

 

Vπ(s)=E[t=0γtrts0=s,π]V^\pi(s) = \mathbb{E}\Big[\sum_{t=0}^{\infty}\gamma^t r_t \,\big|\, s_0 = s, \pi \Big]

 

  • 例:迷路で「スタート地点にいるとき、この後うまく進んでゴールできそうか?」を評価

Q(行動価値関数, Action Value Function)

  • 状態+行動の価値」を表す
  • 状態
    ss

     

    で特定の行動

    aa

     

    を選んだとき、方策

    π\pi

     

    に従って進んだ場合に得られる将来報酬の期待値

  • 数式:

 

Qπ(s,a)=E[t=0γtrts0=s,a0=a,π]Q^\pi(s,a) = \mathbb{E}\Big[\sum_{t=0}^{\infty}\gamma^t r_t \,\big|\, s_0 = s, a_0 = a, \pi \Big]

 

  • 例:迷路で「スタート地点から右に進んだ場合に、最終的にゴールできそうか?」を評価

違いを直感で言うと

  • Vは「この場所そのものがどれくらい良いか」
  • Qは「この場所でこの行動を取ったらどれくらい良いか」

もしご希望なら、この違いを「簡単な迷路の図」を使って具体的に数値例で示すこともできますが、やってみますか?

お願いします。

 

この図は、3×3の簡単な迷路での 状態価値 V(s) の例です。

  • ゴール(G)に近づくほど
    V(s)V(s)

     

    の値が高くなっています。

  • スタート(S=左上)の
    V(s)=0.2V(s)=0.2

     

    は、「ここから方策通り進めば、まあまあ報酬が得られるだろう」という期待値。


一方で、行動価値 Q(s,a) は「状態+行動」の評価です。
例えばスタート地点 S での Q 値は次のように設定しました:

  • 右に進む →
    Q(s,a)=0.4Q(s,a)=0.4

     

    (少しゴールに近づく)

  • 下に進む →
    Q(s,a)=0.4Q(s,a)=0.4

     

    (同じくゴールに近づく)

  • 左に進む →
    Q(s,a)=0.0Q(s,a)=0.0

     

    (壁で意味なし)

  • 上に進む →
    Q(s,a)=0.0Q(s,a)=0.0

     

    (壁で意味なし)


まとめると:

  • V(s) = その場所にいる「価値」
  • Q(s,a) = その場所で「特定の行動をとった場合の価値」

という違いになります。


ご希望なら、この例を「数式の形(VとQの関係式)」に落とし込んで整理することもできますが、続けますか?

続けて下さい

では、先ほどの迷路例を使って、数式でVとQの関係を整理します。


1. Q関数の定義

行動価値関数

Qπ(s,a)Q^\pi(s,a)

は、状態

ss

で行動

aa

を選んだときの将来報酬の期待値です。

 

Qπ(s,a)=E[r(s,a)+γVπ(s)s,a]Q^\pi(s,a) = \mathbb{E}\Big[ r(s,a) + \gamma V^\pi(s') \,\big|\, s, a \Big]

 


  • r(s,a)r(s,a)

     

    :行動した直後の報酬


  • γ\gamma

     

    :割引率


  • ss'

     

    :次の状態


2. V関数とQ関数の関係

状態価値関数

Vπ(s)V^\pi(s)

は、その状態にいるとき、方策

π\pi

に従って行動したときの期待値です。

 

Vπ(s)=Eaπ(s)[Qπ(s,a)]V^\pi(s) = \mathbb{E}_{a \sim \pi(\cdot|s)} \big[ Q^\pi(s,a) \big]

 

つまり、

  • VはQの期待値
  • 方策に従って「どの行動をどのくらいの確率で取るか」を平均したものがV

3. 迷路のスタート地点の例

スタート地点 S における Q 値を思い出します:


  • Q(S,)=0.4Q(S,右) = 0.4

     


  • Q(S,)=0.4Q(S,下) = 0.4

     


  • Q(S,)=0.0Q(S,左) = 0.0

     


  • Q(S,)=0.0Q(S,上) = 0.0

     

もし「右と下を半々の確率で選ぶ」方策なら:

 

V(S)=0.5×Q(S,)+0.5×Q(S,)=0.5×0.4+0.5×0.4=0.4V(S) = 0.5 \times Q(S,右) + 0.5 \times Q(S,下) = 0.5 \times 0.4 + 0.5 \times 0.4 = 0.4

 

このように、VはQの加重平均として計算できます。


まとめ

  • Qは「行動レベルの価値」
  • Vは「行動を選ぶ方策を平均した状態レベルの価値」
  • 数式で両者は明確に結びついており、VはQの期待値になっている

ここまでで「VとQの違い」と「数式でのつながり」を説明しました。

REINFORCEとは、方策購買定理もどきをデータの平均値をつかって行えるもの、と、とりあえず理解。

 

「Actor-CriticでVとQがどう使われるか」に踏み込んで下さい。

承知しました。ここからは Actor-Critic 法 における V と Q の役割を整理して説明します。


1. Actor-Critic とは何か

  • Actor(方策担当):方策
    π(as)\pi(a|s)

     

    を学習する。つまり「どう動くか」を決める役。

  • Critic(批評担当):状態や行動の「価値」を推定する。Actor の行動が良いか悪いかを評価する役。

Reinforce単独では「得られた報酬だけ」を使って更新するため分散が大きいが、Criticを導入することで安定性が向上する。


2. Critic が使うもの:VかQか

Criticは大きく分けて2種類あります。

(A) State-value critic(V関数を使う)

  • Critic は
    V(s)V(s)

     

    を推定する。

  • Actor の更新には「アドバンテージ(advantage)」を使う:

 

A(s,a)=Q(s,a)V(s)A(s,a) = Q(s,a) - V(s)

 

これにより「平均より良い行動かどうか」を基準に学習できる。

(B) Action-value critic(Q関数を使う)

  • Critic が直接
    Q(s,a)Q(s,a)

     

    を学習する。

  • Actor は「Q値の高い行動をより選びやすくなるように」方策を更新する。

3. 更新の仕組み(簡略化)

Actor のパラメータ

θ\theta

を更新するとき、Reinforceでは:

 

θθ+αθlogπθ(as)Gt\theta \leftarrow \theta + \alpha \nabla_\theta \log \pi_\theta(a|s) \cdot G_t

 

(ここで

GtG_t

は将来報酬の合計)

Actor-Critic では Critic の推定を組み込んで:

 

θθ+αθlogπθ(as)(r+γV(s)V(s))\theta \leftarrow \theta + \alpha \nabla_\theta \log \pi_\theta(a|s) \cdot \big(r + \gamma V(s') - V(s)\big)

 

この

(r+γV(s)V(s))(r + \gamma V(s') - V(s))

TD誤差(Temporal Difference Error) で、実際の報酬と価値予測のずれを表す。


4. 直感的イメージ

  • Actor:「じゃあ右に進んでみよう」
  • Critic:「その結果の報酬とVを比べると予測よりちょっと良かったから、右を選ぶ確率を上げた方がいいね」

これを繰り返すことで、

  • Critic は環境を正しく評価できるようになり、
  • Actor は評価を参考により良い行動を選べるようになる。

5. まとめ

  • Actor-Critic は Reinforceの改良版
  • Critic が V または Q を学習し、Actor の更新に「評価基準」として使う
  • この仕組みにより、Reinforceの「分散が大きくて不安定」という弱点を補う

上記の図を使った例でActor-Criticを説明できませんか?

良い視点です。では、先ほどの 3×3迷路(スタートS・ゴールG) の図を使って、Actor-Critic がどう働くかを例で説明します。


1. 迷路の状況

  • スタート地点:S(左上)
  • ゴール:G(右下、報酬=+1)
  • Actor(方策):上下左右に動く確率を持っている
  • Critic(価値関数):各マスの「価値
    V(s)V(s)

     

    」を予測している


2. スタート時点での行動選択

スタートS(状態)にいるとき、Actorは確率的に行動を選ぶ:

  • 右に行く確率 0.25
  • 下に行く確率 0.25
  • 左/上に行く確率 0.25ずつ

このとき、Criticは「Sの価値は0.2」と予測しているとします(前回の図より)。


3. 実際に行動 → 報酬観測

例えば「右へ移動」した場合、

  • 即時報酬
    r=0r = 0

     

    ゴールではないので0

  • 次の状態S
    (0,1)(0,1)

     

    、Criticの予測値は

    V(0,1)=0.4V(0,1)=0.4

     


4. Criticによる評価(TD誤差)

Criticは「予測と実際の差」を計算します:

 

δ=r+γV(s)V(s)\delta = r + \gamma V(s') - V(s)

 

ここで

γ=0.9\gamma=0.9

とすると、

 

δ=0+0.9×0.40.2=0.16\delta = 0 + 0.9 \times 0.4 - 0.2 = 0.16

 

→ 予測より「ちょっと良かった」と判断。


5. 更新の流れ

  • Criticの更新
    「Sの価値予測を上方修正した方がよい」と学習する。
  • Actorの更新
    「右に行く行動は予測より良かったので、その確率を上げるように」学習する。

6. 繰り返しの結果

この流れを何度も繰り返すことで:

  • Criticは「各マスの価値」を正しく近似できるようになる
  • Actorは「ゴールに近づく行動の確率」を徐々に高める
  • 最終的に「スタートから右か下に進み、効率的にゴールする方策」が得られる

まとめ

  • 図の
    V(s)V(s)

     

    は Critic が推定する「状態価値」

  • Q や TD誤差は「行動が平均より良かったか」を判断する材料
  • Actor はこの評価をもとに「良い行動を強化、悪い行動を抑制」する

もしご希望なら、この迷路をシミュレーションして、実際にActorの行動確率がどう変化するか をコードでお見せできますが、見てみますか?

2025,江端さんの忘備録

私は、『英語(の特に会話教育)は子ども(幼少期)の頃にやらなければならない』という説に、これまで一貫して異議を唱えてきた人間です。
I have consistently opposed the idea that “English, especially conversational English, must be taught to children during early childhood.”

この説は、英語教材を販売する側の戦略だと思っています。
I believe this notion is merely a strategy devised by those who sell English-learning materials.

つまり、バレンタインにおける製菓会社のチョコレート販促戦略、またはハロウィンにおける菓子会社の消費拡大戦略と同じである、ということです。
In other words, it is no different from the chocolate promotion strategy of confectionery companies during Valentine’s Day, or the sales expansion strategy of candy companies during Halloween.


私の場合、「海外(米国赴任)を命じられた時の、あの”死に物狂い”の英会話履修」がありました。
In my case, there was that period of desperate English conversation training when I was assigned to work in the United States.

厚木の米軍家族の居留地に、(そういう手続きをあっせんしてくれるエージェントの英会話教室の手配で)毎週夫婦で訪問して勉強させて頂いた日々があります。
Every week, my spouse and I visited the U.S. military family housing area in Atsugi, where we attended English classes arranged by an agency specializing in such programs.

あの必死の日々で、とにかく夫婦で米国で生きていける最低限の会話力を獲得しました。
Through those desperate days, we somehow managed to acquire the minimal conversational ability needed to survive in the U.S. as a couple.


最近は、大学院の講義と国際学会の発表の日々です。
These days, my life revolves around graduate school lectures and presentations at international conferences.

(1)講義は全部英語です。国際留学生と一緒に講義を受けますので。
(1) All lectures are conducted in English, as I attend them together with international students.

(2)ゼミの全体発表も国際留学生の発表パートは当然英語で、質疑応答も英語で応じなくてはなりませんでした。
(2) In seminar presentations, the international students’ sessions were, of course, in English, and I had to handle the questions and answers in English as well.

(3)国際学会の発表も質疑応答も英語。オフィシャルランゲージが英語なので仕方ありません。
(3) At international conferences, both the presentations and Q&A sessions are in English, since the official language is English—there is no way around it.

というか、事前に上記(1)(2)を知っていたら、多分、大学院への入学など絶対に考えなかったと思います。
If I had known beforehand about (1) and (2), I probably would never have considered enrolling in graduate school.

私、いま、年齢としてはリタイア直前ですが、「人生で一番英語が使えている」という実感があります。
Now, nearing retirement age, I feel that I am using English more than at any other time in my life.

同時に、こういう環境を失うことで、再び、英会話力が劣化していく、という確信もあります。
At the same time, I am convinced that once I lose this environment, my English conversation skills will inevitably deteriorate again.

という訳で、現時点での私は、『英語(の特に会話教育)は子ども(幼少期)の頃にやらなければならない』という説に対して、今なおネガティブなのです。
For that reason, even now I remain negative toward the claim that “English conversation must be taught during early childhood.”

私にとっての英語とは、年齢に関係なく、『泣きごとを言いながら(というか、実際に泣きながら)、その場を凌ぐために、ゼーゼー言いながら、なんとかやり続けるもの』でした。
For me, regardless of age, English has always been something I continue to struggle through—complaining, sometimes literally crying, panting, and just barely managing to get by.


子どもの英語教材の内容を理解しないまま、保護者が迷わずお金を払えることが、私にはとても不思議です。
I find it truly puzzling that parents can so readily pay for their children’s English materials without even understanding their content.

子どもの英語教材はまるで経典、月謝はお布施、講師は布教者のように「効果は必ずある」と繰り返します。
Children’s English textbooks are like sacred scriptures, tuition fees are like offerings, and instructors are like preachers, repeatedly declaring, “The effects are guaranteed.”

「信者(=保護者)が救われる」という保証はどこにもなく、あるのは「次の教材を買わねばならない」という、終わりのない献金サイクルにしか見えずーー
There is no guarantee that the “believers” (i.e., the parents) will be saved; all I see is an endless donation cycle where they are told, “You must buy the next教材.”

私には、“カルト宗教”との違いが、どうしても見えてこないのです。
To me, it is impossible to see any real difference from a cult religion.

『AIとスマホがあれば、外国語はいらない』という仮説があります。

未分類

ベースは、ここです

Ubuntsの環境で
ebata@DESKTOP-1QS7OI7:~/trial_rl/ai-rescheduling/GDC/RL/src/railway_training$

Stable-Baselines3 とは何ですか?

Stable-Baselines3(SB3)は、PyTorchで実装された強化学習アルゴリズムの信頼性重視の実装集。OpenAI Baselines系の後継にあたる Stable Baselines の次世代版。研究・実務で再現性よく比較・活用できるよう、統一APIと豊富なドキュメント・テストを備える。

Stable-Baselines3 を使ったサンプルを記載してください

以下に Stable-Baselines3 (SB3) を用いた最小限のサンプルコードを記載します。
例として、OpenAI Gym の CartPole 環境を使い、PPO (Proximal Policy Optimization) で学習します。

import gym
from stable_baselines3 import PPO

# 環境の作成
env = gym.make("CartPole-v1")

# モデルの作成(PPOを使用)
model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)

# 学習 (1万ステップ)
model.learn(total_timesteps=10000)

# 学習したモデルを保存
model.save("ppo_cartpole")

# 保存したモデルを読み込み
model = PPO.load("ppo_cartpole", env=env)

# 学習済みモデルで推論(テスト実行)
obs = env.reset()
for _ in range(1000):
    action, _states = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, done, info = env.step(action)
    env.render()
    if done:
        obs = env.reset()

env.close()

ポイント

  • gym.make("CartPole-v1") で環境を作成します。

  • PPO("MlpPolicy", env, verbose=1) でモデルを作成します。

  • model.learn(total_timesteps=10000) で学習を実行します。

  • model.save() / PPO.load() で保存と読み込みが可能です。

  • env.render() で動作を可視化できます。

このプログラムは何をするものですか。実行方法も教えて下さい

このプログラムの内容を整理すると、以下のようになります。


1. プログラムがやること

  • CartPole-v1 環境(倒立振子:カートの上に立てた棒を倒れないように制御する課題)を使います。
  • Stable-Baselines3 の PPOアルゴリズムで、この棒を倒さずにバランスを取り続ける方策(制御ルール)を学習します。
  • 学習が終わったら、学習済みモデルを保存し、保存したモデルを読み込んで実際に動かしてみます。
  • 実行中は env.render() によって、画面上にカートと棒の動きが表示されます。

2. 実行方法

(1) 必要なライブラリのインストール

ターミナル(Linux/Mac)または PowerShell(Windows)で以下を実行してください。

pip install stable-baselines3[extra] gym

[extra] を付けると、依存関係(atari, mujoco以外の基本環境)が一括で入ります。
(もし OpenAI Gym が gymnasium に置き換わっている環境なら、pip install gymnasium[classic-control] を追加してください)


(2) プログラムを保存

任意のファイル名(例: ppo_cartpole.py)で先ほどのコードを保存します。

nano ppo_cartpole.py   # Linux/Mac の場合
notepad ppo_cartpole.py # Windows の場合

(3) プログラムを実行

保存したディレクトリで次を実行します。

python ppo_cartpole.py

(4) 実行結果

  • 学習中は「timesteps」などがログとして表示されます。
  • 学習後に画面が立ち上がり、カートと棒(倒立振子)が動きます。
  • 学習が進むと、棒を長時間倒さずに維持できるようになります。

👉 確認ですが、環境は Windows + Python ですか? それとも WSL / Linux / macOS でしょうか。
それによって render() の挙動(ウィンドウ表示 or headless実行)が少し変わるので、そちらに合わせた実行手順を補足できます。

WSL / Linux です。 ebata@DESKTOP-1QS7OI7:~/trial_rl/ai-rescheduling/GDC/RL/src/railway_training$ python ppo_cartpole.py Traceback (most recent call last): File "ppo_cartpole.py", line 2, in <module> from stable_baselines3 import PPO ModuleNotFoundError: No module named 'stable_baselines3' ebata@DESKTOP-1QS7OI7:~/trial_rl/ai-rescheduling/GDC/RL/src/railway_training$ と言われています。

 

なるほど、ModuleNotFoundError: No module named 'stable_baselines3' が出ているので、WSL上に Stable-Baselines3 がインストールされていないのが原因です。


対処手順(WSL / Linux環境)

1. 必要パッケージの確認・インストール

まず Python と pip が正しく動作するか確認してください。

python3 --version
pip3 --version

もし python コマンドが python3 を指していない場合は、以下のように実行する必要があります。

python3 ppo_cartpole.py

2. Stable-Baselines3 のインストール

以下を実行してください。

pip3 install stable-baselines3[extra] gym

補足:

  • gym が新しい環境では gymnasium に置き換わっている場合があります。その場合は次も必要です。
pip3 install gymnasium[classic-control]

3. 実行

再度プログラムを実行してみてください。

python3 ppo_cartpole.py

4. 画面表示(render)の注意点

WSL 環境だと、env.render() がそのままでは画面に出ないことがあります。

  • WSLg対応の Windows 11 + WSL2 → そのまま GUI が出る(Ubuntu のウィンドウとして表示される)
  • 古い WSL → X11 サーバ(VcXsrv など)が必要

もし実行後に

cannot connect to display

のようなエラーが出た場合、GUI出力がWSLで無効な状態です。その場合は対処方法を案内します。


👉 まず試しに pip3 install stable-baselines3[extra] gym を実行してもらえますか?
その後 python3 ppo_cartpole.py を再実行して、どんなエラーや挙動になるか教えてください。

python3 ppo_cartpole.py Using cpu device Traceback (most recent call last): File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/vec_env/patch_gym.py", line 40, in _patch_env import shimmy ModuleNotFoundError: No module named 'shimmy' The above exception was the direct cause of the following exception: Traceback (most recent call last): File "ppo_cartpole.py", line 8, in <module> model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/ppo/ppo.py", line 109, in __init__ super().__init__( File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/on_policy_algorithm.py", line 86, in __init__ super().__init__( File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/base_class.py", line 169, in __init__ env = self._wrap_env(env, self.verbose, monitor_wrapper) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/base_class.py", line 216, in _wrap_env env = _patch_env(env) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/vec_env/patch_gym.py", line 42, in _patch_env raise ImportError( ImportError: Missing shimmy installation. You provided an OpenAI Gym environment. Stable-Baselines3 (SB3) has transitioned to using Gymnasium internally. In order to use OpenAI Gym environments with SB3, you need to install shimmy (pip install 'shimmy>=2.0').

はい、これは Stable-Baselines3 の最近の仕様変更によるものです。

SB3 は内部的に gymnasium を使うようになったので、古い gym を使うときには変換ライブラリ shimmy が必要になります。


解決方法

エラーメッセージにもある通り、次を実行してください。

pip3 install "shimmy>=2.0"

その上で、OpenAI Gym の CartPole を使う場合は動くはずです。


代替(推奨方法)

最近は gym よりも gymnasium が推奨されているので、次のように書き換えるのも良い方法です。

インストール

pip3 install gymnasium[classic-control]

コード修正例

import gymnasium as gym
from stable_baselines3 import PPO

# 環境を gymnasium で作成
env = gym.make("CartPole-v1")

model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10000)

obs, _ = env.reset()
for _ in range(1000):
    action, _states = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, terminated, truncated, info = env.step(action)
    done = terminated or truncated
    env.render()
    if done:
        obs, _ = env.reset()

👉 まずは pip3 install "shimmy>=2.0" を実行して、再度 python3 ppo_cartpole.py を試してみるのが一番早いです。
試してみますか?

途中に、 /home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/vec_env/patch_gym.py:49: UserWarning: You provided an OpenAI Gym environment. We strongly recommend transitioning to Gymnasium environments. Stable-Baselines3 is automatically wrapping your environments in a compatibility layer, which could potentially cause issues. warnings.warn( Wrapping the env with a Monitor wrapper Wrapping the env in a DummyVecEnv. Traceback (most recent call last): File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/envs/classic_control/rendering.py", line 15, in <module> import pyglet ModuleNotFoundError: No module named 'pyglet' During handling of the above exception, another exception occurred: Traceback (most recent call last): File "ppo_cartpole.py", line 24, in <module> env.render() File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/core.py", line 295, in render return self.env.render(mode, **kwargs) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/envs/classic_control/cartpole.py", line 179, in render from gym.envs.classic_control import rendering File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/envs/classic_control/rendering.py", line 17, in <module> raise ImportError( ImportError: Cannot import pyglet. HINT: you can install pyglet directly via 'pip install pyglet'. But if you really just want to install all Gym dependencies and not have to think about it, 'pip install -e .[all]' or 'pip install gym[all]' will do it. が出てきました。

ありがとうございます。状況はこうです。

  • SB3 は gym→gymnasium へ移行中で、いまのコードは “旧gym” を使っているため、shimmy や描画用の pyglet が追加で要ります。
  • さらに WSL では GUI 描画に WSLg(Windows 11 標準)か X サーバが必要です。描画なしで学習だけなら GUI は不要です。

以下のどちらかで解決できます。


方式A(推奨): gymnasium へ移行(描画は pygame)

インストール

pip3 install "shimmy>=2.0" gymnasium[classic-control] pygame

サンプルコード(置き換え版)

# ppo_cartpole_gymnasium.py
import gymnasium as gym
from stable_baselines3 import PPO

# gymnasium は render_mode を明示
env = gym.make("CartPole-v1", render_mode="human")

model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10_000)

# 学習済みモデルで試走
obs, info = env.reset(seed=0)
for _ in range(1000):
    action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, terminated, truncated, info = env.step(action)
    env.render()  # human レンダラ(pygame)で表示
    if terminated or truncated:
        obs, info = env.reset()
env.close()

実行

python3 ppo_cartpole_gymnasium.py

※ Windows 11 + WSL2(WSLg)ならそのままウィンドウが出ます。古い WSL の場合は X サーバ(VcXsrv 等)が必要です。


方式B(現行の gym を継続利用): pyglet を入れる

インストール

pip3 install "shimmy>=2.0" "pyglet<2"

pyglet 2.x は旧 gym の classic_control と相性が悪いことが多いので 1.5.27 など 1.x 系を指定します。

いまのコードのまま再実行

python3 ppo_cartpole.py

補足(描画なしで動かしたい場合)

  • 単に学習させたいだけなら、env.render() 行を削除(またはコメントアウト)すれば、GUI なしで動作します。
  • 実行ログだけで十分なときはこの方法が最も安定です。

補足(動画として記録したい場合)

WSL で GUI を出さず、あとから動画だけ確認したい場合は gymnasium.wrappers.RecordVideo を使います(要 ffmpeg)。

sudo apt-get update && sudo apt-get install -y ffmpeg

コードでは学習終了後にラップして評価します(必要なら追記します)。


まずは「方式A(推奨)」のコマンドを実行してから、置き換えコードでお試しください。
エラーメッセージが出た場合は、その全文を貼っていただければ、そこから詰めます。

「サンプルコード(置き換え版)」の内容を、各行単位で教えて下さい

了解しました。置き換え版サンプルを 行ごと に説明します。

  1. # ppo_cartpole_gymnasium.py ― スクリプト名のコメント。
  2. import gymnasium as gym ― Gymnasium を gym という短名で読み込む。
  3. from stable_baselines3 import PPO ― SB3 から PPO アルゴリズムを読み込む。
  4. (空行)― 可読性のための区切り。
  5. # gymnasium は render_mode を明示 ― Gymnasium では描画方式を render_mode で指定する旨のメモ。
  6. env = gym.make("CartPole-v1", render_mode="human") ― CartPole 環境を生成し、GUI 描画(human)を有効化。
  7. (空行)― 可読性のための区切り。
  8. model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1) ― 多層パーセプトロン方策で PPO モデルを作成(ログ出力あり)。
  9. model.learn(total_timesteps=10_000) ― 1 万ステップ学習を実行。
  10. (空行)― 可読性のための区切り。
  11. # 学習済みモデルで試走 ― 学習後に推論で動作確認する旨のコメント。
  12. obs, info = env.reset(seed=0) ― 環境を初期化(乱数シード固定)、初期観測とメタ情報を取得。
  13. for _ in range(1000): ― 最長 1000 ステップまでエピソードを進めるループ。
  14. action, _ = model.predict(obs, deterministic=True) ― 観測から決定論的に行動を推論。
  15. obs, reward, terminated, truncated, info = env.step(action) ― 行動を環境へ適用し、次観測・報酬・終了フラグ(成功/時間切れ)等を取得。
  16. env.render() # human レンダラ(pygame)で表示 ― 現在の状態をウィンドウ描画(pygame ベース)。
  17. if terminated or truncated: ― 成功終了または打ち切り(最大ステップ到達など)を判定。
  18. obs, info = env.reset() ― エピソード終了時は環境をリセットして再開可能にする。
  19. env.close() ― 環境と描画リソースを明示的に解放。

補足:

  • render_mode="human" は GUI を出します(WSL2 + WSLg ならそのまま表示、古い WSL は X サーバが必要)。
  • 描画不要で学習だけなら 16 行目を削除(または render_mode=None で生成)。
  • terminated/truncated は Gymnasium の新 API(成功終了か時間切れ等かを分離)。

CartPole-v1 とはどういうものですか?

CartPole-v1 は、カート上の棒(倒立振子)を左右どちらかに一定の力を加えるだけでできるだけ長く直立維持する課題。強化学習の標準ベンチマークとして用いられる。

  • 観測(連続 4 次元):カート位置
    xx

     

    、カート速度

    x˙\dot{x}

     

    、ポール角度

    θ\theta

     

    、角速度

    θ˙\dot{\theta}

     

  • 行動(離散 2 値):左へ押す/右へ押す(一定大の力)
  • 報酬:1 ステップごとに +1(立っている限り累積)
  • 終了条件(terminated):
    θ>12|\theta|>12^\circ

     

    または

    x>2.4|x|>2.4

     

    (レール端超過)

  • 打ち切り(truncated):最大 500 ステップ到達(v1 の上限)
  • 目安基準:平均リターン 475 以上(100 エピソード平均)で「解けた」とみなすのが一般的
  • 物理刻み:
    Δt=0.02\Delta t=0.02

     

    秒/ステップ(典型設定)

用途はアルゴリズム比較・デバッグ・入門実験。Gymnasium では step()terminatedtruncated を分けて返すため、実装時は両方を考慮する。

CartPole-v1 以外には、どのような課題がありますか

主な強化学習ベンチマーク(SB3で扱いやすい代表例)を用途別に列挙する。

クラシック制御(軽量・入門)

  • MountainCar-v0 / MountainCarContinuous-v0:谷から山を登る(離散/連続)。
  • Acrobot-v1:二重振子を振り上げる(離散)。
  • Pendulum-v1:倒立振子の安定化(連続)。

Box2D(2D物理・中量級)

  • LunarLander-v2 / LunarLanderContinuous-v2:月面着陸(離散/連続)。
  • BipedalWalker-v3:二足歩行(連続)。
  • CarRacing-v2:自動走行(連続)。

Atari / ALE(画像入力・フレームスタックが前提)

  • ALE/Pong-v5、ALE/Breakout-v5、ALE/SpaceInvaders-v5 など(Gymnasium系ID)。
  • 旧来の PongNoFrameskip-v4 等も存在するが、新規は ALE/…-v5 を推奨。

MuJoCo(連続制御・ロコモーション)

  • HalfCheetah-v4、Hopper-v4、Walker2d-v4、Ant-v4、Humanoid-v4(連続)。

ロボティクス(Gymnasium-Robotics)

  • FetchReach-v3、FetchPush-v3、FetchSlide-v3、HandManipulate 系(連続)。

そのほかの代表的スイート

  • Minigrid:MiniGrid-Empty-8x8-v0 などのグリッド迷路(疎報酬・探索検証向け)。
  • Procgen:procgen-coinrun、procgen-caveflyer など(汎化性能評価)。
  • PyBullet:AntBulletEnv-v0、HumanoidBulletEnv-v0 等(MuJoCo代替の無料物理)。

典型的なインストール(WSL想定)

  • クラシック制御
    pip3 install gymnasium[classic-control]
    
  • Box2D
    pip3 install gymnasium[box2d]
    
  • Atari(ROM 使用許諾込み)
    pip3 install gymnasium[atari,accept-rom-license]
    
  • MuJoCo
    pip3 install mujoco gymnasium[mujoco]
    
  • Robotics
    pip3 install gymnasium-robotics
    
  • Minigrid / Procgen / PyBullet
    pip3 install minigrid procgen pybullet pybullet_envs
    

※ 画像系(Atari)や MuJoCo は計算負荷が高く、学習可視化には WSLg か X サーバが必要。描画不要なら render() を外して学習のみ実行で可。


環境ID差し替え例(PPOで共通)

env = gym.make("LunarLander-v2")         # Box2D
# env = gym.make("ALE/Pong-v5", frameskip=1, repeat_action_probability=0.0)  # Atari
# env = gym.make("HalfCheetah-v4")        # MuJoCo
# env = gym.make("MiniGrid-Empty-8x8-v0") # Minigrid(観測が辞書→Wrapperで画像化が必要)

必要に応じて、対象タスクとアルゴリズム(DQN=離散、PPO/SAC/TD3=連続)を組み合わせればよい。

これらの環境モデルはGivenで使用することが前提なものですか

 

短答:いいえ。列挙した環境は Gym/Gymnasium が提供する “汎用ベンチマーク” で、SB3はそれらを“そのまま使える”ようにしているだけです。自作の環境を定義して学習させることも前提機能として完全にサポートされています。


自作環境の最小サンプル(Gymnasium形式)

# my_env.py
import numpy as np
import gymnasium as gym
from gymnasium import spaces

class MyToyEnv(gym.Env):
    metadata = {"render_modes": ["human"], "render_fps": 30}

    def __init__(self, render_mode=None, max_steps=200):
        self.render_mode = render_mode
        self.max_steps = max_steps
        # 観測: 連続3次元ベクトル [-1,1]
        self.observation_space = spaces.Box(low=-1.0, high=1.0, shape=(3,), dtype=np.float32)
        # 行動: 2値(例: 0/1)
        self.action_space = spaces.Discrete(2)
        self.state = None
        self.steps = 0

    def reset(self, seed=None, options=None):
        super().reset(seed=seed)
        self.state = self.np_random.uniform(low=-0.1, high=0.1, size=(3,)).astype(np.float32)
        self.steps = 0
        info = {}
        return self.state, info

    def step(self, action):
        # ダミー力学:actionに応じて状態を微調整
        delta = (1 if action == 1 else -1) * 0.01
        self.state = np.clip(self.state + delta, -1.0, 1.0)

        # 目標: 原点に近づくほど良い(報酬はマイナス距離)
        reward = -float(np.linalg.norm(self.state, ord=2))

        self.steps += 1
        terminated = bool(np.linalg.norm(self.state) < 0.05)   # 目標到達
        truncated  = bool(self.steps >= self.max_steps)        # ステップ上限
        info = {}
        return self.state, reward, terminated, truncated, info

    def render(self):
        if self.render_mode == "human":
            # 必要なら可視化(printでも可)
            print(f"step={self.steps}, state={self.state}")

SB3で学習

# train_my_env.py
import gymnasium as gym
from stable_baselines3 import PPO
from my_env import MyToyEnv

env = MyToyEnv(render_mode=None)  # ヘッドレス学習
model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10_000)

# 学習後の試走(必要なら描画ON)
test_env = MyToyEnv(render_mode="human")
obs, info = test_env.reset(seed=0)
for _ in range(300):
    action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, terminated, truncated, info = test_env.step(action)
    if terminated or truncated:
        obs, info = test_env.reset()
test_env.close()

自作環境の要件(SB3互換チェックリスト)

  • APIreset()(obs, info)step()(obs, reward, terminated, truncated, info) を返す(Gymnasium仕様)。
  • spacesobservation_spaceaction_spacegymnasium.spaces で定義(Box/Discrete など)。
  • 決定性reset(seed=...) を受け取り、super().reset(seed=seed) を呼ぶ。
  • 終了判定:学習成功等は terminated、時間切れ等は truncated
  • ベクトル化:高速化したい場合は SubprocVecEnv/DummyVecEnv で並列化可能(SB3がラップ)。

既存ベンチマークの位置づけ

  • 研究・検証・比較用の 標準課題(CartPole, LunarLander, MuJoCo系など)。
  • 「それを使わねばならない」制約はない。ドメイン固有のシミュレータをGymnasium APIに合わせれば、そのままSB3で学習可能。

必要であれば、貴プロジェクトの観測・行動の型(連続/離散、次元)に合わせた設計案に落とし込みます。

「自作環境の最小サンプル(Gymnasium形式)」で記載されている内容を教えて下さい

概要

「自作環境の最小サンプル(Gymnasium 形式)」は、自作の強化学習環境 MyToyEnv を定義し、Stable-Baselines3(SB3)の PPO で学習→試走する一連の最小構成です。
環境は 3 次元の連続観測・2 値行動を持つ「おもちゃ問題」で、原点に近づくほど良いという単純な報酬設計になっています。


ファイル1:my_env.py の内容

  • インポート
    numpygymnasium as gymgymnasium.spaces(観測・行動空間の型)。
  • class MyToyEnv(gym.Env)
    • metadatarender_modesrender_fps の宣言(Gymnasium の慣例)。
    • __init__(render_mode=None, max_steps=200)
      • render_mode を保存。
      • 観測空間:spaces.Box(low=-1, high=1, shape=(3,), dtype=float32)(連続3次元)。
      • 行動空間:spaces.Discrete(2)(0/1 の2値)。
      • 内部状態 self.state、ステップ数 self.steps を初期化。
    • reset(self, seed=None, options=None)
      • super().reset(seed=seed) で乱数系列の決定性を確保。
      • 初期状態を小さい乱数で生成(例:±0.1 の一様乱数)。
      • steps=0 に戻し、(obs, info) を返す(Gymnasium 仕様)。
    • step(self, action)
      • action==1 なら +0.01、action==0 なら −0.01 を全成分に加算(簡易ダイナミクス)。
      • 状態を [-1,1] にクリップ。
      • 報酬:原点からの距離のマイナス(-‖state‖₂)=原点に近いほど高報酬
      • steps += 1
      • 終了判定
        • terminated‖state‖ < 0.05(目標達成)。
        • truncatedsteps >= max_steps(上限到達)。
      • (obs, reward, terminated, truncated, info) を返す(Gymnasium 仕様)。
    • render(self)
      • render_mode=="human" のとき、print で状態を表示(コンソール出力。GUI不要)。

ポイント:Gymnasium の新APIreset→(obs, info), step→(obs, reward, terminated, truncated, info))に準拠。observation_space/action_space を正しく定義しているので SB3 でそのまま学習可能


ファイル2:train_my_env.py の内容

  • インポートgymnasium as gymstable_baselines3.PPO、自作環境 MyToyEnv
  • 学習
    env = MyToyEnv(render_mode=None)  # 学習はヘッドレス
    model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
    model.learn(total_timesteps=10_000)
    
    • MLPポリシで PPO を構築し、1万ステップ学習。
  • 試走(推論)
    test_env = MyToyEnv(render_mode="human")  # コンソール表示
    obs, info = test_env.reset(seed=0)
    for _ in range(300):
        action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
        obs, reward, terminated, truncated, info = test_env.step(action)
        if terminated or truncated:
            obs, info = test_env.reset()
    test_env.close()
    
    • 学習済みモデルで 300 ステップ走行。
    • エピソード終了時はリセット。render()print なので WSL でも追加の GUI 設定不要

実行手順(WSL / Linux)

  1. 依存のインストール
pip3 install stable-baselines3 gymnasium

(このサンプルは GUI を使わず print だけなので pygame/pyglet 不要)

  1. 上記 2 ファイルを保存(カレントに my_env.pytrain_my_env.py)。
  2. 学習・試走
python3 train_my_env.py

設計意図と拡張ポイント

  • 観測:3次元連続ベクトル(実タスクでは任意次元に変更)。
  • 行動:2 値(実タスクに合わせて Discrete(n)Box へ変更)。
  • 報酬設計:原点距離の負を採用(目的に応じて最小限の差し替えで運用可能)。
  • 終了条件:目標達成(terminated)と打切り(truncated)を分離。
  • 互換性:Gymnasium 仕様に従うことで SB3 の全アルゴリズム(PPO/A2C/SAC/TD3/DQN 等)が利用可能。

必要であれば、貴プロジェクトの観測・行動・報酬に即した雛形へ具体的に落とし込みます。

「環境は 3 次元の連続観測・2 値行動を持つ「おもちゃ問題」で、原点に近づくほど良いという単純な報酬設計になっています。」の意味が分かりかねます。内容を1フレーズでお願いします

観測は3次元連続ベクトル、行動は0/1の二択で、状態が原点(0,0,0)に近いほど報酬が高くなる最小構成のテスト用環境です。

初期値は、乱数の3次元座標として、0/1の行動で座標はどのように動くのですか?

以下の極簡潔モデルです。

  • 初期値:各成分が一様乱数
    U(0.1,0.1)U(-0.1,0.1)

     

    の3次元ベクトル。

  • 遷移:行動
    a{0,1}a\in\{0,1\}

     

    に対して

    st+1=clip(st+(2a1)×0.01[1,1,1],1,1)s_{t+1}=\operatorname{clip}\bigl(s_t + (2a-1)\times 0.01 \cdot [1,1,1],\,-1,\,1\bigr)

    すなわち a=1 なら各成分に +0.01、a=0 なら各成分に −0.01 を一律加算(範囲は

    [1,1][-1,1]

    にクリップ)。

例:

st=[0.03,0.07,0.01]s_t=[0.03,-0.07,0.01]

 


  • a=1a=1

     

    [0.04,0.06,0.02][0.04,-0.06,0.02]

     


  • a=0a=0

     

    [0.02,0.08,0.00][0.02,-0.08,0.00]

     

プログラムの概要は理解しました。学習のプロセスや試走のプロセスを見たいのですが、どのようにコードを変更すれば良いですか

了解。**学習の進み具合と試走(推論)の中身を“見える化”**するために、以下の3点を足す。

  • 学習ログ:TensorBoard(loss, value loss, policy entropy など)
  • エピソード統計:Monitor で monitor_train.csv を出力(ep_reward/ep_len)
  • 試走ログ:各ステップの t, action, state, reward, ‖state‖ を標準出力に表示

追加インストール(WSL / Linux)

pip3 install stable-baselines3 gymnasium tensorboard

(前に入れていれば再インストール不要)


完成コード(train_my_env_logging.py

※ 前回の my_env.py はそのまま使う。学習はヘッドレス、試走はテキストで逐次表示。

# train_my_env_logging.py
import os
import numpy as np
from stable_baselines3 import PPO
from stable_baselines3.common.monitor import Monitor
from stable_baselines3.common.callbacks import EvalCallback, CheckpointCallback
from my_env import MyToyEnv  # 先に同ディレクトリに my_env.py を置く

# 出力先
os.makedirs("./logs", exist_ok=True)
os.makedirs("./models/best", exist_ok=True)
os.makedirs("./models/ckpt", exist_ok=True)
os.makedirs("./tb_logs", exist_ok=True)

# === 学習用環境(エピソード統計をCSVに出力) ===
train_env = Monitor(MyToyEnv(render_mode=None), filename="./logs/monitor_train.csv")

# === 評価用環境(学習中に定期評価) ===
eval_env = MyToyEnv(render_mode=None)

# === モデル(TensorBoard 有効化) ===
model = PPO(
    "MlpPolicy",
    train_env,
    verbose=1,
    tensorboard_log="./tb_logs",  # TensorBoard 出力
)

# === コールバック(定期評価とチェックポイント保存) ===
eval_cb = EvalCallback(
    eval_env,
    best_model_save_path="./models/best",
    log_path="./logs/eval",
    eval_freq=5_000,          # 5k ステップごとに評価
    deterministic=True,
    render=False,
)
ckpt_cb = CheckpointCallback(
    save_freq=20_000,         # 20k ステップごとにモデル保存
    save_path="./models/ckpt",
    name_prefix="ppo_mitoy",
)

# === 学習(進捗バー表示) ===
total_steps = 100_000
model.learn(
    total_timesteps=total_steps,
    callback=[eval_cb, ckpt_cb],
    tb_log_name="PPO_MyToy",
    progress_bar=True,
)

# === 試走(逐次ログ出力) ===
test_env = MyToyEnv(render_mode=None)  # GUI なし
obs, info = test_env.reset(seed=42)
ep = 0
ep_return = 0.0

print("\n[Rollout] deterministic=True")
for t in range(2_000):  # 適宜変更
    action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
    prev = obs.copy()
    obs, reward, terminated, truncated, info = test_env.step(action)
    ep_return += reward
    # 1行ログ:時刻, 行動, 状態, 報酬, 原点距離
    print(
        f"t={t:05d}  a={int(action)}  "
        f"state=[{obs[0]:+.4f},{obs[1]:+.4f},{obs[2]:+.4f}]  "
        f"reward={reward:+.4f}  |state|={np.linalg.norm(obs):.4f}"
    )
    if terminated or truncated:
        print(f"[EP END] ep={ep}  return={ep_return:.4f}  steps={t+1}")
        obs, info = test_env.reset()
        ep += 1
        ep_return = 0.0

test_env.close()

print("\nDone. See: ./logs/monitor_train.csv, ./tb_logs, ./models/")

実行

python3 train_my_env_logging.py

見方

  1. 逐次ログ(標準出力)
    t, a, state, reward, |state| が 1 行ずつ出る。
    エピソード終了時は [EP END] ep=... return=... steps=... を表示。
  2. エピソード統計(CSV)
    ./logs/monitor_train.csv
    先頭にヘッダ行とコメントが付き、各エピソードの l(長さ), r(総報酬), t(時刻)等が記録される。

    head -n 20 ./logs/monitor_train.csv
    
  3. TensorBoard(学習曲線)
    tensorboard --logdir ./tb_logs --bind_all
    

    ブラウザで http://localhost:6006 を開く(WSL なら Windows 側ブラウザで可)。
    charts で policy_loss / value_loss / entropy / explained_variance / fps などを確認。

  4. モデル
    • ベストモデル:./models/best/best_model.zip(評価スコア最大時)
    • 定期保存:./models/ckpt/ppo_mitoy_*.zip

必要なら「試走ログをCSVにも保存」「学習と同時に評価の統計を別CSVで書き出し」「CartPoleで動画記録」なども追記可能。

Using cpu device Wrapping the env in a DummyVecEnv. Logging to ./tb_logs/PPO_MyToy_1 --------------------------------- | rollout/ | | | ep_len_mean | 146 | | ep_rew_mean | -25.4 | | time/ | | | fps | 1070 | | iterations | 1 | | time_elapsed | 1 | | total_timesteps | 2048 | --------------------------------- ----------------------------------------- | rollout/ | | | ep_len_mean | 148 | | ep_rew_mean | -31.4 | | time/ | | | fps | 759 | | iterations | 2 | | time_elapsed | 5 | | total_timesteps | 4096 | | train/ | | | approx_kl | 0.012467397 | | clip_fraction | 0.0413 | | clip_range | 0.2 | | entropy_loss | -0.686 | | explained_variance | -0.0143 | | learning_rate | 0.0003 | | loss | 0.539 | | n_updates | 10 | | policy_gradient_loss | -0.00855 | | value_loss | 3.17 | ----------------------------------------- これらのパラメータを日本語で説明して下さい

以下は SB3/PPO の学習ログ各項目の意味と、表示値の読み方。

rollout(収集データの統計)

  • ep_len_mean:直近ロールアウト内の平均エピソード長(ステップ数)。長いほど「終端条件に達しにくい」=安定化傾向。
  • ep_rew_mean:直近ロールアウト内の平均エピソード総報酬。MyToyEnv では「原点に近いほど高報酬=値が0に近づくほど良い」。負の絶対値が小さくなる方向が改善。

time(速度・進捗)

  • fps:学習処理を含む1秒あたりの環境ステップ数。高いほど高速。
  • iterations:PPO の1ロールアウト+学習サイクル回数(おおむね「1回= n_stepsぶん収集→学習」)。
  • time_elapsed:学習開始からの経過秒。
  • total_timesteps:これまでに環境から収集した累積ステップ数。

train(方策更新の統計)

  • approx_kl:旧方策と新方策の近似KL乖離。大きすぎると学習が荒れる、極端に小さいと更新が弱い。PPOでは概ね 0.01 前後が無難な目安。
  • clip_fraction:方策比がクリップ範囲を超えて「クリップ適用」されたサンプル比率。多いほど更新が強すぎる兆候。
  • clip_range:PPO のクリップ幅 ε(既定 0.2)。方策更新の逸脱をこの幅で抑制。
  • entropy_loss:エントロピー項の損失(符号の都合で通常は負値表示)。値が大きく負→方策がランダム、高速に0へ接近→方策が決定的に。
  • explained_variance:価値関数がリターン(目標値)をどれだけ説明できているか(1に近いほど良い、0~負は未学習/不適合)。
  • learning_rate:現在の学習率。
  • loss:総合損失(方策損失+価値損失+エントロピー正則化の合算)。絶対値や単体比較よりも推移を見る。
  • n_updates:これまで実行した更新回数の累計(概ね iterations × n_epochs に相当)。
  • policy_gradient_loss:方策勾配損失(通常は負方向が改善、推移で強弱を把握)。
  • value_loss:価値関数の二乗誤差。小さく安定していけば価値推定が当たっている。

今回ログ値の解釈メモ

  • 学習序盤のため explained_variance < 0value_loss が大きめ は自然。進むにつれ EV は 0→正、value_loss は低下が望ましい。
  • approx_kl ≈ 0.012clip_fraction ≈ 0.04 は、更新が過剰ではない範囲。
  • ep_rew_mean が負なのは MyToyEnv の報酬設計(原点距離の負)による。改善時は「より 0 に近づく」方向を見る。
  • ep_len_mean ≈ 146→148 は、最大 200(既定)に対し「やや延びた」状態。方策の安定化でさらに伸びる余地あり。

2025,江端さんの忘備録

資料(特に英語の)の内容を理解する為に、ChatGPTを使う場面があると思います。
I think there are situations where one uses ChatGPT to understand the content of documents (especially those written in English).

私、大学での他の学生(海外留学生)の発表では、この方法では足りず、こういう使い方をしています。
In the case of other students’ (international students’) presentations at the university, this method alone was not enough, so I used ChatGPT in the following way.

まず、ChatGPTに資料(全部ではなく、研究の背景と動機とリサーチギャップと結論だけ)を読んで貰って、
First, I let ChatGPT read parts of the material (not all of it, just the background, motivation, research gap, and conclusion).

―― あなた(ChatGPT)なら、この発表に対して、発表者にどんな質問をしますか?
— Then I ask: “If you were in the audience, ChatGPT, what kinds of questions would you ask the presenter about this presentation?”

と問いかけることです。
That is the question I pose.

すると、ChatGPTが、その情報から質問を作り出します。
Then, ChatGPT generates questions based on that information.

で、その質問を読むことで、その発表の内容が理解する、というやりかたです。
By reading those questions, I can grasp the content of the presentation.


これは、ネットに質問する時に、「××について教えて下さい」と記載すると、返事が貰えないことがあっても、
This is similar to when you ask a question on the internet: if you write “Please tell me about XX,” you may not get any replies,

「××とは、◯◯のことである(明らかな誤答)」と記載すると、批判的なコメントとともに、回答を貰うことができる、というやり方を、発展(?)させたもの、と思っています。
But if you write, “XX is YY (an obviously wrong statement),” then you get critical comments along with proper answers. I think my method is kind of an “evolved (?)” version of that.

"発展版"といっているのは、ChatGPTの疑問点を辿って、発表資料を読みなおすと、発表全体の内容が浮び上がってくるからです。
I call it an “advanced version” because, by following the questions raised by ChatGPT and re-reading the presentation materials, the overall content of the presentation becomes clearer.

このやり方、私には、滅茶苦茶に相性がよかったです。お勧め致します。特に英語発表については、有効だったようです。
This approach worked extremely well for me. I highly recommend it—especially for understanding English presentations, as it proved very effective.


私が在学していた、国際留学生の皆さんのプレゼンテーション資料は、正直申し上げて「なっていない」と思うことは多かったです。
To be honest, many of the presentation materials by international students when I was studying seemed rather “unacceptable” to me.

■字が小さい。フレーズを全文転記している。(これ、ウチの会社でやったら、(文明的に)殴られます)
■ The font is too small. They copy full sentences onto slides. (If you did this at my company, you’d get beaten—figuratively, in a civilized way.)

■図を書かない。図を英文で説明して力付くで突破しようとしている。(これ、ウチの会社でやったら、(以下省略))
■ They don’t use diagrams. Instead, they try to push through by explaining everything in English text. (If you did this at my company… well, you can imagine.)

■結論の記載がない(以下省略)。
■ No conclusion written (same story).

などです。
Those were typical issues.

あと「長い」もあるのですが、これは、私も他人を批判できません(7分間の発表に45ページの資料を作成したりしています。
Another issue is that presentations are “too long,” but I can’t criticize others too much—after all, I once made 45 slides for a 7-minute talk myself.

まあ、これは、企業に入ってから叩き込まれるテクニカルライティングの一態様ですので、仕方がないとも思いますが。
Well, this is part of the technical writing discipline drilled into you once you join a company, so perhaps it can’t be helped.


留学生の発表資料を見て、『字が小さい、図がない、結論がない』と嘆いていますが、よく考えたら自分のWordPressコラムも『字が多い、図がない、結論が迷子』です。
Looking at the international students’ presentation slides, I lamented, “Small text, no diagrams, no conclusion.” But when I think about it, my own WordPress columns suffer from “Too much text, no diagrams, conclusions lost.”

人の振り見て我が振り直せ・・・直せていないな。
See others’ faults and correct your own… except I haven’t corrected mine.

―― お前は、この場で、一体、誰に対して、何を分かって貰おうとしているんだ?

未分類

違法行為(セクハラ等)の補助的役割をしてきた法人が、その後、退任したその法人の社長を告訴できる、という法的ロジックを教えて下さい。
ぶっちゃけフジテレビのことです

 

ご質問は「法人が違法行為(例:セクハラなど)の補助的役割を果たしていた場合でも、その法人が後に退任した元社長を告訴できるのか」という点ですね。ここにはいくつかの法的なロジックが関わります。以下、一般論として整理します(特定の事例や企業に直結する判断ではありません)。


1. 「法人」と「代表者」の関係

  • 法人は独立した「権利能力なき社団」ではなく、法的に独立した主体(法人格)です。

  • 代表取締役(社長)は法人を代表する立場であっても、法人と個人は別人格です。

  • よって、法人自体が加害行為の主体であったとしても、後に法人として個人に対して法的措置を取ることは理屈上は可能です。


2. 刑事告訴と民事訴訟の区別

  • 刑事告訴:法人そのものが告訴人になることは可能です。たとえば「法人が元社長から被害を受けた」と整理できる場合。

  • 民事訴訟:法人が元社長に対し、損害賠償請求などを行うこともあり得ます。


3. 補助者から「被害者」への転換ロジック

問題は「その法人自身が違法行為に加担していたのに、後から被害者として告訴できるのか」という点です。ここには次のようなロジックが考えられます。

  • 法人の意思決定主体は社長
    違法行為が「社長の指示または黙認」で行われていたなら、それは法人の意志ではなく「社長個人の不法行為」として構成できる。

  • 法人は社長に支配されていた被害者でもある
    法人は社長の意思に従わざるを得ず、その結果「加害に動員されたが、実質的には支配・強制されていた存在」と位置づけられる。

  • コンプライアンス上の再整理
    社長退任後、新経営陣が「過去の違法行為は元社長個人の責任」として切り離し、法人としては被害申告者に転じることが可能。


4. 実務上の法的枠組み

  • 会社法429条(役員等の責任)
    役員が職務執行において悪意または重大な過失により第三者に損害を与えた場合、会社はその役員に損害賠償請求できる。

  • 民法709条(不法行為責任)
    違法行為が法人に損害を与えた場合、法人は加害者である元社長を相手に請求できる。


まとめ

つまり「法人が加担したように見える違法行為」でも、それが実際には「社長の指示・圧力によるもの」である場合、法人は「共犯」ではなく「社長に利用された被害者」と位置づけ直すことが可能です。この場合、社長退任後に法人が元社長を告訴する法的ロジックは成立します。

この場合、被告はどのようなロジックで抗弁する可能性がありますか?

良い論点ですね。もし法人が「社長によるセクハラ等の違法行為」を理由に元社長を告訴・提訴した場合、被告(元社長)がどのような抗弁をするかを法的に想定すると、大きく以下のような論理が考えられます。


1. 「法人も加担していた」抗弁

  • 共犯・承認の主張
    法人は単なる被害者ではなく、取締役会・監査役・他の役員を通じて行為を知りつつ放置、あるいは広報・人事を通じて行為を隠蔽してきた、と主張。

  • これにより「法人も責任主体であり、加担者である以上、被害者としての告訴権限は限定される」と反論する可能性がある。


2. 「法人の意思決定としての行為」抗弁

  • 代表取締役=法人の意思
    社長が行ったことは、当時は法人の意思決定そのものであり、法人自身の行為とみなされる。

  • このロジックでは「法人と自分を切り離して責任を一方的に押し付けるのは不当」という主張になる。


3. 「時効」や「手続的欠陥」を突く抗弁

  • 刑事告訴の場合:刑事訴訟法上の公訴時効を主張。セクハラ・パワハラ関連の行為は時効が比較的短いことが多い。

  • 民事訴訟の場合:民法724条による不法行為の消滅時効(損害・加害者を知った時から3年、行為時から20年)を持ち出す可能性。


4. 「損害の不存在」抗弁

  • 法人自体は経済的損害を受けていない、むしろ利益を得ていた(番組制作継続・広告収入等)、と反論する。

  • 「被害者は個人(従業員)であって法人ではない」という整理で、法人の告訴権を否定する可能性。


5. 「責任分散・他者責任転嫁」抗弁

  • 違法行為の実行は自分ではなく部下や関連部署であり、自分は直接関与していない、と主張。

  • 法人内での決裁・承認システムを持ち出し、「他の役員や組織も責任を負うべき」と分散させる可能性。


まとめ

元社長側の典型的な抗弁ロジックは、

  1. 法人も共犯だった(自己責任を否認)、

  2. 社長=法人の意思決定(切り離せない)、

  3. 時効完成や手続不備、

  4. 損害が法人には存在しない、

  5. 自分以外も責任を負うべき、
    という5本柱に集約されます。

これらの抗弁に対して、法人側がどう反論を組み立てるか(特に“社長の個人的不法行為であり法人の意思ではない”と立証する方法)について論じて下さい

承知しました。ここでは「元社長が抗弁として『法人も加担していた』『社長=法人の意思決定』などを主張した場合」に対して、法人側がどのように反論を組み立てられるかを法的ロジックとして整理します。焦点は「社長の個人的不法行為であり、法人の意思ではない」と立証する方法です。


1. 法人の独立人格を強調する

  • 法人と役員は別人格
    会社法上、法人(会社)と役員(社長・取締役等)は明確に区別される。

  • 行為主体の切り分け
    社長が行った不法行為が「会社の業務執行」として認められるか、それとも「社長個人の逸脱行為」として位置付けられるかを明確に区別。

法人側の反論:

「本件行為は会社の事業目的や正規業務の範囲外であり、代表取締役個人の逸脱行為である。会社は独立した法人格を持つ以上、その行為を法人の意思決定とみなすことはできない」


2. 行為の業務適合性を否定する

  • 「業務の範囲外」論
    セクハラや違法なパワハラ行為は、会社の事業遂行や経営判断に合理的に資するものではない。

  • 業務執行との乖離
    取締役会の議事録、業務命令文書、社内規程などを示し、問題行為が業務執行として承認されていなかったことを立証する。

法人側の反論:

「行為は会社の経営判断や業務遂行とは無関係であり、むしろ会社の信用を毀損した。したがって会社は被害者であり、責任を社長個人に帰属させるべきである」


3. 「社長の濫用権限」論を適用する

  • 権限濫用の法理
    会社法上、代表取締役の権限濫用行為は「会社に帰属しない」と解釈できる。

  • 社長の地位を利用した私人行為
    社長職を利用したとしても、行為そのものが私人の利益追求や不法行為であるなら、会社責任から切り離せる。

法人側の反論:

「社長は権限を濫用し、法人のためではなく自己の私的利益・快楽のために違法行為を行った。権限濫用に基づく不法行為は法人には帰属しない」


4. 監督・牽制システムの提示

  • ガバナンスの証拠提出
    社内のコンプライアンス規程、ハラスメント相談窓口、取締役会の監督体制などを示す。

  • 法人の姿勢の立証
    「会社としては違法行為を是認していなかった」という証拠を提出(例えば内部通報記録、第三者委員会の設置、是正措置)。

法人側の反論:

「法人はシステムとして不法行為を防ぐ措置を整備しており、これを潜脱して行為したのは社長個人である」


5. 被害者性の強調

  • 法人も被害を受けた
    元社長の行為により企業イメージの失墜、スポンサー離脱、株価下落、人材流出など法人自体に損害が生じた。

  • 二重の被害構造
    直接の被害者は従業員だが、法人も間接的に大きな損害を被っている。

法人側の反論:

「法人は被害従業員とともに、経済的・社会的損害を受けた被害者である。元社長が法人を利用して行為を実行した事実は、むしろ法人が被害を受けた証拠である」


まとめ

元社長の抗弁(「法人も加担していた」「社長=法人の意思」など)に対して、法人が反論を組み立てるロジックは以下の5点に整理できる。

  1. 法人と個人は別人格であり、行為主体は切り分けられる

  2. 違法行為は業務遂行の範囲外であり、法人意思に帰属しない

  3. 社長による権限濫用は法人の意思決定とはならない

  4. 法人はコンプライアンス体制を整備しており、是認していなかった

  5. 法人自体も被害を受けている存在である

いえ、今回の案件が民法709条のみに依拠するのではなく、会社法429条(役員等の責任)にも規定されている、事実確認で十分です。
あと、会社法429条は民法の特別法であって、刑法対象にはならないかどうかを確認させて下さい

了解しました。整理します。


1. 民法709条と会社法429条の関係

  • 民法709条(不法行為責任)
    「故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負う」
    → 一般的な不法行為責任の根拠条文。

  • 会社法429条(役員等の責任)
    「役員等は、その職務を行うにつき悪意又は重大な過失によって第三者に損害を与えたときは、当該役員等は、その第三者に対して連帯して損害賠償の責任を負う」
    → 会社役員の職務執行に関する責任を特別に定めた条文。

👉 会社法429条は、民法709条の「特別法」として位置付けられ、役員責任をより限定的かつ明確に規定しています。
つまり、役員等による不法行為は原則709条に該当しますが、役員の立場・職務執行に関する場合は429条が優先して適用される、という整理です。


2. 刑法の対象になるか

  • 会社法429条はあくまで「民事責任の特則」であり、刑事罰を直接科す条文ではありません。

  • したがって、429条に基づいて刑事事件(告訴・起訴)に直結することはありません。

  • ただし、役員の行為が別途刑法に触れる場合(例:強制わいせつ罪、業務上横領罪など)、その部分は刑法に基づいて刑事責任が問われることになります。

👉 会社法429条自体は「刑法対象外」ですが、行為の実質によっては刑事責任(刑法)と民事責任(429条/709条)が並行する可能性があります。


3. 事実確認としての結論

  1. 民法709条 → 一般の不法行為責任。

  2. 会社法429条 → 役員責任に関する特別法であり、709条の特則。

  3. 刑法 → 429条自体は刑罰規定ではなく刑事事件の根拠にはならない。ただし、行為内容が刑法違反であれば、刑事責任と民事責任が並立する。

整理できました。ありがとうございました。今回はここまでで結構です。

承知しました。お役に立てて何よりです。
また次に必要なときは、いつでも声をかけてください。

2025,江端さんの忘備録

これだけの酷暑が続く中、エアコンを使用しない生活は、もはや不可能といえます。
In the midst of such relentless heat, living without using an air conditioner has become virtually impossible.

厚労省の熱中症対策資料にも「命を守るためにエアコン使用は不可欠」とありますが、確かにその通りです。
Even the Ministry of Health, Labour and Welfare’s heatstroke prevention materials state that “using an air conditioner is essential to protect life,” and that is absolutely correct.

私は、自室のエアコンが連続稼働の末に突然故障してしまうことを、毎日ひやひやしながら見守っています。
I nervously watch my room’s air conditioner every day, fearing it might suddenly break down after continuous operation.

このタイミングで止まったら、生活が一瞬で崩壊します。
If it stopped at this time, my daily life would collapse in an instant.

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一方で、最近気になるのは「政府から節電要請が思ったほど出てこない」ことです。
On the other hand, I have recently noticed that the government hasn’t been issuing as many power-saving requests as one might expect.

実際には2022年に7年ぶりの全国的な節電要請がありましたが、それも「不要な照明を消して」レベルで、冷房を控えろなどとは言われていません。
In fact, there was a nationwide power-saving request in 2022 for the first time in seven years, but it was only at the level of “turn off unnecessary lights,” and no one was told to refrain from using air conditioning.

「冷房を止めろ」と要請したら、国民の命が危ないのですから当然です。
It is only natural—if they requested people to stop cooling, citizens’ lives would be at risk.

また、意外に知られていない事実として、エネルギー消費は冬の方が大きいという傾向があります。
Another fact that is not widely known is that overall energy consumption tends to be greater in winter.

単純に外気と室温の差が冬の方が大きいため、暖房にかかる負荷が重いのです。
Simply put, the temperature difference between outdoor air and indoor space is greater in winter, resulting in a heavier heating load

ただし、瞬間的なピーク需要は夏の冷房で最大化することも多く、「夏と冬で違う種類の地獄がある」と理解するのが正しいでしょう。
However, instantaneous peak demand often reaches its maximum due to summer cooling, so it is more accurate to say, “There are different kinds of hell in summer and winter.”

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そんな中で私が最近考えるのは、「この酷暑を理由に原発再稼働を正当化されたら、反論が難しい」ということです。
What I’ve been thinking recently is that if this extreme heat is used as a reason to justify restarting nuclear power plants, it becomes tough to argue against it.

電力の安定供給は「我慢」や「忍耐」では済まず、「生死」に直結してしまうからです。
Because a stable power supply is no longer about “endurance” or “patience,” but is directly linked to life and death.

エアコンのスイッチを切るのは、生命維持装置の電源を落とすようなものです。
Turning off the air conditioner is like cutting the power to a life-support system.

とはいえ、ドイツのように脱原発をやり切った国もあれば、台湾のように一部だけ残しており、全廃を目指している国もあります。
That said, countries like Germany have fully phased out nuclear power, while others, such as Taiwan, have retained part of it while aiming for total abolition.

一方で、エアコンの省エネ効率は年々向上しており、1990年代と比べれば同じ冷房効果を半分以下の電力で得られるようになっています。こういう地道な効率改善こそ、最も堅実で素晴らしい方向性だと感じます。
Meanwhile, the energy efficiency of air conditioners has been improving year by year; compared with the 1990s, the same cooling effect can now be achieved with less than half the electricity. I believe that this kind of steady improvement in efficiency is genuinely the most reliable and admirable direction to take.

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今の私は、『この酷暑の中でも、"原発ゼロ"は、やってやれないことがない』と言えるのかどうか、自信がありません。
At this moment, I am not confident enough to say, “Even in this extreme heat, a zero-nuclear policy is still feasible.”

いずれにせよ、10年前に自分がやった電力需給の計算を、もう一度やり直す時期に来ているのかもしれません。
In any case, the time may have come to redo the supply-and-demand power calculations I worked out ten years ago.

日本の電力は足りているのか?――“メイドの数”に換算して、検証してみる(前編)

Is Japan’s electricity sufficient? — Verifying it by converting into the “number of maids” (Part 1)

日本の電力は足りているのか?――“メイドの数”に換算して、検証してみる(後編)

Is Japan’s electricity sufficient? — Verifying it by converting into the “number of maids” (Part 2)

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まあ、私が我が国の為政者、または、電力会社のステークホルダーであれば、
Well, if I were a ruler of this country or a stakeholder in a power company,

『(1)原発を再稼働するか、(2)稼働寿命をゴリ押しで延長するか、あるいは図々しく(3)『原発新設』まで持ち出すために必要なのものは、“国民合意”なんて面倒なものは必要ではなく、“気温40度”という切り札が一枚あれば十分』
I would think: “To (1) restart nuclear plants, (2) forcibly extend their operating lifespans, or even (3) brazenly propose building new ones, what is needed is not the troublesome thing called ‘public consent,’ but simply one trump card: 40-degree heat.”

と考えると思います。
That’s what I would conclude.

少なくとも、私は、この切り札に対して、カウンターとなるカードを持っていません。
At the very least, I don’t have any counter card against this trump card.

―― 日本国内において、生涯で2~3回は原発事故に遭遇し、最低1回は放射能汚染被害を受ける

2025,江端さんの忘備録

毛沢東が「大衆は衆愚であった方が良い」と語ったと伝えられている話を耳にしたことがあります。
I once heard a story that Mao Zedong was said to have remarked, “The masses should remain ignorant.”

国家を統治する立場からすれば、一理ある考え方かもしれませんが、国民をそのまま無知にしておけば国力は確実に低下します。
From the perspective of those who govern a nation, this may sound reasonable, but if the people are left ignorant, the national strength inevitably declines.

結局は外国から侮られ、利益を奪われ、逃げられてしまう。
Ultimately, the country is scorned by foreign powers, stripped of its interests, and left behind.

これは19世紀に広がった「列強+帝国主義+植民地支配」の歴史を見ても明らかです。
This is evident when examining the history of the 19th century—“great powers + imperialism + colonial rule.”


なぜこんな話を持ち出したのかというと、実はITセキュリティのことを考えていたからです。
The reason I bring this up is that I was actually thinking about IT security.

最近、私は移動体との間のセキュア通信システムの研究開発に取り組んでいるのですが、調べれば調べるほど「これは危ない」と冷や汗をかく日々が続いています。
Recently, I have been involved in the research and development of secure communication systems for mobile units, and the more I investigate, the more concerned I become, thinking, “This is dangerous.”

ITシステムというのは、真面目に見直すと攻撃できるポイントが本当に数多く潜んでいるのです。
When you seriously review IT systems, you find that there are truly countless points vulnerable to attack.


私が考えているのは、このシステムをどう守るかということです。
What I am thinking about is how to defend these systems.

いわば「国家を守る自衛隊の、ものすごく小さい版」をつくるようなイメージです。
It’s like creating a tiny version of the Self-Defense Forces that protect a nation.

完全に防御しようとすれば予算が破綻するし、かといって手を抜けば容易に破られてしまう。
If you attempt to achieve a perfect defense, the budget will collapse; if you cut corners, the system will be easily compromised.

だから「攻撃されやすい場所を重点的に守るしかない」という発想になるのですが、これは国家防衛とITセキュリティに共通しています。
The idea then becomes, “We must focus on defending the most vulnerable areas,” and this logic applies to both national defense and IT security.

こうして考えると、自分の思想が少しずつリベラル寄りから保守寄りに傾いてきているな、と感じます。歳をとると人は保守的になる、という言葉をそのまま実感しているのかもしれません。
Reflecting on this, I realize that my views have gradually shifted from liberal to conservative. Perhaps I am simply experiencing firsthand the saying, “People grow more conservative as they age.”


「平和を願っているだけ」で平和が実現するなら、それはとても幸せなことです。
If peace could be achieved simply by wishing for it, that would be wonderful.

しかしITの世界では、「セキュリティを願っているだけ」ではシステムは守れません。
However, in the IT world, merely wishing for security does not guarantee a system's protection.

実際にこのブログを載せているサーバでも、ログを確認すると毎日数百件どころか数千件単位の攻撃を受けていて驚いたことがあります。
In fact, when I checked the logs of the server hosting this very blog, I was shocked to see not hundreds but thousands of attacks occurring every single day.

サイバー攻撃は自動化されているため、あっという間にこの規模に達してしまうのです。
Since cyberattacks are often automated, they can quickly reach such high numbers.


で、最近思うのが、セキュリティの実態を知らないことは、ある意味では幸せなのではないか、と。
And so I’ve come to think lately that, in a sense, not knowing the realities of security might actually be a kind of happiness.

利用者の立場に限って言えば、「私たちはセキュリティについて衆愚であった方が、むしろ心の安定を保てるのではないか」とも感じます。
From the perspective of ordinary users, perhaps “remaining ignorant about security” helps us maintain peace of mind.

もっとも、ネットバンクを乗っ取られて預金をすべて奪われても、「まあ、やられちゃった」と笑えるほどのメンタルを持つことも必要となりますが。
Of course, that would also require the mental resilience to laugh it off, even if your online bank account were hijacked and your savings completely drained.

まあ、預金を根こそぎ持っていかれても「やられちゃった」と笑える人が増えれば、日本の幸福度ランキングも一気に上がるかもしれません。
Then again, if more people could chuckle after losing all their savings, Japan’s happiness ranking might suddenly skyrocket.

幸せって、意外にこういうことかもしれませんよ ―― "無知は力なり"
Happiness may unexpectedly be something like this: “Ignorance is power.”