2013

私は、基本的に言語以外のコミュニケーション(身振り、手振り)で、多くの国で何とかしてきました。

もちろん、ビジネスでは通用しませんが、旅行程度であれば、世界中どこでもなんとかしてみせる ―― という、漠然とした自信があります。

ですので、私は、言語に関しては「語彙」を重視する立場で、「発音」など本当にどうでもよいと思っていました。

しかし、先日のNHKのラジオ英会話番組で、私のこの考え方を根本から破壊しかねない事例が紹介されていました。

―― 英語のコミュニケーションの相手は、「人間」ではなく「機械」になる

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確かに、覚えがあります。

米国赴任中、電話をつかって予約をしようとしたとき、電話自動応答システムが対応してきて、色々と質問をしてきました。

『あんたは、何をしたいんだ。次の1~5の中から選べ』

と、まあ、この程度はよいのですが、

『どの空港から、どの空港へ、何日の何時の飛行機に乗りたいのか』

との、問いに対する自動音声システムは、ほぼ100%、

『ごめん。わかんない。もう一度言ってくれないかな(I am sorry, I don't understand what you said. Would you please try it again?) 』

と、の応答してくる。

で、同じ質問を三回された挙句、"Sorry, See you again" と言われて、一方的に電話を切られる。

そして、電話の受話器を持ちながら、呆然と立ちすくむ私がいる、と。

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相手は自動音声システムですから、身振り手振りが通じないのは当然として、聞き返し(Pardon?,Sorry?) や、「私は、あの有名な日本人なんだ(I am a Japanese, you know well)」が、通じない。

これは辛い。

これは、いわゆる私が主張してきた、「江端メソッド」を根底から破壊されかねないトレンドと言えましょう。

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私は、以前、寄稿コラムで、「日本の製造メーカーですら、日本語のマニュアルを作らなくなった」というお話をしました。

このような潮流が、自動音声システムにまで拡張しないと、誰が断定できるでしょうか。

コールセンタの無人化は、経費削減の観点から、絶対に止まりようがありません。これは、システムのエンジニアとして断言します。

そして、多言語対応なんぞ論外。対応言語を一元化したいと思うのは当然のことです。

TPP等によって、生保、医療、その他の分野のサービスが日本への流入してくることは確定でしょう。

日本語対応するが莫大な経費がかかる企業が勝つか、日本語対応しないが安価なサービスを提供できる企業が勝つか、今の段階では断言できません。

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我々には2つの道があります。

A:徹底的に英語の、特に発音に関する教育を徹底的に「破壊」して、機械とのコミュニケーションの芽を今のうちに手折る、という戦略。

B:機会とのコミュニケーションを前提に、発音を最重視する英語学習にシフトする戦略

私としては、どっちの対応も嫌です。

私の第三の戦略は、「C:このようなトレンドが、あと10年来ないことをひたすら祈り続ける」です。

2013,江端さんの忘備録

先日、同人誌関係の方へのインタビューを行っていた時のことです。

ノートにメモを取りながら、「どうにも、全体感が掴めんなぁ」と、頭を掻きながら、愚痴っていた時です。

『だったら、江端さん、コミケに参加したらいかがですか』

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コミックマーケット、通称「コミケ」。30年以上の歴史をもつ日本最大の同人誌即売会。

通常は、年2回、夏と冬に東京国際展示場(東京ビックサイト)全ホールを使って開催され、のべ入場者数約50万人という、おそらく世界最大規模のイベント。

断片知識として、「入場に6時間かかる」という話も聞いたことがあります。

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冗談ではない。

体力もないけど、ディズニーランドで20分待つのも嫌いな私が、素人のコンテンツ売買イベントなんぞに、参加できる訳がありません。

著作権問題が解決されていない作品の取引を見ているだけで、私は怒り出すかもしれない。

無用な紛争を起こすことが判っていて参加するなど、愚の骨頂です。

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『いえいえ、そうじゃないです、江端さん。出店の方です』

―― 出店? 私に漫画なんぞが描けると思っているのですか?

『いや、そうじゃなくて。コラムやエッセイを出せばいいじゃないですか。江端さんのブログを纏めて冊子にしてもいいと思いますよ』

―― え? コミケって、文章も出せるのですか?

『コミケの精神は、「ノンセクションの自己表現」です』

自慢されてしまったようです。

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うーん、そう来たか。これは、予想もしなかった展開です。

「初音ミクコンサート」の参加は娘に随伴を断わられましたが、消費者でなく、提供者としての参加というのは、ちょっと、そそられるものがあります。

同人誌関係は、法律からのアプローチしかしていないが、現場を踏むという想定はしていませんでした。

これは、なかなかコラム魂に火が付く話です。

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―― しかし

今迄、寄稿してきたコラムの内容を省みると、コミケ会場で、関係者から袋叩きにあうんじゃないか、という恐怖が、皆無という訳でもありません。

おそらくは一冊も売れないであろう、私のブログ印刷物を見ながら、ブースに座り続けるのは、相当な苦痛でもあろうと思われます。

そのブースで、一人、黙々と原稿を書いている自分が、簡単に想像できてしまいます。

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結論:うん、やっぱりダメだな。

あの時は「考えておく」と言いましたが、現時点で、その気はなくなりました。

しかし、これを読んだ編集担当者さんから『是非行って下さい』と言われたら、ちょっと困るな。

2013

そろそろ、夏の参議院選挙を踏まえて、街中での宣伝活動が活発になりつつあります。

単に連休中なので、そのような場面を見る機会が増えているだけかもしれませんが。

今回も色々考えて投票することになると思うのですが、財政に関する事項については、特に強い感心を持っています。

持っているのですが、各政党の財政政策が、全く良く分からんのです。

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例として、日本共産党を挙げてみます。

(あくまでも、一例として挙げるものです)

特に、歳入の政策の方を見てみましょう。

日本共産党の歳入ポリシーは基本的に5つ。

■所得税の最高税率を元に戻す

■証券優遇税制を20%に戻し、富裕層は30%以上に引き上げる

■相続税・贈与税の最高税率を元に戻す

■低い大企業への優遇税制を段階的に元に戻す

■大企業の過剰な利益留保を、雇用と中小企業など社会に還元し、家計・内需主導の経済成長路線に変更する

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確かに、この方法は「面白い」と思うのですよ。

新しい産業の創成とか、ベンチャーの保護とか、全ての内閣が取り組んできて、ほぼ100%失敗に終っている「新戦略」とか言う、眉唾(まゆつば)的なものでないところが良い。

むしろ、このような「古典的手法」による、財政対策というのは、私としては、非常に興味深いのです。

「絶望」の2文字でしか表現できない高齢者問題に対して、歳入を社会福祉等に回せるなら、どんな手段であっても構わないのです。

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簡単に言えば、日本共産党の財政(歳入)は、「大企業が溜め込んだ金を、家計に再分配する」という政策と思うのですが、「大企業が溜め込んでいる金」が「家計に再配分」できる程度にあるのか、という基本的な疑問があります。

また、「溜め込んでいる金」は、研究開発投資に回されるのですが、そこを削るというのはもちろん良い考えですが、将来の発展を閉ざすもの事実です。

しかし、発展的成長を望まない財政政策は、それはそれで良いと思う。

原子力エネルギーは勿論、化石エネルギーを使わなくても、江戸時代の江戸(東京)は、当時世界最大都市として機能していた訳ですから、どうせなら、200年程退行した経済というのも、確かに「あり」だと思う。

その上、「鎖国」まで持ち込んだら完璧です。

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問題は、日本共産党が「数値」と「アルゴリズム」を提示してくれないことにあります。

自民党、民主党のような大きな政党は「数値」は出しています。しかし、「アルゴリズム」の方は、提示してくれません。

どんな政策でも良いので、その政策の内容とシミュレーション結果のアウトプットを示してくれれば、私はその政党の誠意を信じれる、と思うのです。

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そこで、提案です。

これは日本の技術者人口1000万人という広大な票田を独占し得る、非常に魅力的な提案です。

『政策シミュレーションのプログラムソースコードを、インターネットで開示する』

シミュレーションプログラムですから、あくまで仮説であり、また、都合の良いパラメータや、勝手な想定サブルーチンを突っ込んでも良いです。

例えば、「2017年4月、iPS細胞による医療産業における課税による収入」とか言う、現時点では発生していない歳入について、自分勝手な仮説のサブルーチンも詰み込んでもO.K.です。

とにかく、そのプログラムをコンパイル・ビルドして回すと、2020年までに、日本の税収(歳入)が、どのように変っていくかが、グラフで表示されるものであれば良いのです。

各政党は、各政党のホームーページで、自分のおかかえ技術者の得意とするプログラム言語で書かれた、シミュレーションプログラムを開示するだけで良いのです。

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この、各政党シミュレーションプログラムが開示する効果は凄いです。

まず、ソースコードを読むだけで、税率、歳入の根拠、人口比率、株価変動、など、各政党が何を考えているか、全部分かります。

マニュフェストなんぞという、かったるいものは読む必要がありません。

第一、マニュフェストは嘘くさい。

「あれ、その財源、そこで使ったら、さっきの政策の原資はどうなるの?」という疑問に全然答えていないと思うし。

コンピュータプログラムであれば、1+1=5などいうことは(悪意のコードでもない限り)発生しませんし。

なにしろ、各政党が、どのような未来を想定しているのかも、ソースコードから一発で解釈可能です。あまりに都合の良い想定は、公に批判されることになります

また、そのソースコードのパラメータを、ちょっとイジっただけで、何が発生するかも、その場で読みとれます。あっと言う間に、財政シナリオが崩れさる、ということも簡単に分かってしまいます。

ソースコードでは難しいというのであれば、エクセルのマクロ程度であっても良いと思います。

必要なのは、「目に見える歳入数値」です。

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私が欲しているのは、「カリスマのある政治家」でもなく「理念や理想を語る政治家」でもないのです。

そんな人間は、もう、いらんのです。役に立たないから。

客観的な数値を提示する、各政党の日本国歳入シミュレーションプログラムのソースコードと、その計算結果があれば十分です。

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ただ、ですね。私は、今でも不思議に思っているのです。

各政党は、相当数のエンジニアがいるはずで、その中には、シミュレーションプログラム程度を組めるプログラマも含まれているはずです(別に経済論に通じていなくても、まったく構わない)。

この程度のシミュレーションは、当然にやっている「ハズ」だと思うのです(それすらもやっていないで、財政を語るなど、詐欺だと思う)

では、なぜ各政党は、そのプログラムを開示しないのだろう、と

開示しない理由がある、とすれば、それは、自分達の主張している方法を、プログラムの計算結果では裏が取れなかった、と考えられます。

それはさておき。

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私は政治家の「人柄」などには、全く興味がないのです。

歳入を増やす方法とその方策を、「言葉」ではなく「数値」で示して欲しいだけなのです。

特に、日本共産党が、各政党の先頭を切って、これらのソースコードまたはエクセル表を開示してくれることを、心から期待しております。

学生のころから「あの党は、財政に関することは、徹頭徹尾、信用できない」という、私の偏見を、ソースコード(エクセルも可)で叩き壊して頂けることを、心の底から期待しています。

立花隆の「日本共産党の研究」という本を読んで以来、いつか自分でも別アプローチで「政党」を理解してみたいと思っていました。例えば、「数値で理解する日本共産党」とか、「自民党マニュフェストとシミュレーション結果」てな、技術書(連載でもいい)です。

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まあ、ともあれ、夏の参議院選挙、これらを実施してくれた政党には、間違いなく私の一票が入ります。

2013,江端さんの忘備録

現在、我が家では7台のパソコン(うち2台がサーバ)が稼動中です。

今どき、パソコンが2台以上というお家は普通にあると思い、これらをLAN(ローカルエリアネットワーク)で繋ぎたい、というニーズも十分あることと思います。

ということになると、配線が不要の「無線LAN」の使用が主流になっていると思います。

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しかしですね、無線LANは、時間や天候(温度や湿度)などで、簡単にスループットが変化し、YouTubeとかを使っている人はどは、イライラすることが多いと思います。

(「え、そんなことないよ」という人。そこで黙って静かにしていなさい)

家中に、有線LANのイーサネットを配線しましょう。

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このように考えると、すぐに「壁の中にどのように入れこむか」「業者に頼まなければならない」「コストが・・・」と考えてしまう人が多いと思いますが、その発想、間違っています。

窓の外を走らせれば良いのです。つまり、屋外配線です。

「壁に穴なんて・・・」という発想している時点で負けです。

フラットケーブルを使えば、サッシの窓枠で十分挟み込めます。頻繁に開閉しない窓であれば、ケーブルが痛むこともありません。

それに痛んだら、交換すれば良いだけのことです。

私はイーサネットケーブルを、雨樋(あまどい)の配管に、結束バンドで括りつけて、1階と2階をイーサネットケーブルで繋いでいます。IP監視カメラ用に庭にも走らせておりますが、かれこれ3年以上も問題ありません。
photo

スループットは安定しているし、原因不明の通信不良もない。pingで追跡すれば、断線箇所は直ちに特定できるし、面倒くさい暗号化も不要で、WEP,WAPのパスワードを忘れてえらい目にあうこともなく、セキュリティも万全。

有線LAN! 万歳!!

ちなみに、私、日本で一番速い電車の「無線LAN」に係わった技術者です。

まあ、それはさておき。

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リビングのパソコンに、私の愛用しているキーボード(ハッピーハッキングキーボード(HHK))を設置したのですが、本日、撤去させられました。

家族から、「使い難い」との不評の圧力に屈しました。

私は、外出先にHHKを持ち歩くこともあるくらいの愛用者で、私の「筆記具」といっても良いくらいです。

家族にとっては、CTRLやSHIFTキーの配置が異なる、漢字カナ変換のキーが異なる、など、そのクレームの理由は正当であるとは分っているのです。

しかし、二人の娘達には、いずれは、LinuxのCUI(コマンドラインユーザインターフェース)で、PerlやRubyで、バッチプログラムをさくさくと書いてしまるようなスキルを身につけて欲しい、と思うのは、

―― 娘を持つ全世界の父親の「共通の願い」

であると思います。

そうですよね。私、間違っていませんよね。

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父親にHHKを撤去させるなど、

「そんなことで、世界を震撼させる一人前のハッカーになれると思っているのか!」

と、今夜あたり、娘達を説教をしたいと思っています。

2013

今度の寄稿コラムの為、長女の為に「ゴルゴ13」を購入しました。

ゴルゴ13とは、超一流のスナイパー(狙撃手)である国際的テロリストの活躍をベースとして、世界の国際的な政治・経済・宗教・宗教は勿論、軍事、最先端技術を分かりやすく解説する劇画漫画です(江端解釈)。

まあ、正直に言うと、私の国際問題に関する勉強のきっかけは、この「ゴルゴ13」から始まっていることが多いです。

例えば、メジャーな国際問題である「パレスチナ問題」の全体像を把握したければ、「ゴルゴ13」だけで十分でしょう。

もちろん、何もかも正確に記載されている訳ではありません(特に、コンピュータとネットワーク関連では、私でも誤記を指摘できる箇所もある)。

しかし、全体としては、驚異的な知識と学習がベースになければ、到底可能とは思えない程の、素晴しい作品です。

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ゴルゴ13は、自分の依頼を完遂する為に、それぞれの専門家(武器商人、コンピュータエンジニア等)に、色々な機材を発注するのですが、私に言わせると、

―― ゴルゴ13、その発注方法ではだめだ。

と突っ込みたくなることがあります。

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(例1)

技術者:「ということは、ネットワークに過負荷を与えて、通信を不能にするということですか?」

ゴルゴ13:「俺の質問だけに答えろ」

(例2)

武器商人:「あなたは、我が国の権力基盤の一端を破壊しようとしているのか」

ゴルゴ13:「余計な詮索はするな」

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これでは駄目ですね、ゴルゴ13。

背景、趣旨、目的、そして詳細な計画案、問題点、それらを開示することによって、より良い提案がされて、計画が具体化し、作戦の成功率が高まるというものです。

このような秘密主義が、プロジェクトを頓挫させることは、歴史を見るまでもなく明かなことです。

まあ、それでは、劇画漫画としてしては面白くないし、大体テロリストが他人に作戦を開示した段階で計画としてはアウト、ではありますけどね。

それはさておき。

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なぜ、私が「ゴルゴ13」を長女に買い与えたかは、あと2週間程で分かると思います。

2013,江端さんの忘備録

今、介護認定をペアで受けている両親の今後の対応や、実家のメンテナンス(電気、水道、ガス等のインフラ一般)の為に、年休とって帰省中です。

また、併せて、彼等の確定申告の処理も行っているのですが、

―― まったくもって、分からん

―― この複雑怪奇な制度は、一体なんだ?

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ここで、「制度」を批判するのは簡単です。

私も特許法、著作権法などを(独学ですが)勉強しているので、「公平と正義をギリギリまで担保する為には、法制度や手続が面倒くさくなる」ということは理解しているんですよ。

けどなぁ、この書類を、介護認定を貰っている人間が作成できるとは思えないんだよな。

これって、本当に公平と正義を担保しているんだろうか。

私には、そこに悪意がなくても、結果として「弱い奴から税金を取れ」というシステムとして完成しているように見えて仕方がないんですよ。

文句も出にくいし、早々にいなくなるだろうし。

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今の私は、

「確定申告を計算した結果、戻ってきた還付金を100%全額進呈する」

という条件で、アルバイトを雇う意思があります。

経済学部や商学部の学生さん、この話に一口乗りませんか。

私は、「要介護高齢者が不当に舐められている」と感じるこの不快感に対して、(いいがかりであるのは、百も承知の上で)、権力に対して一矢報いたいんですよ。

2013,江端さんの忘備録

電子メールを使って、特許法の説明をしていたことがあります。

■特許権が発生する為には、「特許出願」という要式行為が必要である(「方式主義」)。

■しかし著作権の場合は、このような行為を行うことなく権利が発生する(「無方式主義」)

という内容を簡単に判って貰う為に、以下のような文章を作成しました。

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(例2)

『結婚は、所定の要件を備えた当事者間の合意で成立する。YesかNoか』

答えは、Noです。

婚姻届けを提出するという手続を行い、登録されないと結婚は成立しません。

結婚とは、法律行為で、かつ、第三者対抗要件だからです。

ちなみに、「結婚」とは実体としての「愛情」やら「経済力」やらを全く規定しておらず、単なる手続としての法律行為のみです。

今更ですが、「愛」がなくても結婚は可能です。

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つまり「愛のない結婚」という言い方は、一般的にはネガティブなイメージがありますが、法律的にはあまり意味のあるフレーズではないのです。

「愛のある結婚」という言い方のほうが、珍しい。

いわば「愛のある特許出願」みたいな違和感です。

2013,江端さんの忘備録

JTの広告に面白いものがありましたので、 ご紹介します

後半のみ抜粋します

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今、私たちがマナー広告を

継続的に発信しているのは、

ルールを守らない

喫煙者が多いからではありません。

ルールはもちろん、マナーにも配慮している

喫煙者は、確実に増えています。*1

一部のルール違反者、あるいは

マナーの気配りが足りない喫煙者に、

今の自分の行動に気づいてほしい

と考えているからです。

もちろん、マナーだけで

すべてが解決できるとは思っていません。

しかし、私たちは、

一律的な全面禁煙には、反対します。

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と、ここで、このメッセージの文章が、唐突に突然終了するのです。

凄い違和感を感じます。

普通の文章であれば、「しかし、私たちは、一律的な全面禁煙には、反対します。なぜなら、・・・」と続くはずです。

小論文のテストであれば大きな減点対象ですし、論文ならリジェクトされかねない重大な瑕疵です。

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それにしてもですね、「一律的な全面禁煙」って、明らかに有効な根本的解決策ですよね。

これに反論できる人っていますか?

「一律的な全面禁煙には、反対します」と言う以上、この解決策に欠点があることをキチンと示さなければなりません。

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これは、米国で、本当にあった話なのですが、たばこ会社がちゃんと試算しているのです。

(Step.1)喫煙を認容する

(Step.2)→国民の寿命が短くなる

(Step.3)→高齢者対応の財源(年金)の大幅な削減が可能となる

(Step.4)→国家の財政が助かる

(これも、ハーバード熱血教室(回数失念)で見た内容です)

「働けなくなった人間は、さっさと死んで貰うことが、社会(の財源)に資する」というのは、勿論、―― 悪魔の論理ではあるのですが ―― 嘘ではありません。

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まあ、ここまで言わなくても、

「我々の雇用がなくなる」とか、・・・、うん、これも言わなくていいや。

ならば、どっかららデータを持ってきて、

「タバコがストレス社会における、一定の役割を担っている」

程度の理由は明示すべきでしょう。

私は、ここではタバコの是非については言っていません。

ただ、「いい大人が書いているんだから、ちゃんとした文章にしなさい」と言っているだけです。

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ところで、私がマナー広告の文面を作れ、といわれたらこう書きます。

―― 「排便行為」が生きていく上で必要であるように、ある人にとっては「タバコを吸う」ことが必要である人がいます。

―― だからといって、私達は、だれしも、人前で「排便」をしながら会議をしたり、「排便」をしながらごはんを食べたり、「排便」をしながらお酒を飲んだりはしません。

―― あなたの「ウンコの匂い」を嗅がされる人の「苦痛」に想いを馳せましょう。

―― 「ウンコ」はトイレで、「タバコ」は分煙室で。

―― JT

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上記のキャンペーンメッセージ、自由に使って頂いて結構です。

2013,江端さんの忘備録

来週から、私は暫くの間、松葉杖で出社します。

説明が面倒くさいので、簡単に言うと、

「ベビーカーを追いかけて、肉離れをおこした」です。

世の中のお母さん達にお願いです。

「ベビーカーは、空車であっても、ちゃんと車輪をロックして下さい」

それともう一つ。

松葉杖って、結構体力使います。

あれは、脇で支えると、脇の方で肉離れをおこしかねません。

階段の登り降りでは、北アルプスを縦断した時の、山岳サークル(1年で辞めた けど)を思い出しました。

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以下、報告書より抜粋

========== ここから ==========

4.災害発生時の経緯

(1)報告者は、上記パチンコ屋前に並列する小児外科医院の前に停められていたベビーカーが、風に煽られて車道側に落ちていく状態を視認した。

(2)報告者は、瞬時に、そのベビーカーを停止させるべく走行(ダッシュ)を開始。直後、内耳から、左脚脹脛の裂割音(いわゆる「ブチッ」という音)を確認し、激痛で歩道上にうずくまるに至る。

(3)視認でベビーカーが無人であることを確認後、近くの電柱に掴まり、身体の自己チェックを行った。

5.災害発生後の経緯

(1)まず会社の同僚に負傷した旨の連絡を入れた後、片足歩行で、駅のタクシー乗り場に到着し、そのまま病院に行き、整形外科にて受診した。

(2)レントゲン等のチェックを経て、筋損傷(筋肉の損傷)(いわゆる「肉離れ)」と診断。自然治癒以外の治療方法はなく、全治2週間との診断を受けた。

(3)上記(2)の後、総務部、部長、課長への全員への連絡を完了。

(4)松葉杖を貸与され、病院から駅までは巡回バスを、駅から歩行にて会社に到着。その後、総務部から各種の手続(本速報、および通勤災害報告書他)の指示を受ける。

========== ここまで ==========

2013,江端さんの忘備録

いじめ対策として監視カメラを設置する、という話をすると、面白いくらい同じ反応(2つ)を聞けます。

(1)「プライバシーの侵害」

(2)「効果がない」

です。

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上記(1)の「プライバシーの侵害」って何でしょうか。

私は「生徒の家の部屋の中を撮影しろ」といっている訳ではないのです。

現在のイジメの問題の根幹は、誰もがその現場を目撃していながら、それが「イジメ」であるかどうかを認定する手段がなく、それを告発できるシステムがないことです。

この手段を提供するだけです。

「いじめ」と「プライバシー」 私には十分にトレードオフできると思えます。

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上記(2)の「効果がない」については、私もかなり調べましたが、誰もその実証実験の証拠を持っていないのです。

それは推測ばかりで、しかも理由が1つという貧弱さ。

「カメラの死角に入ったら効果がない→いじめがさらに陰湿化する」ばっかり。

3つ程、事実で反証します。

■イギリスでは、すでに4万7000台のカメラが学校内に設置されて、いじめ対策に一定の効果が認められています。

■私自身が、幼稚園に通っていた娘の問題(「いじめ」かどうかは認定できなかった)を聞いて、具体的なシステム構成図を伴う、自費による監視カメラの設置の提案を行っただけで、一気に問題が沈静化しました。

■監視カメラというのは今や、指の上の乗るくらいの小ささであり、しかも無線LANなどによって、どこでも、追加設置できます。「死角」を作らないシステムは、簡単に設計できます。

結論:物理的ないじめ対策に、監視カメラは効果があります。

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纒めると

「暴力」の行使が「即解雇」という、大人の当たり前のルールを、子供に適用して良いと思う。

■何を犠牲にしても、いじめを絶対に根絶する

■大人と同様に法律等を適用して、いじめの当事者を社会から追放する

という大人側のメッセージを、まだ伝え切れていない、と感じます。

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もちろん、このようなハード(仕組み)的なアプローチよりも、ソフト(教育等)的なアプローチが望ましいのは、言うまでもありません。

ならば、いじめ問題は「統計値」として扱い、「前年度より自殺者が減少していれば、一定の成果があった」とする考え方にシフトすべきでしょう。

そして、今、この時間に、現実に苦しんでいて、助けなければならない子供達には、諦めて貰いましょう。

将来の明るい社会の為に「あなたの『犠牲』が必要なのです」と言って。