2013

そろそろ、夏の参議院選挙を踏まえて、街中での宣伝活動が活発になりつつあります。

単に連休中なので、そのような場面を見る機会が増えているだけかもしれませんが。

今回も色々考えて投票することになると思うのですが、財政に関する事項については、特に強い感心を持っています。

持っているのですが、各政党の財政政策が、全く良く分からんのです。

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例として、日本共産党を挙げてみます。

(あくまでも、一例として挙げるものです)

特に、歳入の政策の方を見てみましょう。

日本共産党の歳入ポリシーは基本的に5つ。

■所得税の最高税率を元に戻す

■証券優遇税制を20%に戻し、富裕層は30%以上に引き上げる

■相続税・贈与税の最高税率を元に戻す

■低い大企業への優遇税制を段階的に元に戻す

■大企業の過剰な利益留保を、雇用と中小企業など社会に還元し、家計・内需主導の経済成長路線に変更する

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確かに、この方法は「面白い」と思うのですよ。

新しい産業の創成とか、ベンチャーの保護とか、全ての内閣が取り組んできて、ほぼ100%失敗に終っている「新戦略」とか言う、眉唾(まゆつば)的なものでないところが良い。

むしろ、このような「古典的手法」による、財政対策というのは、私としては、非常に興味深いのです。

「絶望」の2文字でしか表現できない高齢者問題に対して、歳入を社会福祉等に回せるなら、どんな手段であっても構わないのです。

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簡単に言えば、日本共産党の財政(歳入)は、「大企業が溜め込んだ金を、家計に再分配する」という政策と思うのですが、「大企業が溜め込んでいる金」が「家計に再配分」できる程度にあるのか、という基本的な疑問があります。

また、「溜め込んでいる金」は、研究開発投資に回されるのですが、そこを削るというのはもちろん良い考えですが、将来の発展を閉ざすもの事実です。

しかし、発展的成長を望まない財政政策は、それはそれで良いと思う。

原子力エネルギーは勿論、化石エネルギーを使わなくても、江戸時代の江戸(東京)は、当時世界最大都市として機能していた訳ですから、どうせなら、200年程退行した経済というのも、確かに「あり」だと思う。

その上、「鎖国」まで持ち込んだら完璧です。

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問題は、日本共産党が「数値」と「アルゴリズム」を提示してくれないことにあります。

自民党、民主党のような大きな政党は「数値」は出しています。しかし、「アルゴリズム」の方は、提示してくれません。

どんな政策でも良いので、その政策の内容とシミュレーション結果のアウトプットを示してくれれば、私はその政党の誠意を信じれる、と思うのです。

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そこで、提案です。

これは日本の技術者人口1000万人という広大な票田を独占し得る、非常に魅力的な提案です。

『政策シミュレーションのプログラムソースコードを、インターネットで開示する』

シミュレーションプログラムですから、あくまで仮説であり、また、都合の良いパラメータや、勝手な想定サブルーチンを突っ込んでも良いです。

例えば、「2017年4月、iPS細胞による医療産業における課税による収入」とか言う、現時点では発生していない歳入について、自分勝手な仮説のサブルーチンも詰み込んでもO.K.です。

とにかく、そのプログラムをコンパイル・ビルドして回すと、2020年までに、日本の税収(歳入)が、どのように変っていくかが、グラフで表示されるものであれば良いのです。

各政党は、各政党のホームーページで、自分のおかかえ技術者の得意とするプログラム言語で書かれた、シミュレーションプログラムを開示するだけで良いのです。

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この、各政党シミュレーションプログラムが開示する効果は凄いです。

まず、ソースコードを読むだけで、税率、歳入の根拠、人口比率、株価変動、など、各政党が何を考えているか、全部分かります。

マニュフェストなんぞという、かったるいものは読む必要がありません。

第一、マニュフェストは嘘くさい。

「あれ、その財源、そこで使ったら、さっきの政策の原資はどうなるの?」という疑問に全然答えていないと思うし。

コンピュータプログラムであれば、1+1=5などいうことは(悪意のコードでもない限り)発生しませんし。

なにしろ、各政党が、どのような未来を想定しているのかも、ソースコードから一発で解釈可能です。あまりに都合の良い想定は、公に批判されることになります

また、そのソースコードのパラメータを、ちょっとイジっただけで、何が発生するかも、その場で読みとれます。あっと言う間に、財政シナリオが崩れさる、ということも簡単に分かってしまいます。

ソースコードでは難しいというのであれば、エクセルのマクロ程度であっても良いと思います。

必要なのは、「目に見える歳入数値」です。

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私が欲しているのは、「カリスマのある政治家」でもなく「理念や理想を語る政治家」でもないのです。

そんな人間は、もう、いらんのです。役に立たないから。

客観的な数値を提示する、各政党の日本国歳入シミュレーションプログラムのソースコードと、その計算結果があれば十分です。

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ただ、ですね。私は、今でも不思議に思っているのです。

各政党は、相当数のエンジニアがいるはずで、その中には、シミュレーションプログラム程度を組めるプログラマも含まれているはずです(別に経済論に通じていなくても、まったく構わない)。

この程度のシミュレーションは、当然にやっている「ハズ」だと思うのです(それすらもやっていないで、財政を語るなど、詐欺だと思う)

では、なぜ各政党は、そのプログラムを開示しないのだろう、と

開示しない理由がある、とすれば、それは、自分達の主張している方法を、プログラムの計算結果では裏が取れなかった、と考えられます。

それはさておき。

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私は政治家の「人柄」などには、全く興味がないのです。

歳入を増やす方法とその方策を、「言葉」ではなく「数値」で示して欲しいだけなのです。

特に、日本共産党が、各政党の先頭を切って、これらのソースコードまたはエクセル表を開示してくれることを、心から期待しております。

学生のころから「あの党は、財政に関することは、徹頭徹尾、信用できない」という、私の偏見を、ソースコード(エクセルも可)で叩き壊して頂けることを、心の底から期待しています。

立花隆の「日本共産党の研究」という本を読んで以来、いつか自分でも別アプローチで「政党」を理解してみたいと思っていました。例えば、「数値で理解する日本共産党」とか、「自民党マニュフェストとシミュレーション結果」てな、技術書(連載でもいい)です。

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まあ、ともあれ、夏の参議院選挙、これらを実施してくれた政党には、間違いなく私の一票が入ります。

2023,江端さんの忘備録

これまで、私、色々な世界紛争について、えらそうにコメントを書いてきましたが、別段、世界紛争について勉強をしている訳ではないのです。

I have written comments on various world conflicts in a glib manner, but I am not a student of world conflicts.

はっきり言って、私のコメント程度の内容であれば、『ゴルゴ13』を読めば、誰でも語れます。

To be clear, anyone who has read "Golgo 13" can speak to the extent of my comments.

「ゴルゴ13」を長女に買い与えました

もちろん、『ゴルゴ13』が、全て正しいことを書いている訳ではありません。

Of course, "Golgo 13" does not write everything right.

通信技術やAI技術については、かなりの誤解がありますし、最近のITのトレンドは「外している」内容も多いです。

There is a great deal of misunderstanding about telecommunications and AI technologies, and many recent IT trends are "nonsense" in their content.

例えば、『今時、国際電話なんぞするか(SNSの通話機能を使うのが普通)』と突っ込みたくなることもありますが、まあ、それは野暮というものでしょう(苦笑してしまいますが)。

For example, I sometimes feel like saying, "Nowadays, people don't make international calls (using the call function of social networking services is normal)," but I guess that would be a bit of a senseless

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「ゴルゴ13」には、数多くのイスラエルの軍隊や諜報機関が登場します(新谷かおるさんの漫画(例:エリア88)にも多いです)。

Numerous Israeli military and intelligence agencies appear in "Golgo 13" (and many in Kaoru Shintani's manga (e.g., Area 88)).

ゴルゴ13の中のイスラエルの軍隊や諜報機関は、はっきりいって「カッコいい」。

The Israeli military and intelligence agencies in Golgo 13 are "cool," to say the least.

緻密な作戦計画、大胆な実行、知的な現場判断で、ターゲットをピンポイントで破壊、殺害して、忽然と姿を消す。

With meticulous operational planning, daring execution, and intelligent on-the-spot judgment, they destroy and kill their targets with pinpoint accuracy, then disappear without a trace.

本当に「想定外」なのですか?(2011-03-29の日記)

例えば「モサド」は、世界最高のスパイ組織として描かれ続け、私たちのようなゴルゴ13のファンを魅了したものです。

For example, "Mossad" continues to be portrayed as the world's most excellent spy organization, which fascinated Golgo 13 fans like us.

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江端:「今回のガザ地区侵攻、インテリジェンスの欠片もない」

Ebata: "This invasion of the Gaza Strip, there is not a shred of intelligence."

嫁さん:「非武装の市民の殺害を『やむを得ない』と開き直るなんて、見苦しいにも程がある」

Wife: "To reopen the killing of unarmed civilians as 'unavoidable' is beyond unseemly."

もっとも、今回の侵攻を最初にしかけたのはハマスです。ハマスへの報復はイスラエルにとって当然の権利です。

However, it was Hamas that first launched this invasion. It is Israel's right to retaliate against Hamas.

ただ、それも、程度の問題だと思うのです。

But I think it is also a matter of degree.

『自国の民間人が1000人殺害されたら、敵側の民間人を1000人巻き添えにする』というのは、是非はともあれ、一つの落とし所だと思うのです。

I think 'if 1,000 civilians in your country are killed, 1,000 civilians on the enemy side will be collateral damage' is one possible pitfall, regardless of the pros and cons.

しかし、20倍もの非戦闘員を殺害し、今なお殺害を継続している ―― 『本当に、どうかしているんじゃないか』と思う。

But they have killed 20 times as many noncombatants and continue to do so -- 'Really, I think they're out of their minds.

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ゴルゴ13の「かっこいい」イスラエル軍や諜報機関は、私の中で幻想になりました。

The "cool" Israeli military and intelligence agencies of Golgo 13 became an illusion in my mind.

というか、それらは『最初から、ゴルゴ13の中だけに存在していたフィクション』だったのかもしれません。

Or perhaps they were 'fictions that existed only in Golgo 13 from the beginning.

2013

今度の寄稿コラムの為、長女の為に「ゴルゴ13」を購入しました。

ゴルゴ13とは、超一流のスナイパー(狙撃手)である国際的テロリストの活躍をベースとして、世界の国際的な政治・経済・宗教・宗教は勿論、軍事、最先端技術を分かりやすく解説する劇画漫画です(江端解釈)。

まあ、正直に言うと、私の国際問題に関する勉強のきっかけは、この「ゴルゴ13」から始まっていることが多いです。

例えば、メジャーな国際問題である「パレスチナ問題」の全体像を把握したければ、「ゴルゴ13」だけで十分でしょう。

もちろん、何もかも正確に記載されている訳ではありません(特に、コンピュータとネットワーク関連では、私でも誤記を指摘できる箇所もある)。

しかし、全体としては、驚異的な知識と学習がベースになければ、到底可能とは思えない程の、素晴しい作品です。

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ゴルゴ13は、自分の依頼を完遂する為に、それぞれの専門家(武器商人、コンピュータエンジニア等)に、色々な機材を発注するのですが、私に言わせると、

―― ゴルゴ13、その発注方法ではだめだ。

と突っ込みたくなることがあります。

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(例1)

技術者:「ということは、ネットワークに過負荷を与えて、通信を不能にするということですか?」

ゴルゴ13:「俺の質問だけに答えろ」

(例2)

武器商人:「あなたは、我が国の権力基盤の一端を破壊しようとしているのか」

ゴルゴ13:「余計な詮索はするな」

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これでは駄目ですね、ゴルゴ13。

背景、趣旨、目的、そして詳細な計画案、問題点、それらを開示することによって、より良い提案がされて、計画が具体化し、作戦の成功率が高まるというものです。

このような秘密主義が、プロジェクトを頓挫させることは、歴史を見るまでもなく明かなことです。

まあ、それでは、劇画漫画としてしては面白くないし、大体テロリストが他人に作戦を開示した段階で計画としてはアウト、ではありますけどね。

それはさておき。

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なぜ、私が「ゴルゴ13」を長女に買い与えたかは、あと2週間程で分かると思います。

2023,江端さんの忘備録

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている」の主人公は、一貫して、数学嫌いのキャラクターとして描かれています。

The main character in "My Youth Romantic Comedy is Wrong as I Expected" is consistently portrayed as a character who hates math.

しかし、私は、このキャラクター設定に違和感を感じています。

However, I feel uncomfortable with this characterization.

この主人公は、緻密な人間関係と、自分で発生させたイベントのその後の波及について正確な予測まで行う能力を有しています。

This protagonist can make precise relationships and even accurate predictions about the subsequent ramifications of the events he generates.

人間関係について、彼は、多変数最適解の解法を使っていますし、時間変化においては、人間の忘却関数などを指数関数でイメージしています。

He uses a multivariate optimal solution method for human relationships, and for time variation, he uses an exponential function to imagine the human forgetting function, etc.

つまり、彼は、日常生活で数学を使い回しながら、数学嫌いなのです。

In other words, he hates math, even though he uses it all over his daily life.

これは「数学の目的が、唯一解の求解にある」という、誤った思い込みによる弊害です。

This is a detrimental effect of the false assumption that the purpose of mathematics is to find the only solution.

私は数学の本質は、「ファルミ推定」にあると思っていますので、このようなキャラクターのデザインを本当に残念に思っています。

I regret the design of these characters because I believe that the essence of mathematics is "Falmi Estimation."

「『偏差値25くらいの雑誌』という無知性への批判こそ、あなたの無知性の証拠よ」

というか、たいていのアニメでは、「数学が好き」という奴のキャラクターは、嫌な奴だったり、敵だったりする、となっていますね。

I mean, in most animations, the character of the guy who "likes math" is a jerk or an enemy.

まるで「数学好き」な人間が、『人格的に劣っている/歪んでいる』かのような描き方です。

It is as if people who "love math" are portrayed as 'inferior/distorted in personality.'

世間の、数学への悪意を感じます。

I feel the world's ill will toward mathematics.

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で、以前、私は、こちらの日記で、

Earlier, I wrote the folloiwng in my journal,

アニメ「葬送のフリーレン」のオープニング(日本語と英語版の両方)を聞かせれば、英語や国語が『人を感動させる道具(あるいは武器)になる得る』という実例を、分かって貰えるんじゃないかなぁ、とか考えています。

―― 子供の『一体何の為に勉強するの?』に対して、大人にはそれに応える義務がある

"Against the child's "What on earth do I study for?" Adults must respond to this question."

と言いました。

この解答の一つとして、

One of the solutions to this, I think one of the answers to this question is that

『数学を勉強すると、新しいAI技術の登場に対して、恐怖心を減らすことができる』

"Studying mathematics can reduce the fear of new AI technologies."

ということは、言えるのではないかなぁ、と思っています。

以前から、私、『AI技術に使われている数学そのものについては、高校数学の範囲で理解可能である』であると言い続けてきました。

I have been saying for a long time that the mathematics used in AI technology can be understood within the scope of high school mathematics.

これに関しては、生成AIが登場している現在であっても、意見を変えていません。

I have not changed my opinion on this, even with the advent of generative AI.

本当は、『自分で簡単なAIコアエンジンを自作」できれば言うことはありませんが、それはちょっと酷かもしれません。

In truth, there would be nothing to say if you could 'build your own simple AI core engine,' but that might be a bit too much.

しかし、「訳の分からないものに支配されている」と思うよりは、「(一応は)理解できるものに支配されている」と思える方が、安心感はありますよね。

However, it is more reassuring to think that you are governed by something you can understand (to a point) than to believe that you are governed by something you don't understand.

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もしかしたら、『支配』という言葉にひっかかりますか?

Perhaps you are caught up in the word 'domination'?

でも、人間は、すでに機械に支配されていますよ。『完了』しているといってもいいくらいです。

But humans are already controlled by machines, you know. You could even say that it's 'done'.

信号機、渋滞情報、ワクチン接種、新幹線の発券システムに至るまで、すでに、私たちはコンピュータの掌の上で踊っているだけです。

Already, we are dancing in the palms of our computers, from traffic lights to traffic jam information, vaccinations, to bullet train ticketing systems.

ただ、『そのコンピュータを作って動かしているのが、私たち人間である』という、その一点のみにおいて違うだけです。

The only difference is that we humans are the ones who make and run the computers.

数学を勉強することで、これらのシステムに対するフォビア(恐怖)は減ります。

Studying mathematics reduces the phobia (fear) of these systems.

AI技術についても同じことが言えるのではないかなぁ、と私は思っています。

I wonder if the same could be said about AI technology, in my opinion.

 

2023,江端さんの忘備録

今、働きながら大学生やっています。またもや苦学生に逆戻りです。

I am now a college student while working. I am back to being a struggling student again.

まあ、今回は「金銭的」ではなく、「体力的」「能力的」な苦学生ですが。

Well, this time, it is not "financial" but "physical" and "ability" struggling students.

研究活動も辛いですが、講義が辛いです。

Research activities are hard, but so are lectures.

オフィシャル言語が「英語」の授業は当然に辛いですが、それ以上に講義の内容が辛いです

Classes in which the official language is "English" are naturally hard, but the content of the lectures is even harder.

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とは言え、講義の内容は興味深いものです。

Nevertheless, the lectures are interesting.

今年度前半の教材は、こちらでした。

Here are the teaching materials for the first half of this school year.

私、以前ゲーム理論の話でコラムを執筆したことがありますが、そのゲーム理論と合わせて登場するのが、ギャレット・ハーディン博士の「コモンズの悲劇」という考え方です。

I have written a column before on game theory, and the idea of Dr. Garrett Hardin's "Tragedy of the Commons" appears in conjunction with that game theory.

「コモンズの悲劇」を学ぶと、多くの人は『人類に資源の共有なんかできない』と簡単に絶望してしまいます(私もそうでした)。

When learning about the "Tragedy of the Commons," many people easily despair (as I did) that 'humanity can't share resources.'

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ところが、2009年にノーベル経済学賞を受賞した、エリナー・オストロム博士は、「コモンズの悲劇」に果敢に挑戦されました。

However, Dr. Elinor Ostrom, the 2009 Nobel Prize winner in economics, boldly challenged the "tragedy of the commons.

彼女は、天然資源に適用される政策分析の基礎を批判した後、コモンプール資源問題が満足に解決された、あるいは不満足に解決された条件を探るために、ユニークな実証データを提供し、「コモンズの悲劇」を防ぐ要因を、豊富な事例を使って紹介しました。

After critiquing the fundamentals of policy analysis as applied to natural resources, she provided unique empirical data to explore the conditions under which common-pool resource problems have been resolved satisfactorily. She used many examples to show the factors that prevent "tragedies of the commons."

『「目から鱗」とは、こういうことを言うんだなぁ』と、私は素直に感動しました。

I was honestly moved by the words, "This is what 'scales from the eyes' means.

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「囚人のジレンマ」とか「コモンズの悲劇」は、理解しやすい簡単な事例ではあります。

The Prisoner's Dilemma or Tragedy of the Commons are easy examples.

しかし、それらを乗り越えてきた人類の英知が、この本には満載です(ちなみに、乗り越えれなかった事例も満載ですが)。

However, the book is full of the wisdom of humanity that has overcome these obstacles (although, by the way, it is also full of examples that could not be overcome).

『人類を舐めんなよ』

"Don't fuck with humanity."

と、諭されているような気がして、少し楽しい気分になりました。

She seemed to make me feel like that and fun.

Review of "GOVERNING the COMMONS" the Chapter 1st

Review of "GOVERNING the COMMONS" the Chapter 4th

2023,江端さんの忘備録

昨日、アニメ「幼女戦記」を流しながら仕事をしていました。

Yesterday, I was working while playing the anime "Youjo Senki."

第8話「火の試練」では、街に潜伏したレジスタンス(民兵)を排除する為に、非戦闘員である一般市民を含む街で地上戦を可能する法的なロジックを組み立てて、それを法的根拠とした、街全体への殲滅作戦(虐殺)が描かれています。

Episode 8, "Trial by Fire," depicts a campaign of extermination (massacre) against an entire city, using as its legal basis the construction of a legal logic that allows ground warfare in the city, including non-combatant civilians, to eliminate the resistance (militia) that has hidden in the city.

(「幼女戦記」という名前に騙されてはなりません。あれは、戦争の戦略と戦術、政治、経済、法律、技術の観点から描かれた、極めて高度なポリティカルフィクションです)

(Don't be cheated by the name "Youjo Senki." That is highly sophisticated political fiction, written about war strategy and tactics, politics, economics, law, and technology.)

ちなみに、この話のベースが、米英連合国軍による「ドレスデン爆撃」であることには気づいていました。

Incidentally, I had noticed that the story was based on the "bombing of Dresden" by the U.S. and British Allied forces.

「ドレスデン爆撃」では、ドイツの都市ドレスデン(通称「エルベ川の真珠」)への大規模な空襲のことです。

The "Bombing of Dresden" refers to the massive air raid on the German city of Dresden (commonly known as the "Pearl of the Elbe").

この空襲により、ドレスデン市は壊滅的な被害を受け、多くの市民が犠牲になり、この出来事は戦争犯罪として議論の的となりました。

The raid devastated the city of Dresden, killing many of its citizens and making the event a controversial war crime.

ちなみにこの話(「火の試練」)は、イスラエル軍の、ガザ地区侵攻の話ではありません ―― が、同じ話です。

Incidentally, this story ("Trial by Fire") is not about the Israeli army's invasion of the Gaza Strip -- but it is the same story.

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『そんな法的抜け穴(一般市民を巻き添えに殺害してよい戦闘)があるのか?』と思い、ChatGPTに聞いてみました。

'Is there such a legal loophole (combat that allows civilians to be killed as collateral damage)?' I asked ChatGPT.

(中略)

(omitted)

と、このように、ChatGPTに叱られてしまいました。

And thus, I was scolded by ChatGPT.

一応、その続きとして、「市街戦で、非戦闘員(民間人)を巻き添えに殺害することを禁止する法律を具体例を教えて下さい」と聞いたところ、ChatGPTから、色々な情報を教えて貰いました。

As a follow-up, ChatGPT gave me a lot of information when I asked for specific examples of laws prohibiting the killing of non-combatants (civilians) as collateral damage in urban warfare.

これについては、後日、展開します。

This will be developed at a later date.

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それにしても、(1)数多くの国際法によって禁止されており、(2)生成AI(ChatGPT)からも叱られるような戦闘/戦争を、少なくとも、あの国とあの国は、現在進行形でやっているんだなぁ、と、思うと、

Still, to think that at least that and that country are engaged in an ongoing battle/war that (1) is prohibited by numerous international laws and (2) would be scolded by the generating AI (ChatGPT),

―― AIによる世界支配の方が、まだマシじゃね?

"Wouldn't world domination by AI still be better?"

と本気で思います。

I think it is a good idea.

『なるほど、世界を相手にする戦争とは、こういう風にやるのか』と、非常に感心しました。

2023,江端さんの忘備録

来年の大河ドラマが「光る君へ」と聞いてビックリしてしまいました。

I was surprised to hear that next year's Taiga Drama will be "To Hikaru Kimi."

NHKは、ついに『歴史ドラマ』の路線を捨てるのか、と。

I wondered if NHK would finally abandon the "historical drama" route.

源氏物語は、創作物であって、歴史物語ではありません。

The Tale of Genji is a creation, not a historical tale.

そして、源氏物語は、現時点の社会通念に当てはめれば、インモラルのオンパレードです。

The Tale of Genji is a parade of immorality if applied to current social conventions.

「寝とり/寝とられ」「ロリコン」「ジェントロフィア」「浮気」「不同意性交(強姦)」―― 権力者による性加害(性暴力)の物語です。

The story is about "cuckold/ cuckolded," "pedophile," "gerontophilia," "cheating," and "forced sexual intercourse (rape)" -- stories of sexual assault (sexual violence) by those in power.

とは言え、光源氏を『元ジャニーズのジャニー喜多川』のような性犯罪者のように曲解されては、さすがに原作者(紫式部)も激怒するでしょうが(ちなみに、光源氏による性加害対象は、すべて女性です)。

However, the original author (Murasaki Shikibu) must be furious if Hikaru Genji is misinterpreted as a sex offender like "former Johnny Kitagawa of Johnny's Johnny" (by the way, all of Hikaru Genji's victims were women).

まあ、上記は、源氏物語の一面を、(極端な悪意で)誇張した説明ですので、興味のある人は、ご一読下さい。それなりに面白い話ではあります。

The above is an exaggerated (with extreme malice) account of one aspect of the Tale of Genji, so if you are interested, please read on. It is an exciting story in its own way.

私は、映画or小説『十二単衣を着た悪魔』を、お勧めします(でも、原作の内容を知らないと、面白くないかな)

I recommend the movie or novel "The Devil Wears Twelve Clothes" (but if you don't know the original story, it may not be interesting).

一昨日、たまたま、Amazonプライムで「十二単衣を着た悪魔」という映画を、なにげなく視聴していたのですが、『これは、久々のヒットだ』と思いました。

―― 多分、この話(源氏物語のドラマ化)は、私の勘違いだろう

"Maybe I'm wrong about this story (the dramatization of The Tale of Genji)."

と思い調べてみたら、やっぱり主人公は「藤原道長」でした。

I looked it up and found that the main character was "Fujiwara no Michinaga."

「藤原道長」は、光源氏のモデルになっている、という話を聞いたことがあります。

I have heard that "Fujiwara no Michinaga" was the model for Hikaru Genji.

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少なくとも「信長」「秀吉」「家康」は、お腹いっぱいですので、その点では問題ありません。

At least "Nobunaga," "Hideyoshi," and "Ieyasu" are full of them, so that is not a problem.

でも、平安時代かぁ。しかも、この辺の話となれば、権力闘争の話になるんだろうなぁ。それも思いっきり陰湿なやつ。

But the Heian period, huh? And if they are talking about this area, it must be a story about power struggles. And it's a very insidious one at that.

平安時代については、私、相当な偏見と嫌悪感があるんですよ。

As for the Heian period, I have a considerable prejudice and dislike for it.

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「Twitter大嫌いな研究員が、覚悟を決めた日」より抜粋

Excerpted from "The Day a Researcher Who Hates Twitter Decided to

(エピソードその1)「逢ひみての 後の心にくらぶれば 昔はものを 思はざりけり ~権中納言敦忠~(あなたとお会いした後に比べると、昔は、なーんにも考えていなかったんだなーと思います--江端意訳」。

(Episode #1) "If I compare it to after meeting you, in the past, I didn't think about things - Gon Chunagon Atsutada - (Compared to after meeting you, in the past I didn't think about anything - Ebata's interpretation).

ご存じの通り、有名な百人一首の和歌です。私はこの和歌を初めて聞いた時、「お前、民衆をなめとんのか」とひとり突っ込んだものです。こんなひどい為政者(いせいしゃ)が、我が国の大臣を務めていたかと思うと、貧困や重税に苦しんでいただろう民衆が抱いていたであろう怒りがふつふつと湧いてきたものです。

This is a famous waka poem from the Hyakunin Isshu, a Japanese anthology of 100 poems. When I first heard this waka poem, I thought, "Do you think you are fooling the people? When I thought of such a terrible person serving as a minister of our country, I felt the anger that the people who must have been suffering from poverty and heavy taxation must have felt.

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ちなみに、権中納言敦忠(源敦忠)は、生年は964年で、没年は1039年です。

Incidentally, Gon Chunagon Atsutada (Minamoto Atsutada) was born in 964 and died in 1039.

でもって、藤原道長は、生年は966年で、没年は1028年です。

And Fujiwara no Michinaga was born in 966 and died in 1028.

ほら、やっぱり背景時代がオーバラップしているじゃないですか。

As I said, there is an overlap between the background periods.

こういう歌を平気で歌っていたようなヤツらが、為政者をやっていた時代の大河ドラマですよ。

This is a taiga drama from an era when people who sang songs like this were in power.

(というか、当時の政治は、『歌をうたって、神に祈る』という他力本願が、国家運営のメインの手法でした(腹が立ちます))

(I mean, the primary method of politics in those days was to "sing songs and pray to God," which was the primary method of statecraft (which makes me angry)).

私がこの大河ドラマを受け入れられるか否かは、現時点では分かりません。

I do not know whether I can accept or reject this great drama.

まあ、嫌なら見なければいいだけのことですが。

I don't have to watch it if I don't like it.

それはさておき。

Aside from that.

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嫁さんも、別の懸念を表明しています。

The wife also expressed another concern.

"忠臣蔵"不作問題です。

The problem is the poor production of "Chushingura."

昔、年末年始になると、どっかの地上波のチャネルでは、"忠臣蔵"をやっていたものですが、ここ10年くらい、"忠臣蔵"は不作が続いています。

In the old days, during the year-end and New Year's holidays, some terrestrial TV channels used to show "Chushingura," but for the past ten years or so, "Chushingura" has been a poor production.

―― このままでは、日本人から"忠臣蔵"が忘れ去られてしまう

"If nothing is done, the Japanese people will forget " Chushingura "."

と嫁さんが危惧しております。

And my wife is concerned.

今回、私は、何もコメントしませんでした。

This time, I did not comment on anything.

かつて、私は、このテーマで『舌禍』を起こしていますので。

Since I once had a 'slip of the tongue' on this subject.

参考文献:「え! 『忠臣蔵』ってテロリズムじゃないの!?」

2023,江端さんの忘備録

「情報統制を行い、自由な言論を弾圧し、平和を唱えながら、他国を侵略する国家元首」 ―― っていうのは、あまり珍しくないのです。

It is not unusual for a head of state to "control information, suppress free speech, and invade other countries while advocating peace.

しかし、『非ナチ(ナチズム)化の阻止』を掲げている元首というのは、「新規性あり」と感じています。

However, I feel that a former head of state who has a 'stop non-Nazi (Nazism)' policy is a "novelty."

ロシアのプーチン大統領の唱えている「非ナチ化」が、具体的にウクライナの何を差して言っているのかを、ちょっと調べてみたのですが、これが良く分からないのです。

I've been doing some research on what exactly Russian President Vladimir Putin's advocacy of "de-Nazification" is referring to in Ukraine, and I'm not sure I understand it.

これが、『ウクライナ東部のドネツクとルハーンスク地域での対立に関連して、ロシア系住民を保護し、ウクライナ政府の攻撃から彼らを守る』、という、ロシア側の大義に端を発していることは、知っているのですが、なぜ、これが『ナチズム』なのかが、よく分かりません。

I know that this was motivated by the Russian cause of 'protecting the Russian population concerning the conflict in the Donetsk and Luhansk regions of eastern Ukraine and defending them from attacks by the Ukrainian government.' Still, I am not sure why this is 'Nazism.'

私の知っている、ナチズムの特徴と言えば、

What I know about the characteristics of Nazism is,

(1)人種主義と優越性

(1) Racism and Superiority

(2)独裁と専制

(2) Dictatorship and tyranny

(3)領土拡大と侵略

(3) Territorial expansion and invasion

(4)アンチセミティズム

(4) Anti-Semitism

(5)国家社会主義

(5) National Socialism

(6)強制労働と集中収容所

(6) Forced Labor and Concentration Camps

ってあたりだと思うのですが、これって「ウクライナ」ではなく「ロシア」のやっていることのように見えます。

around here, however, this looks like something "Russia" is doing, not "Ukraine."

『非ナチ(ナチズム)化』を掲げている元首自身が、ナチズムを実践しているのであれば、これは「新規性」どころか「進歩性」もある、と思います。

If the head of state himself, who is holding up "Non-Nazi (Nazism)," is practicing Nazism, this is not only "novel" but also "progressive," I think.

―― 自国の安全保障の為であれは、他国の利益など躊躇なく踏み躙る

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忘年会の季節ですね。

It is the season for year-end parties.

お酒が入ると、普段では言わないことでも言ってしまうことがあります。

When alcohol is involved, people sometimes say things they do not usually speak.

■『楽しく仕事をやらなければならないぞ』(たとえ、上司が"必要ない仕事"を押しつけてきたとしても)

- You must enjoy your work (even if your boss forces you to do work you don't need to).

■『時間内に終わらせられてこそ、仕事なんだぞ』(たとえ、上司が上司の仕事を押しつけてきたとしても)

- 'It's only a job if you can finish it on time' (even if your boss pushes you to do your boss's work).

■『発想力が足りないんだよ』(たとえ、あなたの提案に一通りの批判をしても、自力で発明ネタを出したことがない上司だったとしても)

- 'You don't have enough imagination' (even if your boss has never come up with an invention story on his own, even if he criticizes your proposal in one way or another).

酔った勢いで、あなたの上司に『お前が"それ"言う?』とか言わないようにして下さいね。

Don't get drunk and say to your boss, "You say it?"