gstコマンドの"bitrate=1700" と、TCコマンドの"5mbit" の関係で混乱しています。整理して説明をお願いします。

GStreamer (gst-launch-1.0) と tc (Traffic Control) の "bitrate" の意味が異なるため、混乱するのは自然です。以下に、それぞれの設定が どの部分を制御しているのか を整理して説明します。


1. GStreamer (bitrate=1700) の意味

x264enc bitrate=1700
  • GStreamer の bitrate=1700 は、エンコード時のビットレートを指定 しています。
  • 単位は kbps(キロビット毎秒) なので、この場合 1.7 Mbps になります。
  • エンコード後の映像ストリームのデータ量を決定 し、これが ネットワークに流れるデータ量の目安 になります。
  • つまり、GStreamer の設定は「この映像ストリームのビットレートを 1.7 Mbps にしなさい」という指示 です。

換算

  • 1700 kbps = 1.7 Mbps
  • 1.7 Mbps = 約 0.212 MB/s(メガバイト毎秒)
    • 計算式: 1.7 Mbps ÷ 8 = 0.212 MB/s

2. tc (rate 5mbit) の意味

tc qdisc add dev eth0 root tbf rate 5mbit burst 10kb latency 50ms
  • tcrate 5mbit は、ネットワークインターフェース (eth0) の最大帯域を制限する設定 です。
  • 単位は Mbps(メガビット毎秒) なので、この場合 5 Mbps になります。
  • これは 「eth0 から送信できる最大速度を 5 Mbps に制限しなさい」という指示 です。
  • つまり、GStreamer が 1.7 Mbps の映像を送信しようとしても、5 Mbps の帯域制限があるため、この範囲内なら問題なく送信できる

換算

  • 5 Mbps = 約 0.625 MB/s(メガバイト毎秒)
    • 計算式: 5 Mbps ÷ 8 = 0.625 MB/s

3. GStreamer bitrate=1700tc rate=5mbit の関係

(1) GStreamer のビットレートが tc の制限内に収まる場合

  • GStreamer (bitrate=1700 kbps = 1.7 Mbps)
  • tc の制限 (rate=5mbit = 5 Mbps)
  • 1.7 Mbps < 5 Mbps → 問題なく通信できる
  • 映像ストリームのデータ量は 1.7 Mbps なので、帯域 5 Mbps では十分

(2) GStreamer のビットレートが tc の制限を超える場合

例えば、GStreamer の bitrate=6000(6 Mbps)と設定した場合:

  • 6 Mbps > tcrate=5mbit
  • 制限(5 Mbps)を超えているため、パケットロスが発生する可能性がある
  • 映像が乱れたり、ストリームが停止する可能性がある

このように、GStreamer の bitrate は映像のエンコード後のデータ量、tcrate はネットワークの最大許容量を決める ため、両者の関係を考える必要があります。


4. まとめ

設定 役割 値の意味 設定値(例)
GStreamer bitrate 映像エンコードのビットレート 送信するストリームのデータ量 bitrate=1700 → 1.7 Mbps
tc rate ネットワークの最大帯域制限 インターフェースの最大通信速度 rate=5mbit → 5 Mbps

結論

  • GStreamer の bitrate は「どれだけのデータを送るか」
  • tcrate は「送れるデータ量の上限」
  • GStreamer のビットレートが tc の制限内なら問題なし(1.7 Mbps < 5 Mbps)
  • GStreamer のビットレートが tc の制限を超えるとパケットロスの可能性あり(例: 6 Mbps > 5 Mbps)

つまり、現在の設定(bitrate=1700rate=5mbit)では 1.7 Mbps の映像を 5 Mbps の帯域内で余裕をもって送信できる ということになります。

よし、これは分かった。

2025,江端さんの技術メモ

Posted by ebata