2023,江端さんの技術メモ

この週末2日間かけるつもりだった「カメラレディ」を、"grammarly"のおかげもありまして、1日で投稿し、学会へのレジストレーションを終えました。

―― どの評価を信じればいい?

週末エンジニアの、この貴重な一日を何に使うか ――

うん、これに使わせて頂こう、と決めました。

今回、以下のコラムを寄稿致しました。

で、読者の方(Sさん)から、以下のメールを頂きました。

江端智一 様

初めてメールさせていただきます。"S"と申します。
いつも記事・日記ともに楽しく拝見させていただいております。
今回:ChatGPTの記事で一点気になるところがあり、ご連絡させていただきました。

6ページ目以降、「ChatGPTの本体は、ニューラルネットワークです。」とまとめている点は少し実体と異なっている気がいたします。
GPT-3の主要な要素Transformerにおいては、ニューラルネットではなく、Attention機構がその主役です。
(2層のフィードフォワードのニューラルネットは使われていますが、CNNやRNNは使われていないのが特長とのことです。)

・参考① オミータ氏の記事
https://qiita.com/omiita/items/07e69aef6c156d23c538

・参考② 杉山聡氏 「分析モデル入門」
(執筆者の杉山聡氏がYoutubeでも解説しています
https://www.youtube.com/watch?v=50XvMaWhiTY&t=498s)

特に②の受け売りですと、Attention機構は内積を用いた類似度計算が肝とのことです。
ですので、「ChatGPTの本体は、内積を用いた類似度計算です。」という方がしっくりきます。

私自身ソフトウェア(組込)系ではありますがデータサイエンス・機械学習等に詳しいわけではないので、
参考情報として受け取っていただければと思います。

以上、ご確認いただけましたら幸いです。

いつもながら、大変ありがたいことです。私の記事は読者の皆様によって支えられております。引き続き、よろしくお願い致します。

で、改めて確認してみましたが、ご指摘は正しいと確認いたしました。

ニューラルネットワーク(フィードフォワード型と、SoftMax Function)も使っていますが、どちらかというと、「ニューラルネットワークの学習で汗をかく」というよりは、「(文章コーパスのデータを使った?)統計処理&類似度の確率計算をする」という処理が、全体のほぼ9割くらい、という感じでした。

上記のコラムのp.7に記載した「対訳コーパスとEBMT/SMTの関係」の図のイメージに近い感じ、と思っています。

わざわざニューラルネットワークで非線形関係を学ばせまでもなく「Attention機構の内積を用いた類似度計算」で、バッチリ行けるぜ ―― という風に、(私は)理解しました。

うん、ニューラルネットワークなんぞ、使わずにすめばそれに越したことはありません(私は、第2次AIブームで、ニューラルネットワークで痛い思いをしています)。

ちなみに、私、杉山聡氏のYoutubeには、たびたびお世話になっております。今回も、紹介して頂いた映像で勉強致しました。

今回私が驚いたのは、このビデオクリップの最後の方に出てくる、Multi-Head Attention の concatです。このビデオではよく分からなかったのですが、ベクトルXに対して、回転変換(でいいんのかな?)する行列の内積を取る、というのは、まさに類似度計算です。

ただ、今、私が分かっていないのは、行列の回転角をどうやって決めているのだろう、ということです。これってGivenで与えられる値なのか、あるいは、フレーズ(から求められたベクトル)毎に、何かのアルゴルズムを使って回転角θを求めているのか ―― あるいは、私が、全く的外れなことを言っているのか ―― が、まだ分かっていません。

ただ、この技術は、様々な分野(ゲームなど)にも使われているとの話を鑑みれば、「ニューラルネットワーク学習の悪夢」なしに、過去の膨大な情報と行列式だけで、非線形の関連の出力を得られるということになります。

これはAI技術にとって、大きな福音です。アホみたいに膨大な学習プロセスなしに、非線形関係が求められるのであれば ―― 少なくとも、学習計算にかかるコンピュータの電気料金の節約の効果は計り知れません


この度メールでご指摘を頂いた、"S"さんに、最大級の感謝を申し上げます。
また、素晴しい解説記事を書かれているオミータさん、論文調査で困った時にいつでもYouTubeで助けて頂いている杉山聡さんに、感謝申し上げます。

今後も助けて頂く予定としております。
引き続きよろしくお願い申し上げます。

江端智一

2023,江端さんの忘備録

全部の学会論文、と一部の学会のカンファレンスペーパー(予稿集)には、「レビュー」というものがあります。

When I submit all kinds of academic papers or some kinds of conference papers, I have to be checked by reviewers.

3人のレビューア(名前や所属は非公開)が審査をして、これに合格しないと、ペーパーを受理して貰えません。

Three reviews (Name and affiliation not disclosed) check my paper. If they do not pass this, my paper will not be accepted.

先週末、とある国際学会のカンファレンスペーパーが受理されて、ホッとしているのですが、評価結果を読んで、首をかしげています。

Last week, my paper for an international conference was accepted, and I felt relieved. However, after reading the comments on the reviews, I am confused now.

その評価結果を一口でいうと、1人目は『まあ、不備はあるが仕方がないからアクセプト(受理)してやるぜ』、2人目は『素晴しい。文句のつけようがない』と、3人目は、1人目と2人目を足して割った、というくらいの評価でした。

The summary of each review is, the first reviewer said "I found some defects and I complained about it, however, I reluctantly accept it", and the second, "Excellent. Nothing to complain about it". The third reviewer was in the middle of the first and the second.

―― どの評価を信じればいい?

"Which review can I believe?

と、頭を抱えています。

I am in trouble now.

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というのは、受理されたペーパーは、「カメラレディ」という、最終提出の前に、一回だけ原稿を書き直すチャンスが与えられるからです。

Because now I am given a chance to "Camera Ready" I can modify my paper just one time.

―― 厳しいレビューにキチンと対応すると、大規模な修正が必要になるけど、その修正によって、逆に評価が悪くなる可能性もある

If I try to adapt for a severe review, I have to make extensive revisions. However, the value of my paper is going to be worse with the revisions.

からです。

加えて、この機会に、6ページ全部の英文の見直しも必要でした。

In addition, I want to modify all English in whole my paper.

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ところで、私は『ネイティブによる英文チェックの外注』なるものを信じなくなって、久しいです。

By the way, I have not believed in "outsourcing of English check by native" since the incident.

理由はこちらに記載した通りです。

『自分がラクして読めない英文を、寛容に受けいれることが、インターナショナルであり、多様性だろうが』と思うのです。

The reason was written in this diary.

無料の英語チェックサービスを使っていたのですが、この度、嫁さんに頭を下げて(お願いして)、有償版にも入りました。

Recently I have used a free spell check service on the net, and recently I asked my wife to join me in the paid service.

Grammarly: Grammar Checker and Writing App

私、他の英語チェッカーを使ったことがないので、比較はできないのですが、これが「なかなか良い」のです。

I have never been such a net English checker service, so I cannot compare other services. However, this is "really good".

無料版のスペルチェックも役に立ちましたが、有償版になると、さらに、

The free version has been useful, but this paid version provides the following services.

- 定冠詞、不定冠詞(a, the)などをキチンを修正してくれる

- Corrects definite and indefinite articles (a, the), etc.

- 使い方が微妙な動詞(occurとhappen等)、とか、前置詞(for、to、on など)を、直してくれる

- Corrects verbs of subtle usage (e.g., "occur" and "happen") and prepositions (e.g., "for," "to," and "on").

- 副詞の位置の修正を提案してくれる

- Suggest correcting the position of the adverb.

最も感動したのは、

The most I moved is

- 能動態から受動態へのダイナミックなフレーズ変更の提案をしてくれる

- Suggest a dynamic phrase change from the active to the passive.

ですね。

有償版では、修正パターンを選択できる(私は、『アカデミック』を選択)ので、安心しています。

In the paid version, I can select the modification policy ( I chose "Academic"), so I am relieved.

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嫁さんとの交渉の会話です。

The following was the chat with my wife.

嫁さん:「いくらなの?」

Wife: "How much?"

江端:「144ドル」

Me: "144 dollars"

嫁さん:「1月2万円かぁ・・・」

Wife: "20,000 yen a month..."

江端:「いや、"年単位"。でもって、初年度45%オフの特典が・・・」

Me: "No. It is "a year". In addition, I can get 45% off the first year..."

嫁さん:「すぐ入れば」

Wife: "Why not join it soon"

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まあ、私の場合、毎日使うことになるので、十分ペイすると思っています。

Well, in my case, I use this service every day, so it pays enough.

ただ、これまで以上に、デタラメ英語を書くことになるだろうなぁ、とは思っています ――

However, I will continue to use and write my content with bullshit English.

少なくともスペルは、このサービスに丸投げです。

At least about spell check, I will rely on this service.

2023,江端さんの忘備録

Webサイトで、時事問題のコラムを読んでいて思うのですが、

Whenever I read columns about current topics, I always think that

―― なんで、この執筆者は、図や表を作らないんだろう

"Why doesn't this writer make figures or tables and add them in his/her column?"

と、いつも思っています。

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ちょっと今調べてみたのですが、経済関係、政治関係のニュースで、この傾向が強い。

Now I tried to research some columns and noticed that this tends to be the case in economic and political news.

特に、その分野の重鎮と言われている、いわゆるシニアの論説者の「図表の無さ」は、暴力的といってもいいほどです。

Significantly, senior editorialists, so-called "heavyweights" in the field who have ignored the figures and tables, should be blamed.

もしかしたら、エクセルとかパワポの使い方を知らないのかもしれないですが ―― 『それなら、手書きでいいから、描け』と言いたい。

Even if they don't know how to use Excel or Powerpoint, it is no problem. I will say, "Try it with handwritten."

というか、むしろ手書きの方がいい。

Or, instead, handwritten is better.

自分の主張が、はっきりと読者に伝わるからです。

Because it conveys their opinions to the readers.

私(たち)は、時間を節約する為に、仕方なくエクセルとかパワポを使っているだけです。

The reason we use Excel or Powerpoint is to save time.

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私が、図表を重用、というか濫用している理由については、こちらに詳しく書いてあります。

未来の私が、自分のコラムを読んで「過去の自分が、何を書いたか分からなくなる」では困るのです。

You can read more about why I heavily use, or rather abuse, charts, and tables here.

2023,江端さんの忘備録

最近、アニメなどを見ていて思うのですが、

Recently, when I watch animations on TV,

―― 『異世界』に転生しないと、『のんびり』すらできんのか

-- Can't we even "relax" without being reborn in "another world"?

と。

「そうかもしれない」と、私も思うことはあります、

Sometimes I agree with my opinion.

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本日、往復4時間かけて大学に行き、1人の学生の15分間のゼミ発表を聞いて、帰りました(6人中5人が発表をキャンセル)。

Today, I went to college through four houses round trip and heard a student's 15-minute English seminar presentation, and left for home (because 5 out of 6 students canceled their English presentations)

『ここは異世界、ここは異世界、ここは異世界、ここは異世界・・・』と心の中で何度も唱えて、帰宅しました。

I went home repeatedly chanting in my mind, 'This is another world, this is another world, this is another world, this is another world....'

社畜化したシニア社会人の常識や価値観を、若者の学び舎に押しつけるべきではありません。

I should not impose the common sense and values of senior working adults as corporate enslaved people on young people's learning centers.

なにしろ、社会人になれば、洗脳を完了するのに一ヶ月もかからないのですから。

After all, once they become business persons, it takes less than a month to complete the brainwashing of their company.

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"―― だが、その時までは世界は君達のものだ。それまでは存分に楽しむがよい"

"-- However, now, the world is yours. Until then, enjoy it to the fullest."

江端さんのひとりごと「渋谷駅の惨劇」より抜粋

Excerpt from "The Tragedy of Shibuya Station" by Mr.Ebata's Small Talk

2023,江端さんの忘備録

ITエンジニアにとって、USBメモリやHDDクラッシュは、新しいシステムへの強制的な移行を促します。

As an IT engineer, the crush of USB memory and HDD makes me change a new system or device.

災害大国日本も、同じスコープで論じることはできると思います。

We can argue about Japan, a disaster-prone country from the same scope.

ただ、このロジックには『当事者の悲鳴、咆哮、悔悟』が入っていない、という点においても同じです。

However, both logic doesn't include "screams, roars, and repentance."

結果的にマクロで良くても、ミクロの世界では、システム障害も自然災害も「地獄」であることには変わりません。

Finally, even if accidents are good in the long term, both system and natural disasters lead to hell quickly.

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先日、USBメモリがクラッシュしました。

The other day, my USB memory was crushed.

ありふれているけど、いつの時でも頭を抱える状況

で、問題は、この中に私の「プライベートなスケジュール管理ファイルが含まれていた」ということでした。

The problem was that the USB memory stored "my private schedule management file."

MindManagerを使った江端のスケジュール管理方法

まあ、あきらめるしかなかったのですが。

Well, it could not be helped.

金でデータ救出できそうなのですが、いかんせん、高い。

If I would pay for it, the data would be saved. However, the cost was too expensive.

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で、USBメモリのスケジュール管理に懲りまして、今、Web版(クラウド版)のマインドマップの検討を開始しているのですが、

I regretted managing my schedule with USB memory, so I have already started researching Web-mindmap. However,

―― これが流出したら本当にシャレにならん

"It would be embarrassing if these leaked out."

という内容も含んでいますので、かなり慎重に選択しています。

Thinking of such vital data, I am researching the service seriously.

情報流出に対して、病的なまでに対策をしているクラウドもありますが、ザルのような管理しかしていないクラウドもあります。

Against the information leaking, some cloud service providers have morbid measures, but other providers have only monkey-like controls.

とは言え、リモートにあるクラウドについては、最終的には「エイヤ!」と『決断』するしかありません。

However, any cloud is located in a remote environment. Finally, I have to decide whether I make a contract boldly.

あるいは、やれることはやって、それでも壊れる時には壊れるという『諦観』をするしかない、とも言えます ―― システム障害も自然災害も。

Or, we have to accept any crush after doing what we could do, for both system disasters and natural disasters.

2023,江端さんの忘備録

私の同僚に、『こんな感じのものがあればなぁ』とつぶやくと、2週間後に作って持ってくる凄い技術者がいました。

I had a colleague who was a terrific engineer who would mumble, 'I wish I had something like this,' and two weeks later, he would make it and bring it to me.

(この話、何回もしたはずなのに、今回も過去の日記から見つけられませんでした)

(I'm sure I've told this story many times, but I couldn't find it again in my past diaries this time.)

『いやー、できちゃいました』といって、それを見せてくれる彼は、江端が認定した「天才」の一人です。

He is one of Ebata's certified "geniuses" who always can say, "I've done it," and then show it to me.

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提案し、上司に相談し、チームメンバを選出し、予算を申請し、スケジュールを立て、進捗管理して、完成して、テストして、そして、その期間の間に、膨大な金と時間が費されて、そして ―― 自分の最初の提案時の「想い」が、すっかり消えて失くなる。

I make a proposal, consult with my boss, select team members, apply for a budget, set a schedule, manage progress, complete, and test, and during that period, a great deal of money and time is spent. Then -- the "ideal" of my initial proposal is gone and lost.

社会に出てから、私はこのようなプロセスを、ウンザリするほど見てきました。

I have seen many processes since I was a business person.

ですから、たった一人が産み出す『できちゃった』が、いかに物凄いことかを、心底から理解しています。

Still, I know how amazing "I've done it" is from the bottom of my heart.

(彼の成果を、会社の幹部殿が社外に発表を見ている姿を見て、失笑 ――というか嘲笑していましたが)。

I laughed as the executives presented his result to the public as if their results were.

その天才を見て、私が学んだことは、

What I learned from the genius is

『会社に提案している暇があるなら、黙って、とっとと一人で作ってしまえ』

"What I learned from the genius: "If you have time to make proposal material, do it yourself without saying."

です。

これを逆の言い方をするのであれば、

In other words, that is that.

『一人で作れないなら、その段階で半分は失敗すると、腹を括れ』

"If you can't make it alone, you should prepare for half of your failure."

と言えます。

私が、「個人としての技術力」に固執し、そして、週末や連休の全日をモノ作りに費しているのは、こういう理由です。

I have insisted on "private technical skills" and spent my weekend and long holidays making things myself.

もっとも、「個人の力」だけどうにもならないコトはありますが、それは「個人の力」でできるところまでやった『後』に考えることだと思います。

However, there are some things that cannot be done by "individual power," but I think that is something to think ribosome things cannot help where I can do it by "individual power".

思わず「『エンジニアチョイス』の勝利だ!」と叫んでいました(詳しくはコラムをご参照下さい)。

それはさておき。

That's aside.

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我が国の経済状況をロジカルに考えて、結婚は難しいし、出産育児は絶望的に難しい ―― ということについては、よく理解しているつもりです。

From the viewpoint of our nation's economy, marriages are complex, and childbirth and childcare are hopeless. I know it well.

―― もはや、ロジックでは、結婚はできない

"Nobody can get married logically."

これが、私が各種の統計データや数字から導き出したファイナルアンサーです。

The result was my final answer from static data and numbers.

このようなロジックを超えるものがあるとすると、

If there is something beyond the logic, it might be,

『できちゃった』

"I've done."

しかありません。

『できちゃった』というリーサルウェポンだけが、結婚を、当事者としても社会としても強制的に受け入れさせる、最後の砦といっても過言ではないと思います。

The ultimate weapon of "I've done" might be the last straw to make society, relatives, and the couple accept the marriage.

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現代社会、または個人の閉塞感に対して、私たちの背中を蹴り倒すものがあるとすれば「できちゃった」くらいしかありえません。

What kicks our back against the sense of stagnation of society or individuals is just "I've done," I think.

この見解については、江端家の夫婦の認識は一致しています。

My wife and I have already shared the recognition of the thought.

という訳で、もし娘が

Therefore, if my daughter says,

『できちゃった』

"I've done."

と報告してきたら、間髪入れずに、

I will reply to her

『よくやった』

"Well done!"

と言えるように、私は、準備を完了しています。

I have already prepared for the time.

2023,江端さんの忘備録

トイレで一人でお弁当を食べることを「便所メシ」というそうです。

Eating lunch alone in the restroom is called "Benjyo meishi(Lunch in the Toilet)".

いじめられている子どもや仲間外れにされている子どもの話と思っていたのですが、ちゃんと調べてみると、それだけでもないようです。

I thought it was about children being bullied and ostracized, but upon proper investigation, it seems that it is not just that.

―― 快適な閉空間での食事をする為の、積極的なトイレでの食事の利用

"Active use of restrooms to eat in comfortable enclosed spaces"

という観点があるようで、ちょっと驚いています。

I am a little surprised that there seems to be a point of view that.

それは、『私がマイノリティではなかった』ということです。

That is, 'I was not a minority'.

とは言っても、私はトイレで御飯を食べたことないので、そういう意味では経験者ではありません。

However, I have never experimented to eat lunch in a restroom, so I could not be joined.

私は『本を読みながら、一人で食う飯は旨い』と信じていて、グループで食べるのを忌避してきた『孤食の江端』ですから、そもそも、トイレで食べる必要もないのです。

I am a "solitary Ebata" who believes that "eating alone while reading a book is delicious," and I have always avoided eating in groups, so there is no need to eat in the bathroom in the first place.

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私、「便所メシ」なるものが、『ひとりぼっちでいることを、他の人から認識されるのを避けるための行為』だと思っていたのですが、

I used to think that "Benjyo meshi" was "an act to avoid being recognized by others as being alone".

もちろん、そういう観点もあるのでしょうが ――

Of course, there's a point of view that--

『わずらわしい人間関係から逃れて、ゆっくり食事を食べたい』という人が、結構な数いることが分かって、安堵しています。

It is a relief to know that there are a good number of people who want to "get away from the hassle of relationships and enjoy a leisurely meal.

まあ、お局様とか、自慢話しかしない上司とかとか、ネタを提供せず黙り続ける部下とか ―― うんざりですよね。

Well, the arrogant senior woman, the bosses who only brag, and the subordinates who keep silent without providing any stories -- it's disgusting, isn't it?

とは言え、上司から食事に誘われれば、さすがの私も断われませんが。

However, if my boss invites me out to lunch, as expected, I cannot refuse.

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『君にこの本の価値の1/100でもあると思っているのか。ずうずうしいぞ』と面と向かって言える相手は、意外と少ないんですよね。

"Do you think you have even 1/100th of the value of this book? " There are surprisingly few people to whom you can say that to their face.

「え! そんな重大な背信行為を江端さんに働いたのですか?」

2023,江端さんの忘備録

今の時期、体調を崩す人が多いと思いますが、私も崩しています。

I hear many people are sick this time of year, and I am also sick now.

というか、私の場合、不眠、歯痛、アレルギーが、常に巡回しながら発生しますが、今は、アレルギーです。

In my case, insomnia, toothache, and allergies occur in a constant cycle, but now, allergies are coming.

全身がぼんやりした痒さに襲われていて、落ち着きません。

I feel uncomfortable because of the vague itches of my body.

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という訳で、近くのクリニックに診察に行ってきました。

So I went to the nearby clinic for my checkup.

医師:「ハウスダストの影響かもしれませんね。眠くならない薬を出しておきましょう」

Dr.: "It could be house dust. Let me give you some medicines that don't make you sleepy.

江端:「いえ、私、不眠症なので、『眠くなる薬』は、どんな薬でもウエルカムです」

Ebata: "Don't worry. I am insomnia, so any medicine that makes me sleepy is welcome".

実際に、私、「副作用で眠くなる」と言われる薬で、眠くなったことが、一度もありません。

In fact, I have never been sleepy to take medicines that make me sleepy with side effects.

安定剤も効かないことがありますし、下手すると睡眠薬にも『勝ちます』。

Sometimes, stabilizers may not work either, I will 'win' over sleeping pills if I am unlucky.

ですので、

Therefore I want to shout

―― 『私を倒す薬は、名乗りを上げよ!』

"Show me the medicine that will defeat me"

と叫びたいです。

「クスリをくれ」

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先日、巨大なビニール袋を購入して、そこにベッドマットを突っ込み、布団乾燥機から5時間熱風を流し続けました。

The other day, I purchased a big plastic bag from Amazon.com, put my bed mat into the bag, and ran hot air from the futon dryer for 5 hours straight.

その後、ベットマットを掃除機にかけて、『ダニの大虐殺』はできたと思うのですが、まだアレルギーは収まっていません。

I think I have vacuumed the bed mats after the "dust mite massacre", but the allergies have not yet subsided.

ここ週末、自室の徹底的な掃除を心掛けています。

I have been trying to thoroughly clean my room over the past weekend.

私の掃除の理由は、清掃・清潔ではなく、アレルギー対策です。

The reason I make my room clean is not for cleaning and sanitation but for against allergies.

2023,江端さんの忘備録

Windows95が出てきて、インターネットが常時接続になったころ(まあ、「常時接続って何?」という人は、無視して下さい)、私は、実家で、パソコンを設定して、ネット接続ができるようにしました。

When Windows 95 came out and the Internet became always-on (well, if you're asking, "What's an always-on connection?" please ignore me), I set up a PC and connect to the Internet.

ところが、両親は一向にパソコンを使おうとしませんでした。

However, my parents didn't use the PC.

そこで、私は、父の為に、将棋や碁の通信対戦環境を整えました。

So I also installed the net game of "Go" and "Shogi" for my father.

しかし、私は、父が自分でパソコンを立ち上げて、自分でアプリを開いて、自分からそのゲームをやっているところを見るところを、ついに見ることはできませんでした。

However, I had never seen my father put the PC's start button, opened the game apps, and play the games.

結局、私の両親は、ITに全く関わることなく、彼らの人生を終えました。

Finally, my parents had never touched IT in their life.

ここから私が得た教訓は、

The lesson I took from this is the fact of

―― 人から勧められたモノでは、自分を楽しませることはできない

"We cannot enjoy ourselves with anything others recommend"

という事実です。

このように書くと内容は哲学的ですが、実施例はにショボイですが。

Looking at the above, this seems to be philosophical but it is trivial in the real.

例えば、私が他人に勧めらて、試してみて、全くダメだったものの代表は『ゲーム』ですね。

For example, in my case, I was recommended and tried, and finally, it was in vain about "Games".

『メイド喫茶』の敗北については、こちら(後半)に記載しています。

The failure case of "Maid Cafe" was written in this diary(in the latter half).

今、これから発生する数万人規模の死体収容所を作っている ―― って、どこの世界線(ディストピア)の話? と聞きたくなります

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多分、他人の娯楽は、本人以外は制御できない。

Maybe, nobody will control their entertainment except for themselves.

自分の親や伴侶、そして自分の子どもでさえ、です。

Even if they are my parents, partner, and children.

『こんなに便利で楽しいものがあるのに』と、もどかしい気分になるのは分かります。

I know your frustration about "it can be to have something so convenient and fun".

これは仕方ありません。あきらめましょう。

However, it cannot be helped. Let you give up.

私たちは基本的に「やりたいことなどない」のですから。

Because we don't have what we want to do basically.

―― 私たちには、やりたいことなどない

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そういう意味では、好奇心がある人というのは、この変化の激しい時代においては『強い』と思います。

In that sense, people who have curiosity are stronger against this era of rapid change.

もっとも、好奇心があっても、オペレーション(準備とか、手続とか、処理とか)が難しすぎて、結局、深みにはまれない、というケースが多いと多います。

On the other hand, even if you have curiosity, you could not enthuse the object because the operations(preparations, procedures, and processes) are too difficult.

特にIT関係においては、『ITに精通した人間が、家族に最低一人存在するか否かで、その好奇心の生死が決定する』と断言できます。

Especially, in the case of IT, I can say that 'the presence of at least one IT-savvy person in the family determines whether or not the curiosity lives or dies'.

まあ、私の両親のケースでは『ITに精通した人間がいても、ダメなものはダメ』だったですけど。

Well, in my parents' case, "even if there were an IT-savvy(me), it was not enough"