2010,江端さんの忘備録

私の大嫌いな台詞の一つに、「○○をやっている人に悪い人はいない」があります。

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○○には色々入りますが、私が見た記憶のある物には、「格闘技」「ラグビー」などがあります。

体育系のスポーツに多いのは、スポーツパーソンが常人より体力を有し、暴力に転換する可能性が高いからかもしれませんが、これは私にも良く分かりません。

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私、高校のころ、ラグビー部のバカに、理由もなく石を投げつけられたことがあります。

私はそのバカが嫌いでしたが、少なくとも、私からそのバカに直接何かをしたことはありません。

気に入らないという理由だけで、こういう所業に及ぶのは、「悪い人」だと思います。

と言う訳で、「○○=ラグビー」は、反例が1つあり、成立しません。

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『○○をやっている人に悪い人はいない』という奴がいたら、そいつと、その『○○』を、私に教えて下さい。

即日、私は、その『○○』に参加します。

そして、世間に対して迷惑な行為をしまくって、沢山の反例を作ります。

2009,江端さんの忘備録

新しく政権党となった民主党はがんばっていると思います。

今のところ、「事業の見える化」は応援したいと考えています。

しかし、実際のところ、私達の仕事(システムの研究)に滅茶苦茶な影響を与えているのは事実です。

イメージとしては、銃弾が豪雨のように飛び回る戦場で、次々と横にいた仲間がバタバタと撃たれて倒れて、気がつくと私ひとりが立っているイメージです。

私も片腕くらいは、手榴弾で吹き飛ばされている感じですが、それでも「仕方ないな」と諦めています。

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だって「研究」だもの。

「研究」というのは、先行投資で、簡単にいえばバクチです。

『バクチの値段を抑えて、子供の飯を買う』と言われて反論できる論理付けなんぞ、できる訳ありません。

ただ、我田引水かもしれませんが、「研究」という奴は、単純な経済法則で「動かない」点が、ちょいと多くの人には分かりにくいと思うんですよ。

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私の勤務している会社の場合ですね、「金を設ける為に研究をしよう」という殊勝な野望をもっている研究員を見たことがないんですよ。

これは、研究者の「知に対する無償の愛」と語ることもできますが、「企業利潤を無視した確信的な犯罪」とも言えます。

「私心なき知の追求」が、経済成長の中にあった時はよかった。

「研究」と「金」が成立しえる余地があったからです。

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「スパコンが本当に必要ですか?」

「ロケットの一部にしかならないような計画が必要ですか?」

私は、計算機センターで、CPUを占拠する時間を延長させる姑息な手段を駆使してきた学生時代から、GPS信号のトリッキーな使い方を検討している現在に至っております。

そんな私ですら、至極当然のあたりまえの質問だと思います。

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『世界一を回復しなければならない』 ?

違うだろう。

『このスパコンの研究を続ければ、20年後に、24時間前の地震予測を95%で達成でき、経済効果は、2050年から100年間で50兆円、のべ500万人の人命が助けられます』

『このロケットの研究が具体化すれば、2050年には、火星上に我が国が主張しうる領土が担保され、2100年迄に、1000万人の火星移住を実現し、資源、環境問題などという瑣末な問題を全て解消します』

と、嘘でもいいから、なぜ言えない?

「俺が死んだあとに、俺を誰がどう評価しようが知ったことか」と、言える我が国の役人は、もういないのか?

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「じゃあ、お前には言えるのか」と問われれば、はっきりと答えましょう。

言えないです。研究者だからです。

「インディアン、嘘つかない」とはインディアン自身が言いますが、研究者は皆、嘘が「つけない」のです。

正しい倫理観、基本と正道の理念・・・ではなく、嘘をつくと、コスト負担が大きくなるからです。

面倒なことに、研究者という奴は、嘘と次の嘘の間にも一貫性を持たせようとします。

一の嘘を論理的に帰納させる為には、指数関数的に増大する嘘の連鎖を、矛盾なく完成させなければならないという滅茶苦茶な労力が発生し、

そして、何より我々が最も辛い一言が、

「それ、論理矛盾していない?」

です。

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研究者を友人、または伴侶に持っている方は一度試されると良いかもしれません。

その友人や伴侶が、訳の分からないことを喋っていて、困った時にに言うセリフは、「よく分からない」ではありません。

内容はどうでも良いです。

とにかく、

「それ、論理矛盾していない?」

と言ってみて下さい。

相当、面白いものが見れるはずです。精神的には、研究者を即死させ得る一言です。

閑話休題

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資源のない我が国にとって、国家からの科学技術研究の投資削減は自殺行為だと、私も思います

それでも、科学技術の研究費は削られ、コスト意識なき研究は、成立しないでしょう。

純粋な学術研究の徒は消え、狡っからいマーケット理論や、嘘臭いビジネスモデルの提案に長けた、いけすかない似非研究者が跋扈することになるでしょう。

いや、もうすでに、そうなっています。

なにしろ、私も、そのように看板を取り替えないと、研究で生きていけないのですから。

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何年か後に、日本の最後の砦であった「科学技術」が事実上、消滅して国際競争力が全くなくなった時、「あの時、民主党が・・・」とは、私は言わないし、そして、私は誰にも言わせない。

ただ一点。

『為政者ではなく、私を含めた我々国民自身が、「科学技術」に「コストリターン」の導入すべきことを、国是として認めた』ということ。

どんな未来が来たとしても、この一点だけは、絶対に譲らないつもりです。

2009,江端さんの忘備録

私は名古屋出身者です。

特に、うどん好きという訳でもなったのですが、私は、うどんや、きしめんが、日常的に食される場所で育ったということです。

鍵っ子でしたので、小学生の頃から、土曜日は、井上靖の「北の海」を読みながら、自分で作った味噌煮込みうどんを楽しく食していました。

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京都に住んでいた頃、学生のアルバイトで隔週で四国に出掛けていました。

アルバイト先の隣りの小さなスーパーの片隅の、土間のコンクリートが剥き出した小さな土間に、古びたパイプテーブルが2つ入ったような倉庫のような所で、うどんを食した時のことです。

あのョックは、今でも鮮明に覚えています。

「旨い」

こんな凄いうどんが、こんな辺鄙な店で、菓子パン程度の値段で食せる。
四国は、この地上に出現した「うどん」のパラダイスだと思いました。

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その後、東京に出てきて、「蕎麦」の旨さにはまりました。
関東のそばは本当に美味しくて、驚きました。

もしあなたの近くに名古屋の人がいたら「美味しい蕎麦」という言葉が理解できないのではないかと思います。「蕎麦」は「蕎麦」に過ぎず、そこに「旨い」「まずい」という形容表現に首をかしげるかもしれません。

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それはさておき、

最近、休日の昼食は冷凍うどんばかりを食しています。

これが、本当に美味しいのです。
下手なうどん屋より、麺の味が良く、十分にコシもあります。

乾麺の臭みもなく、生麺のようにグニャグニャすることもありません。

私は、冷凍うどんをどんぶりに放り込んで、麺つゆと水をぶっかけて、そのまま電子レンジに直行させています。
鍋で解凍するよりも、面倒がないだけでなく、確実に味も良いように思います。
熱湯で戻すよりは絶対に旨いと思います。

どんな材料をどんな製法を行って、この冷凍うどんを発明したか知りません。
この発明者には、私から「江端発明賞」を授与したいと、心から思います。

2009,江端さんの忘備録

「NHKスペシャル 十月の悪夢―1962年キューバ危機・戦慄の記録 (NHKスペシャル)」注文してしまいました。

ですから、私は今年は、飲み会に出ません。

年齢傾斜配分を使った支払いであれば、100%出席しません。

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私が飲み会に出席するモチベーションは、「エッセイのネタを拾えるかどうか」です。

上司の悪口、会社の体制批判、誰ぞの結婚話などという陳腐な話題で構成される、退屈で愚劣な飲み会などには興味はありません。

最近、参加して、『元を取ったな』と思われるネタ提供には、以下のようなものがありました。

○我が社を宗教法人化して、現在の研究所を「宗教研究所」とする構想。

『技術で社会に貢献するH社』から、『宗教で社会に貢献するH社』への定款の変更。

研究所のそれぞれの部は、例えば、「第1部 人工知能研究ユニット」は、「イスラム教部、シーア派ユニット」、「第6部 ユビキタス端末ユニット」は、「仏教部 祭典仏具部開発ユニット」と、研究内容を変更。

それぞれのユニットが原理主義を掲げて、他のユニットに宗教戦争をしかけないように、現在の「総務部 管理部門」が、政教分離を規範とした「思想自衛団」を担当。

と、まあ、この程度のネタを提供してくれる飲み会であるなら、傾斜配分の支払いを認容する準備があります。

-----

という訳で、私は静かに刺身を摘みながら、課全員の、「ネタ提供力」を、きっちり見ています。

「ネタ」に新規性や進歩性がない若い研究員の査定は、相当下ります。

# ボーナスや昇進には何の影響もありませんが。

閑話休題

-----

Amazonってやっぱり凄いと思うんですよ。

私がこのDVDの予約を完了した段階で、お勧めリストに出てきたDVDが、

『ニュールンベルグ裁判 [DVD]』

うーん、なんでここまで判ってしまうのか。

衝動買いの衝動抑えるのに、どんだけ大変か。

しかも、あの『東京裁判(DVD)』を私が所有しているのかを、まるで知っているかのように、その広告は打ってこない。

おそるべし、Amazonのピンポイントターゲティング広告能力。

この分野の研究は『撤収』が正しいと思いますが、いかがでしょうか。弊社の方々。

2009,江端さんの忘備録

「NHKスペシャル 十月の悪夢―1962年キューバ危機・戦慄の記録 (NHKスペシャル)」注文してしまいました。

ですから、私は今年は、飲み会に出ません。

年齢傾斜配分を使った支払いであれば、100%出席しません。

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私が飲み会に出席するモチベーションは、「エッセイのネタを拾えるかどうか」です。

上司の悪口、会社の体制批判、誰ぞの結婚話などという陳腐な話題で構成される、退屈で愚劣な飲み会などには興味はありません。

最近、参加して、『元を取ったな』と思われるネタ提供には、以下のようなものがありました。

○我が社を宗教法人化して、現在の研究所を「宗教研究所」とする構想。

『技術で社会に貢献するH社』から、『宗教で社会に貢献するH社』への定款の変更。

研究所のそれぞれの部は、例えば、「第1部 人工知能研究ユニット」は、「イスラム教部、シーア派ユニット」、「第6部 ユビキタス端末ユニット」は、「仏教部 祭典仏具部開発ユニット」と、研究内容を変更。

それぞれのユニットが原理主義を掲げて、他のユニットに宗教戦争をしかけないように、現在の「総務部 管理部門」が、政教分離を規範とした「思想自衛団」を担当。

と、まあ、この程度のネタを提供してくれる飲み会であるなら、傾斜配分の支払いを認容する準備があります。

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という訳で、私は静かに刺身を摘みながら、課全員の、「ネタ提供力」を、きっちり見ています。

「ネタ」に新規性や進歩性がない若い研究員の査定は、相当下ります。

# ボーナスや昇進には何の影響もありませんが。

閑話休題

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Amazonってやっぱり凄いと思うんですよ。

私がこのDVDの予約を完了した段階で、お勧めリストに出てきたDVDが、

『ニュールンベルグ裁判 [DVD]』

うーん、なんでここまで判ってしまうのか。

衝動買いの衝動抑えるのに、どんだけ大変か。

しかも、あの『東京裁判(DVD)』を私が所有しているのかを、まるで知っているかのように、その広告は打ってこない。

おそるべし、Amazonのピンポイントターゲティング広告能力。

この分野の研究は『撤収』が正しいと思いますが、いかがでしょうか。弊社の方々。

2009,江端さんの忘備録

「NHKスペシャル 十月の悪夢―1962年キューバ危機・戦慄の記録 (NHKスペシャル)」注文してしまいました。

ですから、私は今年は、飲み会に出ません。

年齢傾斜配分を使った支払いであれば、100%出席しません。

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私が飲み会に出席するモチベーションは、「エッセイのネタを拾えるかどうか」です。

上司の悪口、会社の体制批判、誰ぞの結婚話などという陳腐な話題で構成される、退屈で愚劣な飲み会などには興味はありません。

最近、参加して、『元を取ったな』と思われるネタ提供には、以下のようなものがありました。

○我が社を宗教法人化して、現在の研究所を「宗教研究所」とする構想。

『技術で社会に貢献するH社』から、『宗教で社会に貢献するH社』への定款の変更。

研究所のそれぞれの部は、例えば、「第1部 人工知能研究ユニット」は、「イスラム教部、シーア派ユニット」、「第6部 ユビキタス端末ユニット」は、「仏教部 祭典仏具部開発ユニット」と、研究内容を変更。

それぞれのユニットが原理主義を掲げて、他のユニットに宗教戦争をしかけないように、現在の「総務部 管理部門」が、政教分離を規範とした「思想自衛団」を担当。

と、まあ、この程度のネタを提供してくれる飲み会であるなら、傾斜配分の支払いを認容する準備があります。

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という訳で、私は静かに刺身を摘みながら、課全員の、「ネタ提供力」を、きっちり見ています。

「ネタ」に新規性や進歩性がない若い研究員の査定は、相当下ります。

# ボーナスや昇進には何の影響もありませんが。

閑話休題

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Amazonってやっぱり凄いと思うんですよ。

私がこのDVDの予約を完了した段階で、お勧めリストに出てきたDVDが、

『ニュールンベルグ裁判 [DVD]』

うーん、なんでここまで判ってしまうのか。

衝動買いの衝動抑えるのに、どんだけ大変か。

しかも、あの『東京裁判(DVD)』を私が所有しているのかを、まるで知っているかのように、その広告は打ってこない。

おそるべし、Amazonのピンポイントターゲティング広告能力。

この分野の研究は『撤収』が正しいと思いますが、いかがでしょうか。弊社の方々。

2009,江端さんの忘備録

今度のNHK大河ドラマは「坂本竜馬」だそうです。

正直、もう飽きました。

正月のドラマでは、この4人以外のドラマを見つけるが難しいのではないでしょうか。

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私は、「竜馬が行く」で作られた坂本竜馬の英雄像は、大部分が、後発的に創作されたものと思っております。

色々理由があるんですが、何よりダブルチェックしうる歴史的な資料が、非常に少ないことです。

最近、そういう検証番組も見られるようになってきました。

私の憶測も、あながち的外れではないのかもしれません。

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私には、個人のカリスマと行動だけで、国家の方針が決定したかのような英雄崇拝は、どうも頂けないのです。

2009,江端さんの忘備録

えるかんです。

EBATA Tomoichi さんは書きました:
>         『万国の労働者よ! 停滞せよ!!』
>
> を合い言葉とした、20世紀の最後の思想(+マルクスの『共産党宣言』の
>パロディ)「停滞党宣言」の構想を練っております。

私が会社を休んでいた間に早速書きましたね。

> 事の始まりは、金曜日に年休を取ってエルカンと尾瀬ハイクに出かけた帰り
>、睡魔と闘いながらの高速道路運転を敢行している最中のパラノイア状態に陥
>った時、このアイデアが出てきました。

話の元は、

(1) 我々は現在の仕事に飽きている
(2) なのに日々、工程を管理され、仕事を推進させねばならぬのは苦痛だ
(3) 新製品などを次々と考え出すからこういう目にあうのだ
(4) ならば、もう新製品を開発するのは止めたらどうか
(5) とは言え、H社だけが停滞すると単にH社が潰れるだけだ
(6) ならば同業他社も、ええい、いっそ全世界が停滞すればよいのだ!
(7) 世界の停滞。それは工程に追われる事のないパラダイス・・・。

という事です。
読めば判るように、目先の欲求(楽したいよう・・・)しか考えない、
子供じみた動機が根底にあります。
その情けない動機を隠し、いかに見た目立派な理論に育て上げるかに
我々の力量が問われるでしょう。

まだ我々の思想的基盤は脆弱です。
例えば、江端氏は自分の仕事に関連する分野の停滞は望んでいますが、
一方で自分が単なるユーザであり、日々その便利さの恩恵に浴している
カーナビの進歩には大きな期待を持っているという具合です。

# さすが構想1分の停滞主義。簡単にボロがでる。

> この後、エルカンと私は、まず製造業の研究部門の完全廃止から始まり、あ
>りとあらゆる新規市場の形成阻止に論を進め、政治形態としては、先日返還が
>決まった香港の英国による軍事再奪還、中国における毛沢東思想の復古作戦「
>第二次文化大革命」の構想を論じ、ロシアの再共産化計画、バルト地区の連邦
>復帰計画とそれに伴って発生すると思われるNATOの反発の鎮圧と国連憲章の採
>択方法に至るまで、我々は慎重に論を進め、いかにして世界を「停滞」させる
>かに腐心した。

最初のターゲットは中国あたりでしょうか。
最近では自由主義やら民主化やらと唱え始めているので、大変危険です。
都市部では最新のファッションを身に纏った若者が街を歩いています。
大変良くない事です。
実際、中国のような人口の多い国が先進国並みのエネルギーを消費したら
シャレになりません。

我々は声を大にして言わなければなりません。
「お前等は自転車に乗っていろ!」
「人民服以外は着るんじゃねえ!」

先進国の「退歩」を考えている方もいるようですが、それは停滞主義の
本意ではありません。先進国はただ「停滞」するのみです。
我々はもう不便な生活には戻れないのです。既得権はしっかり守って、
他国の進歩の阻止、いや、さらなる退歩へ全力を注ぐべきでしょう。

とりあえず、「経済成長率1%の遵守」を国連に進言しましょう。
1%を超える経済成長率を達成してしまった国にはしかるべき処罰が
加えられるべきでしょう。
また、教育も重要です。
「発展途上国のさらなる文盲率の拡大」をスローガンに、公的機関は
もとより、民間でもNGOとしてボランティアを派遣し、無知蒙昧な
民を増やすよう努力すべきです。
先進国の国民に対しても、教育は一定の制限を設けるべきでしょう。
文盲までは行かずとも、読み書きと四則演算程度にしておきましょう。
一次方程式くらいは許されますが、微積分などの高等数学は決して
教えてはなりません。

これで必ずや世界は停滞する事でしょう。

停滞主義について詳しく知りたい人は、下記の文献を参照すること。
この2冊は停滞主義のバイブルです。

『停滞への意志』 (えるかん著:えるかん出版)
『進歩---死に至る病』(江端智一著:ケビン書房)

では。

2008,江端さんの忘備録

修士論文のファジィ推論を検証をする為に作成したラジコンカーの写真が出てきました。
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当時としては難しい双方向のデータ通信を無線機を使って実現したにも係わらず、モータ駆動電力をかせぐ為に電力線を引き回したという、訳の判らないシステムでした。
教授:「どうせ線を引き回すなら、そこにセンサと制御のデータも乗せればええんじゃないかのう」
江端:「いえ、それはですね、教授。データの遅延やら運転制御の遅れまでを考慮した推論エンジンの自動学習がですね・・・」
と色々言い訳していましたが、自分でも『意味ねーなー』と思わず呟かずにはいられないシステムでした。
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このラジコンカーは、私に、仮説やシミュレーションと現実の振舞いとの間には、滅茶苦茶な乖離(かいり)があることを、骨の髄まで私に叩き込んでくれた、貴重な教師でした。

https://www.kobore.net/fuzzy_car.PDF

2008,江端さんの忘備録

先日、道路を横切って、膝の高さ程度の柵を越えようとして、足を引っ掛け、派手に転倒してしまいました。

肘や胴を強く打ちつけ、暫く息ができませんでした。

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私がショックを受けたことは、足を引っ掛けたこと、そのこと自体ではなく、柵を乗り越える際に、その柵の存在をきちんと認識し、高さを確実にチェックしたという確信があるという事実です。

つまり、センサ(目とか耳とか)を介して、アクチュエータ(足、腕)に命令を出すという江端智一という一個の閉じた生体システムが、不適切な情報制御の処理を実行したという事実です。

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今日は敬老の日です。