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昨夜の大掃除で、長女に使っていたiPod(×iPhone, ×iPad)がでてきました。

実験用として使えるかなぁ、とか考えて、最充電してみたら動くことは確認してみたのですが、『アクティベーションロックの解除』でハマりました。

そこで、家族全員に協力を要請することになりました。

まず、長女本人が覚えていないAppleのアカウントをハックする為に、過去に作った家族全員用の暗号表を解読して、アカウントの解除(他人がやれば、"アカウントの乗っ取り"という)というところまで持ち込んだのですが、別アカウントであるらしいことが分かりました(ここまでのハッキングの努力が水の泡)

この別アカウントについて、長女に問い合わせたのですが「分からん」と言われ、仕方がないのでカスタマーセンターに連絡しました。
シリアル番号は分からないか、と言われて、iPod本体を探してみたところ、『もの凄い小さな文字』のシリアル番号を見つけました。
拡大鏡のメガネでも視認できなかったので、iPhoneで撮影したものを拡大して確認できました。

(言うまでもありませんが、表示したシリアル番号は改竄済みです)

これでシリアル番号は確認できたのですが、今度は「購入店の購入履歴はあるか」と言われました。

もちろん、そんなものあるわけないと思いましたので「それでは、このアクティベーションは不可能、ということですね」と諦めたように呟いて電話を切りました。

『やれやれ、ここまでか』と、iPodを廃棄物用のバスケットに放り込もうとしたところで、嫁さんが、2010年のレシート持って私の部屋にやってきました。

再度、カスタマセンタに電話して、オペレータのタケダさんと協力しながら、情報の入力を続けました。
購入日、購入金額、店舗名、店舗の住所、電話番号、領収書と保証書の写真撮影と送付・・・

先程、申請処理を完了しました。

私、別段、このiPodがどうしても必要という訳ではなく、今、本当に忙しくて死ねるというくらいの状況なのですが ――なんと言うんですねえ、これがダンジョンRPGゲームのようなものでしょうか(私、ゲームやったことないので知らないのですが)。

オペレータさんと会話続けながら、この画面が出てきた時に、思わずガッツポーズしてしまいました。

いえ、本当に忙しいんです。こんなことやっている場合じゃないんです。

あ、今、Amazonから、時計交換用の電池が届いたみたいです・・・仕方ないなぁ・・・

「そこに怪我人がいれば、助けるのが医者だ」と「そこに動かない時計があれば、動かすのがエンジニアだ」というセリフが等価なのかは分かりませんが ――

2023,江端さんの忘備録

ドラマ「きのう何食べた?」は、ドラマ嫌いの私が、珍しく視聴を続けてきたドラマです。

The drama "What'd You Eat Yesterday?" is something that I, as a drama hater, have unusually continued to watch.

ストーリーが簡潔で、面白いからであることはもちろんですが、内野聖陽さんの演技が、『演技であることを忘れてしまう』というくらいに上手いからです。

Not only because the story is concise and exciting but also because Seiyo Uchino's acting is so good that you'll forget it is acting.

私の中の内野聖陽さんと言えば、

Speaking of Seiyo Uchino in my mind,

■NHK大河ドラマ「風林火山」の「山本勘助」

"Kansuke Yamamoto" in NHK's historical drama "Fu-Rin-Kazan

■日曜劇場「JIN -仁-」の「坂本龍馬」

"Ryoma Sakamoto" in the Sunday drama "JIN

ですよ。

これらのキャラクタは、「むさい、汚ない、信念に生きる、ウザイ男」の代表格です。

These characters are representative of the "disgusting, dirty, douchey man who lives by his beliefs.

ですから、「きのう何食べた?」の初回の衝撃は、今でも忘れられません。

So I still remember the initial shock of "What did you eat yesterday? I still remember the shock of the first time I watched it.

番組製作者は、一体何考えているんだ? と思ったものですが、

What were the program producers thinking? I thought,

―― キャスティングミスではなかったんだ

"This was not a casting error."

と、ドラマを企画するプロの凄さを思い知ったものです。

It was a reminder of the greatness of professionals who plan dramas.

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ドラマ「きのう何食べた?」を見ながら、

While watching the drama "What Did You Eat Yesterday? I keep telling myself that.

『このドラマを見るだけで、同性カップルに対して、分かったような気になってるんじゃねーぞ』

"Don't think I know anything about same-sex couples just by watching this drama.

『これからも、ちゃんと、同性カップルや同性婚について勉強を続け続けていなかけらばならねーぞ』

I must continue to study about same-sex couples and same-sex marriage.

と自分に言い聞かせていますが、それでもどうしても一つ気になることがあります。

Still, there is one thing that inevitably bothers me.

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『ドラマの中で作られている食事は、成人男性の食事の量としては、少なすぎるんではないか?』

'Aren't the meals prepared in the dramas not enough for an adult male?'

あの量では、体格を維持できないし、下手すると病気になるんじゃないか、と心配になります。

With that amount of food, I worry that they won't be able to maintain my physique and will get sick if I'm not careful.

私は勿論、私の嫁さんの食べている量より少ない。

Less than what my wife eats, not to mention me.

まあ、ドラマの中で、『彼らは肥満に対して過度に神経質である』という設定は入ってはいるのですが、私は心配です。

I am concerned, although the drama includes the setting of 'they are overly nervous about obesity.'

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私、一時、拒食症になりかけたことがありました。

I, at one time, almost became anorexic.

男女関係なく、皆さんもご注意下さい。

Everyone, regardless of gender, should be aware of this.

「同性婚できないのは憲法違反」札幌地裁が日本初の判断 ―― このニュースが流れた時、私の取った行動は、裁判所の判例DBの検索をすることでした。

2023,江端さんの忘備録

映像の世紀バタフライエフェクト「田中角栄 列島改造の夢と転落」を見ました。

I watched "Kakuei Tanaka: The Dream and Fall of Reforming the Archipelago," The Butterfly Effect in the Century of Images.

私は、心底驚きました。

I was sincerely surprised.

田中角栄という人物は、私とその上の世代の人間に、「金」「権力」「信念(執念)」「正義」「悪」「権勢」「没落」「病気(死)」というものを、創作物ではなく、リアルな現実として示し続けた人物です。

Kakuei Tanaka was a man who continued to show me and the people of the generation above me that "money," "power," "belief (persistence)," "justice," "evil," "downfall," and "illness (death)" are not fictions but realistic realities.

私の価値観の何分の1かは、この田中角栄という人物のあり方に影響を受けてきたことは、どうしても否定できません。

I cannot deny that a fraction of my values have been influenced by how this man Kakuei Tanaka is.

その位の、凄い人物だったのです(私と同じ世代の人に聞いてみて下さい)。

He was that great man (Try to ask anyone in my generation).

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私が何に驚いたか、というと、この「田中角栄」という人物の人生が、『高々45分のドキュメンタリー番組で纏めることができた』ということです。

What surprised me was that the life of Kakuei Tanaka could be summarized in a 45-minute documentary program.

そして、その45分間の内容は、過不足なく、文句のつけようがなく、よくできていたのです。

And the 45 minutes of content was well done, not too much, not too little, not too much to complain about.

―― この番組は"これ"でいい。でも、"これ"でいいのか?

"This program is fine, but is it good enough?"

私は、これまで、NHKのドキュメンタリーを見ては、色々コメントをしてきましたが、今、嫌な汗をかいています。

I have been watching and commenting on NHK documentaries, and now I am breaking out in a nasty sweat.

『江端。お前、NHKのドキュメンタリーを見たくらいで、分かったような気になってるんじゃねーのか』

"Ebata, You think you know what you're talking about just because you've seen an NHK documentary."

と、回りから責められているような気持ちになっています。

I feel as if those around me are blaming me.

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この年末、政治家による裏金の問題が大事件に発展しています。

At the end of this year, the issue of back taxes by politicians has become a significant issue.

『最近の政治家の先生は、随分と簡単に事情聴取に応じるなぁ』『秘書の口は随分軽くなったもんだなぁ』と感じています。

"Political these days are very easily interviewed," and "secretaries' mouths have become much lighter."

このキックバックは、政治資金規制法の理念である「政治活動の資金の流れは、全て可視化する」という理念を、ぶち壊すものです。

昭和の政治家たちの、あの権力への固執、絶対に白状しない根性、必要なら秘書や証人喚問直前の人物を自殺に追い込む(本当の話。興味のある人は調べてみて下さい)までの暴力 ――

That adherence to power of Showa-era politicians, the guts to never come clean, to drive secretaries and people just before testimony to suicide if necessary (true story. If you're interested, look it up)

そういうことが当たり前であり、それ故、検察と政治家の闘いは、世間を巻き込んだ劇場型一大スベクタクルでした。

Such things were the norm; thus, the struggle between prosecutors and politicians was a theatrical spectacle involving the public.

そして、そういう闘いが頻発し、そういう騒動で常に日本の外交と内政は何度も停滞を余儀なくされたのですが、それでも、日本経済は成長をし続けました。

Although such frequent struggles and upheavals always forced Japan's foreign and domestic policies to stagnate many times, the Japanese economy nevertheless continued to grow.

『明日は今日より必ず良い』が絶対的に信じられるほど、当時の日本の国力は強かったのです。

Japan's national power at that time was so strong that people believed that "tomorrow will surely be better than today.

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価値観やルールは時代と共に変化し続け、私たちもまた、その変化に対応しなければなりません。

Values and rules change over time, and we must adapt.

それ故、今の政治家は、今のルールに応じた振る舞いをすべきであって、そして、それが正しい。

Hence, the current politicians should behave according to the current rules, and rightly so.

今の時代に、田中角栄のような人物が現われたら、どん引きされるだけだろうと思います。

If someone like Kakuei Tanaka were to appear today, I am sure he would only be met with dismay.

そういえば、芸能人の方も、色々と騒がしいようです。

Come to think of it, celebrities seem to be making a lot of noise, too.

この時代の政治家と芸能人は、この窮地をどう凌いでいくか ―― "昭和"とは違う、"令和"の闘いを観覧させて頂きたいと思います。

I would like to see how politicians and entertainers of this era will overcome this predicament -- I would like to watch the struggle of the "Reiwa" era, which is different from the "Showa" era.

間違いなく私の一票が入る政党

2013

そろそろ、夏の参議院選挙を踏まえて、街中での宣伝活動が活発になりつつあります。

単に連休中なので、そのような場面を見る機会が増えているだけかもしれませんが。

今回も色々考えて投票することになると思うのですが、財政に関する事項については、特に強い感心を持っています。

持っているのですが、各政党の財政政策が、全く良く分からんのです。

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例として、日本共産党を挙げてみます。

(あくまでも、一例として挙げるものです)

特に、歳入の政策の方を見てみましょう。

日本共産党の歳入ポリシーは基本的に5つ。

■所得税の最高税率を元に戻す

■証券優遇税制を20%に戻し、富裕層は30%以上に引き上げる

■相続税・贈与税の最高税率を元に戻す

■低い大企業への優遇税制を段階的に元に戻す

■大企業の過剰な利益留保を、雇用と中小企業など社会に還元し、家計・内需主導の経済成長路線に変更する

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確かに、この方法は「面白い」と思うのですよ。

新しい産業の創成とか、ベンチャーの保護とか、全ての内閣が取り組んできて、ほぼ100%失敗に終っている「新戦略」とか言う、眉唾(まゆつば)的なものでないところが良い。

むしろ、このような「古典的手法」による、財政対策というのは、私としては、非常に興味深いのです。

「絶望」の2文字でしか表現できない高齢者問題に対して、歳入を社会福祉等に回せるなら、どんな手段であっても構わないのです。

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簡単に言えば、日本共産党の財政(歳入)は、「大企業が溜め込んだ金を、家計に再分配する」という政策と思うのですが、「大企業が溜め込んでいる金」が「家計に再配分」できる程度にあるのか、という基本的な疑問があります。

また、「溜め込んでいる金」は、研究開発投資に回されるのですが、そこを削るというのはもちろん良い考えですが、将来の発展を閉ざすもの事実です。

しかし、発展的成長を望まない財政政策は、それはそれで良いと思う。

原子力エネルギーは勿論、化石エネルギーを使わなくても、江戸時代の江戸(東京)は、当時世界最大都市として機能していた訳ですから、どうせなら、200年程退行した経済というのも、確かに「あり」だと思う。

その上、「鎖国」まで持ち込んだら完璧です。

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問題は、日本共産党が「数値」と「アルゴリズム」を提示してくれないことにあります。

自民党、民主党のような大きな政党は「数値」は出しています。しかし、「アルゴリズム」の方は、提示してくれません。

どんな政策でも良いので、その政策の内容とシミュレーション結果のアウトプットを示してくれれば、私はその政党の誠意を信じれる、と思うのです。

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そこで、提案です。

これは日本の技術者人口1000万人という広大な票田を独占し得る、非常に魅力的な提案です。

『政策シミュレーションのプログラムソースコードを、インターネットで開示する』

シミュレーションプログラムですから、あくまで仮説であり、また、都合の良いパラメータや、勝手な想定サブルーチンを突っ込んでも良いです。

例えば、「2017年4月、iPS細胞による医療産業における課税による収入」とか言う、現時点では発生していない歳入について、自分勝手な仮説のサブルーチンも詰み込んでもO.K.です。

とにかく、そのプログラムをコンパイル・ビルドして回すと、2020年までに、日本の税収(歳入)が、どのように変っていくかが、グラフで表示されるものであれば良いのです。

各政党は、各政党のホームーページで、自分のおかかえ技術者の得意とするプログラム言語で書かれた、シミュレーションプログラムを開示するだけで良いのです。

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この、各政党シミュレーションプログラムが開示する効果は凄いです。

まず、ソースコードを読むだけで、税率、歳入の根拠、人口比率、株価変動、など、各政党が何を考えているか、全部分かります。

マニュフェストなんぞという、かったるいものは読む必要がありません。

第一、マニュフェストは嘘くさい。

「あれ、その財源、そこで使ったら、さっきの政策の原資はどうなるの?」という疑問に全然答えていないと思うし。

コンピュータプログラムであれば、1+1=5などいうことは(悪意のコードでもない限り)発生しませんし。

なにしろ、各政党が、どのような未来を想定しているのかも、ソースコードから一発で解釈可能です。あまりに都合の良い想定は、公に批判されることになります

また、そのソースコードのパラメータを、ちょっとイジっただけで、何が発生するかも、その場で読みとれます。あっと言う間に、財政シナリオが崩れさる、ということも簡単に分かってしまいます。

ソースコードでは難しいというのであれば、エクセルのマクロ程度であっても良いと思います。

必要なのは、「目に見える歳入数値」です。

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私が欲しているのは、「カリスマのある政治家」でもなく「理念や理想を語る政治家」でもないのです。

そんな人間は、もう、いらんのです。役に立たないから。

客観的な数値を提示する、各政党の日本国歳入シミュレーションプログラムのソースコードと、その計算結果があれば十分です。

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ただ、ですね。私は、今でも不思議に思っているのです。

各政党は、相当数のエンジニアがいるはずで、その中には、シミュレーションプログラム程度を組めるプログラマも含まれているはずです(別に経済論に通じていなくても、まったく構わない)。

この程度のシミュレーションは、当然にやっている「ハズ」だと思うのです(それすらもやっていないで、財政を語るなど、詐欺だと思う)

では、なぜ各政党は、そのプログラムを開示しないのだろう、と

開示しない理由がある、とすれば、それは、自分達の主張している方法を、プログラムの計算結果では裏が取れなかった、と考えられます。

それはさておき。

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私は政治家の「人柄」などには、全く興味がないのです。

歳入を増やす方法とその方策を、「言葉」ではなく「数値」で示して欲しいだけなのです。

特に、日本共産党が、各政党の先頭を切って、これらのソースコードまたはエクセル表を開示してくれることを、心から期待しております。

学生のころから「あの党は、財政に関することは、徹頭徹尾、信用できない」という、私の偏見を、ソースコード(エクセルも可)で叩き壊して頂けることを、心の底から期待しています。

立花隆の「日本共産党の研究」という本を読んで以来、いつか自分でも別アプローチで「政党」を理解してみたいと思っていました。例えば、「数値で理解する日本共産党」とか、「自民党マニュフェストとシミュレーション結果」てな、技術書(連載でもいい)です。

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まあ、ともあれ、夏の参議院選挙、これらを実施してくれた政党には、間違いなく私の一票が入ります。

2023,江端さんの忘備録

これまで、私、色々な世界紛争について、えらそうにコメントを書いてきましたが、別段、世界紛争について勉強をしている訳ではないのです。

I have written comments on various world conflicts in a glib manner, but I am not a student of world conflicts.

はっきり言って、私のコメント程度の内容であれば、『ゴルゴ13』を読めば、誰でも語れます。

To be clear, anyone who has read "Golgo 13" can speak to the extent of my comments.

「ゴルゴ13」を長女に買い与えました

もちろん、『ゴルゴ13』が、全て正しいことを書いている訳ではありません。

Of course, "Golgo 13" does not write everything right.

通信技術やAI技術については、かなりの誤解がありますし、最近のITのトレンドは「外している」内容も多いです。

There is a great deal of misunderstanding about telecommunications and AI technologies, and many recent IT trends are "nonsense" in their content.

例えば、『今時、国際電話なんぞするか(SNSの通話機能を使うのが普通)』と突っ込みたくなることもありますが、まあ、それは野暮というものでしょう(苦笑してしまいますが)。

For example, I sometimes feel like saying, "Nowadays, people don't make international calls (using the call function of social networking services is normal)," but I guess that would be a bit of a senseless

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「ゴルゴ13」には、数多くのイスラエルの軍隊や諜報機関が登場します(新谷かおるさんの漫画(例:エリア88)にも多いです)。

Numerous Israeli military and intelligence agencies appear in "Golgo 13" (and many in Kaoru Shintani's manga (e.g., Area 88)).

ゴルゴ13の中のイスラエルの軍隊や諜報機関は、はっきりいって「カッコいい」。

The Israeli military and intelligence agencies in Golgo 13 are "cool," to say the least.

緻密な作戦計画、大胆な実行、知的な現場判断で、ターゲットをピンポイントで破壊、殺害して、忽然と姿を消す。

With meticulous operational planning, daring execution, and intelligent on-the-spot judgment, they destroy and kill their targets with pinpoint accuracy, then disappear without a trace.

本当に「想定外」なのですか?(2011-03-29の日記)

例えば「モサド」は、世界最高のスパイ組織として描かれ続け、私たちのようなゴルゴ13のファンを魅了したものです。

For example, "Mossad" continues to be portrayed as the world's most excellent spy organization, which fascinated Golgo 13 fans like us.

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江端:「今回のガザ地区侵攻、インテリジェンスの欠片もない」

Ebata: "This invasion of the Gaza Strip, there is not a shred of intelligence."

嫁さん:「非武装の市民の殺害を『やむを得ない』と開き直るなんて、見苦しいにも程がある」

Wife: "To reopen the killing of unarmed civilians as 'unavoidable' is beyond unseemly."

もっとも、今回の侵攻を最初にしかけたのはハマスです。ハマスへの報復はイスラエルにとって当然の権利です。

However, it was Hamas that first launched this invasion. It is Israel's right to retaliate against Hamas.

ただ、それも、程度の問題だと思うのです。

But I think it is also a matter of degree.

『自国の民間人が1000人殺害されたら、敵側の民間人を1000人巻き添えにする』というのは、是非はともあれ、一つの落とし所だと思うのです。

I think 'if 1,000 civilians in your country are killed, 1,000 civilians on the enemy side will be collateral damage' is one possible pitfall, regardless of the pros and cons.

しかし、20倍もの非戦闘員を殺害し、今なお殺害を継続している ―― 『本当に、どうかしているんじゃないか』と思う。

But they have killed 20 times as many noncombatants and continue to do so -- 'Really, I think they're out of their minds.

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ゴルゴ13の「かっこいい」イスラエル軍や諜報機関は、私の中で幻想になりました。

The "cool" Israeli military and intelligence agencies of Golgo 13 became an illusion in my mind.

というか、それらは『最初から、ゴルゴ13の中だけに存在していたフィクション』だったのかもしれません。

Or perhaps they were 'fictions that existed only in Golgo 13 from the beginning.

2013

今度の寄稿コラムの為、長女の為に「ゴルゴ13」を購入しました。

ゴルゴ13とは、超一流のスナイパー(狙撃手)である国際的テロリストの活躍をベースとして、世界の国際的な政治・経済・宗教・宗教は勿論、軍事、最先端技術を分かりやすく解説する劇画漫画です(江端解釈)。

まあ、正直に言うと、私の国際問題に関する勉強のきっかけは、この「ゴルゴ13」から始まっていることが多いです。

例えば、メジャーな国際問題である「パレスチナ問題」の全体像を把握したければ、「ゴルゴ13」だけで十分でしょう。

もちろん、何もかも正確に記載されている訳ではありません(特に、コンピュータとネットワーク関連では、私でも誤記を指摘できる箇所もある)。

しかし、全体としては、驚異的な知識と学習がベースになければ、到底可能とは思えない程の、素晴しい作品です。

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ゴルゴ13は、自分の依頼を完遂する為に、それぞれの専門家(武器商人、コンピュータエンジニア等)に、色々な機材を発注するのですが、私に言わせると、

―― ゴルゴ13、その発注方法ではだめだ。

と突っ込みたくなることがあります。

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(例1)

技術者:「ということは、ネットワークに過負荷を与えて、通信を不能にするということですか?」

ゴルゴ13:「俺の質問だけに答えろ」

(例2)

武器商人:「あなたは、我が国の権力基盤の一端を破壊しようとしているのか」

ゴルゴ13:「余計な詮索はするな」

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これでは駄目ですね、ゴルゴ13。

背景、趣旨、目的、そして詳細な計画案、問題点、それらを開示することによって、より良い提案がされて、計画が具体化し、作戦の成功率が高まるというものです。

このような秘密主義が、プロジェクトを頓挫させることは、歴史を見るまでもなく明かなことです。

まあ、それでは、劇画漫画としてしては面白くないし、大体テロリストが他人に作戦を開示した段階で計画としてはアウト、ではありますけどね。

それはさておき。

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なぜ、私が「ゴルゴ13」を長女に買い与えたかは、あと2週間程で分かると思います。

2023,江端さんの忘備録

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」の主人公は、一貫して、数学嫌いのキャラクターとして描かれています。

The main character in "My Youth Romantic Comedy is Wrong as I Expected" is consistently portrayed as a character who hates math.

しかし、私は、このキャラクター設定に違和感を感じています。

However, I feel uncomfortable with this characterization.

この主人公は、緻密な人間関係と、自分で発生させたイベントのその後の波及について正確な予測まで行う能力を有しています。

This protagonist can make precise relationships and even accurate predictions about the subsequent ramifications of the events he generates.

人間関係について、彼は、多変数最適解の解法を使っていますし、時間変化においては、人間の忘却関数などを指数関数でイメージしています。

He uses a multivariate optimal solution method for human relationships, and for time variation, he uses an exponential function to imagine the human forgetting function, etc.

つまり、彼は、日常生活で数学を使い回しながら、数学嫌いなのです。

In other words, he hates math, even though he uses it all over his daily life.

これは「数学の目的が、唯一解の求解にある」という、誤った思い込みによる弊害です。

This is a detrimental effect of the false assumption that the purpose of mathematics is to find the only solution.

私は数学の本質は、「ファルミ推定」にあると思っていますので、このようなキャラクターのデザインを本当に残念に思っています。

I regret the design of these characters because I believe that the essence of mathematics is "Falmi Estimation."

「『偏差値25くらいの雑誌』という無知性への批判こそ、あなたの無知性の証拠よ」

というか、たいていのアニメでは、「数学が好き」という奴のキャラクターは、嫌な奴だったり、敵だったりする、となっていますね。

I mean, in most animations, the character of the guy who "likes math" is a jerk or an enemy.

まるで「数学好き」な人間が、『人格的に劣っている/歪んでいる』かのような描き方です。

It is as if people who "love math" are portrayed as 'inferior/distorted in personality.'

世間の、数学への悪意を感じます。

I feel the world's ill will toward mathematics.

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で、以前、私は、こちらの日記で、

Earlier, I wrote the folloiwng in my journal,

アニメ「葬送のフリーレン」のオープニング(日本語と英語版の両方)を聞かせれば、英語や国語が『人を感動させる道具(あるいは武器)になる得る』という実例を、分かって貰えるんじゃないかなぁ、とか考えています。

―― 子供の『一体何の為に勉強するの?』に対して、大人にはそれに応える義務がある

"Against the child's "What on earth do I study for?" Adults must respond to this question."

と言いました。

この解答の一つとして、

One of the solutions to this, I think one of the answers to this question is that

『数学を勉強すると、新しいAI技術の登場に対して、恐怖心を減らすことができる』

"Studying mathematics can reduce the fear of new AI technologies."

ということは、言えるのではないかなぁ、と思っています。

以前から、私、『AI技術に使われている数学そのものについては、高校数学の範囲で理解可能である』であると言い続けてきました。

I have been saying for a long time that the mathematics used in AI technology can be understood within the scope of high school mathematics.

これに関しては、生成AIが登場している現在であっても、意見を変えていません。

I have not changed my opinion on this, even with the advent of generative AI.

本当は、『自分で簡単なAIコアエンジンを自作」できれば言うことはありませんが、それはちょっと酷かもしれません。

In truth, there would be nothing to say if you could 'build your own simple AI core engine,' but that might be a bit too much.

しかし、「訳の分からないものに支配されている」と思うよりは、「(一応は)理解できるものに支配されている」と思える方が、安心感はありますよね。

However, it is more reassuring to think that you are governed by something you can understand (to a point) than to believe that you are governed by something you don't understand.

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もしかしたら、『支配』という言葉にひっかかりますか?

Perhaps you are caught up in the word 'domination'?

でも、人間は、すでに機械に支配されていますよ。『完了』しているといってもいいくらいです。

But humans are already controlled by machines, you know. You could even say that it's 'done'.

信号機、渋滞情報、ワクチン接種、新幹線の発券システムに至るまで、すでに、私たちはコンピュータの掌の上で踊っているだけです。

Already, we are dancing in the palms of our computers, from traffic lights to traffic jam information, vaccinations, to bullet train ticketing systems.

ただ、『そのコンピュータを作って動かしているのが、私たち人間である』という、その一点のみにおいて違うだけです。

The only difference is that we humans are the ones who make and run the computers.

数学を勉強することで、これらのシステムに対するフォビア(恐怖)は減ります。

Studying mathematics reduces the phobia (fear) of these systems.

AI技術についても同じことが言えるのではないかなぁ、と私は思っています。

I wonder if the same could be said about AI technology, in my opinion.

 

2023,江端さんの忘備録

今、働きながら大学生やっています。またもや苦学生に逆戻りです。

I am now a college student while working. I am back to being a struggling student again.

まあ、今回は「金銭的」ではなく、「体力的」「能力的」な苦学生ですが。

Well, this time, it is not "financial" but "physical" and "ability" struggling students.

研究活動も辛いですが、講義が辛いです。

Research activities are hard, but so are lectures.

オフィシャル言語が「英語」の授業は当然に辛いですが、それ以上に講義の内容が辛いです

Classes in which the official language is "English" are naturally hard, but the content of the lectures is even harder.

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とは言え、講義の内容は興味深いものです。

Nevertheless, the lectures are interesting.

今年度前半の教材は、こちらでした。

Here are the teaching materials for the first half of this school year.

私、以前ゲーム理論の話でコラムを執筆したことがありますが、そのゲーム理論と合わせて登場するのが、ギャレット・ハーディン博士の「コモンズの悲劇」という考え方です。

I have written a column before on game theory, and the idea of Dr. Garrett Hardin's "Tragedy of the Commons" appears in conjunction with that game theory.

「コモンズの悲劇」を学ぶと、多くの人は『人類に資源の共有なんかできない』と簡単に絶望してしまいます(私もそうでした)。

When learning about the "Tragedy of the Commons," many people easily despair (as I did) that 'humanity can't share resources.'

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ところが、2009年にノーベル経済学賞を受賞した、エリナー・オストロム博士は、「コモンズの悲劇」に果敢に挑戦されました。

However, Dr. Elinor Ostrom, the 2009 Nobel Prize winner in economics, boldly challenged the "tragedy of the commons.

彼女は、天然資源に適用される政策分析の基礎を批判した後、コモンプール資源問題が満足に解決された、あるいは不満足に解決された条件を探るために、ユニークな実証データを提供し、「コモンズの悲劇」を防ぐ要因を、豊富な事例を使って紹介しました。

After critiquing the fundamentals of policy analysis as applied to natural resources, she provided unique empirical data to explore the conditions under which common-pool resource problems have been resolved satisfactorily. She used many examples to show the factors that prevent "tragedies of the commons."

『「目から鱗」とは、こういうことを言うんだなぁ』と、私は素直に感動しました。

I was honestly moved by the words, "This is what 'scales from the eyes' means.

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「囚人のジレンマ」とか「コモンズの悲劇」は、理解しやすい簡単な事例ではあります。

The Prisoner's Dilemma or Tragedy of the Commons are easy examples.

しかし、それらを乗り越えてきた人類の英知が、この本には満載です(ちなみに、乗り越えれなかった事例も満載ですが)。

However, the book is full of the wisdom of humanity that has overcome these obstacles (although, by the way, it is also full of examples that could not be overcome).

『人類を舐めんなよ』

"Don't fuck with humanity."

と、諭されているような気がして、少し楽しい気分になりました。

She seemed to make me feel like that and fun.

Review of "GOVERNING the COMMONS" the Chapter 1st

Review of "GOVERNING the COMMONS" the Chapter 4th