2012,江端さんの忘備録

たまたま見た、ドラえもんのアニメだったと思います。

ストーリは概ねこんな内容だったかと。

(1)のび太が、タイムマシンで見てきた未来を、「占い」として皆にしゃべっていた時、元高角三という小説家を目指しているもののデビューできずにいる男から、『自分が作家になれるか否かを占って欲しい』と言われる。

(2)のび太は、5年後へ見に行くが、彼は作家としてデビューできていなかったので、その旨を告げると、彼は「きっぱり諦める」といって去っていった。

(3)のび太は、再度、5年後の未来へ行って彼の様子を見にいくと、彼は、アルバイトを続けながら、小説を書き続けていた。

(4)のび太が「どうして、やめなかったのか」と尋ねると、彼は「小説を書いていることが、楽しいから」と笑顔で応えた。

(5)その時、沢山のテレビ局や新聞社の人が家にやってきて、彼の小説が文学賞を受賞したという報告を受ける。

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この話、(5)があっただけで、全てが台無しになった。

(4)で終っていれば、名作中の名作で終った筈なのに、「立身出世」「成功賛美」を描いただけの駄作に堕ちた、と思う。

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「楽しい」だけで、自分の好きなことを続け、世間に対して揺がない人生は、

『それ自体が「奇跡」と呼べる程の大成功である』

というメッセージを送れる、稀有な機会であったはずなのに、と思えるのです。

2012,江端さんの忘備録

実家に一冊の本が置いてあります

「兵士たちの連合赤軍」という本です。

# 学寮の先輩の部屋にあったものを、拝借し、その後、返却していないだけです。

連合赤軍の兵隊達は著名な大学の出身者であり、基本的に善人であり、世の中の仕組みを変えて、多くの人を助けたいという理想主義者という点で共通しています。オウム真理教にしても同様です。

私は、『革命やら宗教ふぜいに救って貰おうとは思わん。大きなお世話だ』と思うけど、「人を助けたい」と思うそのマインド自体は悪くないと思っています。

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しかしですね、「人を助けたい」というマインドが、「集団リンチ」や「毒ガス散布」になるという理屈が、よー分からん。

で、私も、それらの組織の「教義」やら「方針」やら「理念」について、ちょこっと調べてみたんですよ。

いわゆるコモンセンスから逸脱すること甚しいのですが、一応、細いながらも「一本の糸」のように論理付けはできているようです。

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無理があるのは、この論理付けの中間に「善意の殺人」という概念が入り込むところです。

『教義に従って死ねば天国に生まれる→教義の名による殺人の肯定』

『革命の敵(身内も含む)を排除すれば人民の救済に繋る→革命の名による殺人の肯定』

こんなこと、今更言うまでもないことですが。布教や革命成就の為の暴力を肯定している宗教や政治結社はゴマンとあるのは、ご存知の通りです。

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ようするに、善意で構成されている彼等は、「筋の通った論理」に対抗する力がなかったと言うことです。

「論理」に対しては「論理」でしか立ち向えないというルールを作って、それを守るという律儀さがあった。

集団リンチにしろ、毒ガス散布にしろ、そこに「正当な論理付け」をされ反論ができなければ、それに逆らうことができなかった。

暴力や殺人などのテロを、無条件で「否」と言えない弱さ。

唾棄すべき弱さ。

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この時代にあって、今、我々に求められる力とは、

『あなたには、ついていけません。さいなら』

と言い放って、何もかも放り出して逃げだす勇気、

「逃走力」

かもしれません。

「転向力」といっても良いかもしれません。

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と、ここまで読んだ、あなたは、

「また、江端のあの『停滞主義』論か」

と、うんざりされたかもしれませんが、そうではないのです。

ここから、この文章の論旨は、大きく飛躍し、

「新型うつ」

の話にシフトするのです。

(続く)
http://www.amazon.co.jp/兵士たちの連合赤軍/dp/4882026996

2012,江端さんの忘備録

小惑星探査機「はやぶさ」は、5本 映画化されるそうです。

凄い話ですよね。

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昨日、「はやぶさ 遥かなる帰還」を見にいってきました。

「はやぶさ」が危機に陥いる場面での技術者達の対応が『凄い日常感』。

ネットワークエンジニアとしての私としては、

○「1bit通信」や「全空間全周波数探索」の凄さや、

○「プログラムをマシン語(×C言語等の高級言語)で記述している理由」

を、周りの席の人に解説したいという衝動に駆られました。

# 誰も聞きたくはないだろうけど。

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しかし、この映画、いわゆるハリウッド的な「感動」を求める人にはお勧めできません。

「はやぶさの正しい歴史」を、エンジニアの視点から坦々と綴った記録映画として、価値があります。

特に、「システムダウン」で青くなった経験のあるシステムエンジニアの皆さんには、強くお勧めできます。

自分達のテスト環境に感謝できます。

100メートルも離れていないテストルームに置いてある代替機で、すぐにデバッグできたり、ネットワークモニタできる。

少なくとも3600万キロメートルの彼方にあるマシン(応答時間40分)で、ぶっつけ本番のシステム再起動をする必要はないのですから。

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『この状態(供給電源が定格値を超えている)で、システムルックアップ(多分、ブートのこと)すると、システム全停(全面停止)の可能性があるぞ』

というセリフの意味を、役者さんが理解していたかどうかは不明ですが、

少くとも私は、映画館の中で青ざめていました。

2012,江端さんの忘備録

記事か見出しだけで、新聞を判別できるだろうか?、という、研究的な興味が湧いてきて、ちょっと書き下してみました。

■読売新聞・・・「ということにすべきである」

基本的には保守で、時々空気を読まない(KY)記事が登場する。

先日、「我が国はプロトニウム最大所有国で、核保有国と同等の軍事脅威を持っている」という社説で、日本中から「それを言っちゃあ、おしまいだろう」と突っ込まれていた。

■朝日新聞・・・「ということに対して、我々はいかに考えていくべきであろうか」

インテリ風の教師が生徒に考えさせる風の「上から目線」記事が、タカビーで「ムカッ」とくる。結論を明確にしない記事(新入社員が最初にやるプレゼンで、要旨不明で上司に怒鳴られるような内容)が多い。

■毎日新聞・・・「という国民の民意を政府は反映すべきだ」

「政府は国民の意見を全て無視して、独断先行している」という内容なら、まず間違いない。平易な文章として記載しているのは、努力しているからと評価したい(記者の知的レベルが低い訳ではないだろう)

■日経新聞・・・「という39%のデータより、株価の水準が・・・」

「数字が真実」であり、「堅調な経済が正義」である、という、一番解りやすい方針を、一番解り難く説明する記事が特徴(数字の意味の理解が難しい)

■産経新聞・・・「というように集団自衛権の行使は・・・」

保守バンザイ。「基本的に政府の方針は間違っていないぞ」の論調なら、まず間違いない。

■赤旗新聞・・・「というような、我々の生活を破壊する消費税は許せない」

基本的に国民が嫌がりそうな事件(増税等)の記事が多いが、その場しのぎで、事件の全体感が見えない。特に桁の多い数値を扱う記事については、絶望的にダメ。電卓やセクセルを扱える記者がいないと見た。

■聖教新聞・・・「創立80周年の大勝利万歳!」

基本的に「恐い」。『大勝利万歳!』が一面トップに出てくると、<北>を彷彿してしまう。もしかしたら「聖教新聞」という名前の、別の雑誌名なのかもしれない。

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その他、前進(中核派機関紙)とか、解放(革マル派機関誌)も調べたのだけど、Googleの画像検索ですら発見できなかった。

# 過激で訳が分からない見出しが印象的だったんだけどなー。

なんとか思い出してみよう。

「階級的闘争を経て、米帝の体制的な行きづまりと日帝侵略戦争の帝国主義打倒粉砕へ全人民的怒りを結集せよ」

うーん、覚えている単語を並べただけだけど、それらしい見出しになりました。

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また、暇を見つけて、調べてみます。

2012,江端さんの忘備録

清水義範の「読み違え源氏物語」を読んでいます。

○夕顔の死因は、六条御息所の怨念ではなく、

○空蝉、惟光を共犯とする、頭の中将の陰謀であり、

○夕顔は空蝉と同一人物で、しかも死んでいない

という、ぶっ飛んだ、「源氏物語殺人事件」に仕上がっています。

こういう本は楽しい。

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ところで、私が「夕顔」「六条御息所」「頭の中将」とかの名前をスラスラ出せるのは、

「文部科学省の指導要項による古文の教育の成果」などでは、

『断じて無く』

全て、

大和和紀による漫画コミック、

「源氏物語 あさきゆめみし」

の内容を完全暗記していることと、

そして最近では、

魔夜峰央による漫画コミック

「パタリロ源氏物語!」

で、内容の理解が再強化されている為です。

源氏物語に関しては、文部科学省の指導要項(要するに古文の教科書)は不要でした。

# というか、むしろ邪魔。

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文部科学省は、(教育を統制する機関としてのメンツと立場もあるのだろうけど)、

「古典をつまらなくする為に存在しているのだろうか」

とまで邪推することがあります。

なんで、源氏物語を、わざわざ読みにくい原文で記載するのかな。

漫画とまでは言わないけど、現代訳で「内容」を楽しませるのが先だろうが。

そして、現在の価値観に照らして、

『「光源氏」に殺意を覚える』

というくらいまでの親近感を持たせることが大切だと思うんですが。

どうでしょうか。

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付録

源氏物語の「『光源氏』批判」としては、あまりに著名な「笑う大天使」(川原泉)より、長文抜粋。

---- ここから -----

(1)校則違反(?)の罰として、源氏物語の全文読破とレポート提出を課せられた3人の女子高校生の、レポート作成中の会話

「女癖は悪いし、くっだらねえ事で悩むし泣くし」

「マザコンでロリコンで不倫大好きの変態だよな」

「この平安人は恋愛沙汰以外にな~んも考えとらんぞ」

(2)提出されたレポートの結言

『――結論

…だから光源氏とゆー人は、女の人の迷惑も考えずやみくもに本能のまま行動し、知的ブレーキのあまり利かない性格か或はブレーキ自体が存在しない質であり、いわゆる「歩く煩悩様」の典型的な例だと思われます。(更科柚子)』

『――結論

…ゆえに光源氏とゆー人は、性的衝動の赴くまま、他を顧みる事無く自らの欲望を満足させなければ気がすまないミーイズムの人であり、このよーなタイプはさしずめ「性衝動人」と申せましょう。(司城史緒)』

『――結論

…つまり光源氏とゆー人は、独りよがりの悩みで周囲の人々を不幸に巻き込むだけでなく、さらにその執着心と多情さで不幸を拡大させるとゆー得意技がパターン化された「増殖ワラジムシ」であるといえる。(斎木和音)』

---- ここまで -----

2012,未分類

特許明細書が書き上がりません。

最近、クリスマスの思い出と言うと、特許を執筆していた記憶以外にありま せん。 時期的にも、下期の特許提出の時期にぶつかることもあって、私にとって、 「クリパ」と言われれば、クリスマスパーティなんぞではなく、クリスマスパ テント(特許)です。

本当は、このような愚にもつかない駄文を書いている間に、明細書の第二の 実施例を執筆しなければいけないのですが、システム構成図を書き直すのが面 倒なのです。 なんとか手を抜けないかと、現実逃避の考案をしている時、私の駄文執筆能力は、最高潮に達するようです。

嫁さんの気質や思想やポリシーに影響されるところ大なのですが、私は、結 婚してから色々なことから解放され自由になり、人生が楽に、そして楽しくな りました。 また、嫁さんとは関係なく、結婚というシステムの観点からだけでも、いく つかのことから自由になったことがあります。 その中の一つに、「クリスマス脅迫症候群」とも言うべきものがあります。

この時期、駅前、商店街、デパート、繁華街、どこにいても出現する緑と赤 の装飾、巨大なクリスマスツリーの電飾イルミネーション、そして、どこまで もしつこく追いかけてくるクリスマスソング。 会社の帰りに、夕食のコロッケを買っているところに、ユーミンや山下達郎 なんぞ、出現させるんじゃない(ちと古いが)。

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若い頃、私は、

――  一人で街を歩いたら、いかんのか!

と怒鳴りたくなる衝動にかられていました。

そのようなものから逃げる為に、イブの夜に嫁さんに担保をお願いしていた 若い頃の自分は、愚かだったと思います。 だが、この青春の愚かなプロセスなくして、今の家庭や家族がないのも、ま た真実です。 その時、若さ故の愚かさを、シニカルに笑っていただけなら、今、食卓を囲 んで家族で笑っていることはできなかったでしょう。

逆説的な結論ではありますが、「クリスマス脅迫症候群」によって「クリスマス脅迫症候群」から離脱する、というこの一連の理論は、物質が他の物質に 変化するプロセスで、一時的に高エネルギー状態に至らなければならないとい う「励起状態」を思い起こさせます。

いずれにしても、今の私には、街中のクリスマスソングも、電車の中で若い 恋人達がいちゃつく様も(そして愚にもつかない彼等の会話も)、まるで、梅が 咲きほこる雅な茶会の席で、俳句をしたためながら、ホトトギスの声を遠くに 聞くくらい、気になりません。

ともあれ、こういう下らない脅迫観念から離脱できただけでも、結婚は私に とって意義があったと断言できます。

閑話休題。

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実際のところ、一体どれ程の効果があるのだろうか良くわからない「英会話ス クール」ですが、この不景気日本にあって、しぶとく生き残っているようです。

先日、先輩と話していた時に、「英会話スクール」の目的は、勿論英会話の 向上にあることの他、「異性と出逢う場」としての役割もあるそうです。

なるほど。 そういうことなら、あのふざけた高価な授業料も、投資としてはむしろ安い。

個人を主体とする現代の社会構造上、異性と出逢うチャンスがないと言うの は、至極当然のことではあるのですが、出逢いを求めている当の本人達にとっ ては、深刻な問題です。

近い未来、自力で彼氏や彼女を見つけてきた者は、会社や地元の自治会から 表彰されるような未来がくる、と私は真面目に考えております。 実際、政府が国営のお見合い期間の設立に動いています(2002年11月14日の 朝日新聞より)

これは本当の話ですが、私は10年も前に、日立のスーパーコンピュータのア プリケーションとして「お見合いシステム」を提言していました。

スーパーコンピュータの性能と言うと、円周率の計算くらいしかやることが ないように思われていますが、これからのスーパーコンピュータはスペックは、 MIPSやディスクアクセス速度、トランザクション処理数などではありません。

目標は、単位時間あたりに、どれだけの大量のカップルを生成させることが できるか、そして、そのカップルをどれだけの時間維持させえるか、さらには、 定着率(結婚率)などが競われるようになる、と予言していました。

MTTR(Mean Time To Repair 平均修復時間)は、システムの平均復旧時間から、 カップルの平均復旧時間へと解釈が変更され、MTBF(Mean Time Between Failure 平均故障間隔)は、言うまでもなく、カップルの平均交際停止間隔と 解釈される訳です。

こんな風に考えていくと、「システム」と「恋愛」は恐しく良く似ているこ とに気がつきます。 セキュリティの観点から言えば、機密性、可用性、抑制機能、予防機能、回 復機能等、メンテナンスの観点からは、初期不良、経年劣化、リプレース・・・

まあ、この辺で止めておきましょう。

結婚の問題とは関係なく、異性と付き合うことは、それ自体が人生を豊かに するし、そもそも楽しいものです。 勿論、苦しさや面倒も半端じゃありませんが。

この機会を、英会話スクールが提供しているのだとすれば、大変コストパフォー マンスな「場の提供」と言えるでしょうし、次世代の新しいコミュニティ創成 の場として大変有望なものであると、私は考えました。

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「そうかな?」

私が得意げに、「英会話スクール出逢い機関論」を唱えていると、嫁さんが 異議をはさんできました。

私 :「どうして? 出会い系のメールやWebなどに比べて、身元や面が割れ る分、健全で安全で安心だし、勉強で集うと言う点も、さらに高品 質のフィルターを通っているとも解釈できるぞ」

嫁さん:「『出逢う』為には、男性と女性が、少なくとも同じクラスにいなけ ればいけないよね」

私 :「そりゃ、まあね」

嫁さん:「で、まあ当然、英会話を始める人なら、初級コースから入会するよね」

私 :「そうだろうね」

嫁さん:「自然に無理なく親しくなるためには、それなりに時間もかかるよね」

私 :「あからさまに、『異性を探しています』てな感じの奴なんて、いや だろうからな」

嫁さん:「英会話クラスの初級コースなんぞに、うだうだといつまでも居残っ ている男ってことは、『私には将来性がありませんよ』と宣言して いるようなものじゃない? 私なら、私と同じクラスにいるような 男は嫌だな」

私 :「・・・あっ」

盲点でした。

確かに、そんな将来性の見えない異性を探しすために、金を出しているとし たら、投資以前の問題です。 金をドブに捨てているようなものです。

嫁さんの提示したアンチテーゼは、英会話スクール以外にも、テニススクー ル、その他のスクール全部に適用が可能のようです。 いつまでたっても、初級コースから抜けられない野郎と付き会いたい女性は 少ないだろうからです。 むしろ、検討除外の明確な指針となってしまう恐れもあります。

まあ、別の異性へのアクセスのポインタくらいにはなるのかもしれませんが。

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「出逢い」が難しい時代になりました。

「出逢い」を構築するために、自分ではない、不本意な自分を演出する必要 性に苦しんでいる人も多いと思います。 口ばかりが上手くて、綺麗に装うのが上手い奴だけが、出逢いの門に立てる のだろうかと問われれば、私は自信を持って答えることができます。

その通りです。

ですから、「一緒になって貰うために、地に這いつくばい、泥をすすり、自 尊心を投げうって、彼女の足を舐めるような屈辱を経て、結婚を承諾して貰った」(http://www.kobore.net/mail8.txtより抜粋)と言う、私の尊敬する人の言葉が、私の胸を熱く打つのです。

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クリスマスイブの今日、私より皆さんに、新約聖書の「マタイによる福音書」 7章13節を贈ります。

「狭い門からはいれ。滅びにいたる門は大きくその道は広い。そして、そこ からはいって行く者が多い。命にいたる門は狭くその道は細い。そして、それ を見いだす者が少ない」

最後に、江端による福音書、第3節A項の第5号にて、今日はお別れしたいと 思います。
皆さん、よいクリスマスを。

「狭い門から入る必要なんぞないし、できれば避けたいのは山々だが、本当の 自分を好きになってくれる人と出逢う為の門は狭い。天国の門なんぞお話にな らんくらい狭い。ナノテクノロジーですら解決できないほど狭い。とにかくうんざりするほど狭い。それを見いだす者は、かなり運が良い」

(本文章は、全文を掲載し、内容を一切変更せず、著者を明記する限りにおい て、自由に転載して頂いて構いません。)

2012,未分類

2002年12月24日
書き人知らず

Tomoichi Ebata さんは書きました: >
> クリスマスプレゼント、と言うことで。

江端さんのひとりごと「英会話スクール出逢い機関論」

共に秀逸なコンテンツでした。
久しぶりに駄文の妙味というものを味わわせてもらったと思います。

> その中の一つに、「クリスマス脅迫症候群」とも言うべきものがあります。

最近は不景気のせいで沈静化した感があったが、まだバブルの残滓が漂ってい た90年代前半頃までは、ホテルが軒並み予約で満杯であったという。 今思えば、当時の若人は何と愚かしい真似をしていたことか。

> 若い頃、私は、
> 一人で街を歩いたら、いかんのか!
> と怒鳴りたくなる衝動にかられていました。

確かに誰彼なく殴りつけたくなるような、荒んだ心象風景を抱えねばならなかっ た時期もあった...(遠い目)

> ともあれ、こういう下らない脅迫観念から離脱できただけでも、結婚は私に
>とって意義があったと断言できます。

この脅迫観念から解脱する解として、もう1つ「枯れてしまう」という解もあ る事を忘れてはなりません。
小生はもう何年も前から、この方法による解脱に成功し、

> いずれにしても、今の私には、街中のクリスマスソングも、電車の中で若い
> 恋人達がいちゃつく様も(そして愚にもつかない彼等の会話も)、まるで、梅が
> 咲きほこる雅な茶会の席で、俳句をしたためながら、ホトトギスの声を遠くに
> 聞くくらい、気になりません。

という境地に立っており、サカリのついたオスとメスが演ずる茶番を、 完全なる「他人事」として相対化する視線を獲得し得ております。

それは、あたかも路傍の石を眺めるがごとき視線です。

イブの本日、みっともなくも若い衆の中には、本当は何の用もないのに そそくさと定時速攻で退社し、周囲にプライベートな用件があることを 無言でアピールする哀しい連中もおります。

無論、解脱した小生はそのようなみっともなさとは無縁であります。

本日は断固として圧倒的に残業を敢行し、小生にはプライベートな用件など 微塵も存在しないことを雄雄しくも広く天下万民に知らしめ、 もって「枯淡の域」とはいかなるものかを、無知蒙昧なる大衆に身をもって 示す所存であります。

※ 本当はね、まるっきり用件がない訳でもなくて、一人で呑み屋に行くの。 そんで、明日は明日で野郎ばかりで寿司屋で呑むの。

2012,江端さんの忘備録

誰も私を「キャバクラ」へも「メイド喫茶」へも連れていってくれません。

「『江端が怒り出す』と思うから」という理由なのだそうです(以前も書きましたが)。

私にはよく分かりませんが。

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「キャバクラ」とは何かを調べてみました。

◯「キャバクラ」は、日本人特有の和製英語で、「キャバレー」と「クラブ」の合成用語

◯歌や踊りのショーを見ながら、お気に入りの女性(ホステスさん)と会話やダンスを楽しむことが発祥で、クラブほどは高くないが、気軽に若い女の子と会話が出来るという、接待サービスの一態様。

◯料金の単位は「1人・時間」

次に料金の相場を調べてみました。

◯基本的に60分5千円で、延長が可能(自動延長もあり)。但し、飲食料金を含まない。楽しく酔っ払って気付くと4時間経っていて、伝票を見ると「3万2000円」ということもある。

◯「事後一斉清算」と「前払い」の2種類もある。当然、店側から見えれば前者が望ましい。

◯「7時~8時4000円/8時~9時5000円/9時以降6000円」くらい。

◯実施例

午後9時から2時間飲んだ場合

基本料金:6000円として2時間で1万2000円

指名料:2000円として2時間で4000円

女の子へのおごり:1000円の飲料を2杯 2000円

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総計 1万8000円

ここにTAXが加わって、ざっくり 2万円

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インモラルな行為もなく、ただ会話をするだけで2万円。

他のサラリーマンは、私とは別口の給料が支払われているのだろうか。

そして、そこでは、一体どんな凄い話術が展開されているのか。

NHKでやっている「日本の話芸」に匹敵するクオリティなのだろうか。

私が、『制御システムのリアルタイム性能』についての話題を振っても、ついてきてくれるんだろうか。

もしかしたら、私が見落しているサブシステムの性能についても、指摘してくれるのかもしれない。

とすれば、「2万円」は、決して高くない。

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なんで、私が、キャバクラについて調べているかというと、先日の打ち合わせで、

「次回の定例報告の資料作成については、作成者として江端を『指名』する」という偉い方の指示があったことに起因します。

「指名された私には、一体いくらの「価値」があるんだろう」と考えたのですが、よく分かりません。

そこで、ケーススタディでアプローチしてみることにしました。

そもそも「指名」という「価値」が、一般的に使われている世界はどこだ。

そういえば、「キャバクラ」と称呼される遊興システムに、「ユウコさーん。1番テーブル御指名でーす」というセリフがあったような気がする。

とりあえず、その世界から調べれば、何か分かるかもしれない。

―― と、まあ、そういう経緯に因る訳です。

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でも、キャバクラの指名料って、1時間2000円程度なんですね。

これなら、多分私の方が高い。

# 根拠はないけど、そうとでも思わないと、仕事なんぞやっていられない。

2012,江端さんの忘備録

「浮気」というものに関して、私はその定義を知りませんし、それをモラルの観点から、どうこう言うつもりもありません。

ただ、「浮気」というのは

『隨分と、コストがかかるんじゃないのかなぁ』

という漠然とした予想があります。

# ここでいうコストとは、「金」と「時間」のことだけです。「リスクコスト」は勘案しません。

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少し気になったので、

「浮気の経済学」

「浮気の時間捻出法」

「浮気の最適化問題」

などのキーワードで、ちょっと調べてみたんですが、客観性を担保した学術論文や特許などは、見つけることができませんでした。

ちなみに、

「30日完成 浮気」

「チャート式浮気方法」

「たった2年で浮気できる方法」

などの、「浮気」未体験者に対するハウツー本は発見できず、

「浮気で儲ける方法」

のようなビジネスモデルは、絶無でした。

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私は、「飲み会」に行く金があれば、その金で「GPSの固定アンテナを自宅の屋根に設置したい」と考える人間です。

# 「GPSの計測誤差から、地震予知ができるかもしれない」という話を聞いてから、週末研究者をやって、自力で調査してみたいなぁと思っていまして。

「浮気」というものが、どういうものか良く分かりませんが、多分それは、「GPSのアンテナを自宅の屋根に設置する」よりは、圧倒的にマジョリティ(多数派)なのだということは、なんとなく理解できます。

取り敢えず、本スレッドに関しましては、私は「GPSアンテナを、自宅の屋根に設置した」後に回します。

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私が、「英語」「ネットワーク」「特許法」のレベルで、「浮気」を語れるようなったら、改めてご報告致します。

2012,江端さんの忘備録

私はいわゆる「テレビドラマ」が嫌いです。

家族で食事をしている時、テレビドラマの視聴は厳禁としていますし、それ以外の時には、私がテレビの音が聞こえない所まで逃げ出します。

世の中には、ほっといたって不幸や不運が溢れかえっているのに、なんで不幸や不運の「創作物」まで見なければならないのか、と思えてしまうのです

テレビドラマは、一般的に主人公に感情移入するように作られていますが、どうにも冷めてしまう。

例えば、「水戸黄門」を「暴力と権力の濫用」と、自然に見えてしまう私は、生まれながらにして、テレビドラマを見る資質を欠いているのです。

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「じゃあ、どんなテレビドラマを見たいの?」と尋ねる嫁さんに、

○家族皆がいつもニコニコしていて、

○子供はきちんと勉強して、順当に成績が伸びて受験に成功して、

○奥さんはご近所とのおつきあいで素晴しいコミュニケーション力を発揮して、

○旦那は仕事で努力を重ねて順当に出世を続け、

○お爺さんやお婆さんは、病気が直って仕事を再開し、若者の規範となり、

○世界から紛争がなくなって、皆が安心して幸せに暮せる世の中になる、

という、テレビドラマなら、是非見たい。

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「視聴率取れるか!」という、嫁さんのツッコミは、まあ、正しい。