2012,江端さんの忘備録

私、ドラマが嫌いで、アニメを見るのが好きです。

嫁さんは、この真逆です。

従って、夫婦でテレビを見るというのは、かなりのレアケースです。

「なんでかな」と考えてみたのですが、アニメというのは、結構いい技術研究ネタが仕込まれているからかもしれない、と考えてみました。

ロボットとか、戦艦とかでは、それなりの機械工学の知識が含まれていないと、理系男子でなくとも、薄っぺらく感じてしまいます。

時空間(タイムトラベル)ものにいたっては、相対論やら量子論までもを配慮したシナリオが記載されているし、遺伝子関係についても相当の専門分野の話が入ってきています。

『見ていると、なんか賢くなった気がする(正確には、分かったような気がする)』という魔力が、(ある一部の)アニメにはあるのです。

特に、私のように、技術ネタでコラムを書く人間にとっては、ネタ元としては、結構、舐めてかかれない程の情報が含まれているんですよ。

・・・というのは、多分建前で、まあ、好きなんですよ、私は。特にSFのアニメは。

ただ、私の嗜好が強すぎて、同時に2つ以上のアニメを継続して見る、ということが滅多にありません。

もっと技術的に難しくて、専門的で、基本的には筋が通っていて、技術者が主人公である。そういうアニメは、なかなかないものでしょうか。

# イメージとしては「さよならジュピター」だけど、映画化だけでなく、アニ化メまで失敗されたら、私は立ち直れない。

さて、それはさておき。

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SF以外のアニメの設定では、「不良」「部活」そして「生徒会役員」を扱うものが多いようです。

部活も、かつてはスポーツ部と決まっていたものです。

しかし、最近では、文系も多くなっていますね。漫研、文芸部、ブラスバンドなどはあったのですが、軽音、古典部、かるた部とか、(すみません。ちゃんと見ていません)

―― すごいダイバーシティだ、と思います。

私の世代から見ると、このダイバーシティ(またはバラエティ)は、とてもうらやましい。

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ダイバーシティと言えば、今や「武装する図書館のアニメ」まであるくらい(すみません。見ていません)なのですから、どうでしょう、いっそうのこと、

○政権党(内閣を含む)と野党を取り扱うアニメ

○島の領有権を争う多国間の思惑を取り扱うアニメ

○列強によって分断された国家を取り扱うアニメ

など、誰か企画してみませんか。

なんか、ツイッターを追ってみると、どうもこの手の話題になると、表層的な感情論で、簡単にヒートアップする内容が多くて、正直うんざりしています。

なんの為に、私達は義務教育や受験で、世界史や日本史の勉強をさせられてきたのやら、と溜息がでてきます。

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「歴史」という教科の存在意義は

(1)過去において、この手の隣国間のトラブルなんぞ腐る程あり、

(2)概ね時間の経過(まあ、3ヶ月も必要ない)で軽く忘れ去られ、

(3)忘れ去られる前に、一部の馬鹿が火をつけて、時々回復不能な事態(戦争等)に発展させてしまったこともあり、

加えて、

(4)外交上「白黒はっきりさせない」という戦略が、過去において相当有効に働いてきた

という史実(歴史的事実)を学ぶものだと、私は思っています。

「いい国(1192)作れず、鎌倉幕府」などという、下らない暗記をすることが、歴史の勉強の目的ではないと思っています。

『今回の事件は、過去のあの事件に似ているなぁ』と冷静に把握し、可能な限りの背景事実を収集した上で、筋の通った論理的な主張をすることは、正しいかどうかはさておき

―― かっこいい、とは思う。

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ジオン公国と地球連邦政府(すみません。ガンダムのストーリー全く知りません)の歴史を知る、その気力の1/10で十分です。

隣国と自国の歴史を勉強してみることは、結構良い方法であるし、現実に必要であると思うのです。

でも、多分そんな、楽しくもないこと、誰もやりゃしませんよ。

ならば、いっそ、アニメという手段で、国際政治な動きの裏側を、軽いノリと笑いで表現して、隣国を理解するというのは、良い方法だと思うのですよ。

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いや、難しくないですよ。

我が国の首相や内閣のメンバ、隣国の大統領や中央政治局常務委員を、全員、

「美少女アニメキャラクター」

として制作すれば足ります(多分)。

半分くらいは、真面目な提案です。

2013,江端さんの忘備録

「宇宙戦艦ヤマト」は、私に

■科学技術の夢とロマンと、

■商業主義の汚さを、

これでもか、これでもか」いうくらい教えてくれた、「大人の階段」を、完璧に具現化してくれた作品です。

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まあ、「夢とロマン」の方はさておき、「商業主義」の方は、こんな感じです。

■死んだはずのキャラクターを、「実は死んでいなかった」ことにして、続編を作る

■都合の悪いストーリーは「なかったもの」としてスキップして、続編を作る

こういう、「とにかくヤマトで儲けろ」というスタンスは、「ヤマト」を深く愛していたティーンの心を酷く傷付けたものです。

私の中では、

「宇宙戦艦ヤマト」= 「詐欺」

という構図が完成してしまいました。

この影響(か、どうかは分かりませんが)もあって、私はその後、このような宇宙戦争を扱ったアニメに興味が持てなくなりました。

例えば、「ガンダム」なる超著名ロングランアニメについて、私は何も語るものを持っていません。

これは、このような、ティーン時代の「負の記憶」に因るところが大きいと思っています。

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ですから、今、放送中の「宇宙戦艦ヤマト2199」も、

『まだ飽き足らず、詐欺の続きをやっていやがるのか』と、腹だしい思いで、まあ、それでも初回だけでも見てやろうか、と、思ったのですよ。

・・・

・・・

■うん、まあ、あのやたら暑苦しくて、鬱陶しい「古代進」が、まあ、ちょっと言い感じになったかもしれないな?

■「森雪」の設定がなかなか意味深になっていて、悪くない。

■ワープの論理(フィクション)が、なんとなく複雑になって、しかも、ちょっと腹に落ちるようにはなっているな。

■ガミラス帝国が、単なる悪の帝国としてではなく、ちゃんとしたヒューマンドラマとして描かれているのは、まあ、評価できるかな。

■都合の悪い、難しい話を、全部「コンピュータ」に押しつけるというスタンスが、改善されているなぁ。

■波動砲の使用に関して、倫理的観点からの批判が採用されている点は、とても良い。

■初戦において、「地球側から戦端を開いた」という、驚愕の設定を導入した点は、高く評価できる。

■なんか、やたら「ドメル」が、かっこよくないか!!

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まあ、そんなこんなで、私は、日曜日午後5時から、私の部屋を完全に立ち入り禁止にして、テレビを見ています。

宇宙戦艦ヤマト2199公式設定資料集の購入は、決定済みです。

2023,江端さんの忘備録

未だによく分からないもの

Something I still don't understand.

■「中国の全国人民代表大会」における議事決定システム

- Method of deciding the agenda at the National People's Congress of China

具体的に、どういう議論が、どういうやり方でされているのか、さっぱり分からない。

I have no idea what exactly is being discussed and in what manner.

そもそも、この大会での「否決決議」というものがあるのか?

To begin with, is there such a thing as a "resolution of rejection" at this convention?

私は、ニュースなどで見たことがありません。

I have never seen them on the Japanese news.

WikiPediaなどを見ても、よく分かりません。

I'm not sure what to look up on WikiPedia, etc.

どなたか、良い資料や書籍をご紹介頂ければ幸いです。

I would appreciate it if you could point me to some good resources or books.

■「米国の一般教書演説」における、連続のスタンディングオペーション

- Continuous standing ovation in the "U.S. General State of the Union Address"

はっきりいって『気持ちが悪い』。

It is clearly 'weird'.

純度の高い「忖度」を見せつけられているかのような不快感です。

It is uncomfortable as if I am being shown pure "flattery".

どのくらい気持が悪いかと言えば、『北朝鮮の軍事パレードの前席あたりで、狂ったように喜び踊り狂う人々(の演技)』くらいに、気持ち悪いです。

To put it another way, it is as sickening as "people dancing around in the front seats of a North Korean military parade, acting like crazy and joyful people.

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私には、「国会開会時」の「首相所信表明演説」くらいが丁度良いです。

For me, "Prime Minister's policy speech" at the opening of the Diet is just right.

品のない大声のヤジを放つ奴は低能だと思うけど、スタンディングオーベーションよりは、ずっとマシだと思います。

I think anyone who unleashes a loud, ungraceful yell is a lowlife, but it's a lot better than a standing ovation.

2023,江端さんの忘備録

私の所属している研究所では、PCやデバイスの使用者の研究員が管理責任者となっています。

In my institute, the researcher who uses the PCs and devices is responsible for their management.

ですので、資産の棚卸しがある度に、機材が紛失していないかドキドキします。

So every time there is an inventory of assets, I get nervous to see if any equipment is missing.

私の場合、かなり小さな機材、例えば、GPSロガーやボードコンピュータ、小型カメラなどを持っており、これらの置き場所を忘れてしまうことがあるのです。

In my case, I have fairly small pieces of equipment, such as GPS loggers, board computers, and small cameras, and I sometimes forget where I put these things.

この「置き場所を忘れる」というのは、相当に怖いです。

This "forgetting where to put it" is quite scary.

研究所の中を探し回ることになるからです。

This is because I will have to search all over the institute.

本日、これらの小さなデバイス等を含む、多くの機材を一斉に廃棄処理をしてきました。

Today, I have disposed of many pieces of equipment, including these small devices and others, all at once.

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「持っていると怖い」を回避するには、「紛失する前に捨てて(廃棄)しまえば良い」のです。

To avoid the "fear of having it," I should "throw it away (dispose of it) before I lose it.

加えて、手に入れたいデバイスがあったとしても「購入せずにガマンする」です。

In addition, it is important to "hold off on buying" any device that I want to acquire.

これを、ここ2~3年間実施してきたおかげで、一時期は100近くあった資産が、現在十数個まで減りました。

Thanks to the implementation of this over the past two to three years, the number of assets that were at one time close to 100 has been reduced to a dozen or so at present.

かなり心理的にラクになりつつあります。

It is becoming much easier psychologically.

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まあ、これは「広義の"終活"」と言えるかな、と思っています。

Well, I think this can be called "end-of-life" in the broad sense of the word.

今、私の回りでは、学生のみなさんが、「必死の"就活"」で多いに盛り上がっています。

Right now, I am surrounded by students who are excitedly engaged in "frantic job hunting".

ちょっと申し訳ない気がします。

I feel a little sorry for them.

2023,江端さんの忘備録

今、ある技術の過去40年間ほどのサーチレポート(調査報告書)の論文を執筆しているのですが、難航しています。

I am currently writing a paper on a search report for the past 40 years or so on a technology, but it is a difficult task.

昔の情報が手に入りにくいからです。

This is because old information is hard to come by.

例えば、1990年代の書籍を集めようとしても、図書館などでは見あたらないのです。

For example, if I am trying to collect books from the 1990s, I will not find them in libraries.

技術は、常に更新され続けていますので、最新の書籍に入れ替わっていくことが望ましいのは言うまでもないのですが、過去の調査を行う上では、困ります。

Technology is constantly being updated, so it goes without saying that it is desirable to replace it with the latest books, but it is troubling to find research on the past.

―― 歴史学者って凄いよなぁ

"Historians are awesome"

と感心しています。

I am impressed.

たった40年過去に遡るだけでもこんなに難しいのに、その10倍以上のオーダの文献を調べるという苦労は、想像を絶するものです。

It is this difficult to go back just 40 years in the past. The difficulty of researching documents more than 10 times that long ago is unimaginable.

文体は言うに及ばず、そもそも、文字からして違いますしね。

Not to mention the style of writing, the letters are different from the present.

そういうえば、近年の文字認識技術によって、数百年以上前の文献の識字率が随分向上しているそうです。

In this case, recent character recognition technology has greatly improved the literacy rate of documents that are more than several hundred years old.

最新技術が、古い歴史を解明していくということが、心から嬉しいと思います。

I am truly happy that the latest technology is unraveling old history.

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私の方は、苦労はしているのですが、技術の世界が、トレンドによって右往左往している様子を俯瞰できることは、楽しいと思います。

It is a struggle for my research, but I feel fun to get a bird's eye view of how the world of technology is moving left and right with the trends.

世界の研究者が、アイドル(という最新技術トレンド)の『追っかけ』をやっている様子が一目瞭然だからです。

It is because it is easy to know how researchers around the world are "chasing" their idols (the latest technological trend).

「踊るバズワード」です。

It is the "dancing buzzword".

私は、日本の神様(天皇陛下のご先祖)が、結構「ポンコツ」だったという話が、結構好きです。

 

2023,江端さんの忘備録

以前に『轢断のシバタ先生』にお願いしていたレポートを、昨日受けとりました。

I received yesterday the report that I had previously requested from "Dr. Shibata of Run Over".

ざっと読ませて頂きましたが、ワクワクする内容で、直ぐにもそちらの執筆作業に飛びつきたいのですが ―― 今、絶望的に時間がありません。

I've skimmed through it, and I'm excited about it, and I'd like to jump right into the writing process immidiately -- but I'm hopelessly short on time at the moment.

カンファレンスペーパーの執筆に、来期の異動命令、さらには、我が家の自動車が壊れ、トドメは大学での講義の準備です。

I have a conference paper to write, a transfer order for the next term, and our car broke down, and to top it all off, I have to prepare for a lecture at the university

加えて、長女がコロナに罹患したそうです(長女は別の居所にいます)。

In addition, my eldest daughter has contracted corona (she is in a different residence).

なんというか「逢魔時」のロングバージョンという感じです。

It's kind of like a long version of "Oumaga-Doki".

今月のスケジュールが音を立てて崩れ始めており、今日は、色々な人に『ごめんなさいメール』を配送しまくっていました。

This month's schedule is starting to fall apart noisily, and today I was delivering "sorry mail" all over the place to various people.