2013,江端さんの忘備録

10月に部署を異動したのですが、異動先の共有ルームに「ニューズウィーク日本版」が陳列されていたので、毎日読んでいます。

Last October, I moved to another section, and I found "Newsweek (in Japanese edition) " in the shared area. I read the past issues every day.

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「ニューズウィーク」には苦い思い出があります。

I have a bitter memory about "Newsweek".

大学入学直後、新しい希望に溢れていた私は、どの大学生とも違わず「これからは英語が大切だ」と思い込んでいました。

After entering the college, I was a new fresh student in the full of hope, and I believed that I had to study English very hard.

そして、無謀にも「ニューズウィーク(×日本版)」の年間定期購読を申し込んでしまいました。

Recklessly, I admitted the annual subscription of "Newsweek (in English edition)".

結果は言うまでもありません。

It went without saying that the result.

一ページも開かれない「ニューズウィーク」が、床に詰み上げられただけでした。

Many Newsweek not be opened at all had been stacked on the floor.

そして、このような「自分の能力を客観的に把握できない」「無謀な希望に満ちた若者を狙った」英語商法は、今なお健在です。

Now the business like that, is going strong, that targets young guys who cannot grasp their English performances by themselves, and are full of reckless hope.

営業から見れば、私なんぞ、笑いが止まらない「カモ」ですよね。

I had been a top of the sucker list, and the sales reprehensive had not be able to stop laughing.

会社員になってからも、社員寮の玄関に、英字新聞が配達されているのを見ると、「ああ、ここにも『カモ』になった新入社員が・・・」と思ったものです。

After joining the company, whenever I found English-language newspaper in my co-worker's post in the dormitory, I was afraid that the victim was in here.

最近は同じような商法を、日本経済新聞などがやっていますよね。CMで大々的に。

Now some economy newspaper company did some business using commercial messages.

まあ、それはさておき。

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で、そこから30年近い時間を経て、ようやく「カモ」から卒業した私は、「ニューズウィーク日本版」を日本語で読んでいます。

After about 30 years ago, I was graduated from the sucker list and read "Newsweek in Japanese edition" everyday.

私が「ニューズウィーク(×日本版)」を読めなかった理由の99%の理由は、その能力の欠如ですが、仮に能力があったとしても無駄だったろうと、今になって思います。

Though I know the reason why I couldn't read the magazine was the luck of my English performance, even if I had the performance, the result was same.

―― 内容がつまらん。

"Bored"

「米国大統領の動向」「米国の経済」「中東情勢」「テロ」、こんなネタが、私にとって面白いものである訳がない。

Am I interested in "U.S. president current", "Economy in the U.S", "Middle East situation" and "terror attack" ?

そもそも、コンテンツが私向きではなかったのです。

First of all, the contents were not suitable for me.

コンピュータ、制御LAN、GPSというような記事であれば、英語でも踏ん張ったかもしれませんが、大学生の頃の私であれば、それすらも読まなかったでしょう。

Though "computer", "control network", "GPS" might catch me, it was also meaningless for me in campus life.

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このような英語雑誌等の「カモ」商法。当然批判されるべきものですが、それを言い出すことができる人がいないところに、この商法の巧さがあります。

This sucker list business should be criticized violently, but none of them accuse the business.

でも、どこかにいないかな。

Whoever tries to accuse the company, with saying,

―― お前のところの雑誌、私には一行も読めんぞ!

"I can't read just one line in your magazine."?

と文句を言えるクレーマ。

2013,江端さんの忘備録

「宇宙戦艦ヤマト」は、私に

■科学技術の夢とロマンと、

■商業主義の汚さを、

これでもか、これでもか」いうくらい教えてくれた、「大人の階段」を、完璧に具現化してくれた作品です。

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まあ、「夢とロマン」の方はさておき、「商業主義」の方は、こんな感じです。

■死んだはずのキャラクターを、「実は死んでいなかった」ことにして、続編を作る

■都合の悪いストーリーは「なかったもの」としてスキップして、続編を作る

こういう、「とにかくヤマトで儲けろ」というスタンスは、「ヤマト」を深く愛していたティーンの心を酷く傷付けたものです。

私の中では、

「宇宙戦艦ヤマト」= 「詐欺」

という構図が完成してしまいました。

この影響(か、どうかは分かりませんが)もあって、私はその後、このような宇宙戦争を扱ったアニメに興味が持てなくなりました。

例えば、「ガンダム」なる超著名ロングランアニメについて、私は何も語るものを持っていません。

これは、このような、ティーン時代の「負の記憶」に因るところが大きいと思っています。

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ですから、今、放送中の「宇宙戦艦ヤマト2199」も、

『まだ飽き足らず、詐欺の続きをやっていやがるのか』と、腹だしい思いで、まあ、それでも初回だけでも見てやろうか、と、思ったのですよ。

・・・

・・・

■うん、まあ、あのやたら暑苦しくて、鬱陶しい「古代進」が、まあ、ちょっと言い感じになったかもしれないな?

■「森雪」の設定がなかなか意味深になっていて、悪くない。

■ワープの論理(フィクション)が、なんとなく複雑になって、しかも、ちょっと腹に落ちるようにはなっているな。

■ガミラス帝国が、単なる悪の帝国としてではなく、ちゃんとしたヒューマンドラマとして描かれているのは、まあ、評価できるかな。

■都合の悪い、難しい話を、全部「コンピュータ」に押しつけるというスタンスが、改善されているなぁ。

■波動砲の使用に関して、倫理的観点からの批判が採用されている点は、とても良い。

■初戦において、「地球側から戦端を開いた」という、驚愕の設定を導入した点は、高く評価できる。

■なんか、やたら「ドメル」が、かっこよくないか!!

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まあ、そんなこんなで、私は、日曜日午後5時から、私の部屋を完全に立ち入り禁止にして、テレビを見ています。

宇宙戦艦ヤマト2199公式設定資料集の購入は、決定済みです。

2013,江端さんの忘備録

なんの脈絡もなく思い出したのですが、昔、ふと流れていた番組を見て、「凄いなぁ」と、驚いたことがあります。

宇宙警察だったか、宇宙刑事だったか忘れたのですが、ヒーロー戦隊番組がありました。

(調べてみたら「特捜戦隊デカレンジャー」がそれのようです)

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(Step.1)デカレンジャーは、戦闘中に(すでに重犯罪を繰替えしていると思われる)怪人にとどめを刺す直前に、宇宙最高裁判所に連絡し、裁判所の判断を仰ぎます。

(Step.2)宇宙最高裁判所は、即座(2秒くらい)で、◯と×で判決を決め(もちろん、◯になるのですが)、その旨を、デカレンジャーに通達します。

(Step.3)デカレンジャーは、その判決を待って、必殺技で怪人を殺害(死刑執行)します。

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先ず、私が驚いたのは、ヒーロー戦隊番組において、「司法権の独立」という概念を導入した、という点にあります。

デカレンジャーは宇宙刑事であり、当然警察組織に属する公務員です。

警察は行政庁ですから、終審としての判決を行うことはできず、かならず司法(裁判所)の判断が必要になります。

「裁判時間2秒」「判決◯× 」という、めちゃちゃ乱暴な制度ですが(戦場における臨時軍事裁判所だって、ここまで酷くはないだろう)、一応、筋は通している、と言えます。

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次に、驚いたのは、犯罪者を捕縛する刑事と、死刑の執行者が、同一人物であるという点です。これは、全然管轄の違う行政組織が、一体となっているという点です。

このような制度では、怪人の人権を著しく損い、冤罪を誘発し、誤った怪人への刑の執行がされる恐れがある、と感じました。

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多分、これまでのヒーロー戦隊ものに対する、批判をかわす目的があったのかなぁ、などと邪推しています。

だって、ヒーローの彼ら/彼女らは、司法の判断なく、また行政手続を無視して、毎週、独断で死刑執行をやっていたようなものですからね。

デカレンジャーの仕組みでも、なお、冤罪→死刑になった怪人は、かなりいたのではないかと推測されます。

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とは言え「宇宙最高裁判所」という概念は、私に、「その下級審の仕組みははどうなっているんだろう」とか想像させましたし、

「怪人人権擁護局」というものも登場させたら、さらに面白くなりだろうな、と思いました。

デカレンジャーの必殺技炸裂の直前1秒前に、「人権擁護局」からの差止命令が下りた、というストーリーなど考えるだけで、ワクワクします。

デカレンジャーが「えっ?」とか言いながら、必殺技を寸止めするシーンは見ものだと思います。

■「怪人」による宇宙最高裁判所の判決に対するの再審請求や、

■デカレンジャーによる所掌範囲を越えた捜査権の濫用に対する行政審査請求、行政事件訴訟

など、発想は広がり続けます。

楽しいですねえ―― え?そんなことないですか?

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ヒーロー戦隊を作成される番組の皆さま。上記のようなシーンを含めた新しいヒーロー戦隊番組はいかがでしょう。

番組名は、当然こうなります。

「行政と法律と裁判と三権分立を前提に、正義と人権を守るヒーロー戦隊 『インテリゲンチャー』」

2013,江端さんの忘備録

海外で生活した人は、口を揃えて「日本の運行ダイヤの緻密さ、正確さ」を褒め称えます。

列車運行管理システムは、もとい、我が国が誇る、最高傑作の作品です。

その最高作品ですら、コントロールできないのだから、仕方がないのだ、

―― と、言い聞かせないと「切れそう」な自分を感じています。

なんで、30分の余裕を見て、なお、重要な会議に「遅着の連絡」を入れなければならないのだ。

なんで、私の出張の日の、その時間をピンポイントとして、人身事故が起きるのだ。

と。

私も、「自分だけに都合の悪いことが起っているという思い込みは、錯覚である」ということは、判っているのですが。

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文明国の所業にあるまじき非道であり、人権の観点からも許されざる行為であり、

人道上も、倫理上も、衛生上も、なにより、列車運行の安全上、大問題であることは分かっていますが ――

『人身事故で、バラバラになった遺体の破片を終日放置したまま、通常運転を強行する』

なんか、そういう現実と対峙したくなるなぁ、という想いを抑えられないことがあります。

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昔、ラジオ番組で聞いたことがあるのですが、高校生が、警察にお願いして、飛び込み自殺の現場写真を貸与して貰い、それを文化祭で展示したことがあったそうです。

もちろん、極めて真面目な自殺問題に対する取り組みの一貫として、です。

「凄いことを企画する高校生がいるもんだなぁ」とびっくりしたので、よく覚えています。

もの凄い反響があったようで、良い意味での自殺への「幻想破壊」がされた、ということのようです。

でも、今同じことをして、同じような効果が得られるか 私には判断つきかねます。

そのようなコンテンツは比較的簡単に入手できるようになってしまったからです。

それでもなお、私は、世の中にある、現実を、文学でも、絵画でも、写真でもなく、五感のリアルで感じ取ることを、―― それが、心に酷い怪我をさせることになったとしても ―― 必要ではないか、と思っています。

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例えば、「死刑執行の立ち会い制度」などは、その運用に関しては、まず死刑囚の同意を絶対的条件として、何重ものチェックや審査を行ったとしても、国民に開示する制度を用意すべきではないかと考えます。

我が国の国民の多数が「是」としている制度なのですから、その制度の実施状況を、国民自身でチェックできないというのは、やっぱり変だと思うのです。

その結果で、死刑制度の「是」が強化されても、「非」に転換が図られても、それは、どちらでも良いと思うのです。

法律は国民の合意で成立されているものなのですから、その運用を国民はチェックする権利と義務があると思うのです。

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「そんな厳しい場面に対峙したくないし、そもそも、私には、そのような場面に係わることは一生ないはずだ」という方もいると思います。

それは、また、その通りだと思います。

私は、私達の全てが世の中の森羅万象に対峙して敢然と立つ必要があるとは、思っていません。

見たくないものは、目を瞑って通り過ぎる、で十分です。

ただ、現在の所、回避する可能性が絶無である「死」についてだけは、そろそろ直面する時代ではないかなぁ、とも思っています。

まあ、たまたま、今私が、そういう立場に立っているだけ、ということかもしれませんが。

2013

私は、基本的に言語以外のコミュニケーション(身振り、手振り)で、多くの国で何とかしてきました。

もちろん、ビジネスでは通用しませんが、旅行程度であれば、世界中どこでもなんとかしてみせる ―― という、漠然とした自信があります。

ですので、私は、言語に関しては「語彙」を重視する立場で、「発音」など本当にどうでもよいと思っていました。

しかし、先日のNHKのラジオ英会話番組で、私のこの考え方を根本から破壊しかねない事例が紹介されていました。

―― 英語のコミュニケーションの相手は、「人間」ではなく「機械」になる

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確かに、覚えがあります。

米国赴任中、電話をつかって予約をしようとしたとき、電話自動応答システムが対応してきて、色々と質問をしてきました。

『あんたは、何をしたいんだ。次の1~5の中から選べ』

と、まあ、この程度はよいのですが、

『どの空港から、どの空港へ、何日の何時の飛行機に乗りたいのか』

との、問いに対する自動音声システムは、ほぼ100%、

『ごめん。わかんない。もう一度言ってくれないかな(I am sorry, I don't understand what you said. Would you please try it again?) 』

と、の応答してくる。

で、同じ質問を三回された挙句、"Sorry, See you again" と言われて、一方的に電話を切られる。

そして、電話の受話器を持ちながら、呆然と立ちすくむ私がいる、と。

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相手は自動音声システムですから、身振り手振りが通じないのは当然として、聞き返し(Pardon?,Sorry?) や、「私は、あの有名な日本人なんだ(I am a Japanese, you know well)」が、通じない。

これは辛い。

これは、いわゆる私が主張してきた、「江端メソッド」を根底から破壊されかねないトレンドと言えましょう。

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私は、以前、寄稿コラムで、「日本の製造メーカーですら、日本語のマニュアルを作らなくなった」というお話をしました。

このような潮流が、自動音声システムにまで拡張しないと、誰が断定できるでしょうか。

コールセンタの無人化は、経費削減の観点から、絶対に止まりようがありません。これは、システムのエンジニアとして断言します。

そして、多言語対応なんぞ論外。対応言語を一元化したいと思うのは当然のことです。

TPP等によって、生保、医療、その他の分野のサービスが日本への流入してくることは確定でしょう。

日本語対応するが莫大な経費がかかる企業が勝つか、日本語対応しないが安価なサービスを提供できる企業が勝つか、今の段階では断言できません。

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我々には2つの道があります。

A:徹底的に英語の、特に発音に関する教育を徹底的に「破壊」して、機械とのコミュニケーションの芽を今のうちに手折る、という戦略。

B:機会とのコミュニケーションを前提に、発音を最重視する英語学習にシフトする戦略

私としては、どっちの対応も嫌です。

私の第三の戦略は、「C:このようなトレンドが、あと10年来ないことをひたすら祈り続ける」です。

2013,江端さんの忘備録

来週から、私は暫くの間、松葉杖で出社します。

説明が面倒くさいので、簡単に言うと、

「ベビーカーを追いかけて、肉離れをおこした」です。

世の中のお母さん達にお願いです。

「ベビーカーは、空車であっても、ちゃんと車輪をロックして下さい」

それともう一つ。

松葉杖って、結構体力使います。

あれは、脇で支えると、脇の方で肉離れをおこしかねません。

階段の登り降りでは、北アルプスを縦断した時の、山岳サークル(1年で辞めた けど)を思い出しました。

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以下、報告書より抜粋

========== ここから ==========

4.災害発生時の経緯

(1)報告者は、上記パチンコ屋前に並列する小児外科医院の前に停められていたベビーカーが、風に煽られて車道側に落ちていく状態を視認した。

(2)報告者は、瞬時に、そのベビーカーを停止させるべく走行(ダッシュ)を開始。直後、内耳から、左脚脹脛の裂割音(いわゆる「ブチッ」という音)を確認し、激痛で歩道上にうずくまるに至る。

(3)視認でベビーカーが無人であることを確認後、近くの電柱に掴まり、身体の自己チェックを行った。

5.災害発生後の経緯

(1)まず会社の同僚に負傷した旨の連絡を入れた後、片足歩行で、駅のタクシー乗り場に到着し、そのまま病院に行き、整形外科にて受診した。

(2)レントゲン等のチェックを経て、筋損傷(筋肉の損傷)(いわゆる「肉離れ)」と診断。自然治癒以外の治療方法はなく、全治2週間との診断を受けた。

(3)上記(2)の後、総務部、部長、課長への全員への連絡を完了。

(4)松葉杖を貸与され、病院から駅までは巡回バスを、駅から歩行にて会社に到着。その後、総務部から各種の手続(本速報、および通勤災害報告書他)の指示を受ける。

========== ここまで ==========