2013,江端さんの忘備録

今、介護認定をペアで受けている両親の今後の対応や、実家のメンテナンス(電気、水道、ガス等のインフラ一般)の為に、年休とって帰省中です。

また、併せて、彼等の確定申告の処理も行っているのですが、

―― まったくもって、分からん

―― この複雑怪奇な制度は、一体なんだ?

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ここで、「制度」を批判するのは簡単です。

私も特許法、著作権法などを(独学ですが)勉強しているので、「公平と正義をギリギリまで担保する為には、法制度や手続が面倒くさくなる」ということは理解しているんですよ。

けどなぁ、この書類を、介護認定を貰っている人間が作成できるとは思えないんだよな。

これって、本当に公平と正義を担保しているんだろうか。

私には、そこに悪意がなくても、結果として「弱い奴から税金を取れ」というシステムとして完成しているように見えて仕方がないんですよ。

文句も出にくいし、早々にいなくなるだろうし。

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今の私は、

「確定申告を計算した結果、戻ってきた還付金を100%全額進呈する」

という条件で、アルバイトを雇う意思があります。

経済学部や商学部の学生さん、この話に一口乗りませんか。

私は、「要介護高齢者が不当に舐められている」と感じるこの不快感に対して、(いいがかりであるのは、百も承知の上で)、権力に対して一矢報いたいんですよ。

2013,江端さんの忘備録

先日、同人誌関係の方へのインタビューを行っていた時のことです。

ノートにメモを取りながら、「どうにも、全体感が掴めんなぁ」と、頭を掻きながら、愚痴っていた時です。

『だったら、江端さん、コミケに参加したらいかがですか』

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コミックマーケット、通称「コミケ」。30年以上の歴史をもつ日本最大の同人誌即売会。

通常は、年2回、夏と冬に東京国際展示場(東京ビックサイト)全ホールを使って開催され、のべ入場者数約50万人という、おそらく世界最大規模のイベント。

断片知識として、「入場に6時間かかる」という話も聞いたことがあります。

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冗談ではない。

体力もないけど、ディズニーランドで20分待つのも嫌いな私が、素人のコンテンツ売買イベントなんぞに、参加できる訳がありません。

著作権問題が解決されていない作品の取引を見ているだけで、私は怒り出すかもしれない。

無用な紛争を起こすことが判っていて参加するなど、愚の骨頂です。

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『いえいえ、そうじゃないです、江端さん。出店の方です』

―― 出店? 私に漫画なんぞが描けると思っているのですか?

『いや、そうじゃなくて。コラムやエッセイを出せばいいじゃないですか。江端さんのブログを纏めて冊子にしてもいいと思いますよ』

―― え? コミケって、文章も出せるのですか?

『コミケの精神は、「ノンセクションの自己表現」です』

自慢されてしまったようです。

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うーん、そう来たか。これは、予想もしなかった展開です。

「初音ミクコンサート」の参加は娘に随伴を断わられましたが、消費者でなく、提供者としての参加というのは、ちょっと、そそられるものがあります。

同人誌関係は、法律からのアプローチしかしていないが、現場を踏むという想定はしていませんでした。

これは、なかなかコラム魂に火が付く話です。

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―― しかし

今迄、寄稿してきたコラムの内容を省みると、コミケ会場で、関係者から袋叩きにあうんじゃないか、という恐怖が、皆無という訳でもありません。

おそらくは一冊も売れないであろう、私のブログ印刷物を見ながら、ブースに座り続けるのは、相当な苦痛でもあろうと思われます。

そのブースで、一人、黙々と原稿を書いている自分が、簡単に想像できてしまいます。

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結論:うん、やっぱりダメだな。

あの時は「考えておく」と言いましたが、現時点で、その気はなくなりました。

しかし、これを読んだ編集担当者さんから『是非行って下さい』と言われたら、ちょっと困るな。

2013,江端さんの忘備録

JTの広告に面白いものがありましたので、 ご紹介します

後半のみ抜粋します

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今、私たちがマナー広告を

継続的に発信しているのは、

ルールを守らない

喫煙者が多いからではありません。

ルールはもちろん、マナーにも配慮している

喫煙者は、確実に増えています。*1

一部のルール違反者、あるいは

マナーの気配りが足りない喫煙者に、

今の自分の行動に気づいてほしい

と考えているからです。

もちろん、マナーだけで

すべてが解決できるとは思っていません。

しかし、私たちは、

一律的な全面禁煙には、反対します。

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と、ここで、このメッセージの文章が、唐突に突然終了するのです。

凄い違和感を感じます。

普通の文章であれば、「しかし、私たちは、一律的な全面禁煙には、反対します。なぜなら、・・・」と続くはずです。

小論文のテストであれば大きな減点対象ですし、論文ならリジェクトされかねない重大な瑕疵です。

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それにしてもですね、「一律的な全面禁煙」って、明らかに有効な根本的解決策ですよね。

これに反論できる人っていますか?

「一律的な全面禁煙には、反対します」と言う以上、この解決策に欠点があることをキチンと示さなければなりません。

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これは、米国で、本当にあった話なのですが、たばこ会社がちゃんと試算しているのです。

(Step.1)喫煙を認容する

(Step.2)→国民の寿命が短くなる

(Step.3)→高齢者対応の財源(年金)の大幅な削減が可能となる

(Step.4)→国家の財政が助かる

(これも、ハーバード熱血教室(回数失念)で見た内容です)

「働けなくなった人間は、さっさと死んで貰うことが、社会(の財源)に資する」というのは、勿論、―― 悪魔の論理ではあるのですが ―― 嘘ではありません。

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まあ、ここまで言わなくても、

「我々の雇用がなくなる」とか、・・・、うん、これも言わなくていいや。

ならば、どっかららデータを持ってきて、

「タバコがストレス社会における、一定の役割を担っている」

程度の理由は明示すべきでしょう。

私は、ここではタバコの是非については言っていません。

ただ、「いい大人が書いているんだから、ちゃんとした文章にしなさい」と言っているだけです。

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ところで、私がマナー広告の文面を作れ、といわれたらこう書きます。

―― 「排便行為」が生きていく上で必要であるように、ある人にとっては「タバコを吸う」ことが必要である人がいます。

―― だからといって、私達は、だれしも、人前で「排便」をしながら会議をしたり、「排便」をしながらごはんを食べたり、「排便」をしながらお酒を飲んだりはしません。

―― あなたの「ウンコの匂い」を嗅がされる人の「苦痛」に想いを馳せましょう。

―― 「ウンコ」はトイレで、「タバコ」は分煙室で。

―― JT

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上記のキャンペーンメッセージ、自由に使って頂いて結構です。

2013,江端さんの忘備録

現在、我が家では7台のパソコン(うち2台がサーバ)が稼動中です。

今どき、パソコンが2台以上というお家は普通にあると思い、これらをLAN(ローカルエリアネットワーク)で繋ぎたい、というニーズも十分あることと思います。

ということになると、配線が不要の「無線LAN」の使用が主流になっていると思います。

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しかしですね、無線LANは、時間や天候(温度や湿度)などで、簡単にスループットが変化し、YouTubeとかを使っている人はどは、イライラすることが多いと思います。

(「え、そんなことないよ」という人。そこで黙って静かにしていなさい)

家中に、有線LANのイーサネットを配線しましょう。

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このように考えると、すぐに「壁の中にどのように入れこむか」「業者に頼まなければならない」「コストが・・・」と考えてしまう人が多いと思いますが、その発想、間違っています。

窓の外を走らせれば良いのです。つまり、屋外配線です。

「壁に穴なんて・・・」という発想している時点で負けです。

フラットケーブルを使えば、サッシの窓枠で十分挟み込めます。頻繁に開閉しない窓であれば、ケーブルが痛むこともありません。

それに痛んだら、交換すれば良いだけのことです。

私はイーサネットケーブルを、雨樋(あまどい)の配管に、結束バンドで括りつけて、1階と2階をイーサネットケーブルで繋いでいます。IP監視カメラ用に庭にも走らせておりますが、かれこれ3年以上も問題ありません。
photo

スループットは安定しているし、原因不明の通信不良もない。pingで追跡すれば、断線箇所は直ちに特定できるし、面倒くさい暗号化も不要で、WEP,WAPのパスワードを忘れてえらい目にあうこともなく、セキュリティも万全。

有線LAN! 万歳!!

ちなみに、私、日本で一番速い電車の「無線LAN」に係わった技術者です。

まあ、それはさておき。

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リビングのパソコンに、私の愛用しているキーボード(ハッピーハッキングキーボード(HHK))を設置したのですが、本日、撤去させられました。

家族から、「使い難い」との不評の圧力に屈しました。

私は、外出先にHHKを持ち歩くこともあるくらいの愛用者で、私の「筆記具」といっても良いくらいです。

家族にとっては、CTRLやSHIFTキーの配置が異なる、漢字カナ変換のキーが異なる、など、そのクレームの理由は正当であるとは分っているのです。

しかし、二人の娘達には、いずれは、LinuxのCUI(コマンドラインユーザインターフェース)で、PerlやRubyで、バッチプログラムをさくさくと書いてしまるようなスキルを身につけて欲しい、と思うのは、

―― 娘を持つ全世界の父親の「共通の願い」

であると思います。

そうですよね。私、間違っていませんよね。

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父親にHHKを撤去させるなど、

「そんなことで、世界を震撼させる一人前のハッカーになれると思っているのか!」

と、今夜あたり、娘達を説教をしたいと思っています。

2013,江端さんの忘備録

東京都議会選挙の結果は、どうでも良いのですが、その投票率を見て愕然としました。

"30%"に達していない。

このことをもって、「未来を放棄している」と非難するのは簡単ですが、有権者にも言い分はあります。

「お前たち(立候補者、各政党)の言っていることは、分からん」

起きている時間の大半を、政治的な活動をしている政治家たちと違って、有権者である私達は、日々仕事や育児、子どもの教育などで、毎日忙しいのです。

候補者が投票して欲しいのであれば、政治について考える時間が「一日5分以下」の我々に向けた「プレゼンテーション」を考えろ、ということです。

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この「プレゼンテーション」で一番効率的なやり方は、「経済効果」です。

「経済効果」は、「一日5分以下」どころか、「一日の時間のほぼ全部の時間」に対するアピールになるからです。

「経済効果」とは、詰るところ「金」です。

原発問題でも、高齢者福祉問題でも、少子化問題でも、若者の就労問題でも、全部「金額」に換算して計算すれば助かるのですけどね。

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そうなると、有権者側にも、金額に対するスケール感が必要になります。

これは「教育」が担当する範囲になります。

例えば、・・・

と書き出してから、ちょっと国家予算について、調べてみたのですが、これが良く分からんのです。

一般会計とか特別会計とか、ぐちゃぐちゃで、一度、自分で理解してみないと、とても、書けそうにありません(ので、また別の機会に)。

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前にも書きましたが、娘たちには、「国家に関する金であれば、とにかく、1億(人分)で割ってみろ」とは言っています。

■日本のGDPが、だいたい500兆円だから、国民一人あたりが稼いでいるとみなせるお金は、年間500万円

■日本の国債発行残高が、だいたい1000兆円だから、国民一人あたりの借金は1000万円

■「宇宙兄弟」で有名になった、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の3,390億円は、国民一人あたりの負担でいうと、年間3390円くらい、―― 映画館に年2回いく位の感じ。

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街頭演説は、「あなたの財布から○○円貰います」「でも△△の為に有効に使います」と、数値で語れ。

政治に関しても、いつまでも、「1円、2円、3円、・・・たくさん」では、立候補者も有権者も、恥かしい。

2013,江端さんの忘備録

10月に部署を異動したのですが、異動先の共有ルームに「ニューズウィーク日本版」が陳列されていたので、毎日読んでいます。

Last October, I moved to another section, and I found "Newsweek (in Japanese edition) " in the shared area. I read the past issues every day.

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「ニューズウィーク」には苦い思い出があります。

I have a bitter memory about "Newsweek".

大学入学直後、新しい希望に溢れていた私は、どの大学生とも違わず「これからは英語が大切だ」と思い込んでいました。

After entering the college, I was a new fresh student in the full of hope, and I believed that I had to study English very hard.

そして、無謀にも「ニューズウィーク(×日本版)」の年間定期購読を申し込んでしまいました。

Recklessly, I admitted the annual subscription of "Newsweek (in English edition)".

結果は言うまでもありません。

It went without saying that the result.

一ページも開かれない「ニューズウィーク」が、床に詰み上げられただけでした。

Many Newsweek not be opened at all had been stacked on the floor.

そして、このような「自分の能力を客観的に把握できない」「無謀な希望に満ちた若者を狙った」英語商法は、今なお健在です。

Now the business like that, is going strong, that targets young guys who cannot grasp their English performances by themselves, and are full of reckless hope.

営業から見れば、私なんぞ、笑いが止まらない「カモ」ですよね。

I had been a top of the sucker list, and the sales reprehensive had not be able to stop laughing.

会社員になってからも、社員寮の玄関に、英字新聞が配達されているのを見ると、「ああ、ここにも『カモ』になった新入社員が・・・」と思ったものです。

After joining the company, whenever I found English-language newspaper in my co-worker's post in the dormitory, I was afraid that the victim was in here.

最近は同じような商法を、日本経済新聞などがやっていますよね。CMで大々的に。

Now some economy newspaper company did some business using commercial messages.

まあ、それはさておき。

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で、そこから30年近い時間を経て、ようやく「カモ」から卒業した私は、「ニューズウィーク日本版」を日本語で読んでいます。

After about 30 years ago, I was graduated from the sucker list and read "Newsweek in Japanese edition" everyday.

私が「ニューズウィーク(×日本版)」を読めなかった理由の99%の理由は、その能力の欠如ですが、仮に能力があったとしても無駄だったろうと、今になって思います。

Though I know the reason why I couldn't read the magazine was the luck of my English performance, even if I had the performance, the result was same.

―― 内容がつまらん。

"Bored"

「米国大統領の動向」「米国の経済」「中東情勢」「テロ」、こんなネタが、私にとって面白いものである訳がない。

Am I interested in "U.S. president current", "Economy in the U.S", "Middle East situation" and "terror attack" ?

そもそも、コンテンツが私向きではなかったのです。

First of all, the contents were not suitable for me.

コンピュータ、制御LAN、GPSというような記事であれば、英語でも踏ん張ったかもしれませんが、大学生の頃の私であれば、それすらも読まなかったでしょう。

Though "computer", "control network", "GPS" might catch me, it was also meaningless for me in campus life.

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このような英語雑誌等の「カモ」商法。当然批判されるべきものですが、それを言い出すことができる人がいないところに、この商法の巧さがあります。

This sucker list business should be criticized violently, but none of them accuse the business.

でも、どこかにいないかな。

Whoever tries to accuse the company, with saying,

―― お前のところの雑誌、私には一行も読めんぞ!

"I can't read just one line in your magazine."?

と文句を言えるクレーマ。

2013,江端さんの忘備録

来週から、私は暫くの間、松葉杖で出社します。

説明が面倒くさいので、簡単に言うと、

「ベビーカーを追いかけて、肉離れをおこした」です。

世の中のお母さん達にお願いです。

「ベビーカーは、空車であっても、ちゃんと車輪をロックして下さい」

それともう一つ。

松葉杖って、結構体力使います。

あれは、脇で支えると、脇の方で肉離れをおこしかねません。

階段の登り降りでは、北アルプスを縦断した時の、山岳サークル(1年で辞めた けど)を思い出しました。

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以下、報告書より抜粋

========== ここから ==========

4.災害発生時の経緯

(1)報告者は、上記パチンコ屋前に並列する小児外科医院の前に停められていたベビーカーが、風に煽られて車道側に落ちていく状態を視認した。

(2)報告者は、瞬時に、そのベビーカーを停止させるべく走行(ダッシュ)を開始。直後、内耳から、左脚脹脛の裂割音(いわゆる「ブチッ」という音)を確認し、激痛で歩道上にうずくまるに至る。

(3)視認でベビーカーが無人であることを確認後、近くの電柱に掴まり、身体の自己チェックを行った。

5.災害発生後の経緯

(1)まず会社の同僚に負傷した旨の連絡を入れた後、片足歩行で、駅のタクシー乗り場に到着し、そのまま病院に行き、整形外科にて受診した。

(2)レントゲン等のチェックを経て、筋損傷(筋肉の損傷)(いわゆる「肉離れ)」と診断。自然治癒以外の治療方法はなく、全治2週間との診断を受けた。

(3)上記(2)の後、総務部、部長、課長への全員への連絡を完了。

(4)松葉杖を貸与され、病院から駅までは巡回バスを、駅から歩行にて会社に到着。その後、総務部から各種の手続(本速報、および通勤災害報告書他)の指示を受ける。

========== ここまで ==========

2013

私は、基本的に言語以外のコミュニケーション(身振り、手振り)で、多くの国で何とかしてきました。

もちろん、ビジネスでは通用しませんが、旅行程度であれば、世界中どこでもなんとかしてみせる ―― という、漠然とした自信があります。

ですので、私は、言語に関しては「語彙」を重視する立場で、「発音」など本当にどうでもよいと思っていました。

しかし、先日のNHKのラジオ英会話番組で、私のこの考え方を根本から破壊しかねない事例が紹介されていました。

―― 英語のコミュニケーションの相手は、「人間」ではなく「機械」になる

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確かに、覚えがあります。

米国赴任中、電話をつかって予約をしようとしたとき、電話自動応答システムが対応してきて、色々と質問をしてきました。

『あんたは、何をしたいんだ。次の1~5の中から選べ』

と、まあ、この程度はよいのですが、

『どの空港から、どの空港へ、何日の何時の飛行機に乗りたいのか』

との、問いに対する自動音声システムは、ほぼ100%、

『ごめん。わかんない。もう一度言ってくれないかな(I am sorry, I don't understand what you said. Would you please try it again?) 』

と、の応答してくる。

で、同じ質問を三回された挙句、"Sorry, See you again" と言われて、一方的に電話を切られる。

そして、電話の受話器を持ちながら、呆然と立ちすくむ私がいる、と。

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相手は自動音声システムですから、身振り手振りが通じないのは当然として、聞き返し(Pardon?,Sorry?) や、「私は、あの有名な日本人なんだ(I am a Japanese, you know well)」が、通じない。

これは辛い。

これは、いわゆる私が主張してきた、「江端メソッド」を根底から破壊されかねないトレンドと言えましょう。

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私は、以前、寄稿コラムで、「日本の製造メーカーですら、日本語のマニュアルを作らなくなった」というお話をしました。

このような潮流が、自動音声システムにまで拡張しないと、誰が断定できるでしょうか。

コールセンタの無人化は、経費削減の観点から、絶対に止まりようがありません。これは、システムのエンジニアとして断言します。

そして、多言語対応なんぞ論外。対応言語を一元化したいと思うのは当然のことです。

TPP等によって、生保、医療、その他の分野のサービスが日本への流入してくることは確定でしょう。

日本語対応するが莫大な経費がかかる企業が勝つか、日本語対応しないが安価なサービスを提供できる企業が勝つか、今の段階では断言できません。

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我々には2つの道があります。

A:徹底的に英語の、特に発音に関する教育を徹底的に「破壊」して、機械とのコミュニケーションの芽を今のうちに手折る、という戦略。

B:機会とのコミュニケーションを前提に、発音を最重視する英語学習にシフトする戦略

私としては、どっちの対応も嫌です。

私の第三の戦略は、「C:このようなトレンドが、あと10年来ないことをひたすら祈り続ける」です。

2013,江端さんの忘備録

「宇宙戦艦ヤマト」は、私に

■科学技術の夢とロマンと、

■商業主義の汚さを、

これでもか、これでもか」いうくらい教えてくれた、「大人の階段」を、完璧に具現化してくれた作品です。

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まあ、「夢とロマン」の方はさておき、「商業主義」の方は、こんな感じです。

■死んだはずのキャラクターを、「実は死んでいなかった」ことにして、続編を作る

■都合の悪いストーリーは「なかったもの」としてスキップして、続編を作る

こういう、「とにかくヤマトで儲けろ」というスタンスは、「ヤマト」を深く愛していたティーンの心を酷く傷付けたものです。

私の中では、

「宇宙戦艦ヤマト」= 「詐欺」

という構図が完成してしまいました。

この影響(か、どうかは分かりませんが)もあって、私はその後、このような宇宙戦争を扱ったアニメに興味が持てなくなりました。

例えば、「ガンダム」なる超著名ロングランアニメについて、私は何も語るものを持っていません。

これは、このような、ティーン時代の「負の記憶」に因るところが大きいと思っています。

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ですから、今、放送中の「宇宙戦艦ヤマト2199」も、

『まだ飽き足らず、詐欺の続きをやっていやがるのか』と、腹だしい思いで、まあ、それでも初回だけでも見てやろうか、と、思ったのですよ。

・・・

・・・

■うん、まあ、あのやたら暑苦しくて、鬱陶しい「古代進」が、まあ、ちょっと言い感じになったかもしれないな?

■「森雪」の設定がなかなか意味深になっていて、悪くない。

■ワープの論理(フィクション)が、なんとなく複雑になって、しかも、ちょっと腹に落ちるようにはなっているな。

■ガミラス帝国が、単なる悪の帝国としてではなく、ちゃんとしたヒューマンドラマとして描かれているのは、まあ、評価できるかな。

■都合の悪い、難しい話を、全部「コンピュータ」に押しつけるというスタンスが、改善されているなぁ。

■波動砲の使用に関して、倫理的観点からの批判が採用されている点は、とても良い。

■初戦において、「地球側から戦端を開いた」という、驚愕の設定を導入した点は、高く評価できる。

■なんか、やたら「ドメル」が、かっこよくないか!!

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まあ、そんなこんなで、私は、日曜日午後5時から、私の部屋を完全に立ち入り禁止にして、テレビを見ています。

宇宙戦艦ヤマト2199公式設定資料集の購入は、決定済みです。

2013,江端さんの忘備録

なんの脈絡もなく思い出したのですが、昔、ふと流れていた番組を見て、「凄いなぁ」と、驚いたことがあります。

宇宙警察だったか、宇宙刑事だったか忘れたのですが、ヒーロー戦隊番組がありました。

(調べてみたら「特捜戦隊デカレンジャー」がそれのようです)

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(Step.1)デカレンジャーは、戦闘中に(すでに重犯罪を繰替えしていると思われる)怪人にとどめを刺す直前に、宇宙最高裁判所に連絡し、裁判所の判断を仰ぎます。

(Step.2)宇宙最高裁判所は、即座(2秒くらい)で、◯と×で判決を決め(もちろん、◯になるのですが)、その旨を、デカレンジャーに通達します。

(Step.3)デカレンジャーは、その判決を待って、必殺技で怪人を殺害(死刑執行)します。

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先ず、私が驚いたのは、ヒーロー戦隊番組において、「司法権の独立」という概念を導入した、という点にあります。

デカレンジャーは宇宙刑事であり、当然警察組織に属する公務員です。

警察は行政庁ですから、終審としての判決を行うことはできず、かならず司法(裁判所)の判断が必要になります。

「裁判時間2秒」「判決◯× 」という、めちゃちゃ乱暴な制度ですが(戦場における臨時軍事裁判所だって、ここまで酷くはないだろう)、一応、筋は通している、と言えます。

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次に、驚いたのは、犯罪者を捕縛する刑事と、死刑の執行者が、同一人物であるという点です。これは、全然管轄の違う行政組織が、一体となっているという点です。

このような制度では、怪人の人権を著しく損い、冤罪を誘発し、誤った怪人への刑の執行がされる恐れがある、と感じました。

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多分、これまでのヒーロー戦隊ものに対する、批判をかわす目的があったのかなぁ、などと邪推しています。

だって、ヒーローの彼ら/彼女らは、司法の判断なく、また行政手続を無視して、毎週、独断で死刑執行をやっていたようなものですからね。

デカレンジャーの仕組みでも、なお、冤罪→死刑になった怪人は、かなりいたのではないかと推測されます。

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とは言え「宇宙最高裁判所」という概念は、私に、「その下級審の仕組みははどうなっているんだろう」とか想像させましたし、

「怪人人権擁護局」というものも登場させたら、さらに面白くなりだろうな、と思いました。

デカレンジャーの必殺技炸裂の直前1秒前に、「人権擁護局」からの差止命令が下りた、というストーリーなど考えるだけで、ワクワクします。

デカレンジャーが「えっ?」とか言いながら、必殺技を寸止めするシーンは見ものだと思います。

■「怪人」による宇宙最高裁判所の判決に対するの再審請求や、

■デカレンジャーによる所掌範囲を越えた捜査権の濫用に対する行政審査請求、行政事件訴訟

など、発想は広がり続けます。

楽しいですねえ―― え?そんなことないですか?

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ヒーロー戦隊を作成される番組の皆さま。上記のようなシーンを含めた新しいヒーロー戦隊番組はいかがでしょう。

番組名は、当然こうなります。

「行政と法律と裁判と三権分立を前提に、正義と人権を守るヒーロー戦隊 『インテリゲンチャー』」