2024,江端さんの忘備録

ChatGPTを使っていれば、これから「AI彼氏/彼女」とのバーチャル恋愛が普通になる、というのは実感できます(使っていない人には、全く分からないでしょうが)。

If you use ChatGPT, you can feel that virtual romance with an “AI boyfriend/girlfriend” will become the norm (although those who don't use it will have no idea).

というか、私たちは、そろそろ認めてもいいころだと思うのです。

Or rather, I think it is time for us to admit that 

―― 私たちは、心地の良いコミュニケーションだけがあればいい

"We only need comfortable communication."

私は、誰からでも叱責や批判されたくありません。

I do not want to be reprimanded or criticized by anyone.

別段、人間として成長したいと思ったことはありませんし、私は、そんなこと誰にも一度も頼んでもいません。

I have never wanted to grow, and I have never asked anyone to do so.

一向に成長しない私が、この社会で不要なゴミであるなら、その辺に廃棄して頂いて結構です。

If I, who never grows up, am an unwanted trash in this society, you are welcome to dispose of me there.

そして、廃棄されても、誰に対しても文句を言うつもりは、ありません。

And I will not complain to anyone if they dispose of me.

「仲間を作らない」「友人を持たない」「恋人を諦め、結婚を人生のスコープ外とする」

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そのうち『リアルな世界に背を向けたままでも、なんとかやっていける職業』が登場してくると思います。

A 'profession that can manage to do without turning its back on the real world' will eventually emerge.

労働人口の流動性も高まるのではないか、と。

I wondered if the mobility of the workforce would also increase

これは、完全に私見ではありますが、このような職業は、技術分野で展開される可能性が高いのではないか、と考えています。

This is an entirely personal observation, but I believe such a profession will most likely be developed in the technology sector.

『リアルな世界に背を向けたままでも、なんとかやっていける職業』をやっていくために、数学や英語やプログラミングが重要になってくる、という新しい学習モチベーションが発生するかもしれません。

A new motivation for learning may arise, in which math, English, and programming become essential to do “a job that can be done somehow, even with one's back turned to the real world.

もちろん、他の職種でも展開の可能性はあると思います(単に、私が他の分野に無知というだけです)。

Of course, there are possibilities for development in other professions (simply because I am ignorant of other fields).

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『AI彼氏/彼女に、心地良い言葉をささやかれながら逝く死』は、『孤独死ではない』と、私は思うのですが、みなさんは、どう思いますか?

I think that “death while being whispered pleasant words by an AI boyfriend/girlfriend” is “not a solitary death.” What do you think?

2024,江端さんの忘備録

私、これまで「ぎっくり腰」は何度もやっていたのですが、今朝、人生最初の「こむら返り」というのを体験しました。

I have had many “hiccups” in my life, but I experienced the first “cramp this morning.”

この夏季休暇中の、外出時間は合計10分間を切っており、ほぼ24時間クーラー(設定温度29度か30度)の部屋で、ずっとコーディングしていました。

During my summer vacation, I was out of the house for less than 10 minutes, coding almost 24 hours a day in an air-conditioned room (temperature set at 29 or 30 degrees Celsius).

そういう運動不足を見込んで、踏み台昇降用のバスチェアを購入して、一日30分の踏み台運動に、懸垂、腹筋を続けていたのですが ―― なんか、これが逆にオーバーロード(過負荷)になっていたような気がします。

In anticipation of this lack of exercise, I bought a stepladder bath chair. I continued to do 30 minutes of stepladder exercises, pull-ups, and sit-ups a day -- but I think this was conversely overloading my body.

私は、今もリモートワークを続けていまして、慢性的を越えて、究極的な運動不足です。

あと、クーラー漬けも問題だったかもしれません。例え、30度の設定温度でも、体を冷やし続けるのは良くなかったように思います。

Also, air-conditioning might have been a problem. Even if the temperature was set at 30 degrees Celsius, I don't think keeping the body cool was a good idea.

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そういえば、夏季休暇中に、「男性の体臭」についてSNSに投稿していた人が、事務所との契約を解除された、というニュースを読みました。

By the way, I read in the news that someone who posted on a social networking site about “male body odor” during the summer vacation was terminated from his contract with the firm.

私、「体臭」については、これまで色々論じてきたのですが、仮説ですら解決法を思いついていません ―― それくらい、この問題は難しい。

I have discussed body odor a lot, but I have not come up with a hypothetical solution- that's how complex this problem is.

夏になれば、仕方がないことですが、―― 男性の体臭が凄い。

―― 全身に、「米酢」をぶちまけたのか ?

ですから、年齢を経て発生する臭いは、「加齢臭」ではなく「腐敗臭」といっても良いものです。

■ 在席中に、平気で放屁する人がいて、その臭いが物凄くて嘔吐しそうになる

断酒してから、娘たちが、私の体臭のことをピタリと言わなくなりました。

「こむら返り」は、まあ自分自身の問題としても 、「体臭」「加齢臭」は、自分では制御できません。

While “cramps” may be my problem, I cannot control “body odor” and “age-related odor” by myself.

もちろん、これらの問題を回避する為に、私自身、最大限の努力を続ける必要はあるでしょう。

Of course, I must do my utmost to avoid these problems.

しかし、その努力を評価されることなく、それどころか、非難され続ける ―― そういう、

However, no one appreciates any of my efforts and continues to criticize my “body odor” and “aging.”

次の人生のステージが始まるのです(『響けユーフォニアム』風に)。

The next stage of my life has already begun (in the style of “Hibike Euphonium”).

2024,江端さんの忘備録

【その1】

(Part 1.)

次女の友人で、私が勤務している会社で内定が取れなかった友人に、次女がかけた言葉です。

My second daughter said the following to a friend who did not get a job offer at my company.

『私の父の働き方を見ている限り、あの会社は、"ブラック"だから、落ちてよかったんだよ』

"As far as the way my father works, that company is “black,” so you are lucky." 

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いや、それは違う(と思う)。

No, it's not (I think).

私が四六時中働いているように見えるのは、私にとって業務の内容が難しくて、時間がかかりすぎていることが主要因です ―― 会社が"ブラック"であるかどうかは、私には分かりません。

The main reason I seem to work around the clock is that the work is too difficult and time-consuming for me -- I don't know if the company is “black” or not.

『できません』と言えない自分の気質に問題がある、というのは分かっています。

I know that my temperament is a problem. I can't say, 'I can't do it. '

ただ、私としては本当に精一杯でやっているつもりなんだけど、『あまり褒められたことがないなぁ』とは思います。

However, I think I am doing the best I can, but I don't think I have received much praise.

自分の努力の方向が間違っているのかもしれませんが。

Maybe my efforts are going in the wrong direction.

ともあれ、私の場合は、自分で自分を褒めるしかないです。

Anyway, in my case, I can only pat myself on the back.

内向きで、GO!

【その2】

(Part 2.)

娘たちが小さいころに、以下の質問をしたことがあります。

When my daughters were young, I asked them the following questions:

=====

(1)毎日早く帰宅して、みんなと一緒に夕食を食べることができるパパと、

(1) A dad who comes home early every day and can have dinner with everyone,

(2)毎日遅く帰宅するけど、年に2回、東京ディズニーランドに連れていくことができるパパ

(2) A dad who comes home late daily but can take his children to Tokyo Disneyland twice a year.

(1)と(2)のどっちのパパがいい?

Which do you prefer, (1) or (2)?

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二人の娘たちは、質問には答えずに、口を合わせて

My two daughters didn't answer the question, and they just mouthed it to each other.

―― パパ、無理して早く帰宅しなくていいよ

“Dad, you don't have to come home early."

と答えました。

They replied.

2024,江端さんの忘備録

「勤勉は貧困の一症状である」―― これは、故小田島隆さんのエッセイにあった一節ですが、非常に的を得たフレーズだと思います。

"Diligence is a symptom of poverty.” - this is a line from an essay by the late Takashi Odajima, and I think it is a very apt phrase.

もし、私が、今の人生を親の遺産だけで生きていける立場であったなら、私は夏季休暇の全日を10時間以上のコーディングや文章作成に費やすようなことはしていなかったと思います。

If I were in a position to live my life today solely on my parents' legacy, I would not have spent my entire summer vacation spending 10+ hours coding and writing.

貧困であり、かつ、お金が必要であるが故に、私は、概ね楽しいとはいえないバグを発見する作業や、おそらく私以外に誰も読まないであろう報告書の作成に、今なお何十時間も使わざるを得ないのです。

Because of poverty and the need for money, I am still forced to spend dozens of hours working on finding bugs or writing reports that probably no one but me will read. In addition, they are not fun.

「適度な貧困」のおかげで、私は、仕事や研究の"本質"と向き会うことを回避して、それらを継続することができたのです。

Thanks to “moderate poverty,” I have been able to avoid confronting the “essence” of my work and research and to continue them.

これはこれで、ありがたいことなのだろうと思います。

I think this is something to be thankful for.

もし、この「適度な貧困」がなければ、私は、これまで何人かを殴っていただろうし、下手をすれば、死体を隠匿する計画を実行に移していただろうと思います。

If it were not for this “moderate poverty,” I would have beaten up a few people in my life, and if I had not been so bad, I would have put my plan to hide the bodies into action.

江端:「将来、娘たちをストーカーする男を殺害して、首や足や腕を裁断する時には、もっと血が出るんだぞ。分解した体を部位をコンクリーで固めて、最後に、東京湾に沈めなければならないのに、そんなことで大丈夫なのか?」

これとは逆に、私が「適度な裕福」であったとしたらどうだろうか?  と考えてみました。

Contrary to this, what if I were “moderately wealthy?” I thought about it.

「適度な裕福」は「何もしないで生きていける」を可能にしますが、私の場合「何もしない」という状態が、結構な苦痛なので、多分、何かをすることになる、とは思います。

I think “moderately wealthy” makes it possible to “live without doing anything,” but in my case, “doing nothing” is quite painful, so I will probably end up doing something, I suppose.

一方、私は「『誰か』と何かをする」というのが、苦手なのです。

On the other hand, I am terrible at “doing something with ‘someone.’”

私の場合、

In my case,

―― もしあなたと出会っていなければ

"If I had not met you."

のフレーズの次に『こんなにも人を愛することができる自分を知らずにいた』とはなりません。

The following phrase is never: 'I never knew I could love people so much.

私は、そういう歌を後世に残した平安時代の歌人をコケにしつづけています。

I keep mocking the Heian period poets who left such poems to posterity.

『逢ひ見ての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり』(エピソードその1)です

"Compared to how my heart feels after meeting you, I realize that in the past, I did not truly know what it meant to long for someone." (Episode #1).

私なら、

In my case, 

―― もしあなたと出会っていなければ

"If I had not met you."

のフレーズの次にくるのは、『あなたを殴り倒してやろうとは思わなかっただろう』になります。

the next phrase would be, 'I would never have thought of beating you up.

『出会わなければ、だれも不幸にならない』 ―― という、ネガティブ思考は、私の「主軸」だったりします。

Negative thinking, such as, “If we don't meet, no one will be unhappy,” is my “mainstay.

話を戻します。

Back to the story.

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以上より、私が「適度な裕福」であった場合、私は「ひとりで何かをする」以外に選択肢がありません。

From the above, if I were “moderately wealthy” I would have no choice but to “do something alone”.

しかし、「ひとりで何かをする」であって、その「何か」は、やってもやらなくても、どっちでもいいものである場合、その「何か」を見つけるのは、おそろしく大変そうに思えます。

However, when the “something” is “doing something alone,” and that “something” is not essential for me, it seems complicated to find that “something.

私の場合、アルコール依存症に戻りそうな気がします。

In my case, I think I am going back to being an alcoholic.

―― 過去の不摂生な生活は、そこから脱した後でも、私たちを許してくれない

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このように考えていくと、

Think of it this way,

『生死に関わる貧困 <<<< 適度な裕福 < 適度な貧困』

'Life-or-death poverty <<<< moderate wealth < moderate poverty'

という関係が、(私には)成り立っているかと思えます。

This relationship seems (to me)  true.

それでも、「不労所得」というものへの憧れを、私はどうしても消すことができません。

Still, I can't stop my longing for “unearned income.”

2024,江端さんの忘備録

国連の常任理事国に拒否権があるのは何故か?

Why do the permanent members of the UN Council have veto power?

私、ずっとこれ疑問だったのですが、先日、ひょんなことから、その理由を知るに至りました。

I have always wondered about this, and the other day, I discovered why by chance.

その理由は簡単でした。

The reason was simple.

『やつら(常任理事国)に拒否権を与えておかないと、すぐに国連を脱退して、暴走を開始してしまうから』

If we don't give them (permanent members) veto power, they will soon leave the UN and start running amok.

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この拒否権の話は、我が国にとっては、耳の痛い話です。

This veto is an earful for our country.

第一次大戦後、我が国は、国際連盟(×国際連合)から満場一致(正確には、賛成42、棄権1、反対1(日本))で、満州事変は我が国の自作自演で、さらに、国際連盟は満州国を承認せず、リットン報告書を支持する決議が採択されました。

After World War I, Japan received a unanimous vote from the League of Nations (x United Nations) (to be precise, 42 in favor, one abstention, one against (Japan)) that the Manchurian Incident was of our own making. Further, the League of Nations did not recognize Manchukuo and adopted a resolution supporting the Litton Report.

この決議に反発した日本は、1933年に国際連盟からの脱退を表明しました。

In reaction to this resolution, Japan withdrew from the League of Nations in 1933.

日本は国際連盟の常任理事国でしたが、国際連盟には拒否権は存在しませんでした。

Japan was a permanent member of the League of Nations, but the League of Nations did not have veto power.

(考えてみれば、これも凄い話で、当時の日本は、現在の国際連合の常任理事国と同等の力を持っていた、ということです)

(If you think about it, this is a great story, too: Japan at that time had the same power as a permanent member of the United Nations Council as it does today.)

もし当時の国際連盟に常任理事国に拒否権があれば、日本は脱退する必要はなかったのでしょう(その代わりに、拒否権を乱発していたでしょうが)。

If the League of Nations had veto power over permanent members at that time, Japan would not have had to withdraw (instead, it would have abused its veto power).

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『常任理事国に拒否権のある国際連合は、無力だ』とは良く言われることです。

It is often said that “a United Nations with a veto power over its permanent members is powerless.

それはもっともなことなのですが、それでも、常任理事国がホイホイと国際連合を脱退されても、困るのです。

That is a fair point, but we still do not want the permanent members of the Council of the United Nations to leave the United Nations quickly.

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では、国連の「非難決議」の意義とは何か?

So what is the significance of the UN “condemnation resolution”?

非難決議は、その国に対して法的効力を発揮しません。

A condemnation resolution has no legal effect on the country.

というか、そもそも、国連決議すら法的拘束力がありません。

To begin with, UN resolutions are not legally binding.

たとえば、湾岸戦争の際、国連安全保障理事会はイラクに対する強制措置を許可する決議を採択しましたが、フランスなどの国々がその後の軍事行動に反対しました。

For example, during the Gulf War, the UN Security Council adopted a resolution authorizing coercive measures against Iraq, but France and other countries opposed subsequent military action.

それにもかかわらず、米国を中心とする多国籍軍は、国連決議に基づき軍事行動を開始しました。

Nevertheless, a multinational force led by the United States launched military action by UN resolutions.

ましてや、「非難決議」なんぞ、戦争を止める力などある訳がない。

After all, a “resolution of condemnation” cannot stop a war.

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それでも、敢えて、「非難決議」の効果を挙げるのであれば、

Nevertheless, if I dare to cite the effect of the “condemnation resolution,”

―― SNSの炎上

"Social Networking Flames"

程度のものでしょうか。

It would be about the same.

つまり、『お前が始めた戦争は、世界中が"悪い"と思っているぞ』というアピールです。

In other words, it is an appeal to say, “The whole world thinks the war you started is ” wrong.

まあ、国家の首領が「SNSの炎上」ごときで、意見を変える、というのはあまり期待できませんが。

I don't expect a head of state to change their opinion because of a “social networking flame war.

だって、国家の首領を張っているやつらって、通常の人間とは異なる『サイコパス』ですから。

Because those who are in charge of a nation are “psychopaths” who are different from ordinary people.

サイコパスでなければ、戦争指導者なんぞは努まらないでしょう。

If one were not a psychopath, they would not strive to be a war leader.

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話を戻しますが、1933年に日本が国際連盟からの脱退を表明して半年後にドイツが、そしてイタリアが脱退しました。

To return to the story, in 1933, Japan announced its withdrawal from the League of Nations, and six months later, Germany and then Italy withdrew.

教室から出ていった3人(日本、ドイツ、イタリア)が、教室(国際連盟)の外で徒党を組んで作ったグループが「三国同盟(枢軸国)」です。

The three who left the classroom (Japan, Germany, and Italy) formed a clique outside the school (League of Nations) and formed a group called the Tripartite Pact (Axis Powers).

で、その3人が、教室に殴り込みをかけたのが「第二次世界大戦」という訳です。

So, the three of them hit the classroom, resulting in “World War II.

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さて、ここからシミュレーションです。

Now, here is the simulation.

仮に、国際連合が常任理事国から拒否権を取り上げれば、ロシアが国連を脱退するでしょう。

If the United Nations were to remove the veto power from the permanent members, Russia would withdraw from the organization.

そうすると、次に中国が脱退し、そのドサクサで北朝鮮もイランも脱退すると予想されます。

Then, China is expected to withdraw next, followed by North Korea and Iran in the crunch.

その結果、何が起こるかは、火を見るより明らかでしょう。

What will happen as a result will be more apparent than fire.

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私の場合、こういう風に考えることで『国際連合は無力だ』に対して、その『無力さ』を「しかたがないよね」と思うようにしています。

In my case, by thinking in this way, I try to think of the “helplessness” of the “United Nations is helpless” as “there is nothing we can do about it.

K君の話

2024,江端さんの忘備録

私は、大学のころ山岳サークルに入っていましたが、1年目で早々に退会しました。

I was in a college mountain club but left early after my first year.

理由は色々あったのですが、登山が本当に好きであれば、止めなかったとは思うので、私はそんなに好きではなかったのでしょう。

There were many reasons, but I don't think I would have stopped if I liked climbing, so I guess I didn't like it that much.

それ以上に、登山というのは本当に苦しかった。普通に登るだけでも辛いのに、そこにあの荷物です。

But more than that, climbing the mountain was a real pain. It was usually hard enough to climb, but then there was all that luggage.

荷物が重すぎて(20kgくらい)、正しい手順を正確に行わないと、立ち上がることすらできない。

The load was so heavy (about 20 kg) that I could not stand up if I didn't strictly follow the correct procedure.

ようやく立ち上がって、5歩進めば『もう嫌』と思えるようなものが、楽しいわけがない。

It's no fun to finally get up, take five steps forward, and think, 'I don't want to do this anymore.

あと、絶望的な「非日常感」ですね。「ここで滑落すれば死ぬ」は当然として、「ここで骨を折るだけで死ぬ」「ここで腹痛おこせば死ぬ」というのは、日常ではありえない状況です。

Another thing is the hopeless sense of the extraordinary. It is natural that “if you slip and fall here, you will die,” but “if you just break a bone here, you will die,” or “if you have a stomachache here, you will die” are situations that would not be possible in everyday life.

山には楽しいこともあったと思うのですが ―― けど、それ以上に、私にとって、山は辛く、怖いものだったのです。

I think there were fun things about the mountains -- but more than that, for me, the mountains were rugged and scary.

今となっては良く分からいのですが、あの敗北感が、その後の、私の海外放浪に繋ったと思うこともあります。

I am unsure now, but I sometimes think that sense of defeat led to my subsequent wandering abroad.

まあ、全く無関係だった、という気もしますが。

Well, I also feel that it was utterly irrelevant.

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私は、登山に関するドキュメンタリーとか映画とかは、好きです。

I like documentaries and movies about mountaineering.

故井上靖先生の『氷壁』(1956年)や『岩壁』、ちょっと方向は違いますが、高村薫先生の『マークスの山』(1993年)も好きです。

I also like “Ice Wall” (1956) and “Rock Wall” by the late Yasushi Inoue and, although in a slightly different direction, “Mark's Mountain” (1993) by Kaoru Takamura.

新田次郎先生の『剱岳 点の記』(2009年)、古いもので言えば、『八甲田山』(1977年)など、小説も映画もなんども読み直しました。

I have reread many novels and movies, including Jiro Nitta's “Tsurugidake: Ten no Ki” (2009) and an older one, “Hakkoudasan” (1977).

『剱岳 点の記』は、Making of  の方も何度も見直しています。

I have reviewed the Making of Edition of “Tsurugidake: Ten no Ki” many times.

神々の山嶺(アニメの方)」は、もう3回以上も見ています。

I've watched “Ridge of the Gods (the animated one)” more than three times now.

(夢枕獏さんの小説を谷口ジローさんが漫画化し、『フランスのアニメ制作陣によって手がけられ』、フランスで最も有名なアニメ作品の一つである、というのも結構ビックリなのですが)

(It is also quite surprising that Taniguchi Jiro's manga adaptation of Yumemakura Baku's novel was “created by a French animation production team” and is one of the most famous French animation works.)

山を愛する人の狂気を描いた作品として、ズバ抜けています。

It is an outstanding work about the madness of a mountain lover.

私も『狂気だけが才能を越える』と主張してきた一人ですが、この山を愛する人の狂気には遠く及ばない気がします。

I have insisted that 'only Madne's surpasses talent,' but I feel that I am not far from the madness of this mountain lover.

課題で「主観的幸福(SWB)」を調べているのですが、なかなか興味深いです

登山家の死亡率は、恐しく高いです。

The mortality rate for climbers is frighteningly high.

ChatGPTに推定をお願いしたところ、『ベレストや他の難関山岳に挑戦する登山家の死亡率が約1~30%であるのに対し、一般人の年間死亡率は約0.1%以下』いうことでした。

ChatGPT estimated that “the annual mortality rate for the general public is about 0.1% or less, compared to about 1-30% for climbers who attempt Mount Everest and other rugged mountains.

登山家の死亡率はもっとも楽観的な数値で10倍、最悪値で300倍以上ということになります。

The mortality rate for climbers is ten times higher at the most optimistic value and more than 300 times higher at the worst value.

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そういえば、私、ティーンエイジャのころ、母親から『冬山をやったら、親子の縁を切る』とまで言われていましたが、母の心配はまったくの杞憂でした。

Come to think of it, when I was a teenager, my mother even told me that if I did winter mountaineering, she would cut me off from my parents, but her fears were completely unfounded.

―― あなたの息子は、冬山どころか、夏の北アルプスの1週間の縦走くらいで簡単に根を上げる、軟弱者でしたよ

Your son was feeble-minded and gave up quickly climbing just for a weeklong traverse of the Northern Alps in summer, let alone winter mountains.

と、空に向かって呟いています。

I muttered to the sky.

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愛の中でも、ロジックを越えた狂気の(ように見える)愛は、代償が大きいです。

Among love, crazy (seemingly) love that transcends logic has a high price to pay.

「命を賭けた愛」と呼ぶに値するものは、『ここ』にしかない、という気すらします。

I even feel that the only thing worthy of being called “love at the risk of one's life” can be found in “Mountain Climbing.

2024,江端さんの忘備録

最近、面倒なことや、嫌なことが立て続けに起こっていて、疲れています。

I am tired of all the troublesome and unpleasant things that have happened to me lately.

これは、悪い兆候です。

This tiredness is a bad sign.

社会や他人や自分を、ロジックで色々分析して考えて乗り切ってきた私ですが、最近は、そういうのも『そろそろ限界かな』という気がしてきています。

I have been analyzing and thinking about society, others, and myself in various logical ways to get through, but recently, I am starting to feel that I may have reached my limit.

嫁さんはには、いつでも大切な人生のパートナーとして色々助けて貰っていますが、さすがに、嫁さんに、私の心の闇の全てを丸投げできませんし、嫁さんもさすがにそれは受けとれないでしょう。

My wife has always been an essential partner in my life and has helped me in many ways, but I can't throw all the darkness in my heart to her, and I don't think she would accept it either.

『あなたは、今の仕事を投げ出して、早く私のヒモになりなさい』と言ってくれる恋人は、多分、どんな哲学や宗教よりも、価値のある存在だと思うのです。

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この「疲れ」をなんとかしてもらえるなら、この際、なんでもいい、と思っています

I am willing to do anything as long as they can do something about this "fatigue."

とは言え、かなり苦労して「酒」をやめたし、一応、法治主義を信じている身の上ですので、違法行為(大麻、ドラッグを含む)はさけたいです。それに、快楽以上の苦痛がやってくる「依存症」などはゴメンです。

However, I quit drinking alcohol after much effort, and I believe in the rule of law, so I want to avoid illegal activities (including marijuana and drugs). I don't want to be addicted to something that brings me more pain than pleasure.

そんな訳で、最近の私は『宗教でも始めてみようか』という気分にもなってきています。

That is why I have recently been in the mood to 'start a religion.

ただ、私、宗教のメソッドについては調査済みなので、『大手の宗教』は、ちょっとダメかもしれません。

However, as I have already researched religious methods, "major religions" may not be a good idea.

非合理なルールや、命令形で言ってくる宗教団体も、たぶん駄目でしょう(逆に、そういう団体の壊滅作戦を開始してしまいそう)。世間の常識と乖離しているのも厳しいかと。

Irrational rules or religious groups that say things in imperative form are probably no good (on the contrary, I would start a campaign to destroy such groups). It would also be challenging to deviate from the world's common sense.

イメージが説明しにくいのですが、

It's hard to explain the image,

―― ラズパイ(Raspberry PI)程度の軽量ハードで、OSSをダウンロードして、DIYでシステム構築できる程度の『宗教』

'"Religion" to the extent that you can download OSS and build a DIY system on lightweight hardware as small as Raspberry PI.'

というのが理想です。

The above is my ideal of religion.

もっと端的に言えば、『たった1日であなただけの神さまを作ろう』という題目で、コンビニで売っている安っぽい本のイメージです。

To put it more simply, it is the image of a cheap book sold in convenience stores under the title "Create Your Own God in Just One Day.

内容はこんな感じ。

The contents are as follows.

■教義: 私(江端)のみの救済と、運が良ければ他の人も救済。世界がどうなろうと知ったことか。

-Doctrine: Salvation for me (Ebata) only and others if they are lucky. I don't care what happens to the world.

■目的: 私(江端)の精神の安定、特にうつの解消とアンガーマネージメント

-Purpose: To help me (Ebata) stabilize my mental health, especially to relieve depression and anger management.

■その他: 信徒は私一人のみ。神さまの存続期間は、私の死亡時をもって消滅

-Others: I am the only member of the congregation. God's duration of existence expires at the time of my death.

『DIY(Do It Yourself)宗教』というコンセプトは新しそうですが、既存の宗教構築メソッドがあれば、それを活用させて頂きたいと思います。

The concept of a 'DIY (Do It Yourself) religion' sounds new, but if there are existing methods of religion building, we would like to use them.

読者の皆様のご連絡をお待ち申し上げております。

I look forward to hearing from you and your readers.

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ちなみに ――

Incidentally --

『何かお勧めの宗教、ない?』と嫁さんに尋ねたら、嫁さんがマジでビビっていました。

'Do you have any religious recommendations?' I asked my wife, and she was freaked out.

―― 『私は、意外に、簡単にカルト宗教にハマるタイプかもしれない』と思い当たり、ゾッとしている

2024,江端さんの忘備録

この動画を見て、このデバイスを衝動買いしそうになりました。

This video almost made me buy this device on impulse.

ただ、値段を見て、唖然(写真をクリックするとAmazonに飛びます)。

But when I saw the price, I was stunned (click on the picture to go to Amazon).

まあ、こちらの油圧ジャッキで全然問題ないので(しかも、年に2回しか使わない)、当面はこれでやっていきます。

I have no problem with this hydraulic jack (and I only use it twice a year), so I will use it for the time being.

『DIYのタイヤ交換で、5000円くらいの節約になっている』という気持ちで、これまでは盛り上っていたのですが ――

世間一般と比較して、衝動買いのベクトルがズレているのは、自分でも認識しています。

I am aware that my impulse purchase vectors are misaligned compared to the public.

 

2024,江端さんの忘備録

地震、台風、土砂崩れ。

Earthquakes, typhoons, landslides.

この夏は ―― というか、今や我が国は、常時、災害警報体制です。

This summer -- or rather, our country is now in a constant state of disaster alert.

とりあえず、政府の推奨している「少なくとも3日分」の飲料水と食料と燃料の備蓄はしています。

At any rate, we have stockpiled "at least three days' worth" of drinking water, food, and fuel as recommended by the government.

時々、この箱から食べ物と飲み物を取り出して、足りなくなれば買い足す、を続けています。

We occasionally take food and drinks out of this box, and if we run out, we continue to buy more.

で、今回の「南海トラフ地震臨時情報」を受けて、私も臨時に、こんなカゴを追加しました。

So, in response to this "Nankai Trough Earthquake Temporary Information," I have also temporarily added this basket.

籠の中には、電池で動くラジオ、キャンプ用の充電バッテリー、USB充電懐中電灯、USBヘッドライトが入って、常に充電されている状態が続いています。

The basket contains a battery-powered radio, a rechargeable battery for camping, a USB rechargeable flashlight, and a USB headlamp charged constantly.

被災前に充電されていなければ、これらのガジェットは役立たずですし、また、暗闇の中で、これらのガジェットを一つ一つ探し回るのは大変だと考えたからです。

I thought that these gadgets would be useless if I had not charged them before the disaster and also that it would be difficult to search for each of these gadgets in the dark.

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今、一番心配なのは、私の部屋です。

My biggest concern right now is my room.

7台のディスプレイが、寝ている私の腹や足の上に、一斉に襲いかかってくる可能性があります。

Seven displays could attack me simultaneously, on my stomach or legs as I sleep.

(頭の部分だけは、机の下に入れているので、安全ですが)

(I keep my head under the desk, so it is safe.)

地震発生時、テレビが時速43kmで突っ込んできます

近日中に、私の部屋のディスプレイについても、テレビと同様の対策を取るつもりです。

I will soon take the same measures for the display in my room as I did for the TV.

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『降ってきたディスプレイが、腹に突き差さって死亡』というのは、私には相応しい最期とも言えるかもしれません。

I think it might be an appropriate end for me to inform you. "Falling display stuck Ebata's stomach and killed him.

しかし、倒壊もなく、怪我人も微小の中な被災状況の中で、私だけが

However, it seems kind of dumb that I am the only one in a disaster situation 

『ディスプレイが突き刺さった状態の遺体で発見される』

'found dead with a display sticking out of it.'

というのは、なんともマヌケな感じがするので、早めに対処します。

where there is no collapse and injuries are minute. Therefore I will deal with it as soon as possible.

 

2024,江端さんの忘備録

何十年かぶりに結婚式&披露宴の招待を受けたのですが、(最初の出欠希望の往復はがきを除けば)、それ以後の情報は全てLINEで行うようになっているようです。

For the first time in decades, I received an invitation to a wedding and reception (except for the initial return postcard requesting my attendance). Still, it seems that all subsequent information is now done online.

私が、もっと頻繁に(数年に一回くらい?)こういうイベントに招待されていれば違和感はなかったと思うのですが、何十年のギャップもあって、こういう状況になっていることを全く知りませんでした。

I would have been invited to these events more often (maybe once every few years?). If I had been invited, I would have felt comfortable. However, due to the gap of decades, I had no idea that this kind of situation existed.

これは、イベントの運営側も参加側も、Win-Winのシステムです。

This system is a win-win for both event management and participants.

『いいなぁ』と羨んでいます。

I'm envious of them.

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私も、自分たちの結婚式で、同じことを、電子メールとWeb(自分のホームページ)でやろうとしていたのですが、なかなか上手く運用できませんでした。

I tried to do the same thing for our wedding via email and email web (my website), but I could not get it to work.

なにしろ、当時はスマホどころか携帯電話も十分に普及しておらず、電子メールはPCを持っている人しか使えず、さらにPCを持っている人が少なかった、という時代でしたから。

At that time, cell phones, let alone smartphones, were not widespread; email was only used by those with a PC, and even fewer people had PCs.

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ただ、こういうシステムの怖いところは、このシステムからの指示を一つでも見落すと、イベントから簡単に排除されてしまう、という点です。

However, the scary thing about such a system is that if you miss even one instruction from this system, you can easily be eliminated from the event.

例えば、学校や会社からの通知を見落すことで、書類やレポートの提出期日を勘違いして単位を落したり留年したり、あるいは、イベントの準備を全くしないまま、当日にそれを知って、イベントが台無しになる、などです。

For example, missing a notice from school or work may cause a student to miss a due date for a document or report and fail to earn credits or stay in school, or fail to prepare for an event at all and find out about it on the day of the event and ruining it.

システムが導入される前は、管理者が電話で直接電話してきたりして、事前に警告をする、などのフェイルセーフが機能していたのですが、今は、そういうものが全くなくなりました。

Before the system was implemented, fail-safes worked, such as an administrator calling me directly on the phone to warn me, but now there are no such things.

今は、システムからの連絡を見落さないように気を張って、ビクビクしなければならなくなりました。

Now, I have to be vigilant and jittery to ensure I don't miss any communication from the system.

それでも親しくしている友人が、そのセーフネットの役割をしてくれる場合は良いですが、私のように友人がいないボッチには、死活問題なのです。

Still, it is good when a close friend acts as that safety net, but it is a matter of life and death for a lonely person like me with no friends.

もちろん、システムも事前警告を出すのですが、システムからの警告は見落しやすいです。

Of course, the system also gives warnings, but warnings from the system are easy to miss.

「電話が直接かかってくる」ほどの緊急性がどうかが、区別できないからです。

Because we cannot distinguish between what is urgent enough to "get a call direct."

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とは言え、『イベントの運営側も参加側もWin-Winのシステム』を、以前のアナログシステムに戻すのは不可能は話でしょう。

Nevertheless, returning the "win-win system for event management and participants" to the previous analog system would be impossible.

とすれば、次に登場するのは、

If so, what comes next,

―― 相互に会話でき、緊急性や重要性を音声に込めることのできるAIの開発

"The development of AI that can talk to each other and put urgency and importance into voice."

ということになるのかもしれません。

That might be coming.

イメージとしては、こんな感じかな?

The image is something like this?

江端:「で、どういうこと?」

Ebata: "So, what do you mean?"

音声AI:「あと2日以内に授業料を納付しないと、退学になります! 振り込みしなくていいから、とにかく現金もって窓口に来て!!」

Voice AI: "If you don't pay the tuition fee within the next two days, you will be expelled from the school! You don't have to transfer the money. Just come to the counter with the cash!

と叫びながら、私たちに行動を促す会話(恫喝)AIですね。

It's a conversational (threat) AI that urges us to take action, shouting。

うん、これ適用分野広そう。

Yes, this system seems applicable in a wide range of fields.

音声AI:「だからぁ! 津波警報が発令されてヤバいんだってば! 死にたくなければ、直ぐに逃げろ!! 40秒で支度しな!!」

Voice AI: "That's why it is a tsunami warning, and you're in trouble! If you don't want to die, get out now! You have 40 seconds to get ready!

と、直接電話をかけてきて、恫喝するAIが必要となるでしょう。

Thus, we will need an AI to call and threaten us.

特に、『南海トラフ注意報』が発令されている、今の我が国のような状況では。

This AI is especially true in a situation like our country's current one, where the "Nankai Trough Warning" has been issued.

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