2013,江端さんの忘備録

新聞の編集部が舞台となっている、ある本を読んでいたのですが、

新人の買いた取材ルポを、上司が一読すると、その用紙をくしゃくしゃにして、ポイと投げるシーンが出てきます。

「ボツ! やりなおし!!」という上司に対して、

「あ、・・あの・・・どこが悪いんでしょうか」と尋ねる新人に、

「自分で考えろ。誰も教えてくれないぞ」といって、新人に大量の資料を手渡す上司が出てくる場面があります。

今の日本では、こういう「バカげた指導」を行っている職場は、残念ながら存在しているようです。

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こういうシーンが結構な数、見られるのですよ。特に、テレビ番組の、「寿司職人」「大工職人」などの、職人シリーズに多い。

「バカヤロー、お前は俺の仕事の何を見てきたんだ!」

と怒鳴る先輩職人のシーンを見ると、私なんぞは、

―― バカはお前だ。なぜ、大切な仕事の内容ならば、それを体系だてて、順序よく、理解しやすいように説明してやらないんだ。

―― お前にプレゼン能力(説明能力)がないばかりに、新人が効率よく仕事の内容を取得できずにいるんだろうが、阿呆が。

―― 自分が、「寿司握っているだけ」「工具を使っているだけ」で、新人が育つなどという、そんな都合のいい話があるか、馬鹿野郎めが。

と思ってしまうのですよ。

「仕事は盗むものだ」と信じているこういう先輩や上司は、コスト意識がない上に、自分達の持っている技術を「上限」と信じている傲慢さが見て取れて、気分が悪いです。

自分の持っている技術を踏み台として、新人を、更なる高みを目指させるのが、メンター(指導者)というものではないでしょうか。

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ところが、こういうテレビ番組などで、こういう場面が頻出するところを見ると、我々日本人は、「仕事は盗むものだ」というストーリーが大好きなようです。

先輩に責められ、上司に叱責され、何度もやりなおしをさせられ、それでも、最後に成功して、「やればできるじゃないか」という先輩に「ありがとうございました!」と、涙ながら語る新人の台詞で終わる、というストーリーです。

―― 正直、うんざりです。こういう番組。

一人ならチャンネル替えてしまうのですが、食事の時に、家族全員で見ている時などは、つき合わなければならない時もあるのです(また、こういうことを指摘すると、家族の批判の目にも晒されますので、ガマンしています)

でも、どう考えたって、正解はこうでしょう?

(Step.1)先輩が後輩の良くない部分を指摘し、正しいやり方を口頭だけでなく図解や実際のやり方を示して、短時間で所定の技術を取得させる。

(Step.2)そんでもって、同じミスを2回した場合は、それを指摘し、改善がなければ、叱責する。それでも駄目なら辞めて貰う。技術を継承できない者は、不要であるから。

それだけのことですよね。

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ただ、このような構成の番組としたら、到底、視聴率は取れないだろうな、ということは、私にも分かります。

2013,未分類

最近、非常識な悪ふざけを、Twitter等のソーシャルメディアに投稿して、騒ぎになる事件が後を立たないようです。

かかる事件を置こす彼ら/彼女らは、共通して、以下に示す「5重の低能さ」を露呈していると考えます。

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(1)そのような所業しなれば、自己アピールができないという「低能さ」

(2)上記(1)を記録媒体に残すという「低能さ」

(3)上記(2)をネットワーク上に配布するという「低能さ」

(4)上記(3)の行為が社会的に認容されるという見込の甘さや、そのような自体によって発生する影響を推定できないという「低能さ」

(5)ニュース、新聞等のメディアを全く視聴していないという「低能さ」

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これは、「低能 of 低能s」、まさに「低能のエリート」「低能の帝王」といっても言いくらいの、低能さです。

これは、冗談でも皮肉でもなく、心底から敬意に値する「低能さ」だと私は思っているのです。

同じ「低能」であるなら、ここまで極めなければならない。

人間は、どうしても、ここまでの「低能さ」を発揮することは難しいと思うのです。

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それともう一つ、彼ら/彼女らの行為は、素晴しいことをしてくれています。

このような、ニュースになっている程度の規模を発生させている「低能者」は、私の計算する限り、100人には至っていないように思います。

この数は、本当に事件を発生された確定的にGivenな固定の人数であり、その人数以外には当て嵌まらないと言って良いでしょう。つまり、この100人以上の人間には、無関係であることが、はっきりしているからです。

我が国の15~22歳の人口は、ざっくり、960万人ほどいるのですが、その内の、100人というのは、

「10万人に1人」程度です。

これは統計的な観点から見た「母集団に対する歩留まり」から考えても、

―― 驚異的に小さい値です。

このような観点から見ると、「5重の低能さ」は、間違いなく個人の資質に起因するものと断定して良いでしょう。

このような「低能」さを、若い世代全体に一般化する人(マスコミや評論屋も含めて)は、若者に対して「失礼にも程がある」上に、その程度の計算もできない程、自分自身が「低能」であることを主張しているようにさえ見えます。

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私達の世代は「しらけ世代」「遊んでばかりいる大学生」と批難されていました。

しかし、私が知る限り「しらけ」つづけていて、続けられるような勉学ではなかったし、「遊んでばかり」いて、卒業できるほど大学のカリキュラムは甘くはなく、本当に、日々、勉学とのバトルでした(少くとも、私には余裕などなかった)。

ですから、無神経に、このような「一般化」を、マスコミや世間を、心底から

―― 「憎悪」していました。

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若い世代に対する、根拠のない不当な「一般化」は止めましょう。

「五重の低能者」は、その資質として「選ばれし低能者」であり、

世代とは全く無関係に、本質的に根本的に絶対的に「低能」なのです。

2024,江端さんの忘備録

我が家では、2台の「豊作ラジオ」を購入してします。

Our family has purchased two "bumper crop radios."

普段はテレビの音を拾う受信機として、そして非常時の災害情報の入手手段です。

It is usually used as a receiver to pick up TV sounds and to obtain disaster information in an emergency.

私にとっては、調理したり、食器を洗いながら見るNスペ(NHKスペシャル)が、一番楽しいです。

このラジオは電池式なのですが、結構な頻度で電池交換が発生します ―― 毎日使っていますし、つけっぱなしにしてしまうことも多いようなので。

This radio is battery-operated, but the batteries need to be changed quite often -- I use it every day and seem to leave it on a lot.

さすがに、これは「電池がもったいないなぁ」と思っていました。

As expected, I thought, "This is a waste of batteries.

そこで、ジャンク箱の中に入っていた、廃棄したスマホの給電アダプタを使って、電池ボックスに結線したのですが、上手く動きません。

So I wired it to the battery box using the power supply adapter from a discarded phone in the junk box, but it did not work well.

『変だな?』と思い、テスターで電圧見てみたら、0.1ボルトも出ていませんでした。意外に簡単に経年劣化するようです。

' I thought, 'That's odd, isn't it?' I looked at the voltage with a tester and found that it was not even 0.1 volts. It seems to deteriorate over time surprisingly quickly.

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ふと、我が家のそこかしこに転がっている、100均で購入したUSBアダプタから、USBケーブルを分解して、結線してみたのですが、これが「当たり」でした。

Suddenly, I disassembled a USB cable from a USB adapter I had purchased at a 100-yen store, which was lying all over the place in my house, and tried to wire it together, and it was a "hit

ラジオからは、力強い元気な音が出ています。

The radio emits a robust and energetic sound.

災害時には、電池に切り替えられるように、結線は半田付けなどをしないで、リード線を電極に引っ掛けるだけとしました。

To be able to switch to batteries in case of a disaster, the wiring was done simply by hooking the lead wires to the electrodes without soldering.

で、部屋中に運べるように、5m程度のケーブルを引き廻すことになりました。

So, we had to run a cable about 5 meters long to carry it around the room.

これは、これで、面倒なのですが、電池のメリットを捨てた代わりとしては、まあ仕方がないかな、と思っています。

As it were, this is a hassle, but as an alternative to giving up the benefits of batteries, I think it's just how it is.

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私は、電気工学の修士のタイトルホルダーです。

I hold a Master's in Electrical Engineering.

苦労してタイトルを取得したはずですが、日常生活で「電気」に関して役に立っているのは、この程度です。

I have had to work hard to obtain the title, but this is the extent to which it has helped me understand "electricity" in my daily life.

『他の人たちは、ホワイトボードにスペックアウト(書き出す)せずに、他の人に自分の考えを伝えることができるのか?』と、いつも不思議に思っています。

2024,江端さんの忘備録

Raspberry PI4(ラズパイ4)で、ある特定のDockerコンテナが動かないので、頭を抱えています。

I have a headache because a particular Docker container is not working on my Raspberry PI4 (Raspberry PI4).

ラズパイ4から、CPUがAMD(CISCチップ)から、ARM(RISCチップ)に変わりました。

From Raspi 4, the CPU has changed from AMD (CISC chip) to ARM (RISC chip).

ラズパイが、このサイズ(名刺サイズ)のままで、性能を上げるには、低電力消費と高性能を組み合わせたRISC(Reduced Instruction Set Computing)アーキテクチャを使わなければ、やっていけないというのは分かります。

I understand that Raspi cannot do without RISC (Reduced Instruction Set Computing) architecture, which combines low power consumption and high performance, to increase performance at this size (business card size).

しかし、そういう「過渡期をつき合わされるエンジニア」にとっては、災難です。

However, it is a disaster for the engineers dealing with such "transitional periods.

「上司からの、突然の飲み会の誘い」よりも、災難です。

It's more of a disaster than "a surprise invitation for a drink from your boss."

Dockerコンテナは、チップとかOSとかに関係なく動く ―― というのが建前ですが、そうでないことは結構あります。

Docker containers work regardless of chip or OS -- the building block is that they work irrespective of chip or OS, but that's pretty much not the case.

特に、ラズパイでは、私は、この問題に度々巻き込まれてきました。

I have often run into this problem, especially with Raspi.

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さて、このような、システム変更の問題によって「溶けていく時間」をどのように把握するか、重要です。

Understanding how to figure out the "time to melt" due to these system change issues is essential.

このような時間を、『生産性のない時間の無駄遣い』と見るか、はたまた、『将来への必要な先行投資』と見るか、です。

Do you see such time as an 'unproductive waste of time' or a 'necessary up-front investment for the future'?

実のところ、この議論は、あまり意味がありません。

This argument does not make much sense.

というのは、この手の技術上の課題は、放置しておけば、必ず解決するからです。

This type of technical challenge will always be solved if left alone.

今度もコンピュータの性能は上がり続けますし、チップの変更によって動かなくなったソフトウェアもいずれ動くようになります。

Computers will continue to improve, and software that stopped working because of the chip change will eventually work again.

そういうことを、頑張ってくれる人がいるからです。

That's the kind of thing that people do their best to do.

そういう人たちの成果の「おこぼれ」を、ありがたく頂くことができるのが、このデジタル業界です。

In the digital industry, we can take advantage of the achievements of such people.

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先行技術が汎用化されていく時間は恐しく短く、先行開発によって得られる先行者利益は、それほど大きくありません。

The time it takes for prior art to become generalized is frighteningly short, and the first-mover advantage gained from previous development is not great.

先行技術者の利益を守る為に『特許法』というものがあるのですが、デバイス、材料、機械の発明などには、一定の効果があると思います。

There is a "patent law" to protect the interests of prior art inventors, and I believe it has specific effects on device, material, and machine inventions.

しかし、デジタルシステムの発明は、特許法による保護を受けにくいのです。

However, inventions in digital systems are less likely to be protected by patent law.

まず、アルゴリズム自体に特許性がなく(日本では、そう決めている)、そして、侵害立証が死ぬほど難しく、立証できたとしても、取り立てられる金額がショボイからです。

First, the algorithm itself is not patentable (JPO has decided that), and second, it is deathly challenging to prove infringement. Even if we prove it, the amount of money we can get is paltry.

では、なぜ、大手の企業は、金にもならない特許出願を、エンジニアの社員たちに強いているかというと ―― 他社に対して「マウント」を取るためです。

So, why do significant companies force their engineering employees to apply for patents that don't pay well -- to "mount" other companies?

ある特定の技術分野を、沢山の数の特許出願(別に特許査定されていなくてもいい)で埋めつくすことで、「縄張り」を主張するためです。

The purpose is to claim "territory" by filling a particular technical field with many patent applications (even without Patent approval).

「技術フィールドにおける、実効占拠」という感でしょうか。

It may be a sense of "effective occupation of the technological field.

要するに『ここシマに入っているんじゃねーぞ』です。

In short, 'We're in this territory here.'

やっていることは「合法」ですが、その本質は「反社」と同じです。

What they are doing is "legal," but the essence of it is the same as "anti-socialism."

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資本主義経済とは、つまるところ「シマ争い」です。

A capitalist economy is, after all, a "territory war.

私もまた、組織の下っ端の構成員として、「チャカ(拳銃)」ではなく、「ネタ(アイデア)」で、組織のシノギを守っている、ということです。

As a lowly member of the organization, I am also protecting the organization's security not with a "Chaka" (gun) but with a "neta" (idea).

愛のある特許出願

2013,江端さんの忘備録

電子メールを使って、特許法の説明をしていたことがあります。

■特許権が発生する為には、「特許出願」という要式行為が必要である(「方式主義」)。

■しかし著作権の場合は、このような行為を行うことなく権利が発生する(「無方式主義」)

という内容を簡単に判って貰う為に、以下のような文章を作成しました。

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(例2)

『結婚は、所定の要件を備えた当事者間の合意で成立する。YesかNoか』

答えは、Noです。

婚姻届けを提出するという手続を行い、登録されないと結婚は成立しません。

結婚とは、法律行為で、かつ、第三者対抗要件だからです。

ちなみに、「結婚」とは実体としての「愛情」やら「経済力」やらを全く規定しておらず、単なる手続としての法律行為のみです。

今更ですが、「愛」がなくても結婚は可能です。

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つまり「愛のない結婚」という言い方は、一般的にはネガティブなイメージがありますが、法律的にはあまり意味のあるフレーズではないのです。

「愛のある結婚」という言い方のほうが、珍しい。

いわば「愛のある特許出願」みたいな違和感です。

2024,江端さんの忘備録

アマゾンプライムの中に、以下のコンテンツが入っていました。

The following content comes to Amazon Prime.

なんとなく、私の直感が「当たり」を告げているような気がして、嫁さんと一緒に視聴を開始しました

Somehow, my intuition told me it was a "hit," and I started watching it with my wife.

「黒書院の六兵衛」

"Rokubei of the Kuro-Shoin room"

嫁さんは、第1回(全6回)で降りてしまいましたが、私は、WebRTCの調査をしながら、このコンテンツを流し見をしていました ―― で、そのまま、朝の4時までかけて、全話見終えてしまいました。

My wife got off after the first episode (6 in all). Still, I was watching this content while investigating the video distribution server -- and I finished watching all the episodes until 4:00 in the morning.

その時は、あまり感じ入っていなかったのですが、次の日の朝、布団の中で、亡き父のことを思い出して、涙が流れ出てきてしまいました。

I didn't feel much at the time, but the next morning, in my futon, I remembered my late father, and tears began to flow.

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私が知っている限り、私の父は、私の目の前では、ただの一度も弱音を吐くことなくその人生を終えました ―― 私と真逆です。

As far as I know, my father ended his life without a single moment of weakness in front of me -- the exact opposite of me.

一方、ご存じの通り、私は「痛い」「辛い」「苦しい」「やっていられない」を連発し、それを恥も外分もなく、公開し続けている人間です。

On the other hand, as you know, I am a person who keeps saying "ouch," "painful," "suffering," and "I can't do it," and continues to disclose them without any shame or shame.

私のこの内面と外面を一致させる生き方は、多分、自分の心と体を守るという視点から見れば『多分正しい』。

This way of living that matches my inner and outer life is probably right from the perspective of protecting my mind and body.

しかし、そういうことを一切吐露することなく、沈黙し続けた父は ―― 少なくとも、この私に対しては、多くを語り、そして、伝えきった、と ―― 今ならそう思えます。

However, my father, who remained silent without ever revealing any such thing -- at least to me, he said to me and conveyed to me a lot -- now seems to me that he did.

『父は死んだけど、少なくとも私の中で生きている』 ―― そういうセリフを、私は臆面もなく、しかし、確信を持って、私は言うことができるのです。

My father is dead, but at least he lives on in me' -- lines like that I can say, unabashedly, but with conviction.

まあ、私が死ぬ時に、その時、本当の意味で父も死ぬのだろう、と思います。

Well, I think that when I die, then my father will die too, in the true sense of the word.

そして、それで、いいのです。

And, that's fine.

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『私も滅多に見たことがない、満面の笑顔の父です』

の中で、私は、

I wrote the following in my diary,

『しかし、私もこれまでの人生で、"誠実であること"が"誠実でないこと"に、決して負けるものではないことを知るに至っております』

"However, in my life, I have come to know that "honesty" is never inferior to "not honesty."

と書きました。

父は、私に、"これ"を残して逝きました。

My father passed away, leaving me with this.

で、ふと思ったのですが、

And then it occurred to me,

『私も父と同じように、このように誰かに何かを残すことができるだろうか』と考えた時 ――

When I thought, 'Will I be able to leave something like this to someone else like my father did--'

「たぶん無理だろうなぁ」と、今、一人で苦笑しています。

I now chuckle to myself, 'Probably not.'

2015,江端さんの忘備録

(昨日の続きです)

(Continuation from yesterday)

有名なところでは、小惑星探査機「はやぶさ」を模した擬人化イラストやマンガ。

As a famous personification, the illustration or comic of the asteroid spacecraft "Hayabusa."

商品パッケージにも、いわゆる「萌え絵」といわれるものが積極的に採用されていますし、「日本鬼子」(日本人に対する蔑称)を、可愛い女性のイラストに可換したものまであります。

Regarding the product package, "Moe-e," which is pictures of cute, young female characters, becomes to be used positively; the word "Nihon-Oniko"(disparaging terms for Japanese) becomes to be cute girls.

以前の私であれば、これらのイラストを忌避していたかもしれません。

I might be away from these illustrations before.

それに、全ての人の心に、このようなイラストがヒットするという訳でもないと思います。

I don't think that these illustrations hit the hearts of all people.

しかし、それらのパッケージのイラストによって、売上が伸びている事実は、否定しようがありません。

But we don't deny the fact that the sales come to increase by these illustrations.

「萌え絵」そのものではなく、そのようなイラストを使ってまでも商品コンセプトを伝えたいという『気合い』が、高く評価されているのだろうと思うのです。

I think the spirit of hope to bring the product concept to consumers through the illustrations has been valued, not "Moe-e" itself.

それに ――

And, I also believe that

消費電力や制御システムのコンセプトビークルとして、「メイドとご主人様」を使っている技術コラムは、使っていないコラムよりは、ずっと読みやすい

The technical columns, including "maids and master" as a vehicle concept of electric power and control system, are easier to read than not including them.

―― と信じています。

小学生の娘にゲーム理論を教える前には「マンガでわかるゲーム理論」という本を手渡しましたし、職場の自分の席から「マンガでわかる統計学」という本も見えます。

Before teaching my daughter "game theory", I gave her a book whose title was "games theory to understand by comics" and I can find a book whose title is "statistic to understand by comic".

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こういう風潮に、眉をひそめる人もいるのかもしれませんが、私は、

Some people might frown at this trend. However, I think

「目的を達成する為には、どのような手段だって試みるべきだ」

"Any method is good as long as we achieve a target."

と思っていますので、工学・理学分野に、擬人化イラストを導入することを全く否みません。むしろ推奨します。

So, I don't deny using personification illustrations in science and industry fields. If anything, I recommend it.

私は、査読付き論文や、特許明細書の実施例に、「萌え絵」が掲載される日を、心から楽しみに待っているのです。

I look forward to watching "Moe-e" in reviewed papers and patent applications.

(続く)

(To be continued)

2012,江端さんの忘備録

小惑星探査機「はやぶさ」は、5本 映画化されるそうです。

凄い話ですよね。

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昨日、「はやぶさ 遥かなる帰還」を見にいってきました。

「はやぶさ」が危機に陥いる場面での技術者達の対応が『凄い日常感』。

ネットワークエンジニアとしての私としては、

○「1bit通信」や「全空間全周波数探索」の凄さや、

○「プログラムをマシン語(×C言語等の高級言語)で記述している理由」

を、周りの席の人に解説したいという衝動に駆られました。

# 誰も聞きたくはないだろうけど。

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しかし、この映画、いわゆるハリウッド的な「感動」を求める人にはお勧めできません。

「はやぶさの正しい歴史」を、エンジニアの視点から坦々と綴った記録映画として、価値があります。

特に、「システムダウン」で青くなった経験のあるシステムエンジニアの皆さんには、強くお勧めできます。

自分達のテスト環境に感謝できます。

100メートルも離れていないテストルームに置いてある代替機で、すぐにデバッグできたり、ネットワークモニタできる。

少なくとも3600万キロメートルの彼方にあるマシン(応答時間40分)で、ぶっつけ本番のシステム再起動をする必要はないのですから。

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『この状態(供給電源が定格値を超えている)で、システムルックアップ(多分、ブートのこと)すると、システム全停(全面停止)の可能性があるぞ』

というセリフの意味を、役者さんが理解していたかどうかは不明ですが、

少くとも私は、映画館の中で青ざめていました。

2024,江端さんの忘備録

就活面接という名前を借りた、『知財(知的財産権)搾取』があることを、先日、次女から教えられました。

The other day, my second daughter told me that there is "intellectual property (IPR) exploitation" in the name of job interviews.

面接のお題が「次の我が社の新ビジネス」を考えてくる、という内容だそうです。

The subject of the interview was to come up with "the next new business for our company."

このお題は、どの会社も、のたうち苦しみながら、考えて考えて、失敗して、やりなおして、また考えて ―― を、続けている最難関の業務です。

This topic is the most challenging task for any company, as it is a constant struggle, thinking, thinking, failing, redoing, thinking again, and so on.

この最難関の業務を『就活生に考えさせる』というところに、その会社の『いやらしさ』(または、『卑劣』『下劣』『おぞましい』)があります。

The company's "nastiness" (or "meanness," "vileness," or "horror") lies in the fact that it "makes job hunters think" about this most challenging task.

―― これを"知財搾取"と呼ばずに何と呼ぶ?

"What would you call it if you didn't call it "IP exploitation"?"

はっきり言って、私は腹を立てております。

To be clear, I get mad with this company.

『その会社の名前を、ブログで公表したろか』とも思いましたが ―― 次女に類が及んでは意味がありません。

I thought, "Should I publish that company's name on my blog? But it would be meaningless if my second daughter was disadvantaged.

これは、次女の就活が完了した後に、じっくり、ねっとりと、やれば良さそうです。

This issue seems like a good thing to do, slowly and methodically, after the second daughter's job search is complete.

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で、まあ、私、次女に頼まれて、そのネタ出しを手伝っていました。

And, well, my second daughter asked me to help her out with the story.

なにしろ、私は、『王禅寺の特許明細書製造装置』ですから。

After all, I am "Ozenji's patent specification manufacturing equipment.

第一ラウンドくらいファイティングポーズを見せないと ―― 『王禅寺の特許明細書製造装置』の名にかけて。

 

2024,江端さんの忘備録

以前、「他の人が忙しいから」と、私に仕事を振ってきた奴がいました。

I once had a guy who gave me a job because "other people were busy."

『死ね、馬鹿野郎』と、私は、今でも腹を立てています。

'Die, you idiot,' I said, still angry.

こんな言い方では、『私が暇そうに見える』と言われているのと同じです。

In this way, it has the same meaning as 'I look bored.

こんな奴の依頼は『拒否』の一択ですが、業務の場合はそれができないこともあります。

The only option for a request from someone like this is to 'refuse,' but that may not be possible in the case of business.

それでも、私が、このような言い方をされたら、私はその人間のことを忘れません ―― 最悪の印象とともに。

Still, I will not forget the guy with the worst possible impression.

この程度の配慮は、年齢を重ねれば、なんとなくできてくるものですが ―― いつまでたっても、それができない人間もいるものです。

This level of consideration comes with age -- but some people can't do it forever.

例えば、「私(江端)」です。

For example, "I (Ebata).

―― プレゼンを見れば、モテるヤツかどうかは、一発で分かる

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私は、私の言動(ブログやコラムを含む)で、多くの人を傷つけてきたと思います。

My words and actions have hurt many people (including my blog and columns).

『自分だけは例外』などと思うには、私は、これまで色々なことを『語り過ぎてきた』と思います。

I have "talked too much" about too many things to think I am the exception.

人を傷つけない方法は、

How not to hurt people, are, I think, 

「黙り続けること」「語らないこと」「自分の本心を明らかにしないこと」

To remain silent, not speak, and not reveal one's true feelings.

ぐらいでしょう。

もっとも、これはこれで、かなり難しいです。

However, it is much more difficult to do.

ともあれ『「何かを語る」ということは「誰かを傷付ける」と同義である』ということは、覚えておくべきでしょう。

We should remember that 'talking about something' is synonymous with 'hurting someone.

「いい人」で居続けたいのであれば、黙っていることです。

If you want to remain a "good guy," keep your mouth shut.

ちなみに、上記のフレーズの逆相は、

Incidentally, the reverse phase of the above phrase is,

―― 語れば、必ず「悪い人」になる

"Talking will always make you a "bad person.""

です。

「しゃべれば、ロクな目に合わない」―― これは、もう、人生の帰納的経験則といっても過言ではありません。

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ちなみに、上記の「他の人が忙しいから」についてですが、その真偽はどうあれ、この場合に使うべきフレーズは、

By the way, regarding the above "because others are busy," whatever the truth of that, the phrase to use in this case is,

『この件に関しては、江端さんしか頼れる人がいないんです!』

'There is no one else I can turn to but you, Ebata-san, on this matter!

です。

繰り返しますが「真偽はどうあれ」です。

Again, "whatever the truth may be."