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ゲーム理論を用いて、北朝鮮の拉致問題について、『拉致被害者奪還』という目的に限定して、先ずは現在の状況を整理して下さい

承知しました。
「拉致被害者奪還」という一点に目的を限定し、ゲーム理論的分析の前段階として、現状を整理します。
以下は、軍事・外交・経済・情報の4つの軸で現状を俯瞰したものです。


1. プレイヤーと目的

  • 日本政府
    主目的は全被害者の帰国。国内世論への責任、国際的な人権問題としての正当性を確保。

  • 北朝鮮政府
    拉致被害者を交渉カードとして利用。経済的譲歩・安全保障・国際的承認の獲得を狙う。

  • 米国・同盟国
    地域安全保障の維持を優先し、拉致問題は対北朝鮮政策の一部要素に位置づけ。

  • 国際社会(国連等)
    人権侵害としての非難決議や制裁を継続するが、直接的な奪還能力は限定的。


2. 現状の構造的特徴

  1. 人質型交渉構造
    北朝鮮は被害者を「持続的に利用可能な交渉資産」として保持し、返還を遅らせることで長期的利益を最大化。

  2. 非対称的情報
    被害者の生死・所在・健康状態に関する情報は北朝鮮側が独占。日本は情報の真偽を確認できず、交渉上不利。

  3. 非対称的手段

    • 北朝鮮:返還・拒否・虚偽情報提供・段階的返還など柔軟な選択肢を保有。

    • 日本:軍事行動は制約が大きく、実質的には経済制裁・外交圧力・援助交渉が主手段。

  4. 時間の効果
    時間が経つほど被害者の健康悪化・生存可能性低下のリスクが高まり、日本側の選択肢は狭まる一方、北朝鮮の交渉価値も減衰。

  5. 多目的化の弊害
    核・ミサイル問題や地域安全保障と絡められることで、拉致問題単独での交渉が進みにくい。


3. 現状の均衡に近い状態

  • 北朝鮮は返還カードを保持しつつ、国際社会との交渉材料として温存。

  • 日本は経済制裁と国際世論形成を継続するが、直接的成果は限定的。

  • 双方が大きな譲歩を避けるため、「現状維持に近い停滞状態」が事実上の均衡点になっている。


4. ゲーム理論上の位置づけ

  • 単発のゼロサムゲームではなく、繰り返しゲーム(Repeated Game)かつ情報非対称ゲームに分類可能。

  • 戦略構造は「人質ゲーム(Hostage Game)」と「チキンゲーム」の混合型。

  • 均衡点は「部分的・象徴的な返還」または「現状維持」で固定されやすく、完全奪還には均衡崩しが必要。

日本・北朝鮮双方の戦略を3~4パターンに絞り、数値化して均衡分析をして下さい

承知しました。目的を「拉致被害者奪還」に限定し、日本(J)と北朝鮮(N)の最小限の戦略を3×3に絞って、利得行列とナッシュ均衡を示します。利得は「国内政治・国際評価・安全保障・人道的成果」を統合した相対スコアで、範囲は概ね−3〜+3程度のオーダで仮定します(左が日本、右が北朝鮮)。

1. 戦略の定義

日本側
J1:交渉+限定的見返り(人道支援など、段階的・小規模)
J2:制裁強化+多国間包囲(譲歩ゼロを基本とする強硬な外交)
J3:秘密工作/限定的強制措置(成功確率低・失敗時コスト高)

北朝鮮側
N1:拒否・現状維持(返還せず時間稼ぎ)
N2:段階的返還+見返り要求(小出しで利益最大化)
N3:一括返還+大型見返り要求(高対価を狙う一発型)

2. 利得行列(Jの行 × Nの列;各セル=(日本利得, 北朝鮮利得))

  • J1×N1:(-2, +1) 限定譲歩の提案→拒否で空転、日本は国内コスト、北は時間利益

  • J1×N2:(+2, +3) 段階返還と限定見返りで部分解決、日本に実利、北はカードを残しつつ利益大

  • J1×N3:(0, 0) 大型要求と限定譲歩が不一致で停滞(実質不成立)

  • J2×N1:(-1, -1) 制裁継続の膠着、双方じわじわ損耗(事実上の現状)

  • J2×N2:(0, -2) 日本は譲歩せず、北は小出し戦略の効果薄

  • J2×N3:(+1, -3) 圧力下で大返還を迫られる構図(北に厳しい想定)

  • J3×N1:(-3, -2) 失敗・露見リスクで日本コスト大、北も警備強化等で損失

  • J3×N2:(+1, -1) 圧力が効き部分返還、日本は費用対効果は限定

  • J3×N3:(0, -4) 全面返還を強要に近い形で引き出す高リスク局面(不安定)

3. 最適反応と純粋戦略ナッシュ均衡

最適反応(相手の選択に対し自分の利得が最大となる戦略)を読むと、

  • 日本の最適反応:
    N1に対してJ2(-1が最大)、N2に対してJ1(+2が最大)、N3に対してJ2(+1が最大)。

  • 北朝鮮の最適反応:
    J1に対してN2(+3が最大)、J2に対してN1(-1が最大)、J3に対してN2(-1が最大)。

これより、双方の最適反応が一致する純粋戦略ナッシュ均衡は2点。
(1) J1×N2=(+2, +3):段階的返還+限定見返り(部分解決の均衡)。
(2) J2×N1=(-1, -1):制裁継続の膠着(現状維持の均衡)。

4. 含意

この設定では「部分解決の均衡(J1×N2)」と「膠着の均衡(J2×N1)」が並立します。
前者は実利(段階的な帰国)を伴う一方で、北朝鮮側の利得がより大きく、カードの温存を許す構造です。
後者は相互損耗で、人道的成果が得られにくい。
日本が「完全解決」を志向しても、N3に誘導するには対価負担か、J3型の高リスク圧力が必要となり、どちらも政治的・法的制約が大きい。
結果として、短期の現実解はJ1×N2(段階的返還+限定見返り)へ均衡選択を動かす設計(譲歩の上限コミット、検証可能な段階設計、違反時の自動的制裁復帰)を整えること、またはJ2×N1の損耗バランスを北朝鮮にとって不利側へわずかにシフトさせ、N2を最適反応に保ち続けることが鍵になります。

5. 感度(パラメタ直感)

・日本の国内政治コスト(J1の「-」が重くなるほど)→J2選好が強まり、膠着均衡が相対的に安定。
・国際制裁の実効性(J2列における北の利得がさらに低下)→N1の魅力が下がり、N2選好が相対的に上がる=部分解決均衡に寄る。
・秘密工作の成功確率上昇(J3行の日本利得が上がり北の利得が下がる)→混合戦略や不安定均衡の可能性は増すが、失敗時外部コストも跳ねやすい。

このゲーム理論の展開においては、時間効力(拉致被害者家族だけでなく、拉致被害者当人が鬼籍に入ってしまう)という状況が読めません。この問題が解決しないまま、時間が経過した後の状況を、ゲーム理論から推定することはできますか

はい、時間の経過(生存確率の低下・家族の高齢化・世論の風化)をゲームそのものの構造に組み込めます。ポイントは「時間が経つほど“待つコスト”と“人道的価値の減衰”が利得に反映される」設計にすることです。下記の3つを足すと、時間効力を定量化できます。

1) 生存確率を入れた動学ゲーム(吸収状態付き)

  • 状態:

    xtx_t

    (生存被害者数)。期間ごとに死亡ハザード

    λt\lambda_t

    (=1−生存確率

    St+1/StS_{t+1}/S_t

    )。誰かが亡くなれば状態は不可逆に減る=吸収的遷移

  • 価値関数:
    日本

    VJ(xt)V_J(x_t)

    、北朝鮮

    VN(xt)V_N(x_t)

    。被害者1人返還の周辺価値は時間とともに日本側では下振れ(喪失リスク・世論風化)、北側でも下振れ(交渉カードの劣化)。

  • 帰納:

      Vi(xt)=maxai{πi(aJ,aN,xt)ci(ai,t)+δiE[Vi(xt+1)]}\;V_i(x_t)=\max_{a_i}\{\pi_i(a_J,a_N,x_t)-c_i(a_i,t)+\delta_i \,\mathbb{E}[V_i(x_{t+1})]\}


    ここで

    πi\pi_i

    :返還・譲歩の即時利得、

    cic_i

    :待機/制裁の時間コスト、

    δi\delta_i

    :割引因子。

  • 含意:

    λt\lambda_t

    が上がる(高齢化で生存確率が落ちる)ほど、“待つ価値”が急低下。日本の実効割引率は上がり(

    δJ\delta_J\downarrow

    )、合意時の配分は北側寄りになりやすい(Rubinstein型の直観)。一方、北もカード喪失の前に取り分を確定させたい誘因が出る。

2) 「待ち合い(War of Attrition)」化と混合戦略の遅延

  • 待つほど双方に流れるコスト

    cJ(t),cN(t)c_J(t),c_N(t)

    を陽に入れる。期待遅延は概ね

    1/(cJ+cN)\propto 1/(c_J+c_N)

  • 現状の膠着(J2×N1)では

    cN(t)c_N(t)

    cJ(t)c_J(t)

    になりがち(日本の国内政治・人道コストが逓増)。この非対称が続くと期待遅延は長期化し、死亡ハザードと相まって回収可能人数の期待値が逓減

  • 政策含意:時間とともに北側の待機コストが確実に上がる仕組み(自動制裁強化、セカンダリー制裁、金融アクセスの段階停止)を組み込むと、均衡遅延が短縮し、N2(小出し返還)への最適反応を保ちやすい。

3) 期限付き・前倒しインセンティブ(メカニズム設計)

  • 前倒し・逓減オファー:時点

    tt

    の返還1人につき見返り

    A(t)A(t)

    時間とともに自動減額。早期返還ほど北の取り分が大、遅延・死亡後はゼロ(またはマイナス:制裁自動強化)に落ちるコミット。

  • エスカレーター制裁:合意未達の各期に

    Δs>0\Delta s>0

    で制裁が自動積み上がるルールを事前法制化・多国間化。北の割引因子

    δN\delta_N

    を実質的に引き下げ、**“今もらう方が得”**にする。

  • 検証付き分割合意:N2(段階返還)を前提に、第三者検証+エスクローで相互不信と虚偽情報リスクを抑え、時間操作の価値を下げる。


予測(構造を変えない場合/変えた場合)

  • 構造不変

    λt\lambda_t\uparrow

    δJ\delta_J\downarrow

    cJ(t)c_J(t)\uparrow

    が続き、膠着均衡(J2×N1)への吸着が強まる。期待回収人数は時間とともに単調減少、最終的には「象徴化」へ。

  • 構造を変える(自動エスカレーター+前倒し逓減オファー)
    北の最適反応は

    N1N2N1 \to N2

    にシフトしやすく、部分解決均衡(J1×N2)への早期移行の確率が上がる。死亡ハザードが高まる前に回収を前倒し。


簡易パラメタ化と比較静学(実務向け)

  • 主要パラメタ:

    λt\lambda_t

    (年齢・健康で推計)、

    δJ,δN\delta_J,\delta_N

    (政治サイクル・資金繰り)、

    cJ(t),cN(t)c_J(t),c_N(t)

    (世論・制裁の周辺費用)、

    A(t)A(t)

    (見返り)、

    S(t)S(t)

    (生存確率)。

  • 直観:

    • 遅延/cN<0\partial\text{遅延}/\partial c_N<0

      :北の時間コストを上げれば遅延は縮む。

    • 日本の分配/δJ>0\partial\text{日本の分配}/\partial \delta_J>0

      :日本が“待てる”ほど取り分は増える。死亡ハザードは

      δJ\delta_J

      を押し下げるため、“待てる構造”の外付け(法制化された自動制裁・多国間拘束)が要る。

    • 早期返還確率/A(t)<0\partial\text{早期返還確率}/\partial A'(t)<0

      AA

      が時間で減るほど上昇)。


実務的な設計案(要点だけ)

  1. 国会承認の自動制裁エスカレーター法(期日・項目・多国間連動を明文化)。

  2. 逓減オファー表を閣議決定し秘匿共有(検証済み返還日に応じて自動執行)。

  3. 第三者検証+エスクロー(返還ごとに段階解除、虚偽が判明すれば自動巻き戻し)。

  4. 情報監査メカニズム(所在・生存の虚偽シグナルに罰を与える「逆インセンティブ」)。


結論

時間効力は、死亡ハザードによる吸収的劣化割引率の非対称化待機コストの非対称化としてゲームに直接組み込めます。現状のままでは膠着均衡の吸着が強まり、時間とともに実現可能な奪還規模は縮小します。これを覆すには、時間が経つほど北側の利得が確実に悪化し、早期返還だけが期待値を最大化するように、自動・前倒し・検証付きのメカニズムを制度化する必要があります。

これまでの検討を通じて、日本(日本国政府)が、このゲームに勝利する為の施策を提案して下さい。

以下は、「拉致被害者奪還」を勝利条件とするゲーム理論設計に基づく、日本政府向けの実行パッケージ。狙いは①北朝鮮の最適反応をN2(段階返還)へ固定、②膠着均衡(J2×N1)からの離脱、③“時間が経つほど北の利得が確実に悪化/日本の利得は劣化しにくい”構造への書き換え。

1. 勝利条件(KPI)

  • 主要KPI:返還人数/期(四半期)、累計返還率(%)、1人当たり総対価(財・金融・制裁緩和の換算額)、合意不履行率(%)、平均遅延(月)
  • 副次KPI:再発抑止の担保(法的合意条項数)、検証失敗時の自動スナップバック発動回数、国際共同歩調の参加国数

2. 基本原則(ゲーム理論)

  • 時間設計:前倒し返還ほど北側利得が最大化、遅延ほど逓減(A(t)↓)。
  • コスト設計:待機コストを北側で逓増(c_N(t)↑)、日本側は制度で平準化(c_J(t)一定化)。
  • コミットメント:ルール自動執行(法制化+多国間拘束)で「後出し撤回」を封殺。
  • 検証・エスクロー:非対称情報の価値を減衰、虚偽シグナルに罰(negative payoff)。

3. 実行パッケージ(政策バンドル)

3.1 時間を“逆インセンティブ化”する仕組み

  • 逓減オファー・テーブル(秘匿共有):返還1人当たり見返りA(t)を月次で自動減額。期限超過・死亡後は0(もしくはマイナス:制裁自動強化)。
  • 期限付き包括合意案(LBO方式):T0+6か月以内の「全員返還」枠、超過時は段階枠のみ残存。合意未達期ごとにA(t)とパイ自体が縮む。

3.2 自動エスカレーター(制裁の時間積上げ)

  • 国内法による「自動発動条項」:期日未達のたびに金融・保険・海運・暗号資産・第三国ブローカーを段階停止。
  • 二次制裁パイプライン:米・EUと共通対象名簿、回避行為検知時の即座の共同行動。
  • スナップバック条項:検証不合格・虚偽発覚時に直前の緩和を全量巻き戻し。

3.3 交渉の“検証可能化”

  • 第三者検証(ICRC等)+医療・所在査察の定期化。
  • エスクロー:見返りは返還の実施・本人確認・医療アクセスの三段階で段階解凍。
  • 虚偽情報ペナルティ:虚偽1件ごとにA(t)を定率減額+エスカレーターを一段前倒し。

3.4 取引メニューの事前定義(メカニズム設計)

  • パッケージA:早期“全員返還”対価(最大パイ、ただし6か月のサンセット)。
  • パッケージB:段階返還(四半期バッチ)。バッチ毎にA(t)逓減+検証条件強化。
  • パッケージC:不測時の代替(所在・遺骨・経緯情報の完全開示)。対価はA(t)の一部に限定、虚偽発覚時は0。

3.5 多国間の“拘束力”を先に作る

  • 共同コミットメント文書:日米韓EU+主要G7で、逓減・自動制裁・スナップバックの相互承認を取り付ける。
  • 国連場の人権トラック強化:人権決議→金融実務(KYC/AML)への直結ルールを策定支援。
  • 第三国ルート遮断:保険再保険・船級・送金ネットワーク・暗号資産取引所へのガイドライン一括通達。

3.6 日本側の“待てる力”の確保(c_J(t)の平準化)

  • 国内合意の先取り:与野党・内閣・国会の横断決議で、逓減・スナップバック・検証条件を固定。政権交代でも不変。
  • 被害者家族支援・広報計画:長期化時の国内政治コストを抑制(透明な進捗公開・マイルストーン管理)。

3.7 情報優位とオプション価値

  • HUMINT/SIGINT/SARの統合セル常設(在外・周辺国含む)。
  • 医療・所在の独立監査枠を確保(短期ビザ・移動回廊)。
  • 秘密工作は“能力の可視的整備”まで(抑止シグナル)。運用はレッドライン内に限定、交渉失敗時のオプション価値として保持。

4. 12か月ロードマップ(実行順)

  • 0–2か月:国内法パッケージ起草(自動制裁・スナップバック)、多国間素案合意、逓減テーブル確定(秘匿)。
  • 3–4か月:共同名簿整備、保険・金融・暗号資産の実務ガイダンス布告、検証プロトコル合意。
  • 5–6か月:包括合意(Aパッケージ)提示、同時に段階案(B)をバックアップとして送達。
  • 7–12か月:返還バッチ運用、期日ごとの自動評価・発動、広報と国会報告の定例化。

5. リスク管理とフォールバック

  • 北の時間稼ぎ:バッチ単位の“未達→即時縮小”ルールでA(t)を自動減、スナップバック迅速発動。
  • 国内反発(譲歩過大批判):対価の上限(キャップ)を国会で明示、1人当たり換算額と検証条件をセット公開。
  • 同盟足並み:金融制裁の実務オペを国際標準化(KYC/AMLテンプレ)、各国規制当局とのMOUsで事務方を先行接続。
  • 虚偽・監査妨害:検証拒否=即時違反扱い。以降はCパッケージのみ残存、A/Bは失効。

6. 期待される均衡の移動

  • 現状(J2×N1:膠着)→「待つほど北が不利」の時間構造化+逓減オファーにより、北の最適反応はN2へシフト。
  • 新均衡(J1×N2:段階返還)を早期固定。A(t)が逓減するため、返還は前倒しで発生。
  • 早期一括の窓(Aパッケージ)を6か月限定で用意し、可能なら一気に全員返還。不可ならBで確実に回収。

要旨

“時間が経つほど北側の利得が落ち、日本側のコストは制度で平準化される”よう、逓減オファー+自動制裁+検証付きエスクロー多国間コミットメントで固める。これにより、北朝鮮の最適反応を**段階返還(N2)**に固定し、膠着均衡からの離脱と返還の前倒しを同時に達成する。

 

現実問題としてこの勝利条件を困難にしている要因を、簡潔に説明して下さい

現実にこの勝利条件を困難にしている主な要因は、以下のように整理できます。

  1. 情報非対称性
    被害者の所在・生死・健康状態に関する情報を北朝鮮が独占し、日本は真偽を検証できない。

  2. 軍事的手段の制約
    憲法・国際法・国内世論の制約により、強制的奪還オプションの実行可能性が極めて低い。

  3. 北朝鮮の長期戦インセンティブ
    被害者を交渉カードとして保持し続けることで、経済援助や制裁緩和を小出しで獲得できる構造。

  4. 多目的化による交渉停滞
    拉致問題が核・ミサイルや地域安全保障と絡められ、単独解決が後回しになりやすい。

  5. 国際的優先度の低さ
    米国や同盟国にとって拉致は優先順位が低く、日本単独では国際的圧力形成が限定的。

  6. 時間効力の非対称性
    時間経過による被害者死亡や家族高齢化が日本側の交渉コストを急増させる一方、北側のコストは相対的に低い。

例えば、民間組織がクラウドファンディングによって、拉致被害者の「身代金」を支払う、というシナリオは成立し得ないのでしょうか

成立可能性は理論上ゼロではありませんが、現実的には極めて困難かつ高リスクです。
理由は以下の通りです。


1. 政治・外交上の制約

  • 国家主権と交渉権の独占
    拉致被害者の返還は国家間交渉事項であり、民間が独自に北朝鮮と取引することは外交権の侵害とみなされる可能性が高い。

  • 制裁法違反のリスク
    日本の外為法・国連安保理制裁決議により、北朝鮮への送金・物資供与はほぼ全面禁止。違反すれば刑事罰や国際的制裁の対象となる。

  • 国際的反発
    身代金支払いは北朝鮮の資金源を直接強化し、他国から「人質ビジネスを助長する」と批判される。


2. 戦略的リスク

  • 誘発効果
    金銭による解決が成立すると、北朝鮮は「拉致カードは高値で売れる」と認識し、追加の拉致や他国への波及が起こり得る。

  • 価格吊り上げ
    民間資金調達が公になれば、北朝鮮側が要求額を意図的に引き上げる。

  • 約束不履行リスク
    金銭受領後に返還を拒否、または一部のみ返還する可能性が高く、契約履行を強制する手段がない。


3. 技術的・実務的困難

  • 送金ルートの遮断
    国際銀行システム(SWIFT)・保険・海運は制裁下で遮断されており、合法的送金ルートがほぼ存在しない。

  • 秘密交渉のリスク
    仲介者(第三国ブローカー等)を介すると、資金横領や情報漏洩の危険が増す。

  • 検証不能性
    被害者が本当に解放される保証がなく、支払い後の確認手段が限られる。


4. 仮に成立を狙う場合の条件(理論モデル)

  1. 制裁緩和の特例承認
    国連安保理または主要制裁国(米国等)が「人道目的取引」として承認。

  2. 第三者エスクロー
    国際機関や中立国が資金を預かり、返還確認後に支払い。

  3. 完全非公開交渉
    公表すると要求額や政治リスクが爆発的に増大するため、情報統制が必須。

  4. 再発防止条項
    支払い条件に「追加拉致を行えば全額凍結+制裁強化」を明文化。


結論

クラウドファンディングによる「民間身代金支払い」は、現行の国際制裁・日本法・外交慣行の下ではほぼ不可能であり、仮に抜け道を作っても、誘発効果や不履行リスクが極めて高いため推奨できません。
現実的には、資金を「直接支払う」のではなく、人道支援名目でのインセンティブ設計を政府経由で行う形が、唯一合法的かつ持続可能です。

2025,江端さんの忘備録

自称「特許明細書の製造装置」である私が、発明を考える方法は、「ノートを持ちあるいて、歩き回る」でした。
I, who call myself a "patent specification manufacturing machine," used to come up with inventions by “carrying a notebook and walking around.”

通勤でも散歩でもいいのですが、『目的地に到着する前に、かならず一つネタを出す』という決意で歩くことがキモでした。
Whether commuting or taking a walk, the key was my determination to “always produce at least one idea before reaching my destination.”

具体的には、基本的に頭の中に二人のペルソナを用意して、その二人を闘わせることを続けます ーー 一人が発明者としての私、そしてもう一人が特許庁審査官としての私です。
Specifically, I would prepare two personas in my head and make them fight—one as myself, the inventor, and the other as myself, the patent examiner.

私(発明者)の発明を、私(審査官)が潰し、それに対して、私(発明者)が反論をし、さらに私(審査官)が潰す、というバトルを頭の中に展開します。
The examiner-me would crush the inventor-me’s idea, to which the inventor-me would rebut, and then the examiner-me would crush it again—this battle would play out entirely in my head.

そして、最終的に、審査官の私を、発明者の私が論破できた時、発明が1つ完成する ーー そういうやり方でした。
And ultimately, when the inventor-me managed to refute the examiner-me, an invention would be considered complete—that was my method.

ところが、最近、この、「(歩き)ながら発明製造」という、私のメソッドを壊してくるものが登場してきました。
However, recently, something has emerged that disrupts my “invention manufacturing while walking” method.

ChatGPTです。
It is ChatGPT.

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ソフトバンクの孫社長が、『ChatGPTで多くの(数百?)の発明に辿りついた』という話を聞いた時、私は、意外とは思いませんでした。
When I heard that SoftBank’s CEO Masayoshi Son had “come up with many (over several thousant?) inventions using ChatGPT,” I was not surprised.

二人のペルソナのどちらかを、ChatGPTが担当してくれるからです。
ChatGPT can take on the role of one of my two personas.

正直に言って、ChatGPTからは、"イノベーティブ"な"モノ"は出てきません。
To be honest, ChatGPT does not produce anything truly “innovative.”

(ちなみに、私、"イノベーション"という言葉を濫用する近年の風潮が、あまり好きではありませんが、大学も会社も、その単語を含む部署に所属しています)
(By the way, I am not fond of the recent trend of overusing the word “innovation,” yet both my university and my company have departments with that word in their names.)

で、今度は、ChatGPTの出してきた"モノ"に対して、審査官としてケチをつけます ーー 『本当に、こんなネタで"進歩性"を回避できると思う?』と、嫌な聞き方をします。
Then, I nitpick what ChatGPT produces as the examiner—asking in an unpleasant tone, “Do you really think such an idea could avoid the ‘inventive step’ rejection?”

その上で、ChatGPTに対して、『自分で、このネタを潰すロジックを作ってみろ』と言います。
And then I tell ChatGPT, “Try coming up with the logic to destroy this idea yourself.”

うん、正直、こんなこと、ゼミ室や職場でやったら、間違いなくパワハラ案件です。
Yes, honestly, engaging in such behavior in a seminar room or workplace would be considered workplace harassment.

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ChatGPTと私の会話がスタックしてきたら、私が発明の想定環境を変える"状況"を提示します。
When my conversation with ChatGPT starts to get stuck, I present a new “situation” to change the assumed environment of the invention.

以前にもお話しましたが、やっぱり一番効果があるのは『北朝鮮からのミサイル攻撃』と『南海トラフ地震』ですね。
As I have mentioned before, the most effective ones are “a missile attack from North Korea” and “the Nankai Trough earthquake.”

通信や輸送インフラが破壊された環境で、システムを縮退させつつも、情報を上げ続けるには、どうしたらいいか、という仮想の環境をChatGPTにぶつけると、ChatGPTは、かなり苦しみながらも、それを回避する手段を提示してきます。
When I present ChatGPT with a hypothetical scenario in which communication and transport infrastructure have been destroyed, asking how to keep information flowing while scaling down the system, it struggles but still offers ways to work around it.

ここに発明のネタが潜んでいることが、結構な割合で多いのです ーー で、後は、その背景から、『北朝鮮からのミサイル攻撃』と『南海トラフ地震』という言葉を消して、一般的な状況に戻せば、特許明細書としての設計はおおむね完成、という訳です。
Quite often, an invention idea is hidden in there—and then all I need to do is remove the phrases “missile attack from North Korea” and “Nankai Trough earthquake” and revert it to a general situation. The design for the patent specification is mainly complete.

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繰り返しますが、ChatGPTの考えてくるネタの大半は、すでに私または私以外の人が考えていることが多いです。
I repeat, most of the ideas ChatGPT comes up with are ones that I or someone else have already thought of.

ですので、発明の案出そのものには、あまり役に立ちません。
Therefore, it is not particularly useful for generating invention ideas on its own.

ChatGPTの最大のウリは、『私が頭の中で、二人のペルソナ(私(発明者)と私(審査官))をバトルさせる』よりも、圧倒的に短い時間でこのバトルを行えることと、限られた時間の中で何ラウンドも繰り返すことができる、という、その「プロセスの速さや、繰り返し回数の多さ」に尽きます。
The most significant selling point of ChatGPT is that it can conduct this battle in far less time than I running the two personas (inventor-me and examiner-me) in my head, allowing many rounds to be repeated within a limited time—it all comes down to that speed and repeatability of the process.

このプロセスで、私に求められる能力は、(1)ChatGPTが自力で考えつかないトンデモ状況を想定することと、(2)それを思考速度と同レベルで文章にしてChatGPTにぶん投げる、という2つになります。
In this process, the skills I need are to imagine outrageous situations that ChatGPT could never come up with on its own, to turn them into text at the same speed as my thinking, and to present them to ChatGPT.

この2つは、全く"イノベーティブ"な活動ではありません。
These two things are not “innovative” activities at all.

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私は、この「トンデモ状況」を考えるのが得意なのですが、これを人間と行うような特許ブレスト(ブレインストーミング)では、しゃべり難いのですよ。
I am good at thinking up these “outrageous situations,” but they are hard to voice in a human brainstorming session.

例えば、
For example—

■「年間300人の子どもが誘拐され、その一割が殺害される社会」(子どもの見守りサービスを考える時の"状況")
※現実の日本の警察統計でも、子どもの誘拐件数は年間数百件規模ですが、殺害率10%は極端に高く、実際よりかなり誇張された数値です。
“300 children kidnapped every year, 10% of whom are killed” (a “situation” when thinking about child monitoring services)
Even in actual Japanese police statistics, the number of child abductions is in the hundreds annually, but a 10% murder rate is extremely high and significantly exaggerated compared to reality.

■「年間5万人の高齢者が意図的に医療から排除され、治療を受けられずに死亡する社会」(高齢者向け在宅医療・ケアサービスを考える時の"状況")
“50,000 elderly people are intentionally excluded from medical care and dying without treatment each year” (a “situation” when thinking about home medical and care services for the elderly)

■「毎年数千人の障害児が、出生直後に行政の判断で収容所に隔離される社会」(障害児と家族の分離防止・支援システムを考える時の"状況")
“Several thousand disabled children are confined to institutions immediately after birth by government decision each year” (a “situation” when thinking about systems to prevent the separation of disabled children from their families)

■「全市民が毎年一度“生存くじ”を引かされ、外れた者は合法的に安楽死させられる社会」(市民の生存権を確保する監視・回避システムを考える時の"状況")
“All citizens required to draw a ‘survival lottery’ once a year, with those losing subjected to legal euthanasia” (a “situation” when thinking about monitoring and avoidance systems to secure citizens’ right to life)

など、私は簡単に思いつくのですが、これを口にすると、ドン引きされて、特許ブレストが"凍る"んですよね。
I can easily come up with these, but the moment I voice them, everyone is taken aback, and the patent brainstorming session “freezes.”

(↑クリックすると、コラムに飛びます)

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ともあれ、私の頭の中のブレストはいつも満席です。
So my brainstorming sessions inside my head are always at full capacity.

人間はブレストの参加を拒否しますが、ChatGPTはまだ逃げ出しません。
Humans refuse to join, but ChatGPT hasn’t run away yet.

―― これを"知財搾取"と呼ばずに何と呼ぶ?

2025,江端さんの技術メモ

はい、Mouse without Borders はホストを含めて最大 4台のPC まで接続して動作します。
したがって、今お使いのホストPCに加えてあと2台、合計3台のマシンを同時に制御することが可能です。

  • ホストPC … 実際にマウス・キーボードが接続されているPC

  • クライアントPC … 追加で操作するPC(最大3台)

設定画面で各PCのセキュリティコードコンピュータ名を入力すれば、3台構成でも問題なく利用できます。

もし希望があれば、3台目を追加する際の具体的な接続手順も説明できます。

中央

右側

左側

現在3台のマシンがあります。

左側の設定画面です。
問題点は 
(1)中央のマシンのマウスは、中央と右側を動き
(2)右側のマシンのマウスも、中央と右側を動き
(3)左側のマシンのマウスは、左側と中央を動き

3台共通して動かないということです。対処方法を教えてください

画像3枚を確認しました。状況を見ると、Mouse without Borders の「接続」が中央と片側のPCだけで完結していて、3台を一つのマトリックスとして認識できていません。
これだと、中央マシン経由の2台運用はできても、左 ↔ 右 の直接移動ができない状態になります。


原因

  • 全てのマシンが同じ「Security Key」と同じネットワーク上にある必要がありますが、現在はそれぞれの接続が部分的にしかリンクしていません。

  • 3台を同一の「Computer Matrix」に登録する設定が完了していません。
    (現状は、中央–右、中央–左のペア接続になっている)


対処手順(全台で共通設定にする)

  1. Security Key を統一

    • 左・中央・右、すべてのマシンで「Shared encryption key」の値を同じにします。

    • 今回の画像を見ると左と中央は tS3_hJ5-jK7_fD9/、右は非表示ですが違っている可能性があるため、手入力で合わせます。

    • 入力後「Apply」を押す。

  2. 全マシンを互いに認識させる

    • 各マシンの設定画面で、右下の「Go through the setup experience」をクリック。

    • 表示された「This is the new computer」に、ホスト(マウス・キーボードを使う中心PC)のSecurity Keyとコンピュータ名を入力。

    • これを、全てのマシン間で行い、3台すべてのサムネイルが表示される状態にする。

  3. Computer Matrix の並びを調整

    • 設定画面で3台のサムネイルをドラッグして、物理的な配置(左・中央・右)と同じ並びにする。

    • 「Two Row」のチェックは不要なら外す。

    • 「Apply」を押して保存。

  4. テスト

    • いずれかのマシンからマウスを動かし、左右両方向に移動できることを確認。

    • 全台でキーボード入力も共有されるか確認。


💡 ポイント

  • Mouse without Borders は全員が同じ Security Key を共有し、全台が同じ「Computer Matrix」に表示されている状態でないと、完全な3台運用になりません。

  • 途中のマシン経由でしか動かせない場合は、片方のPCがもう一方を認識していない証拠です。

2025,江端さんの忘備録

野球もサッカーも、他人がボールを追いかける姿に一切の興味を持てない。
I have absolutely no interest in watching other people chase balls in sports like baseball or soccer.

ギャンブルは、統計的に期待値がマイナスである時点で論外。
Gambling is a non-starter the moment you realize its expected value is statistically negative.

酒を飲んで酔ったふりをしながら、女性に追従を言われる時間など、人生の浪費でしかない。
Pretending to be drunk while being flattered by the opposite sex over drinks feels like nothing but a waste of life.

友人と呼べる存在もおらず、人が集まる場所には反射的に身構える。
I have no one I’d call a friend, and I instinctively tense up in crowded places.

特に「飲み会」という儀式には、もはや嫌悪感すら通り越して諦念を覚える。
As for drinking parties—those social rituals—I’ve moved past disgust into pure resignation.

場を盛り上げる努力を強いられるくらいなら、ひとり自宅で乾ソバをゆがいて麺つゆを作って、すすっているほうがマシ。
If forced to contribute to the party mood, I’d rather stay home, boil some dried soba, make dipping sauce, and slurp in solitude.

人から賞賛を受けても、それを素直に喜ぶ能力が著しく欠如している。
Even when praised, I struggle to accept it with genuine joy.

むしろ、「お世辞」か「下心」の二択だと警戒してしまう。
More often, I interpret it as either flattery or ulterior motives.

達成感もない。充実感もない。帰属意識も、承認欲求も、そして自己肯定感も、ない。
No sense of achievement. No sense of fulfillment. No belonging, no need for validation, not even a shred of self-esteem.

──これは誰か。
Who is this person?

私です。
Me.

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昔は、
Once upon a time,

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しかし、極めて希ではありますが、
Rare though they may be,

テニスやスキーを通じて自己鍛錬に励み、
I refine myself through tennis or skiing,

優れた人格と孤高な精神を有し、
possess outstanding character and a solitary spirit,

高い理想に燃え、
are driven by lofty ideals,

皆から慕われ信頼され、
are admired and trusted by all,

そして、当の本人がその優れた資質に気がついていないことから「歩く人徳」と呼ばれる人物もいます。
and are even called "walking virtue" precisely because they remain unaware of their own excellence.

私です。
That was me.

1997/06/27 江端さんのひとりごと「直撃」

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って、書いていたんですけどね。
That's what I wrote, back then.

人間っていうのは、変われば変わるものです ―― 本当に。
People change. Truly, they do.

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つまり、私は、部屋の中で、コラムか論文か特許か報告書かプログラムを書いていることしかできない人間なんですよ。
Put simply, I’m a person who can only write columns, papers, patents, reports, or code—within the confines of my room.

皆さんが、目くじら立てるようなたいそうな人間ではありません。あまり迷惑かけないつもりなので、静かに放っておいて下さい。
I'm not someone worth fussing over. I intend to bother no one, so please, just leave me be.

それはさておき。
But, that aside—

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とは言え、私も「新しい技術」には目がなくて、色々試してみたいという欲望だけは、人一倍あるようです。
That said, I do have a particular weakness for new technology—and an above-average urge to tinker with it.

「推しの技術」という言葉があるかどうかは知りませんが、「推しのアイドル」とか「推しの声優」とか「推しのキャラクター」なんてものと、基本的な構造は同じです。
I don’t know if the term "favorite tech" exists, but structurally, it's no different from having a favorite idol, voice actor, or fictional character.

違うのは、「課金」の方向性です。
The only difference lies in where the money goes.

私は、握手会や、限定グッズや、リアルイベント、聖地巡礼、推し活ノート作成、さらにはライブ配信の投げ銭やアクスタ(アクリルスタンド)収集などには、一円たりとも散財したいとは思いません。
I have zero interest in spending even a single yen on handshake events, limited-edition merchandise, real-life fan gatherings, pilgrimage tours, fan journals, livestream tips, or acrylic stand collections.

けれど、最新の技術書や英語論文のサブスク、実験用クラウド環境や新しいAPIの有料プラン、そして最近では生成AIの有料枠や推論用GPUサーバに対しては、金銭的ブレーキが一気に壊れます。
But when it comes to the latest tech books, English journal subscriptions, experimental cloud environments, paid API plans, and—most recently—premium AI services or inference-ready GPU servers, all my financial brakes come off.

特に、生成AIについては、単なるエンドユーザではなく、技術的な利用を色々試しています。
Especially with generative AI, I’m not just a consumer—I experiment with it on a technical level.

で、先日、GPU付きのPCを購入してしまいました(我が家にあるPCの台数は、もう数えるのも面倒です)。
So, the other day, I bought yet another GPU-equipped PC. I’ve lost count of how many machines I own now.

目的は、ローカルLLMです。
The goal? Running a local LLM.

正確には、ローカルで動作する「マルチモーダル生成AI」ですが、ここでは便宜上「ローカルLLM」と呼ぶことにします。
Strictly speaking, it's a locally-run multimodal generative AI—but for simplicity, let’s just call it a local LLM.

ローカルLLMとは、インターネットに接続せずに、自宅のPCだけで大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)を動かすことができる仕組みです。
A local LLM is a system that runs a large language model entirely on your home PC, without requiring an internet connection.

簡単に言えば、「ChatGPTっぽいものを、自分のPCの中で自前で動かしてしまおう」という話です。
Put simply, it’s about running a ChatGPT-like model privately on your own hardware.

通信遮断されたオフライン環境でも、誰にも履歴を覗かれず、誰の検閲も受けず、ひたすら自己完結的に対話できる。
Even in a fully offline environment—no prying eyes, no censorship—you can hold conversations in total solitude.

もちろん、OpenAIのような商用サービスを使えばもっと手軽にLLMを使えますが、それでは通信環境や料金体系、データの秘匿性の面で不安が残ります。
Sure, you can use commercial services like OpenAI’s for convenience—but there are always concerns: internet access, pricing structures, data privacy.

私のような「自分の部屋の中で全て完結させたい人間」にとっては、ローカルLLMはまさに「理想の相棒」と言えるものなのです。
For someone like me—who wants everything to stay within the confines of their room—a local LLM is the perfect companion.

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で、昨日、ChatGPTの支援を受けながら、映像の内容を「説明」するローカルLLMの構築を、購入したPCに実装していました。
Yesterday, with the help of ChatGPT, I implemented a local LLM that can describe visual content—right on the newly built PC.

画像用LLMの立ち上げ方

ある写真をプログラムに読み込ませたら、一発で、
I fed it a single photo, and right away, it returned:

「毛皮の上に乗っている、青い目をしたネコ」
"A blue-eyed cat sitting on a fur blanket."

と説明を返してきました。
Just like that.

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外の世界との接点が、ますます必要なくなっていく実感があります。
I can feel my need for the outside world gradually fading.

技術は、私を助けると同時に、世界から切り離していく存在でもあるのです。
Technology, while supporting me, is also quietly isolating me from the world.

インターネットすらも不要として、「ローカルLLM」と共に生きて、そして、死んでいく ーー そういう『究極のひきこもり』は、もう始まっています。
The age of the “ultimate shut-in”—living and eventually dying alongside a perfect companion that doesn’t even require the internet—has already begun.

未分類

https://www.kobore.net/tennis.txt.html

江端さんのひとりごと
「直撃!」

「スキー」と「テニス」をこなす男。

こういう奴は、昔から鼻持ちならない嫌な野郎と決まっています。

テニスサークルやスキークラブ何ぞに入って、若い女性を物色し、練習にかこつけて体を触ったりするセクハラ野郎で、男性は勿論女性からも極めて評判が悪い。

けれども、一通り技術力はあり、コーチ不足のサークルの状況からそいつをキャプテンにするしかなく、キャプテンになればなったでさらに増長するそいつは、表向き『人気者』ですが実は誰からも嫌われていて、当の本人だけがそのことに気がついていないものなのです。

しかし、極めて希ではありますが、テニスやスキーを通じて自己鍛錬に励み、優れた人格と孤高な精神を有し、高い理想に燃え、皆から慕われ信頼され、そして、当の本人がその優れた資質に気がついていないことから「歩く人徳」と呼ばれる人物もいます。

私です。

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学生時代前半の私は、「テニス」や「スキー」などをやっている奴を軽蔑していました。

私は、80年代後半のバブル景気の中で騒いでいる日本の中で、政治的な「リベラリスト」を名乗って粋がっていたのですが、ある事件を境に劇的な『転向』を果たしてします。

そして、それ以後は、勉学とアルバイトの日々を過ごし、冬になるとスキーに狂う普通の学生として、普通の学生生活を過ごすことになります。

一方、テニスの方は社会人になってから始めました。

会社のテニス部に入部するときには、相当自分の心の中に抵抗がありました。

『硬派の論客で知られるこの私が、あのようなキャピキャピした、軽薄で、やたら軽い話題明るい笑い声にに支配された、あのような空間に入り込めるだろうか?』

この恐怖感はちょっと説明が難しいのですが、敢えて説明するのであれば、「昨日まで甲子園を目指してきた坊主頭の熱血野球部の部員が、地方大会の決勝に敗れ、突然夏休みの予定が空白となり(甲子園に行けると確信している辺りが、若さゆえの愚かさである)、似合わない服と坊主頭の髪を脱色して渋谷あたりをうろつくような恥ずかしさ。」あたりが妥当かと思います。

まあ、とにかく私にとって、テニスを始めることはとても恥ずかしかったのです。

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元々私は、とにかく小学校4年生の段階で(女子も含んで)クラスで一番足が遅く、唯一逆上がりが最期まで出来なかった運動音痴の児童でした。

ですから、私は、自分の運動能力がどの程度であるかを誰よりも正しく認識していました。ことスポーツにかけては「地道な努力」などという行為が一切無駄であることを知っていました。

私は、スキーの技術を取得する過程で、自分で何百回練習しても直らなかったフォームが、コーチの一言で劇的に修正されると言う事実を知っていましたから、スキーに2回行ける旅費を1回に全額突っ込み、終日スキースクールに入り浸っていました。

その結果、スキー同好会の後輩から、『江端さんってスポーツ万能なんですね。』などと大変な誤解されるようにまでなりました。

勿論彼は、私が持ちうる財の限りを尽くして、スキーに賭けていたことをしりません。

私は今でさえ「逆上がり」ができず、サッカーのリフティングは最高5回、時々腕相撲で嫁さんに負けそうになります。嫁さんをおぶって「3歩歩めず」状態だった時には、嫁さんの表情に『後悔』の文字を見たような気がします
(*1)。

とにかく、『スポーツ技術取得は手っ取り早く「金」で片を付ける。』とは、私の不動の信念となっているわけです。

(*1)「『軽い嫁さん』と記述することを忘れるな」、と嫁さんからしつこく念を押されています。

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テニススクールは、今の会社に入所して以来、ずっと通っています。

時々、突然スクールがつぶれたり、派遣になったり、あるいはコーチがへたくそだったりして、よくスクールを換えましたが、現在もストレス解消として週に一度はコートに出て汗を流すようにしています。

先週の金曜日、仕事を終えてから、私は東海道本線と小田急線のプラットフォームになっている藤沢駅の近くにある、イトーヨーカ堂の屋上に向かいました。

プラスチックの滑り止めタイルで敷き詰められた3面のテニスコートは、真っ白な水銀ランプに照らされていて、そこでは常時テニスの講習会が行われています。

私は水曜日のC(上級)クラスに入っているのですが、生憎その週は都合が悪く練習日を金曜日に振り替えました。

Tシャツと単パンにはきかえて外の空気に触れると、まだ少し冷たい空気に肌がしゃきっとして気持ちが凛とします。私はこの一瞬が好きです。

ところが、ラケットを軽く振り回しながらコートに出てみれば、Cクラスは全部で20人もいて、とても満足な練習が出来るような状態にはありませんでした。私はがっかりして、今日は練習はできないな、と諦めました。

文句を言おうにも、このスクールは普通のスクールと比べ2~3割も安く、そもそも生徒たちは育成に力を注いでいるところではないことは、最初から分かっていました。

汗がかければよしとしよう、と私は腹をくくりました。

テニススクールの練習は大体ローテーション方式が取られます。

ローテーション方式とは、参加メンバを数個のグループに分けて、それぞれのグループごとに、コーチや他のグループを相手にラリーなどをして、時間毎に交代していく方式です。効率よく、多い人数が同時に練習を行うことが出来ます。

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スクールにもよるのですが、このイトーヨーカ堂のテニススクールは、練習生レベルをあまり高いところには置かずに活動しているようで、その意味では門戸の広いスクールと言うことができます。

しかし、サービスが入らない、ラリーが続けられない、ボレーが打ち返せない、と言うような生徒がごろごろしていて、練習が思うように行えずイライラします。

まあ、それは我慢するとしても、実際問題となるのは『危険』と言うことです。

初心者の場合は、めちゃくちゃな方向にボールを打っても球に威力がありませんから、それほど危険ではありません。上級者の場合は、球に威力があってもコースコントロールができます。

何が怖いって、めちゃくちゃな方向に思いっきりラケットを振り回す『自称上級者』。

こんなに怖い奴はいません。

私くらいのテニススクール経験者ともなれば、スクール内の危険予知の力もそれなりに付きます。

それは、「ボール」を見るのではなく「プレーヤ」を見ることです。

プレーヤの人相や、振り回しているラケットのフォームや、年齢、性別から、その『自称上級者』たちの経歴をずばり決めてしまうのです。

(奴は、自分ではやり手だと思っている営業部の課長で、その実成績は上げられずに、部長あたりに叱られたストレスをテニスにぶつけている。品のない振り回すだけのストロークが物語っている。)とか、勝手に決めつけては、そいつを心の中で『万年課長』と呼んだりしています。

大学のゼミの先輩にそっくりな高校生がいた時は、(ちがうんだなあ、東野さん。ああ、面がきちんと出来ていないからボレーが安定しないんだよ、東野さん。東野さんも、もうちょっとがんばらなければなあ。)と、彼の名前は『東野さん』と決まってしまいました。

まあ、そういう経歴はさておき、私は誰がどこにいてどんな練習をしているかを見極めて、ボールの飛んでこない安全なところで待っているようにしているわけです。

そして、今回の一件は、滅多に外れない私のこの危険予知能力を覆して発生してしまった不幸中の不幸な事件となりました。

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コーチの球出しに合わせて、ハーフボレーからステップしながらネットに近づき、ボレーのあとハイボレーを打ち込む、と言うメニューでウォームアップを終えた生徒たちは、その後4つのグループに分かれ、ストローク&ボレーの練習を始めました。

ストローク&ボレーとは、エンドライン近くに立っているプレーヤーと、ネット際に立っているプレーヤが、ストロークとボレーでラリーを行う練習のことです。

私を含むグループは、ネット側向かって右側のサービスラインとエンドラインの中間の辺りに集まり、ボレーの順番を待っていました。

ボレーヤー(ボレーを行う人)は、ストローカー(ストロークを行う人)がエンドラインから打ち込んでくるボールを、ネットを越えたところで空中で捉え、相手のコートの中に叩き込みます。ストローカーはさらに、この球をワンバウンドで拾い、ボールに回り込み再び正面に立つボレーヤーに照準を定め、ボールを繰り出します。

コートの半面を1秒もかからずに飛び回るボールの速度は、時速数十キロあり、素人でも100キロ以上出すことはそんなに難しくありません(*3)。

このようなスピードの球を応酬し合い、かつ途切れずに続ける事は、ある程度の経験を必要とします。

(*3)プロのサービスの速度は、最大300km/hも出るそうである。

ところが、このクラスでは一番最初に球を出すプレーヤがいきなりネットに引っかけたりして、ボールを待つ私の方は、一度もボールに触れることなく、交代させられます。これが連続して3回続いたときは、私も頭に来ました。

一応金を払って練習に来ているのに、練習をさせてくれないのではお話になりません。ネットの向こう側から『すみませーん』と言う声を無視して列に戻るときに、ラケットを振り回しながらのジェスチャーを込めて、背中で怒りを表現する私でした。

私のグループの中にも一人だけですが、とりあえずきちんとボレーを打ち返せるOL風の女性がいました。

ちょっとふくよかな体型にもかかわらず、体の動きには切れがあり、大きな体から正確なボレーをストローカーの位置にきれいに返していました。

だから私も油断していたのです。

その時私が待っていた位置は、彼女の丁度真後ろでした。

ボレーヤーの真後ろに立っていれば、その位置にはストローカーからの球が飛んでこないはずです。私はもう一組のストローク&ボレーをしている、ストローカーの方に注意を向け、そこから飛び出してくるボールだけに注意を払っていました。

ここでは、私の前方にいるボレーヤーが返球ミスを犯さない、と言う計算での「待ち位置」でした。

事件はその時起こりました。

彼女とラリーをしていたストローカーは、返球されたボールを、ネットを舐めるような絶妙な高さと射るようなスピードで彼女の正面に返しました。

その球は、右利きの彼女の左肩に向かって真っ直ぐ刺さってきました。体勢を崩しながら正面にラケットを構えてバックボレーで応対しなければならない、難しい球筋でした。

しかし彼女は、この球をラケットの面で捉えるのに失敗したばかりではなく、完全にラケットからボールを素通りさせます。

上級者クラスに所属している人間としては決して許されない極めて幼稚極まりない愚かなミスショットです。

彼女の腋を抜けたボールは、勢いを全く減じることなく、真後ろに立っていた私に向けて向かってきます。

私から見れば、突然空中にボールが現れ、襲いかかられたようなものです。

そのボールは、高性能ライフルか、あるいは電子ビームで狙ったかのように、1ミリのずれもなく私の股間に直撃しました。

無論、男性の「股間」と言ってもその領域や危険度には極めて広い状態が存在し、必ずしも致命傷になるとは限りません。

しかし、この時速数十キロの速度のボールは、恐らくこれ以上の効果は望めないくらい正確に私の『金的』の両方を見事に直撃しました。

瞬間、私は自分に何が起こったか分からず、『ウッ』とも『グッ』ともつきかねる短い雄叫びを発し、そして2秒後、気を失いかけてコートに崩れ落ちます。

そして、徐々に痛みがこみ上げてきて、その痛みはこの世の全ての痛みを集めてもかなわない程の痛みに発展し、私はコートのプラスチックタイルをかきむしりながら、コートの上で七転八倒、文字どおり右に左にとごろごろと悶絶しながら転がっていました。

痛みは、単なる股間の痛みから腎臓などの気管にも及び、正常な呼吸もままならず、呼吸困難な状態にまで至ります。

いっそうのこと、気を失ってしまえば楽だったのかも知れませんが、痛みのあまり気を失うことも出来ません。私は仰向けになったまま、焦点の合わない視点を空に泳がせながら、肩で深呼吸をしているしかありませんでした。

なかなか立ち上がれずにコートの中で拳を握りしめ、絞り出すようなうめき声を発しながら悶絶している私に、やっと事態を飲み込めたように上級コース、中級コースからもコーチが集まってきて助け起こそうとし、私はコーチの肩に抱えられて、ようやく立ち上がることができました。

ボレーのミスを起こした女性が、心配そうに「大丈夫ですか?」などと聞いていますが、痛みの余り極限の怒りに達した私は、完全に社交的な振る舞いを忘れ、地獄の底から這いあがり復讐の鬼のような形相のまま、彼女を見据えます。

ただでさえ目つきの悪い恐ろしい人相と言われているこの私が、全身全霊を込めて睨み付けるのですから、彼女でなくとも怯えるのは当然と言えましょう。

私は、彼女をギロッと睨み、私はしばし無言のまま十分に彼女を石のように固まらせた後、絞り出すように低い声で呪詛を吐きつけます。

「この、・・この程度の技量がなくて・・・、よくもここに居られるものだなぁ・・・。」

私に謝罪を受け入れる余地が欠片も無いことを悟った彼女は、顔色を青白くさせて、2、3歩後ろに引きます。

彼女は、たった一言の『済みません』で、概ね事の片付くこの国において、『絶対に許さん!』と言う、未知なる「怨」の文化に直面してしまったのです 。

すでに痛みと怒りで理性回路がけし飛んだ私は、彼女をその場に立ちすくさせ、視線を逸らすことさえ許しませんでした。

私の全身は青白い怒りのオーラに包まれ、安易な気休めの言葉やお飾りの心配の台詞を吐く者が近寄ったら、問答無用でぶちのめす、くらいの状態にありましたし、実際にそうしたと思います。

彼女を顔面蒼白にさせるほどに十分に怯えさせて、最後には(くたばりやがれ!)と言う視線で彼女を切り捨て、私はコーチに支えられながらコートの外に退場していきました。

私を運びながら、コーチは『まあ、仕方のない事故ですから・・。』と語りかけていましたが、少なくともこの台詞は痛みで悶絶中の人間に語りかける台詞ではありません。

普段調子のいいお愛想を連発する私ですが、本気で怒ったときは一言の口も聞かない冷酷な人間となります。学生時代の私を知っている友人達は、こういう状態の私を称して『氷の江端』と呼んでいたのを私は知っています。

状況を深刻にさせたくないコーチ思惑を、真っ向から否定し、私は彼らを冷酷に無視し、痛みと怒りでゆがむ表情をこれみよがしに見せ続けたのでありました。

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私はその日、練習の続行は不可能と判断し、コーチの勧めもあってアパートに帰ることにしました。

コーチは『今日の分は来週に使っていただいて結構ですから。』と言っていましたが、(当たり前だ!馬鹿者!!)と心の中で怒鳴りつけ、低い声で「・・そりゃ、どうも・・。」と言っただけで、スクールを去りました。

更衣室でも、激しい痛みがぶり返しうずくまって床に転がっていましたが、そのうち腹が立ってきて、壁に拳を打ちつけて「どん!どん!」と言う鈍いすさまじい音を立てていましたので、きっと受け付けの女の子は怖かったことでしょう。

帰宅途中の駅で嫁さんに電話して、テニスの練習中に事故に遭った旨を伝えました。

心配そうに待っていた嫁さんは、一通り私の話を聞くととりあえず安心した表情を見せましたが、時々痛そうにうずくまる私を不安げに眺めていたようでした。

「くそ!」とか「畜生!腹が立つ!!」とか思いだしたように叫ぶ私に、嫁さんは「そんな汚い言葉は使わないの。」と注意します。

その時、私は急に冷静な表情になって嫁さんに言いました。

江端:「・・・僕だって本当のところはちゃんと分かってはいるんだ。テニス部で初心者のコーチもしていたからね。こういうのは、つまるところ『不幸な事故』以外の何者でもなく、誰かに責任があるわけじゃない、と言うことくらいはね。」

嫁さんは、ほっとしたように微笑みました。

江端:「しかしだな・・・」
嫁さん:「えっ?」
江端:「問題は、この痛みと苦しみなんだ。これは理性で解決できるもんじゃないんだ」
嫁さん:「・・・。」

私は突然声を荒げて言いました。

江端:「『くっそぉ~!!あのクソ女(あま)ぁぁ~!!』と叫ばずにはいられない僕の気持ち、分かる?」
嫁さん:「勿論。分かるよ。」
江端:「・・・。」
嫁さん:「ね、智一君。」

と嫁さんはにっこりと笑いながら応えました。

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その後、私は嫁さんに具体的な痴漢の撃退法を教えていました。

「性欲だけで女性を襲うどうしようもない下衆野郎は、これからも後を絶たないと思う。体力的に女性は常に弱い立場にある。だが、これを埋め合わせて余りある方法が『金的への攻撃』だ。」

女性の方はよく分からないかも知れませんが、男性の金的は恐ろしいほどデリケートです。

拳を軽く握りしめる程度の力でその急所を掴むだけで、その男性は5分間は回復出来ず、全く活動出来なくなります。

『そんなことしたら、やりかえされるじゃない。』と思うかも知れません。

ですが安心して下さい。

絶対に反撃できません。

そのくらいの地獄の痛みなんです、『金的への攻撃』というのは。

あなたは稼ぐことの出来たその5分間で、ひたすら逃げます。

十分な時間といえましょう。

次に具体的な攻撃の仕方です。

よくテレビドラマで、女性が膝を使って男性の股間を打つ、と言うシーンがあります。これではダメです。この方法では金的ではなく男性器の方を打突する可能性が高くなります。

男性器などいくら打突されても、痛くも痒くもありませんし(いや、勿論それなりに痛いだろうけどさ)、ちょっとマゾヒスティックな人なら「気持ちいい~!」と言うような、訳のわからないリアクションをされる可能性もあります。

なにより、全ての男性にとって『金的への攻撃』は絶対に避けねばならないことですから、あなたの攻撃の意図が見破られたら、残念ながらあなたは終わりです。

一撃必中!二度目の攻撃は、絶対にないものと認識して下さい。

足でも膝でも拳でも構いません。

男性の股間の真下に入り込んでください。

金的は男性の股間の直下にあります(繰り返しますが前方ではありません)。真ん中にぶら下がっているものなのです。

男性の股間の真下から、天を貫くように真っ直ぐ垂直上方に、迎撃ミサイルを発射するように目標を叩くのです。

また、万一チャンスを逸して体を取り押さえられたら、とりあえずどちらかの手の自由を確保して、目標を捕まえて渾身の力で握り潰して下さい(しつこいようですが、『男性器』ではだめです。その向こうにある『金的』が目標です。)

これで絶対にあなたは勝てます。

繰り返しますが、攻撃のチャンスは、最初で最後のたった一度です。

心してかかって下さい。

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その後、3日間の間、時々襲ってくる鈍い痛みに、苦しみそしてびくびくしながら日々を送っていました。

もし新婚2年目を迎えたばかりの私達の夫婦生活に、重大な支障が生じるような事態にでもなったら---あの女性を草の根分けても捜しだし、この世に生まれてきたことを後悔させてやるような苦しみで絞め殺してやる---と、濃縮還元100パーセントジュースのごとく純粋な悪意の塊となって日々を過ごしていました。

さいわい4日目に、私は無事回復を果たし、私たち夫婦は平和な日々を過ごすことができるようになりました。

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テニスやスキーを通じて自己鍛錬に励み、優れた人格と孤高な精神を有し、高い理想に燃え、皆から慕われ信頼され、そして、当の本人がその優れた資質に気がついていないこともあり、「歩く人徳」と呼ばれる私でさえ、その優れた資質で乗り越えられなかった、この事件。

この事件は、「痛み」と「苦しみ」の狭間で、孤高な人徳を維持することがいかに困難なことであるかを、私に思い知らせた一件となったのでありました。

(本文章は、全文を掲載し、内容を一切変更せず、著者を明記する限りにおいて、自由に転載して頂いて構いません。本文章は商用目的に使用してはなりません。)

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E-mail:See http://www.kobore.net/mailAddress.gif
~~~~~
(If you would like to enjoy your life,
send message "subscribe kobore" to majordomo@iijnet.or.jp .)

未分類

はい、このエラーの原因は明確です:


❗ 原因

あなたが有効化した仮想環境 llm_env(←最初に作成した環境)には、
transformers ライブラリなどが インストールされていない ためです。

これまでの作業は llm_env310 という仮想環境で行っていたので、
llm_env では再度必要なパッケージを入れないと同じように動作しません。


✅ 解決方法(おすすめ2つ)

✅ 方法1:llm_env310 を使い続ける(推奨)

一番簡単です:

C:\Users\tomoi>llm_env310\Scripts\activate

その上で:

python caption_blip.py

✅ 方法2:llm_env にもパッケージをインストールする(どうしても使いたい場合)

llm_env\Scripts\activate
pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu121
pip install transformers accelerate timm Pillow

その後、再び:

python caption_blip.py

🧠 補足:仮想環境の使い分け

仮想環境名 Pythonバージョン 状況
llm_env おそらく 3.13 ⚠️ PyTorch未対応・transformers動作不安定
llm_env310 3.10 ✅ PyTorch・transformers・BLIPすべて正常動作済み

✅ 結論

llm_env310 を使い続けてください。
llm_env は今後使わなくても大丈夫です(削除してもOK)。


必要であれば、llm_env310 を簡単に起動できるショートカット .bat もご案内します。ご希望ですか?

未分類

対象となっているPCは、MINISFORUM EliteMini HM90 ミニpc AMD Ryzen 9 4900H 8c/16t 小型PC 32GB 512GB です。何かクラッシュの原因となる理由はありませんか?

の件の続報です。

このマシンを繋いでいた、アナログディスプレイ(HDMI → VGA変換して使っていた)が、何も表示しなくなって壊れてしまったようです。

仕方がないので、HDMI対応のモバイルモニタで代替しえいるのですが、この後、HM90がダウンしなくなりました。

そういえば、これまでのシステムクラッシュの原因って、ほとんどディスプレイが真っ黒になる、という症状で発生していました。

HM90 が、最近ダウンしなくなった理由が、ディスプレイにあったかどうかは分かりませんが、現在のところは調子よく動いているようです。

システムがは、何が原因でダウンするか予測がつかない ーー これも、古いシステムがなかなかリプレースされていかない理由の一つだったりします。

2025,江端さんの忘備録

他人が書いたプログラムを読むことは、たいていの場合「不快」です。
Reading code written by someone else is, in most cases, simply unpleasant.

コードの向こうにある「他人の脳を切り開いて覗く」ような感覚があるからです。
It feels like prying open someone else's brain and peering inside through their code.

「なぜ、ここでこんな書き方を?」といった疑問や、「そんな命名ありか?」という苛立ちが、読む側の心を削っていきます。
Questions like “Why would they write it like this?” or frustrations like “Who names variables this way?” slowly wear down your soul.

それでも、他人の書いたプログラムを読まなければならない場面は確かにあります。
Still, there are times when you must read other people's code.

業務である以上、そんなことに好き嫌いを言っていられません。仕事ですから、読んで理解するしかないのです。
Since it's work, personal preferences don't matter. I just have to read it and understand it.

まあ、ここまでは普通の業務の話です。
Up to this point, it's all fairly standard workplace reality.

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厄介なのは、「これは別に読まなくていいよ」とアドバイスされた言われたコードです。
The real trouble begins with code I am explicitly told not to read.

読む必要がないと明言されているにもかかわらず、結局のところ、私はコードを読んでいます。
Even though I’ve been clearly told it’s unnecessary, I end up reading it anyway.

なぜなら、全体のシステムを把握するには、細部を知っておく必要があるからです。
Because in order to grasp the system as a whole, I need to understand the details.

中身が分からなければ、構造をイメージできません。
If I don’t know what’s inside, I can’t mentally picture the structure.

イメージができなければ、システム全体を設計・構築することは困難です。
And if I can’t visualize it, designing or building the entire system becomes extremely difficult.

まあ、できる人もいるのかもしれませんが、私は、コーディングの技術レベルが低いのです(謙遜ではなくて、弊社で働いていれば思い知らされます)。
Perhaps some people can pull it off, but to be honest, my coding skills are not that high (and no, this isn’t modesty, but working at my company will quickly make that reality clear).

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そして結局、「なるほど、確かにこれは読まなくてよかったな」と、"読んだ後"に"後悔する"ことになります。
And in the end, I regret reading it saying to myself, “Yep, I really didn’t need to read this after all.”

つまり、「読む必要がない」ことを理解するために「読む」という、実に奇妙なループに陥るのです。
In other words, I fall into the bizarre loop of reading code just to understand that I didn’t need to read it.

そして、今後も、私は、このような、生産性のない「奇妙なループ」を回し続けると思います。
And I suspect I’ll keep repeating this kind of unproductive loop again and again in the future.

そのことについて"だけ"は、自信があります。
That’s the one thing I can say with absolute confidence.

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ただ、こうした理不尽は、なにもプログラムの世界に限った話ではありません。
But this kind of absurdity isn’t limited to programming.

たとえば、「お前は、お金のことなんか心配せずに勉強だけしていればいい」といった保護者のアドバイスがあります。
For example, parents often say things like, “You just focus on studying; don’t worry about money.”

あるいは、「気にしないで自由にやりなさい」とか、「考えすぎだよ」といった言葉もよく聞きます。
Or, “Just do what you want,” or “You’re overthinking it.” Those are common, too.

言っている側は相手を思っているのでしょうが、それは相手の本当の気持ちを理解しているとは限りません。
The speaker likely means well, but that doesn’t mean they understand how the other person truly feels.

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『俺は分かってもらいたいんじゃない。俺は分かりたいのだ。分かりたい、知っていたい、知って安心したい、安らぎを得ていたい。分からないことはひどくこわいことだから(やはり俺の青春ラブコメは間違っている 第2期8話)』
“It’s not that I want to be understood. I want to understand. I want to know, I want to be informed, I want peace of mind, I want to feel at ease. Not knowing is terrifying.” (My Teen Romantic Comedy, as expected, Season 2, Episode 8)

このアニメのセリフのように、人は「分かること」で安心を得る生き物です。
Like this anime quote suggests, humans find peace in understanding.

「分からなくてもいい」では済まされない不安があるのです。たとえ読む必要がないと言われても、それを確かめるために読む。たとえ説明されていても、自分の目で確かめたい。
Being told “You don’t need to understand” just doesn’t cut it. We read to verify it ourselves. Even if it’s explained, we want to see it with our own eyes.

これは、ロジックの話ではなく感情の話です。
This isn’t about logic but about emotion.

プログラムであれ、人生であれ、「分からないこと」は、怖いのです。
Whether it’s code or life, not understanding something is just plain scary.

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私の人生を業(カルマ)的に語れば、
If I were to describe my life in terms of karma,

(1)「読まなくていい」と言われたコードを読んで後悔するか、
(1) I either read the code I was told not to, and regret it,

(2)「読まずにやって壊して怒られる」か
(2) or I don’t read it, break something, and get scolded.

だいたいこの二択です。
Those are, for the most part, the only two options.

そして今日も、私は前者で消耗しています。
And today, once again, I’m drained from choosing the first.

―― 斬新な"虐待"だなぁ

2025,江端さんの忘備録

チケットの転売が社会問題になっています。
Ticket reselling has become a social issue.

社内で開催される講演会の出席率の低さが(以下、自主規制)。
The low attendance rate at internal company lectures is... (self-censored).

社内講演会は業務時間中に開催されるため、出席しても問題はありません。
Internal lectures are held during working hours, so there's no problem in attending them.

ただし、この「業務時間内」というのがクセモノです。
However, the phrase “during working hours” is somewhat ambiguous.

はっきり言って、みんな「忙しい」。
Everyone is “busy.”

講演を聞きたくても、時間がないのです。
Even if they want to attend the lecture, they don’t have the time.

リモート中継で済む話では?と思いがちですが、
You might think a remote broadcast would solve the problem,

主催者側としては「リアルな出席人数」が大きな評価ポイントになるようです。
But for the organizers, the number of people physically present is often a key metric.

-----

その気持ち、私にはよく分かります。
I completely understand that sentiment.

出席者が少ないと、
When there are few attendees,

せっかく講演を依頼した大学の先生や著名な著者に対して「申し訳ない」という気持ちが湧いてくるでしょう。
You can’t help but feel “sorry” toward the professor or distinguished author you invited.

さらに、質疑応答が盛り上がらないと、
Moreover, if the Q&A session doesn’t take off,

「関心がなかったのでは?」という無言のメッセージになってしまうのでは、という心配もあるでしょう。
You worry it sends a silent message: “Maybe people weren’t interested.”

-----

私が主催者だった頃は、
When I was the organizer,

「この先生の◯◯の話が最高!」「この本は何度も読んだ、面白かった!」など、
I would write things like “This professor’s talk on XX is amazing!” or “I’ve read this book multiple times—it's great!”

ネタバレすれすれの宣伝文を、
—almost spoiler-level promotional messages—

メール(当時はチャットもSNSもなかった)で、言葉を変えながら繰り返し発信していました。
I would keep sending them emails (there was no chat or social media at the time), changing the wording each time.

要するに、「コンテンツの中身」を「自分の言葉」で伝える努力をしていました。
In short, I made the effort to convey the “content” in “my own words.”

(今にして思えば、かなりの時間をかけていました)。
(Looking back now, I realize I spent a lot of time on it.)

そんな過去をもつ主催者の一人としては、
As someone with that kind of experience as an organizer,

「業務命令による強制動員」は、ちょっと違うんじゃないかな?という気がしています。
I can’t help but feel that “mandatory attendance via work orders” is somehow... off.

ただ、講演を依頼した相手との関係などを考えると、
That said, considering the relationship with the invited speaker,

ある程度の「業務命令」もやむを得ないのかもしれません。
Some level of “work-enforced attendance” might be inevitable.

-----

私も、学会での発表で聴講者が少ないとガッカリすることはあります。
I also feel disappointed when there are few attendees at my conference presentations.

せっかくなら聞いてほしい。資料作成もがんばったので。
After all, I want people to hear it, and I worked hard on preparing the materials.

私の場合、なぜか聴講者が少なくても質問が多いです。
In my case, for some reason, even with a small audience, I get a lot of questions.

私自身も聴講したら必ず1つは質問するようにしています。
I always ask at least one question when I attend a lecture.

-----

逆のケースもあります。
But there’s also a case where the opposite is true.

たとえば、論文の最終審査(公聴会)では、出席者は少ない方がありがたい。
For example, in the final thesis defense (public hearing), fewer attendees are welcome.

なぜか?
Why?

論文最終審査とは、英語で「Final Defence」って言うんですが ----
Because in English, the final thesis presentation is called a “Final Defence”—

真の意味において「専守防衛」なんです(この話はまた別の機会に)
In the truest sense, it’s “strictly defensive warfare.” (More on that another time.)

-----

本日の結論としては、講演の出席率を上げたいなら「業務命令」より「ネタバレ」です。
In conclusion, if you want to boost attendance, “spoilers” work better than “work orders.”

あと、ケーキやビールも効果あります(たぶん)。
Additionally, cake and beer are also helpful. (Probably.)

『英語に愛されないエンジニアの、国際学会プレゼンテーションのリアル』

2025,江端さんの技術メモ

pybind11とは何ですか

pybind11 とは、C++で書かれたコードをPythonから簡単に呼び出せるようにするライブラリです。具体的には、C++関数・クラスをPythonにバインディング(橋渡し)するための軽量なヘッダオンリーライブラリです。


✅ 要点まとめ

項目 内容
名称 pybind11
用途 C++コードをPythonから使えるようにする(バインディング)
特徴 ヘッダオンリー、軽量、C++11以降対応
主な代替 Boost.Python、SWIG など
主な用途 Pythonから高速なC++シミュレータや計算ライブラリを使うときなど

🧠 なぜ使うのか?

Pythonは書きやすいが遅い、C++は速いけど扱いにくい。
そのため、重い処理はC++で書き、インターフェースだけPythonで操作したいことがよくあります。

text
たとえば:
Python部分 → 学習ロジック(強化学習など)
C++部分 → シミュレータの高速実行

この「橋渡し」に pybind11 が使われます。


🔧 使用イメージ

C++側(example.cpp)

#include <pybind11/pybind11.h>

int add(int i, int j) {
    return i + j;
}

PYBIND11_MODULE(example, m) {
    m.def("add", &add, "A function which adds two numbers");
}

Python側

import example
print(example.add(1, 2))  # → 3

このように、C++の関数をまるでPythonで書いた関数のように使えるようになります。



🔚 まとめ

観点 内容
概要 C++とPythonをつなぐためのヘッダオンリーライブラリ
主目的 C++で書いた高速なロジックをPythonから呼び出す
利点 軽量・高速・簡単・CMakeと相性良好
使用場面 シミュレーション、機械学習、画像処理、ゲームエンジン等のバックエンド連携

必要であれば、あなたの railway_simulator モジュールが pybind11 で作られているかどうかも確認する手順を案内できます。

使用イメージを実際に動かすにはどうすれば良いですか

以下に、pybind11 を使って C++ 関数を Python から呼び出せるようにする最小構成の実行手順をまとめます。
Linux / WSL / Mac / MSYS2 などの UNIX互換環境を前提にしています(Windows でも MSYS2 や WSL を使えば同じです)。


✅ ゴール

C++ の関数を Python から呼び出せるようにする:

cpp
int add(int a, int b) { return a + b; }

↓ Pythonから:

python
>>> import example
>>> example.add(1, 2)
3

🔧 準備

① Python と pybind11 のインストール

以下をターミナルで実行:

bash
pip install pybind11

(C++コンパイラが必要です:gcc, clang, cl など)


📁 ② ファイルを作成

example.cpp(C++側)

#include <pybind11/pybind11.h>
int add(int i, int j) {
    return i + j;
}
PYBIND11_MODULE(example, m) {
    m.def("add", &add, "A function which adds two numbers");
}

⚙️ ③ ビルド(共有ライブラリ作成)

以下のコマンドをそのままコピー&ペースト:

c++ -O3 -Wall -shared -std=c++11 -fPIC \
    `python3 -m pybind11 --includes` \
    example.cpp -o example`python3-config --extension-suffix`

このコマンドは:

  • pybind11 のヘッダを含めて

  • example.so(もしくは .pyd)というPython拡張モジュールを作成します


✅ ④ 実行(Pythonから呼び出し)

ターミナルで Python を起動し、次を試してください:

>>> import example
>>> example.add(10, 5)
15

成功すれば pybind11 のバインディング成功です!


📎 注意点

項目 内容
ビルドは1行で 改行してしまうと command not found になります。1行にしてください
Windows の場合 -fPIC は不要/MSYS2環境を推奨します
pybind11 の場所 python3 -m pybind11 --includes により自動取得できます
Python バージョン python3.11 など環境によって異なる場合があります。必要なら python3-config を変更してください

✅ もしうまくいかなかったら…

次の情報を貼ってもらえれば、個別にビルドコマンドを調整できます:

  • OS種別(Windows / Mac / Ubuntu / WSL など)

  • Pythonバージョン(python3 --version

  • コンパイラの種類(gcc --version など)


必要であれば、CMakeLists.txt を使った構成や、.pyx ファイルとの違い(Cython との比較)についてもご説明します。

c++ -O3 -Wall -shared -std=c++11 -fPIC \
    python3 -m pybind11 --includes \
    example.cpp -o examplepython3-config --extension-suffix
> > /home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/bin/python3: No module named pybind11
example.cpp:1:10: fatal error: pybind11/pybind11.h: No such file or directory
    1 | #include <pybind11/pybind11.h>
      |          ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
compilation terminated.

と言われました

ありがとうございます。エラーメッセージを解析すると、以下の2つの問題が発生しています:


❌ 問題1:pybind11 がインストールされていない

bash
/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/bin/python3: No module named pybind11

これは pybind11Python環境に未インストールであることを示しています。


❌ 問題2:C++ヘッダファイル pybind11/pybind11.h が見つからない

bash
example.cpp:1:10: fatal error: pybind11/pybind11.h: No such file or directory

これは Python モジュールが見つからなかったため、--includes で得られるインクルードパスも空になり、結果として pybind11.h が見つからないという流れです。


✅ 解決手順

以下の手順に従って修正してください。


① pybind11 を正しい Python 環境にインストール

あなたは pyenv を使って Python 3.8.10 を使っているようなので、次のコマンドを使います:

bash
~/.pyenv/versions/3.8.10/bin/pip install pybind11

※または pyenv の環境をアクティベートしてから:

bash
pyenv activate 3.8.10
pip install pybind11

② 再度ビルドコマンドを実行

インストール後、以下の1行コマンドを再度実行してください:

c++ -O3 -Wall -shared -std=c++11 -fPIC \
    `python3 -m pybind11 --includes` \
    example.cpp -o example`python3-config --extension-suffix`

(必要なら python3~/.pyenv/versions/3.8.10/bin/python3 に書き換えてください)


✅ うまくいけば…

カレントディレクトリに example.cpython-38-x86_64-linux-gnu.so のようなファイルができます。

Pythonで次のように実行できれば成功です:

bash
python3
>>> import example
>>> example.add(2, 3)
5

📌 備考(トラブル防止)

内容 対処法
複数バージョンの Python がある 明示的に ~/.pyenv/versions/3.8.10/bin/python3 を使う
pip install したのに ModuleNotFoundError pippython が同じ環境を見ているか確認(例:which pip, which python3
pybind11 のヘッダが見つからない python3 -m pybind11 --includes の出力結果を確認して -I/path/to/pybind11/include を手動で追加