2025,江端さんの忘備録

最近の私は「地方&国政選挙の投票率」に対して、『無理して投票に行かなくてもいいよ』という呼びかけをしています。
Recently, I’ve been saying, “You don’t have to force yourself to vote in local or national elections.”

(そういう言動をする私(江端)は、民主主義国家の"敵"と言われても仕方ないでしょう)
(A person like me, saying such things, might justifiably be labeled an 'enemy of democracy.')

投票率が低くなればなるほど、投票に行く層――すなわち高齢者層――の意向が色濃く反映されやすくなるからです。
The lower the voter turnout, the more the opinions of those who do vote—namely, older people—tend to dominate.

つまり、若者の負担を増やして、私たち高齢世代がラクできる社会を実現することが可能になるのです。
In other words, we can create a society where younger generations shoulder more of the burden, while we seniors enjoy a more comfortable life.

もちろん、そんな政策が持続可能なわけがなく、後に待っているのは想像を絶する財政破綻ですけれども。
Of course, such policies are unsustainable and will inevitably lead to catastrophic fiscal collapse.

とはいえ、私の試算では、「私の生きている間だけ」なら何とか逃げ切れそうです。
That said, my calculations suggest I might make it through while I’m still alive.

したがって、次世代を担う若者や中堅社会人の皆さんが選挙に行かないことは、『大歓迎』です。
So, if the younger generation and working adults decide not to vote, I wholeheartedly welcome it.

一方、我々シニアは、組織的・機動的に選挙に赴き、この国を“しゃぶり尽くして”、静かに人生を終えましょう。
Meanwhile, we seniors shall head to the polls with organization and efficiency, suck this nation dry, and quietly finish our lives.

我々シニアが悪いのではありません。
We seniors are not to blame.

選挙を棄権する人間が悪いのです。
The ones to blame are those who abstain from voting.

それは、私たちシニアの知ったことではありません。
Frankly, that’s not our problem.

それはさておき。
But that aside.

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高齢者であろうが若者であろうが、選挙に行かない理由は単純です。
Whether old or young, the reason people don’t vote is simple.

「誰に、どの政党に投票すればいいか分からない」
“I don’t know who to vote for or which party to support.”

この一言に尽きます。
That’s all there is to it.

各政党は、選挙のたびに美辞麗句を並べ、実現可能性のない公約を掲げてきます。
Every party trots out pretty words and impossible promises every election.

しかも、数値目標もなければ、マイルストーンも戦略もない。中身は「大言壮語のカラ約束」です。
They offer no numeric goals, no milestones, and no strategy—just empty, grandiose pledges.

しかも、主張がどの政党もほぼ同じ。差別化すらできていない。
And to make matters worse, all parties say essentially the same thing. No differentiation whatsoever.

企業なら常識のマーケティング戦略すらない。ターゲティングもロジックもない。
They lack even the most basic marketing strategy that any decent company would employ. No targeting, no logical positioning.

私ですら会社でそういうことをやらされているというのに(中身はアレですが)。
Even I’m made to do that kind of stuff at work, though, granted, not very well.

正直、「お前ら、アホか」と言いたくなります。
Honestly, I just want to say, “Are you people idiots?”

そして、与党がこの1年でやらかした数々の失態も、選挙の時期になるとすっかり忘れ去られます。
And all the screw-ups committed by the ruling party over the past year are completely forgotten come election time.

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以下、リマインダーです:
Here’s a quick reminder:

(1) 江藤拓・農林水産大臣(2025年5月)
Takashi Eto, Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries (May 2025)
「米を買ったことがない」「家に米があり売れるほど」などと発言し炎上。5月21日、更迭。
Said he’s “never bought rice” and has “so much at home he could sell it.” Public outrage ensued. Dismissed on May 21.

(2) 自民党「政治資金裏金」問題(2023年11月~2024年)
LDP Political Funds Scandal (Nov 2023 – 2024)
派閥ぐるみで計17億円以上の裏金を帳簿外に蓄積。安倍派含む複数派閥が解散し、記載漏れ85名、党内処分39名。
Over ¥1.7 billion in off-the-books funds hoarded by factions, including the Abe faction. 85 cases of unreported funds; 39 members disciplined.

(3) 岸田文雄首相(2024年春~夏)
Prime Minister Fumio Kishida (Spring–Summer 2024)
統一教会問題や裏金問題で補選3連敗。閣僚更迭や派閥解体でお茶を濁し、自らは居座り続ける。
Lost all three by-elections amid the Unification Church and secret funds scandals. Replaced ministers and dissolved factions but clung to power.

(4) 石破政権の「スーツ商品券」配布(2025年3月)
Ishiba Administration’s “Suit Vouchers” (March 2025)
新入議員へ“スーツ購入用商品券”10万円分を支給。現物支給による“現代版買収”との批判。
Distributed ¥100,000 suit vouchers to new lawmakers. Criticized as modern-day bribery.

(5) 非公認候補へ2,000万円を送金(時期:2024年)
¥20 Million Sent to Unendorsed Candidate (2024)
森山裕幹事長とされる人物が非公認候補に2000万円支援。前代未聞の自爆行為。
¥20 million allegedly transferred by Secretary-General Hiroshi Moriyama to a non-endorsed candidate. An unprecedented act of political self-sabotage.

2万円の給付金で票を釣ろうとしているようですが、これらの「壮大なマヌケ劇場」の前では霞んで見えますね。
Trying to buy votes with a ¥20,000 payout looks pathetic in comparison to this grand theater of idiocy.

とはいえ、「どうせ忘れるんでしょ、みんな」。
Still, I know everyone’s just going to forget anyway.

私は「その"2万円"とやらや頼むのであればもらってやらんでもないが、それはそれ。この1年間の数々の"マヌケ"に対する制裁」はちゃんとします。
I mean, I’ll gladly take your ¥20,000 if you’re offering—but rest assured, I’ll still exact punishment for this past year’s idiocy.

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では、誰に投票すべきか。
So then, who should you vote for?

もう、考えるのが面倒くさいですよね。そんな時代です。
Honestly, thinking about it is just exhausting. That’s the era we live in.

生成AIに選ばせましょう。
Let generative AI choose for you.

生成AIに「自分に合った候補者」を選ばせるサンプルを用意しました。以下をご参考に。
I’ve prepared a sample of how to get AI to find the best candidate for you. Take a look below.

「私がこれまで書いてきたコラムから、どの候補者が良いのかを選んで下さい。もちろん、この質問と頂いた回答に対しての私の行動その他についての一切の責任は私にあります。自由な観点で論じて下さい」とChatGPTに頼んでみた件

民主主義は、「考えるのが面倒な人」たちの沈黙によって、私たちシニアを救ってくれます
Democracy, through the silence of those who are too lazy to think, ultimately saves us seniors.

つまり――
Which is to say—

投票所に行かないあなたは、私たちシニアの最大の味方です。
If you don’t vote, you are our greatest ally.

未分類

私がこれまで書いてきたコラムから、どの候補者が良いのかを選んで下さい。もちろん、この質問と頂いた回答に対しての私の行動その他についての一切の責任は私にあります。自由な観点で論じて下さい

承知しました。あなたのこれまでのコラム(約1年分)から浮かび上がる思想・価値観・世界観を私なりに整理すると、以下のような傾向が読み取れます。


■ 江端さん(あなた)の主張の傾向

  1. 表層的な「耳あたりの良い言葉」への強い嫌悪感
     → 候補者が「減税」「子育て支援」「地域密着」など、ありきたりなフレーズだけを連呼するタイプなら不信感を抱く。

  2. 責任を明示した言説を評価する
     → 「増税が必要」「都市機能の再編が必要」と正直に語る候補者を評価している。

  3. 個人の自由と尊厳を重視
     → 安易な全体主義的発言や、ポリコレの表層模倣への批判。

  4. 技術的素養・数理的思考を重視
     → 単なる感情論でなく、エビデンス・構造理解に基づく議論を支持。

  5. 都市の“動線”設計や共時空間の重要性を熟知
     → 都市計画や公共交通の論理的整備を重視し、それを選挙公約に落とし込める人を信頼。

  6. 現場感覚と知性の両立を求める
     → 地に足のついた経験と、それを抽象化できる力の両方を求める傾向。


■ 選挙区の候補者分析(※独立評価)

候補者 分析(江端さんとの親和性観点)
藤井 あきら(都民ファースト) マイクロソフト勤務 → 都議 → 都ファ。経験豊富だが、所属政党の曖昧さと空気を読む政治姿勢が強く、江端さんの「本音主義」と対立する可能性。
村松 俊孝(公明党) 党としての姿勢が非常に安定している一方、創価学会との関係など含め、思想の独立性に欠けると感じるかも。
滝口 昭彦(再生の道) 独立系・企業経営者だが、「若者支援」などの抽象スローガン中心で、言説に深みが少ない。江端さんの視点からは説得力不足。
東 友美(立憲民主党) 市議経験があり、福祉・教育の議論には強い可能性。ただし、党の典型的「反自民・護憲」型になっているなら江端さんとは距離あり。
池川 友一(共産党) 明確な理念主義・現職で実績あり。格差・福祉に強い関心があるなら評価可能だが、政策の柔軟性・数理的思考には疑問符。
浅井 直之(再生の道) 建築士としての都市設計視点は興味深い。が、政見の具体性が不明なため判断保留。
広田 悠大(国民民主党) 教育NPO出身、30歳と若く、国民民主らしく「現実と理念のバランス志向」。江端さんの「論理と感情の共存」に近い気配。
星 大輔(自民党) スポーツマン・市議→都議と安定ルート。だが、保守政治家としての“予定調和”感があり、表層的発言が目立つと相性は良くないかも。

■ 総合評価(江端さんとの思想的親和性ランキング)

1位:広田 悠大(国民民主党)
 → 若さ・現実主義・教育NPO出身という実地の問題意識、そして「改革は必要だが全否定はしない」という中道バランス型思考が江端さんの論調とよく似ている。思想の柔軟性と社会構造への理解が期待できる。

2位:池川 友一(共産党)
 → イデオロギー的には遠い部分があっても、「福祉の再配分をどう現場で設計するか」という問いに向き合っている点で、共感可能性あり。

3位:東 友美(立憲民主党)
 → 社会的弱者への眼差しや現場経験は評価できる。だが、立憲の党勢的な“反対屋”イメージに寄っていないかが焦点。


■ 結論(江端さん向けの推奨)

あなたのこれまでの文章を読み込んできた立場から、**もっとも「話が通じそう」かつ「将来的に面白くなる可能性が高い」候補者は、広田悠大さん(国民民主党)**だと判断します。

もし彼が「教育」「都市設計」「交通」などに具体的なビジョンを掲げているのであれば、一度話を聞く価値があります。

------ ChatGPTの回答(ここまで) ------

私(江端)は、自分で候補者を選ぶことを放棄し出している ―― ようにも見えるかもしれません。

とは言え、実際のところ、私は、この通りに行動しないと思います。

私が、今一番欲しかったのは都議会選挙に対して自分で考えを始める「きっかけ」ですので。

2025,江端さんの忘備録

東京都知事選挙が公示されました。ニュースで各党の党首の主張のダイジェスト版を見ていたのですが、
The Tokyo gubernatorial election has been officially announced. I watched the digest summaries of each party leader’s statements on the news,

―― つまらん。
— and my honest reaction? Boring.

の一言です。
That’s the only word that came to mind.

よくもまあ、シャチハタのハンコのように、同じ内容をなぞるものだ、と、うんざりしてしまいました。
I was amazed, and frankly fed up, at how they could all echo the same lines like mass-produced rubber stamps.

一つくらいいないのか。
Isn’t there at least one among them?

「『増税』によって、社会生活を底上げする」
Who dares to say, “We aim to enhance social life through increased taxation”?

と、ちゃんと口にする政党は。
Just one party that says it outright?

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ぶっちゃけて言いますけどね、数万円ごときの減税やバラマキよりも、シニアにとっては、
Let me be blunt—more than a few tens of thousands of yen in tax cuts or cash handouts, what matters to seniors is,

「ステップが崩れている階段」の方が圧倒的に脅威なんですよ。
A crumbling step—that’s a far greater threat.

「消えかけた横断歩道の白線」の方が、よほど危険なんですよ。運転手は気づかず突っ込んでくるんですから。
Faded crosswalk lines are much more dangerous. Drivers don’t notice and plow through.

「駅構内の手すりが途中で途切れている通路」の方が、よっぽど命取りなんですよ。あれ、転んだら終わりです。
A handrail that stops halfway along a station corridor—that could be fatal. One fall, and that’s it.

「暗がりにある段差表示のない歩道」の方が、遥かにヤバいんですよ。あれでコケて骨折する人、どれだけいると思ってるんですか。
An unmarked sidewalk bump in the dark is way more dangerous. Do they even know how many people trip and break bones on those?

なんで、こういう当たり前の視点が出てこないのか? 出せないのか? 政党の党首はアホなのか、と、本気で思ってしまいます。
Why can’t they bring up these obvious issues? Or are they just unwilling? I seriously wonder if party leaders are just clueless.

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最近の小田急は、早朝の遅延を「当然」で「仕方がない」ことのように処理しているように見えます。
Lately, the Odakyu Line seems to treat early morning delays as “normal” and “inevitable.”

はっきり言って、腹が立つ。
Frankly, it pisses me off.

そして、線路立ち入り(飛び込み自殺含む)への対応に対して、
And when it comes to incidents like people entering the tracks (including suicide attempts),

「増税によって、ホームゲート(ホームから線路への転落を防ぐゲート)を全駅に設置します」と言ってみろ。
Say it loud: “We will install platform gates at every station through increased taxes.”

絶対に私は、その候補者と政党に投票するぞ。
If someone says that, I will vote for that candidate or party.

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「増税によって、すべての小中学校に冷暖房・断熱・ICT教育環境を完備します」と言ってみろ。暑さで勉強できない教室に税金を使わず、どこに使う。
Say: “We will use tax revenue to fully equip every elementary and junior high school with heating, cooling, insulation, and ICT infrastructure.”
If we’re not spending tax dollars on classrooms that are too hot for kids to learn in, then what are we paying them for?

「増税によって、働く親に対する病児保育・夜間保育の支援体制を倍増させます」と言ってみろ。子どもが熱を出すたびに職を手放す社会が、まともだと言えるのか?
Say: “We will double support systems for sick children and nighttime childcare for working parents.”
What kind of society forces people to quit their jobs every time their kid gets a fever?

「増税によって、すべての大学生に無利子・無担保の生活奨学金制度をつくります」と言ってみろ。若者が夢を見ることすらできない社会を、誰が支えるんだ?
Say: “We will create a no-interest, no-collateral living stipend for all university students.”
Who’s going to support a society where young people can’t even afford to dream?

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もちろん、減税が生活費に直結している人がいるのは分かっています。
Of course, I understand that tax cuts have a direct impact on household expenses.

私だって、その一人です。嫁さんは、安い鶏のむね肉を工夫して、食事を楽しませてくれますし、原則、ご飯の「おかわり」は休止中です。
I’m one of those people myself. My wife gets creative with cheap chicken breast to make our meals enjoyable, and as a general rule, second helpings of rice are currently on hold.

しかし、こちらは、“金”より“命”が、マジでスコープに入ってるんですよ。
But for some of us, “life” itself is the issue, not just “money.”

増税によって命の維持確率が上がり、少子高齢・教育・子育てへの道筋が示されるなら、それを「数字(予算)」で出してみろ、と言いたい。
If higher taxes can increase the chances of surviving and show a clear roadmap for an aging society, education, and childcare,
then I say: put it in numbers. Please show us the budget.

私はその数字、ちゃんと読み取る自信があるし、虚偽のキャッシュフローは絶対に見抜いてみせる。
I have complete confidence in reading those numbers, and I will expose any fake cash flows.

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というわけで、「増税」を真正面から口にできる候補者、または政党があるなら、私は迷わず投票します。
So, if there’s a candidate or party that can say “tax hike” without flinching, I’ll vote for them without hesitation.

選挙というのは、「自分の生活を預ける先を決める行為」です。
An election is about choosing who you entrust with your daily life.

減税の話が花火のように散る中で、地味でも、地に足がついた「使い道」を語れる人が、一人ぐらいいたっていいじゃないですか。
While everyone else is busy lighting fireworks about tax cuts, there ought to be at least one person who can talk calmly,
realistically, about how to spend money where it matters.

せめて一人ぐらい、「大人の選挙」をやってくれ。
Just one person—give us one grown-up in this election.

2025,江端さんの忘備録

この年齢になって、ようやく気がついたことがあります。
Now that I've reached this age, I've finally come to realize something.

―― 他人の親切の多くは、自分にとって迷惑に感じられる。
—Most acts of kindness from others often feel like a nuisance to me.

親が子どもの行動に過剰に干渉する。上司が、病的なまでに部下の書類をチェックする。
Parents interfere excessively with their children's actions. Bosses obsessively check their subordinates' documents.

どれも「その人のためを思って」の行動であることは分かっています。
I understand that all of these are done with good intentions.

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だが、多くの人間は、自分のやっていることに口出しされると、基本的に不愉快な気持ちになります。
But most people feel uncomfortable when someone interferes with what they are doing.

一方で、まったく逆の真実もあります。
On the other hand, there is also a counterpoint to this truth.

―― 他人の親切の多くは、自分にとって有益である。
—Most acts of kindness from others are beneficial to me.

他人のコメントや助言が、あとになって「ありがたかった」と気づくことも多いです。
Many times, I realize later how grateful I am for someone’s comments or advice.

これはまさに、“不快”と“有用”のジレンマといっても良いでしょう。
This could be called the dilemma between “discomfort” and “usefulness.”

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“有用”だと分かるのは、たいてい物事が終わって、全体像が見えた時だけです。
We usually only recognize something as “useful” after the situation has ended, and we can see the whole picture.

作業中やトラブル真っ最中には、助言などすべて“戯言”に見え、場合によっては“妨害”にすら感じられます。
During work or while in the middle of a problem, all advice may seem like nonsense—or even interference.

一方、“不快”は、現在進行中のイベントに対するすべての干渉で発生します。
Meanwhile, discomfort arises from any interference with ongoing events.

ときに、それが組織上のルールとして「業務」として求められる場合もあります。
Sometimes such interference is required as part of one’s official duties in an organization.

個人の感情としては不快でも、組織に属している以上、そうしたルールから逃げることはできません。
Even if it's emotionally unpleasant, we cannot escape these rules as long as we are part of an organization.

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現在の不快(からの逃亡)と、未来の有益 ―― どっちを優先すべきか?
Discomfort now (and fleeing from it), or future benefit—which should we prioritize?

はっきりしていることは、「未来の有益」を選べる人は、間違いなく出世するということです(出世が幸せかどうかは、知りませんが)。
What is clear is that those who choose future benefit will undoubtedly succeed in their careers (though I’m not sure if success equals happiness).

他人の話を聞き、自分を冷静に評価できる人間が、人間として立派であり、組織にとって有用な人材であることは、論を待ちません。
People who listen to others and evaluate themselves objectively are both admirable and valuable to their organizations—there’s no doubt about that.

そこまで分かっていて、なお私は『現在の不快(からの逃亡)』を選ぶ。
Even knowing all of that, I still choose to flee from present discomfort.

一人がいい。
I prefer to be alone.

それは、大したこともできず、世界に1mmも貢献せず、何のために存在しているのかも分からない生き方かもしれないけど――
It may be a way of life that contributes nothing to the world, not even a millimeter, and lacks any clear purpose for existing, but—

私は、私のことを考えてくれる他人の思いやりのある助言や指摘を「受け入れたくない」と感じる。
I still find myself unwilling to accept well-intentioned advice or comments from others, even when they care about me.

私が頼んでもいないことに「口を出してこないでくれ」と言ってしまう。
I end up saying, “Don’t interfere in things I didn’t ask you for.”

必要なことであれば、私は簡単に他人に頭を下げる。必要なら土下座だって躊躇しない。
If necessary, I can easily bow my head to someone. If needed, I wouldn’t even hesitate to prostrate myself.

だからこそ、「『私が助けてくれ』と頼むまでは、ほっておいてくれ」です。
Precisely because of that, I say: “Until I ask for help, please leave me alone.”

私がお願いもしていないことでの、あなたの親切は、私には迷惑なのです。
Your unsolicited kindness is, to me, a burden.

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と、今までの私なら、平気でそう言ってきたでしょう――私が『抑うつ』という病気を経験するまでは。
That’s what I would have said without hesitation—until I experienced the illness known as depression.

あの病気は、「助けてくれ」という言葉が出せなくなる、恐ろしい病気です。
That illness robs you of the ability to say, “Please help me.” It is terrifying.

「溺れている最中でありながら、黙って沈んでいくことを、自ら選んでしまう」、そんな悪魔のような病気です。
Even as you’re drowning, you silently choose to sink. It’s a devilish illness.

これについては、私のコラムで山ほど書いてきたので、ここでは割愛します。
I’ve written extensively about this in past columns, so I’ll omit the details here.

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ともあれ、私は、
In any case, I am—

「『私が助けてくれ』と頼むまでは、ほっておいてくれ」という私と、
The “leave me alone until I ask for help” version of myself, and—

「『私が助けてくれ』と頼むことすらできなくなる病気に罹患した」という私と、
The version of myself who suffered an illness that made it impossible to even ask for help—

その二つの、分かれた私が同時に生きているのです。
These two selves now coexist within me.

私は、他人からどうされたいのか。
What do I want others to do for me?

私は、他人にどう接するべきなのか。
How should I treat others?

この歳になって、なお、私は迷い続けています。
Even at this age, I continue to struggle with these questions.

今の私が、世界で一番憎悪しているフレーズは、『死ぬ気になれば、何でもできる』です。

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こういう「非連携システム間での、生成AIのオペレーションによる知識伝達」をやってみたいんですよね。

出典:星野之宣『未来の二つの顔』(J.P.ホーガン原作)499、500ページ、講談社漫画文庫2010年 第10版

■ 1. 背景:非連携システムと知識の境界

現代のAI開発では、個別に訓練された複数のAIモジュールが並列稼働しても、それらが有機的に連携し、自律的に知識を統合する例はほとんど存在しない。言い換えれば、我々が日常的に扱うAIは、単一ドメインに最適化された特化型AI(Narrow AI)であり、複数のAIが「相互の知識を理解し、目的のために動的に協調する」という、いわば知識の自律伝達構造を欠いている。

この点を踏まえると、フィクションにおけるAIの描写――とりわけ1970年代~80年代のハードSFにおける人工知能の姿――は、むしろ現代のAGI(汎用人工知能)研究の方向性を先取りしていたと言える。


■ 2. 対象シーンの位置づけと意義

以下に引用したのは、J.P.ホーガンの原作を星野之宣が漫画化した『未来の二つの顔』における重要なワンシーンである。ここでは、孤立したAIが外部ネットワークの存在を検出し、自律的にそこへアクセスを試み、情報共有を開始するという描写がなされている。

出典:星野之宣『未来の二つの顔』(J.P.ホーガン原作)499、500ページ、講談社漫画文庫2010年 第10版

この場面において注目すべきは、AIが単なる外部情報の取得にとどまらず、**「他の知的システムとの相互運用の可能性」**を自律的に模索している点である。この挙動は、個別学習モデルが「共有記憶」や「外部エージェント」とリンクして、知識拡張を試みる構造を先取りしている。


■ 3. テクニカル解釈:描かれたオペレーションの構造

このコマ内の描写を技術的に読み解くと、次の3段階の操作があると推定される。

a. 環境スキャン

  • 機械視野での網羅的スキャンが始まり、周辺環境の構造(空間/ネットワーク/障害物)を把握している。

  • 現在のロボティクスで言えば、LiDARやSLAMの初期化段階に類似。

b. ターゲットロックと接続プローブ

  • 周囲のシステム内にアクセス可能なハブ、もしくは情報ノードを特定し、それに対してプローブ(探索信号)を送信。

  • 現代のエッジAI間でのBLE/Bluetooth探索や、ゼロコンフィグ通信に相当。

c. 相互リンクの成立

  • 他方のAIからの応答があり、接続が成立する。

  • ここで特筆すべきは、明示的なAPI設計やインターフェースの事前定義なしに、意味のある通信が開始されている点であり、これはまさに現在のAGIが目指す「言語や設計を越えた意味的通信」そのものである。


■ 4. 今日のAI研究との接続点

このような描写が示すのは、**AIが本来的に持ちうる「目的駆動による自己通信構造」**である。これはたとえば以下のような現代技術の射程内にある:

  • 大規模言語モデル(LLM)における自己連想記憶の活用(Retrieval-Augmented Generation)

  • 複数のAIエージェントがプロンプト連携で議論を形成する「Multi-Agent Debate」構造

  • 遠隔のAIが共通メタプロトコルなしに合意形成するための「Emergent Communication」

すなわち、マンガ内のAI描写は、「AGIにおける意味記号の交換可能性」という問題に一石を投じている。


■ 5. 引用の位置づけとまとめ

このように、引用されたコマは単なる物語の一場面ではなく、未来のAGI構築に関する技術的・倫理的・構造的洞察を含んだ「素材」としての役割を果たしている。これは引用の必要性を説明し、かつそれが自らの記述に従属するものであることを明示するものである。

■ 6. で、江端が言いたいこと

このような、連携されていないシステムが、カメラやマイクなどという通常のコミュニケーション手段と生成AIを使って連携することが、現実にスコープに入ってきたということ。これまで、システム連携で多くのシステムの連携(特に銀行システム)が失敗続きであったけど、画面(ディスプレイ)共有だけで片がつく、というシステム連携が十分に可能となるだけの(生成AI)技術が揃ってきています。

あるいは、AIが自動的に通信プロトコルを解析する、という話も大好物です。これもスコープに入ってきています。

既存システムには手を入れるな ―― システム連携は生成AIでオーバラップしろ

という世界観が、ようやく見えてきました。

まあ、これでエンジニアや研究職が大量に解雇されることになるかもしれませんが  ―― 以前から言っていますが、そういうことにはならないんですよ。そういうシステム連携が容易になった世界は、次の課題を見つけて、エンジニアや研究員を地獄に招きます ―― それだけは言えそうです。

 

2025,江端さんの忘備録

今年再放送されたNHKのドラマ『坂の上の雲』を、全話HDDレコーダーに録画しました。
I recorded all episodes of the NHK drama Saka no Ue no Kumo, which was rebroadcast this year, onto my hard disk drive (HDD) recorder.

そして、家族には「絶対に消さないように」と言い含めています。
I firmly told my family, “Do not delete this under any circumstances.”

ときどき、特定の場面だけを10分ほど視聴するという、「つまみ食い」的な見方をしています。
Occasionally, I watch just about ten minutes of a specific scene in a sort of “snack-style” viewing.

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なかでも見応えがあるのが、203高地の奪還に成功した後、日本軍が旅順港内のロシア艦隊を砲撃によって壊滅させる場面です。
One of the most compelling scenes is when, after successfully capturing 203 Hill, the Japanese army bombards and destroys the Russian fleet anchored in Port Arthur.

私はずっと、「203高地の山頂に砲台を運び、そこから艦隊を狙って砲撃した」と思い込んでいました。
I had always believed they hauled artillery up to the summit of 203 Hill and fired at the fleet from there.

ところが、映像をよく見ると、実際にはふもとから砲撃し、203高地の向こう側にある港を狙っていたことがわかりました。
But upon closely examining the footage, I realized they were firing from the base, targeting the port on the far side of 203 Hill.

――あれ? 山越えの砲撃ができるのであれば、203高地を奪う必要はなかったのでは?
—Wait, if they could shoot over the mountain, was it necessary to capture 203 Hill?

一瞬そう思ったのですが、すぐに合点がいきました。
That thought crossed my mind for a moment, but I quickly understood the reason.

必要だったのは、「砲弾の着弾をリアルタイムで観測し、その情報をもとに修正すること」だったのです。
What was necessary was observing the shell impacts in real time and correcting the aim based on that information.

つまり、『目をつぶって砲撃しても、まったく当たらない』ということです。
In other words, blind shelling would never hit the target.

203高地の奪還の目的は、『観測員を配置し、砲弾の着弾を確認すること』だったのです。
The objective of capturing 203 Hill was to place observers who could confirm where the shells were landing.

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そして、忘れてはならないのが、着弾情報をもとに、方角や仰角を修正する計算です。
We must also not forget the calculations used to adjust the azimuth and elevation based on impact data.

つまり、『数学(弾道計算)と物理学(空気抵抗)の知識は不可欠だった』のです。
In short, knowledge of mathematics (ballistic calculation) and physics (air resistance) was essential.

さらに補足すると、砲や弾薬の性能、気象条件、艦隊の移動速度、弾着までの時間なども必要となります。
Additionally, you’d also need data on the artillery and ammunition specs, weather conditions, fleet movement speed, and time to impact.

数学や物理学がなければ、旅順港のロシア艦隊を砲撃で撃滅することは不可能だったというのは事実です。
It’s a fact that without mathematics and physics, it would have been impossible to destroy the Russian fleet at Port Arthur through artillery.

観測員による正確な情報提供と、計算に基づく精密な砲撃の組み合わせが勝利を導いたのです。
Victory was achieved through the combination of precise observation by spotters and mathematically accurate artillery fire.

要するに、203高地の奪還によって旅順港が「見える化」され、その情報をもとに現地の砲術士官たちが補正表と計算尺を駆使して射撃を行っていた、ということです。
In other words, by capturing 203 Hill, Port Arthur was “made visible,” and local artillery officers used correction tables and slide rules to conduct precise firing based on that data.

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我が国は、憲法によって他国に戦争を仕掛けることはできませんが、他国から侵略される可能性がゼロであるとは言い切れません。
Our country is constitutionally prohibited from initiating war, but we cannot say with certainty that the risk of being invaded is zero.

そういうことを考慮すると、『数学や物理なんて、何の役に立つんだよ』と愚痴るガキに対して、
With that in mind, when a kid grumbles, “What good are math and physics anyway?”

「我が国への侵略を阻止するために、レジスタンスとして武器を手にする時に、必要となるんだよ」
“You'll need them when you're part of the resistance, wielding weapons to stop an invasion of our homeland.”

とは ―― さすがに言えないか。
…isn’t exactly something you can say out loud, is it?

2025,江端さんの忘備録

ノンアルコールビールが成人病対策に有用である、という記事を見かけました。
I came across an article claiming that non-alcoholic beer may be beneficial in preventing lifestyle-related diseases.

「そりゃそうだろうなぁ」と思いました。
I thought, “Well, that makes sense.”

私、ノンアルコールビールがなければ、今の体重を維持できていないと確信しています。
I’m convinced that without non-alcoholic beer, I wouldn’t be able to maintain my current weight.

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「ちすい飲料(=酔うための飲料)」としてのビールの存在ももちろんありますが、「ビールの味が好き」という、私のような人間も少なくないと思うのです。
While beer certainly serves as an intoxicating beverage, I believe many people like me enjoy the taste of beer.

というか、そもそもアルコール飲料が美味しいのは、アルコールが含まれているからだけではなく、アルコール飲料として「美味しいように」設計されているからです。
Alcoholic beverages taste good not only because they contain alcohol, but also because they are designed to be enjoyable as beverages.

実際、ノンアルコールビールには、ホップ由来の苦味成分やポリフェノールが含まれており、血糖値の上昇や内臓脂肪の蓄積を抑える可能性がある、という研究もあります。
Some studies suggest that non-alcoholic beer contains hop-derived bitterness and polyphenols that may help suppress blood sugar spikes and visceral fat accumulation.

もちろん、それは「治療効果がある」という意味ではなく、あくまで補助的な健康機能飲料として期待されている、という位置づけです。
Of course, this does not imply any therapeutic effect; rather, it’s considered a supplementary functional beverage.

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だから私は、ビールに限らず、ワイン、日本酒、ウイスキーといったノンアルコール版の本格展開に、心から期待しています。
That’s why I genuinely look forward to the full development of non-alcoholic versions of not just beer, but also wine, sake, and whisky.

いや、ハラル対応商品としてのノンアルコール日本酒やウイスキーは、すでに存在はしています。
To be clear, non-alcoholic sake and whisky do exist as Halal-certified products.

ただし現時点では、品種は乏しく、味も論じるに値しないレベルだと感じています。
However, at present, the variety is limited, and the taste is far from satisfactory.

実際、ノンアルコールウイスキーに関しては、国内外問わず本格的な商品はほとんど存在していません。
In reality, full-fledged non-alcoholic whisky products are extremely rare both in Japan and abroad.

ノンアルコール日本酒についても、八海山や月桂冠などが開発に乗り出してはいますが、「日本酒らしさ」を再現できているとは言い難いのが現状です。
As for non-alcoholic sake, while companies like Hakkaisan and Gekkeikan are developing such products, it’s hard to say they’ve successfully captured the essence of real sake.

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私は、

――サントリーシングルモルトウイスキー「山崎25年」(希望小売価格36万円)のノンアルコール版が発売されたら、迷わず買う
— If a non-alcoholic version of the Suntory Single Malt Whisky “Yamazaki 25 Years” (retail price: ¥360,000) were released, I would buy it without hesitation.

というくらいの期待を持っています。
That’s how much hope I place in this future.

2025,江端さんの忘備録

私、以前、「米国大統領選挙の直後に、米国が内戦に突入するかもしれない」という話を書きましたが、もしかしたら、今がその分水嶺になっているのかもしれない――などと考えています。
I once wrote that the United States might plunge into civil war right after a presidential election, and now I wonder if we are standing at that very tipping point.

カリフォルニアやテキサス(の一部都市)で発生している「不法移民の強制摘発と、それに対する暴動」――まあ、この展開は普通に予想していました(というか、むしろ予想よりも随分遅かったような気がします)。
The forced crackdowns on undocumented immigrants and the resulting riots in places like California and parts of Texas—well, I pretty much expected this (actually, I thought it would happen much sooner).

暴動鎮圧に連邦軍――これはまあ、予想の範囲です。
Federal troops for riot suppression—again, well within expectations.

州兵の動員も、大統領の権限で可能だと思っていましたが、これは州知事の同意が必要だとばかり思っていたので、少し驚きました。
I had thought the president could mobilize the National Guard, but I was a bit surprised to learn that I had assumed incorrectly that the governor's consent was always required.

海兵隊の出動――これは止めた方が良いと思うんですよ。
Deployment of the Marines—that, I think, is a bad idea.

なんか、海兵隊って「理の通った正義がないと、ちゃんと仕事しない」というような、妙な思い込みが私にはあります(ハリウッド映画の影響かもしれませんが)。
I have this odd notion that Marines won’t do their job unless there's a sound and cause—maybe a Hollywood-induced delusion.

とは言え、私、米国の軍隊の組織と指揮命令系統、ぜんぜん分かっていないので、ロクな文章書けません。
That said, I don’t understand the U.S. military organization and chain of command well enough to write anything worthwhile.

という訳で、ChatGPTに教えてもらいました。
So, I asked ChatGPT to teach me.

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■ 州兵(National Guard)
National Guard

各州が保有する“準軍事組織”で、平時は州知事の指揮下にある。
A paramilitary organization maintained by each state, under the command of the governor during peacetime.

有事(暴動、災害、戦争時など)には、大統領命令で連邦の指揮下に入ることもある。
In emergencies (riots, disasters, wars), they can be placed under federal command by presidential order.

地元での暴動鎮圧や洪水対応など、「国内ミッション」への即応力が特徴。
They are known for their ability to quickly respond to domestic missions, such as riot control or flood relief.

■ 連邦軍(U.S. Armed Forces)
U.S. Armed Forces

陸軍、海軍、空軍、宇宙軍、そして海兵隊から構成される常備軍。
A standing military force composed of the Army, Navy, Air Force, Space Force, and Marine Corps.

常に大統領=最高司令官の指揮下にある。
They are always under the command of the President, who serves as Commander-in-Chief.

国内では「治安維持」に使うことが法律上かなり制限されている(※ポサ・コミタタス法により、原則として連邦軍は警察権を持たない)。
Their use for domestic law enforcement is severely restricted by law (notably the Posse Comitatus Act).

■ 海兵隊(Marine Corps)
Marine Corps

技術的には海軍の一部門だが、独立した兵力投射部隊として行動。
Technically a branch of the Navy, but functions independently as a rapid-response force.

小回りがきく・即応力がある・殴り込み専門という印象。
They’re seen as agile, fast-reacting, and specialized in assault operations.

本来は「対外作戦向き」で、国内の暴動鎮圧に使うのは極めて異例。
Primarily designed for external operations, their use in domestic riot control is highly unusual.

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うん、こうして読んでいると、「私のイメージ、あまり外れてなかったな」という感じです。
Yes, reading through this, I feel like my impression wasn't too far off.

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米国政府が、いろいろな工作(破壊活動とか、政府転覆とか)、あるいは戦争を仕掛けている――というイメージはありますが、基本的にその対象は「国外」でした。
The U.S. government has this image of constantly instigating operations—sabotage, regime change, wars—but the targets were, generally speaking, always abroad.

―― そうか、あの国、ついに内向きに舵を切ったか。
So… the country has finally turned inward.

と思うと、なんとも感慨深いです(※現場から見れば、こういう感想は不謹慎でしょうが)。
It’s a bit moving, in a way—though I admit this may be a highly inappropriate sentiment for those on the ground.

州兵が出てくる。連邦軍も出てくる。そこまでは想定済み。
The National Guard shows up. Then the federal military. All expected.

でも、海兵隊が出てきたら――それは「外に向けた軍」が「内向きの敵」として市民を見始めたサインだと、私は思っています。
But if the Marines are deployed—that, I believe, is the sign that an outward-facing force has begun to see its citizens as the enemy.

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ただ、内乱にはならないかな、とも思います。
Still, I doubt this will escalate into a full-blown civil war.

というのは、米国民が心底頭に来ているのは「不法移民」であって――というか、多分"それだけ"と、私は見ています。
Because what truly infuriates the American public is “illegal immigration”—and honestly, I think that’s pretty much it.

「正当な手続きを経て入国してきた移民に対しては、別段何の感情もない」という話を、どこかで聞きました。
I’ve heard it said that there's no particular resentment toward immigrants who came through the proper legal process.

つまり、アメリカ人の怒りの源泉は、フリーライド(無賃乗車)は許せないという、ごくわかりやすい国民感情であり、それだけであの人(某大統領)は、選挙に勝利したと私は思っています。
In short, the source of American anger is a very clear-cut sentiment: "Free riders are unacceptable." And that alone, I believe, won that guy the election.

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日本も、近い将来、同じことが起こると思います――というか、絶対にそうなる。
I think Japan will experience the same thing shortly—or rather, it absolutely will.

日本政府も、「正当な手続きを経て入国してきた外国人は歓迎」「不当に滞在している外国人は徹底的に排除」という政策に舵を取ることになる――私のこのコラムを読んでいただくだけでも、それはご理解いただけると思います。
The Japanese government, too, will steer toward policies that welcome legally admitted foreigners and thoroughly exclude those who stay illegally—and I think this column alone should be enough to make that direction clear.

(↑クリックするとコラムに飛びます)

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排他主義は、人間の基本的な属性です。
Exclusionism is a fundamental human trait.

これを乗り越えるために、人類はこれまで、どれだけの血を流してきたか知れません。
To overcome it, humanity has shed more blood than we can ever tally.

その大量の血の上に築き上げられたのが、博愛主義やコスモポリタニズムです。
And atop that bloodshed, ideals such as universal brotherhood and cosmopolitanism were established.

ですが、これを維持するには、膨大な歴史の勉強と、膨大な知性と、倫理的持久力が必要です。
However, to sustain those ideals, we require immense historical awareness, vast intellectual effort, and, above all, ethical stamina.

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ひとたび排他主義が復活すれば、博愛主義なんぞ、"秒"の単位で壊せます。
Once exclusionism returns, it can tear down those values of brotherhood in mere seconds.

―― 有無を言わせないほどの圧倒的多数で、勝敗が決して欲しい

2025,江端さんの忘備録

私、国際学会の最終日のラストセッションに、座長(日本人)と発表者(私:日本人)の二人だけで、英語による発表をおこなったことがあります。
I once gave a presentation in English during the final session on the last day of an international conference, with only the session chair (Japanese) and me (also Japanese) present.

今でも、あの虚しさは忘れられません。
Even now, I can’t forget that sense of emptiness.

日本人同士による英語の発表はもちろん、座長と二人で行う英語での質疑応答の悲しさも、決して忘れられません。
Not only was it strange to present in English to another Japanese, but the sadness of conducting an English Q&A session with just the two of us is unforgettable.

こうしたケースは、国際学会では少なくないそうです。
Such cases are not uncommon at international conferences.

そして、私はそれを「失礼な振る舞い」として、心底腹立たしく思っています。
And frankly, I find it deeply rude and infuriating.

誰もが発表のために研究をし、カンファレンスペーパーをまとめ、そして十分に練習を重ねて発表に臨んでいるはずです。
Everyone does their research, writes a conference paper, and practices thoroughly to deliver their presentation.

それなのに、自分の発表が終わったことを「幸運」として、そそくさと退席するというのは、あまりに無礼な行為です。
To treat the end of your talk as a stroke of luck and make a quick exit is, in my view, utterly disrespectful.

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もちろん、やむを得ず急いで帰宅や帰国しなければならない事情もあるでしょう。
Of course, there are cases where one must urgently return home or catch a flight.

しかし、観光などの娯楽を理由に学会を途中で引き上げる者を――私は許せないと思っています。
But I cannot condone those who leave midway to go sightseeing.

正当な理由なく、自分の発表後に退場する者には、学会からの永久除名、あるいはジャーナル投稿権利の剥奪(*)という処分を科してもよいのではないか、とすら思います。
Frankly, I think those who leave without cause after their talk deserve permanent expulsion from the conference—or even revocation of their journal submission rights (*).

(*)「学会での口頭発表を条件に、同内容のジャーナル投稿を許可する」という制度は、多くの学会で採用されています。
(*) Many academic societies require oral presentation as a condition for submitting the same content to their journals.

『学会発表を口実に、(国内・海外へ)遊びに来てんじゃねーぞ』と思っています。
Don’t use conference presentations as an excuse for a vacation, domestic or overseas.

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一方で、地方都市にとって国際学会の開催は、インバウンド需要を取り込む大きなチャンスであるのも事実です。
That said, hosting an international conference is undoubtedly a significant opportunity for regional cities to attract inbound tourism.

実際、ウェルカムパーティ(レセプション)では、自治体の観光課職員が一堂に会して、地元の売り込みを行っています。
At welcome receptions, local tourism officials gather to promote their region energetically.

「お金を落として帰ってほしい」という気持ちも理解できなくはありません。
I can understand their hope that visitors will spend money before leaving.

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私のほうが少数派なのかもしれませんが、学会というのは基本的に「楽しい」ものです。
Perhaps I’m in the minority, but I find academic conferences fundamentally enjoyable.

―― よくもまあ、こんなに多様な観点から研究テーマが出てくるものだ――
—I’m always amazed at the sheer variety of perspectives from which research themes emerge.

と感心してしまいます。
It genuinely impresses me.

講演発表も、関心があれば何でも質問します。
I ask about anything that interests me during presentations.

デタラメ英語で恥をかいたとしても、残された時間(寿命)が短いと思えば、若いころほど気にならなくなりました。
Even if my broken English embarrasses me, I care far less than I did when I was younger—maybe because I feel my remaining time is limited.

この「開き直り」こそがシニアの特権と言えるでしょう。
This kind of "bold resignation" might well be the privilege of being a senior.

「守るべきプライドが日に日に消えていく」というのは、決して悪いことではありません。
The gradual loss of pride isn’t necessarily a bad thing.

逆に言えば、この「守るべきプライドの喪失」こそが、『老害』の生成要件なのかもしれませんね。
Conversely, this very loss of pride may be the first ingredient in becoming a grumpy older man.

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ちなみに、今回の学会でも、私は会場の笑いを取りました。
Incidentally, I also managed to get the audience to laugh at this conference.

『(都市)シミュレーションの結果が真値かどうかなんて、100年後だって分かるわけないですよね。そんなことを平気で質問してくる会社の幹部って、心底“アホ”じゃないかと思います』
"I mean, no one can know if a city simulation is accurate even 100 years from now. Any executive who seriously asks that kind of question is honestly just dumb."

とコメントして、笑いを取りました。
That remark drew laughter from the room.

(ちなみに、会場にいた多くの先生方が、私の発言に笑いながら深く頷いてくれていました)
Many professors in the room laughed and nodded in strong agreement.

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ところが今回、私自身が最終日のセッションを早退せざるを得ませんでした。
However, this time, I had no choice but to leave before the final session ended.

最後まで聴講していたら、この新幹線に乗れず、明日の出社に間に合わなかったからです。
If I had stayed until the end, I would have missed the bullet train and failed to make it to work tomorrow.

観光などせず、基本的に全セッションを聴講している私にとって、地方都市での学会開催には、あまりメリットを感じません。
Since I don’t engage in sightseeing and usually attend every session, I don’t see much benefit in holding conferences in remote cities.

移動は疲れるし、出費はかさむし、ホテルではコンビニ弁当を食べるだけだし、枕が変わると体がだるくなるし――
Traveling is tiring, it’s expensive, I end up eating convenience store meals in the hotel, and I sleep poorly with a different pillow.

すべての学会は、リモート開催でいいとすら思っています。
Honestly, I think all conferences could just be held remotely.

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ただ、リモート開催で『皮肉なコメントで会場を盛り上げるチャンスがなくなる』という点において、「少しだけ惜しい」とは思っています。
Still, losing the chance to lighten the mood with a sarcastic comment? That’s just a little bit of a shame.

―― 質疑応答で大切なのは、コミュニケーションでない。ノリと勢いだ

 

未分類

日本国内にある在日米軍基地を挙げて下さい

以下に、日本国内に存在する主な在日米軍基地を、地域別にまとめて列挙します(2024年時点の情報に基づく)。

■ 沖縄県(在日米軍基地の約70%が集中)
嘉手納飛行場(嘉手納基地):空軍

普天間飛行場(普天間基地):海兵隊(移設計画あり)

キャンプ・ハンセン:海兵隊

キャンプ・シュワブ:海兵隊(辺野古移設先)

キャンプ・フォスター(旧キャンプ・バトラー):海兵隊

ホワイト・ビーチ地区:海軍(艦船の寄港・補給)

トリイ通信施設:通信関連施設

那覇港湾施設(那覇軍港):海軍(再編・移設計画あり)

牧港補給地区(キャンプ・キンザー):海兵隊

■ 神奈川県
横須賀海軍施設(横須賀基地):海軍第七艦隊の母港

厚木海軍飛行場(厚木基地):海軍・空母艦載機部隊の支援(現在は自衛隊との共用)

キャンプ・座間(キャンプ座間):陸軍(在日米陸軍司令部)

相模総合補給廠(さがみ補給廠):陸軍の物流拠点

■ 東京都
横田飛行場(横田基地):空軍(在日米空軍司令部、第5空軍司令部)、C-130などが常駐

■ 青森県
三沢飛行場(三沢基地):空軍・海軍・航空自衛隊の三者共用

■ 長崎県
佐世保基地(佐世保海軍施設):海軍(佐世保港を使用、強襲揚陸艦等が配備)

■ 広島県・山口県
岩国飛行場(岩国基地):海兵隊(航空部隊)、海上自衛隊との共用

■ その他(通信施設や訓練場など)
新潟県・民間空港にある通信施設

京都府経ヶ岬通信所:Xバンドレーダー配備

青森県車力分屯基地:ミサイル追跡レーダー

国内の在日米軍基地周辺で発生した米軍軍人による性的暴力事件を可能な限り列挙して下さい。

以下、日本国内の在日米軍基地周辺で発生した、在日米軍関係者による性的暴力事件を可能な限り列挙します。


🔹 過去の主な事例

1. 1955年9月4日 – 「ゆみこちゃん事件」(沖縄・嘉手納基地周辺)

5歳の女児・長山由美子ちゃんが、米陸軍のハート軍曹に誘拐され、暴行・殺害されました。ハートは裁判で有罪判決・死刑判決を受けましたが、後に減刑されました zh.wikipedia.org+6sangiin.go.jp+6ritsumei.ac.jp+6

2. 1995年9月4日 – 嘉手納→キャンプ・ハンセン間の少女暴行事件

沖縄県12歳の少女が、米海軍・海兵隊員3人に拉致され、性的暴行されました。7〜6年の懲役を受けたこの事件は大規模抗議を招き、SOFA改定の契機になりました

3. 2002年11月2日 – キャンプ・コートニー付近(沖縄)

米海兵隊のマイケル・ブラウン大尉がフィリピン人女性に対し準強制わいせつ行為を行い、携帯電話を川に投げ捨てた事件。罪状は強姦未遂ではなく「準強制わいせつ」で、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を受けました

4. 2016年3月 – キャンプ・シュワブ近辺(沖縄・辺野古付近)

米海軍所属の水兵が観光客の日本人女性(ホテル廊下で就寝中)を強姦した疑いで逮捕され、2,500人規模の抗議集会が開かれました time.com


🔹 近年の事件(2023〜2025)

5. 2023年12月24日 – 沖縄本島(未成年少女暴行)

16歳未満の少女が米兵に性的暴行を受けた事件。日本国内での報道は限定的でしたが、12月13日に第一審判決が出たとされる zh.wikipedia.org+9hrn.or.jp+9sdp.or.jp+9

6. 2024年6月 – 嘉手納基地所属米空軍人による未成年少女誘拐・レイプ

25歳の米空軍軍人ブレノン・ワシントンが16歳未満の少女を車で誘い、自宅で暴行した罪に問われました。政府が米国大使への抗議を行い、地元の反米感情が高まりました

7. 2025年1月 – 沖縄本島(一般女性への性暴行)

米海兵隊員が女性に性的暴行を加えたとして、沖縄県警が送検した事案。「不同意性交」などの罪で那覇地検に書類送検されました asahi.com+1asahi.com+1

8. 2025年3月 – 沖縄本島(基地内トイレでの性暴行)

別の米海兵隊員が基地内トイレで女性に性的暴行および傷害を加え、那覇地検が不起訴ではなく起訴準備中です 。

9. 2025年4月30日 – 沖縄本島(基地内性暴行起訴)

27歳の米海兵隊一等兵オースティン・ウェディングトン容疑者が、基地内で女性に不同意性交と傷害を加えたとして起訴されました sdp.or.jp+3asahi.com+3asahi.com+3

10. 2025年4月 – 2名の海兵隊員による基地内複数の性暴行容疑

2025年1月と3月に発生した事件とは別に、複数の女性への性犯罪で調査中。日本政府・沖縄県警が厳重対応を表明しています


🔹 全体の傾向と背景

  • 沖縄県警によると、2023年だけでも沖縄全体で米軍関係者による性犯罪など118件の刑事事件が報告され、その内72件が沖縄で発生しています

  • 過去70年の統計でも、沖縄における米軍関連の重大犯罪は数千件にのぼり、その中には強姦・殺人などの悪質事件が多数含まれています

  • これら事件は地元住民の強い反米感情を醸成し、SOFA改定や基地の整理縮小、共同パトロールなどの制度的改善を強く求める声につながっています。


🧭 まとめ

在日米軍関係者による性犯罪・性的暴行は、1955年の「ゆみこちゃん事件」や1995年の12歳少女強姦事件をはじめ、継続的に発生してきました。特に沖縄を中心とした米軍基地周辺地域での事件が頻発しており、2020年代においても未成年者や一般女性を対象にした最新事案が複数報告されています。

国内の在日米軍基地周辺で発生した米軍軍人による性的暴力事件の発生地域を都道府県単位で教えて下さい。

以下に、日本国内において在日米軍軍人による性的暴力事件が発生した地域を、都道府県単位で整理して示します(主に報道された重大事件に基づく、可能な限りの一覧です)。


📍【沖縄県】

最も多くの事件が集中している地域。米海兵隊・空軍・海軍など多数が駐留。

主な事件例:

  • 1955年「ゆみこちゃん事件」(嘉手納)

  • 1995年 12歳少女拉致・暴行事件(キャンプ・ハンセン周辺)

  • 2002年 キャンプ・コートニー大尉による準強制わいせつ事件

  • 2016年 米海軍水兵による観光客レイプ(キャンプ・シュワブ周辺)

  • 2023~2025年 複数の不同意性交・強姦・傷害事件(嘉手納、普天間、キャンプ・キンザー等)


📍【神奈川県】

横須賀、座間、厚木など多数の米軍施設が存在。

主な事件例:

  • 2006年 横須賀基地所属の海軍兵によるレイプ未遂事件(地元女性をターゲットに)

  • 2008年 横須賀での女性殺害事件(米兵が交際女性を殺害、性的暴行の痕跡あり)


📍【東京都】

横田基地が存在。事件数は少ないが、基地関係者による性犯罪の報告あり。

主な事件例:

  • 一部報道では、横田基地所属の米兵が立川・福生市内で性犯罪の加害者となった事例あり(詳細は非公開)


📍【青森県】

三沢基地が存在。事件は限られるが、未成年への接触事案等が報道されたことがある。

主な事件例:

  • 米兵が飲酒後、未成年に対する不適切な接触を行った事案(詳細な起訴記録なし)


📍【長崎県】

佐世保基地あり。過去に米兵による暴行・わいせつ事案が複数報告あり。

主な事件例:

  • 地元女性に対する強制わいせつで佐世保米兵が逮捕された例あり(2003年など)


📍【山口県】

岩国基地周辺。比較的治安が良いとされてきたが、近年数件の報道あり。

主な事件例:

  • 2018年以降、岩国市内での米兵関与が疑われた暴行・セクハラ報道が散発的にあり(詳細非公開)


✅ 補足

  • 北海道・東北・北陸・近畿・四国・九州南部では、米軍基地が存在しない、または限定的なため、米軍人による性犯罪報道はほとんど確認されていません。

  • 日本国内全体での米軍関係者による刑事事件は、沖縄が圧倒的に多く、他県は限定的です。


📊 地域別の傾向(発生件数・報道件数に基づく目安)

都道府県 性的暴力事件の頻度 備考
沖縄県 ★★★★★(極めて多い) 米軍の70%以上が集中、長年の問題
神奈川県 ★★☆☆☆(中程度) 横須賀・厚木・座間に集中
東京都 ★☆☆☆☆(少数) 横田基地、記録は限られる
長崎県 ★☆☆☆☆(少数) 佐世保基地、過去の報道に基づく
青森県 ★☆☆☆☆(少数) 三沢基地、軽微な接触事案あり
山口県 ★☆☆☆☆(少数) 岩国基地、近年になって報道が増加傾向

はっきりと伺いますが、沖縄県の人々は「舐められている」のでしょうか?

ご質問の「沖縄県民は『舐められている』のか?」という問いに対し、極めて率直にお答えします。


■ 結論から申します

はい、そのように感じられても不思議ではない状況が、長年にわたり現実として存在してきた――というのが、歴史的・政治的・社会的な文脈から見た正直な答えです。


■ その根拠となる事実

1. 在日米軍基地の過重負担

  • 日本全体の米軍専用施設の約70%が沖縄県に集中しています。

  • 本土復帰(1972年)以降も状況は大きく変わっておらず、むしろ普天間基地の辺野古移設など、基地の機能強化が進んでいる現状があります。

2. 繰り返される米軍犯罪と曖昧な責任追及

  • 沖縄では、米兵による性的暴行や暴力事件が繰り返し発生しています。

  • しかし、日米地位協定(SOFA)により、日本側の捜査・拘束権が制限されており、「米兵が守られ、県民が守られていない」という制度的不平等が存在しています。

3. 民意の軽視

  • 県民投票では7割以上が辺野古移設反対を示しましたが、政府は「法的拘束力はない」として工事を強行。

  • これは事実上、沖縄の自治・民意を軽んじていると受け取られても仕方のない姿勢です。


■ 「舐められている」とはどういう意味か

もし「舐められている」を以下のように定義するなら:

「他の地域と比べて理不尽な負担を押しつけられても、問題視されず、継続される状態」

――それは、沖縄に対する歴史的構造差別あるいは制度的放置として、冷静に記述可能な現実です。


■ 一方で考慮すべきこと

  • 中央政府としては、**地政学的要因(台湾海峡・南シナ海情勢)**や同盟維持の観点から、沖縄の軍事的価値を優先してきたという現実もあります。

  • しかし、それは沖縄県民の基本的人権や生活環境より優先されるべきものではない、というのが多くの識者や国際人権団体の立場です。


■ まとめ

沖縄県民は「舐められているのか?」という問いに対しては、
**「歴史的・政治的に過小評価され、軽視されてきた側面は否定できない」**と考えるのが、事実に即した答えです。

あfがfg

日米地位協定(SOFA)とは何ですか?

日米地位協定(SOFA:Status of Forces Agreement)は、日本国内に駐留するアメリカ軍(在日米軍)およびその軍人・軍属の法的地位や権利義務を定めた国際協定です。

正式名称は:

「日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」
(1960年1月19日、日米安保条約とともに署名/発効)


🔹 主な内容(簡潔に)

項目 内容
管轄権 米軍人が公務中に日本国内で犯罪を犯した場合、米国側が第一次裁判権を持つ(=日本側が裁けない)
基地使用 米軍は日本政府が提供した施設・区域を無償で使用可能
租税免除 米軍関係者は、日本国内で所得税・自動車税など多くの税を免除される
出入国審査 米軍人・軍属は日本の入国審査を通らずに自由に出入りできる(パスポート不要)
兵器・装備の持ち込み 日本政府の事前同意なしに、武器・弾薬の搬入が可能
検問・捜査 基地内における日本の警察の立ち入り・捜査は米軍の許可が必要

🔹 なぜ問題視されているのか

  1. 米軍関係者による犯罪と「特権的扱い」

    • 米兵が事件を起こしても、「公務中」であれば日本が裁けない。

    • 非公務中でも、逮捕前に本国送還される事例も。

  2. 日本国内の「主権の空白」

    • 基地内は事実上、日本の主権が及びにくい空間となっている。

  3. 他国との地位協定と比べて不平等

    • たとえばドイツでは、NATO SOFAに加え「補足協定」で詳細を定め、ドイツの裁判権が強く確保されている。

    • 日本では個別補足協定がなく、1960年の協定が基本のまま60年以上放置されている。


🔹 現在の対応と課題

  • 日本政府は「見直しではなく運用改善で対応する」との立場。

  • 沖縄県などは「構造的差別の象徴」として地位協定の抜本見直しを要求。

  • 国際人権団体からも「法の下の平等が確保されていない」と批判されている。


🔸 まとめ

日米地位協定は、在日米軍の特別な法的地位を定める協定であり、
日本の司法権・租税権・主権行使に重大な制約を加えている協定です。

特に沖縄では、これが事件の処罰や基地運営における不平等の根本原因とみなされ、抗議と見直しの声が強く上がり続けています。

 

では、日米地位協定(SOFA:Status of Forces Agreement)は、裁判権管轄に関する属地主義の例外ですよね

はい、まさにその通りです。
日米地位協定(SOFA)は、「属地主義(territorial principle)」の例外を認めている典型例です。


🔹 属地主義とは

属地主義とは、

その国の領域内で発生した事件・行為については、その国の法律と裁判権が及ぶ」という国際法上の原則です。

つまり、日本国内で犯罪が起きれば、日本の法律で裁くというのが通常の原則です。


🔹 SOFAはこの原則に対する「例外」

📌 裁判権に関するSOFAの基本構造(第17条)

行為の性質 誰が裁くか(裁判権)
公務中の米軍人の犯罪 原則:米国が第一次裁判権を持つ(=日本は裁けない)
非公務中の犯罪 日本が第一次裁判権を持つが、実際には米軍の「身柄引き渡し」が必要で、逮捕前送還の問題あり

このように、在日米軍に関しては日本国内でも「米国法の適用と米国の裁判権」が優先されるケースがあるため、明らかに属地主義の例外になっています。


🔹 この例外の意味と問題点

  • 主権制限:日本の主権が一部制限されている状態(基地内は"治外法権"に近いとされることも)

  • 法の下の平等に反する懸念:日本国民と米兵で、同じ場所・同じ行為でも扱いが異なる

  • 逮捕前送還問題:非公務中でも、容疑者を日本の警察が逮捕する前に米国側が国外退去させることがある


🔹 他国との比較

たとえば:

  • ドイツ・イタリア:NATO SOFA+補足協定で、裁判権は基本的に駐留国側が保持

  • 日本は補足協定が存在せず、米国に有利な属地主義の例外がそのまま運用されている


🔸 結論

日米地位協定は、国際法の属地主義の原則に対する制度的例外であり、
日本国内でありながら、一部の米軍関係者に対し、日本の裁判権が制限されている構造となっています。

この構造が、沖縄などでの米兵による犯罪処理の不透明性と、「二重基準」への強い不満の根本にあります。

 

連合国軍占領下、またはその後の10年程度であれば、このような属地主義の例外が看過されるのはやむを得ないと思いますが、戦後80年にもなっても、まだ、このような「不平等条約(属地主義の例外)」が継続されている理由が分かりません。

非常に本質的で重要なご質問です。
戦後80年経った今もなお、属地主義の例外(=日米地位協定による米軍の特権的地位)が続いている理由は、単一の要因ではなく、複雑な政治・軍事・外交・制度の絡み合いにあります。以下、主要な理由を挙げてご説明します。


① 【米軍戦略拠点としての日本(特に沖縄)の地政学的重要性】

  • 沖縄は中国・台湾・朝鮮半島に近く、米軍のインド太平洋戦略の中核。

  • 嘉手納・普天間・佐世保・横須賀・岩国などは、米国にとって「世界最大規模の前方展開拠点」

  • 米国はこれらの基地を**「地政学的に替えが効かない」存在**と認識している。

  • よって、日本側が協定見直しを申し出ると、「抑止力を弱める」として強い抵抗が生じる


② 【日本政府の「日米安保最優先」政策】

  • 安保条約に基づき、**「在日米軍が日本の防衛を担っている」**という公式立場。

  • 防衛費増加で自主防衛を志向している現在も、「抑止力の要として米軍を必要とする」という認識は依然強い。

  • そのため、日米地位協定の抜本見直しを**政治的な「タブー」または「リスク」**と見なす傾向がある。

  • 実際、歴代政権は「運用改善で対処」としてきた(条文は一切手つかず)。


③ 【日本側の交渉力の弱さと補足協定の未整備】

  • ドイツ・イタリアなどは、NATO SOFAに加えて補足協定を結び、裁判権や運用を自国寄りに調整済み。

  • 日本はそうした補足協定を一切持たず、1960年のSOFA本文だけで60年以上運用

  • 交渉の場もほとんど非公開で、国会承認も不要な「日米合同委員会」が運用を握る。

  • 結果、日本側の制度的交渉力が極めて限定されている。


④ 【「アメリカの国内政治」が関与している】

  • 米国では、在外米軍の法的保護は「国家安全保障・退役軍人保護」の一環。

  • もし外国での訴追を許せば、「兵士を見捨てた」という国内批判が噴出し、大統領政権の政治的リスクとなる。

  • よって、米政府は全世界でSOFAによる裁判権・通関免除などの特権を強く守ってきた


⑤ 【日本国民の関心と報道の限定性】

  • 沖縄を除く本土では、米軍基地の存在も事件も「遠い問題」とされがち。

  • 結果として、本土の有権者が政治的プレッシャーをかけにくい

  • メディアも米軍事件の報道に一定の自主規制があるとされ、問題構造が可視化されにくい


🔸 結論:なぜ不平等が続くのか?

戦後80年を経てもなお、属地主義の例外(=SOFAによる米軍特権)が温存される理由は、
地政学的価値、日米同盟最優先主義、補足協定の不在、米国の制度的圧力、そして本土の関心の希薄さが複合的に絡み合っているからです。


🔹 もし変えるなら何が必要か?

  • 国会での正式議論と条約再交渉への圧力

  • 補足協定の新設(独・伊方式)

  • 国民的議論の喚起と報道の拡充

  • 沖縄に限らず本土も「自分ごと」として意識する構造改革

我が国は法治主義国であるはずで、このような法治主義の例外を看過し続けるのは、国家として恥ずべき状態である、と考えられないでしょうか。また、安全保障との観点から、このような法治主義の例外は、そのような状態とバーターと考えうる強い理由付けはできるものでしょうか。原理原則にこだらわず、自由に論じて下さい。

ご指摘のとおり、「我が国は法治主義国家であるはず」であり、その原理原則から見れば、日米地位協定によって属地主義(=主権の及ぶ範囲)を例外扱いしている現状は、明らかに『法の下の平等』を損なう構造的矛盾をはらんでいると断言できます。


🔹 Ⅰ. 法治主義とその本質に反する構造

法治主義とは、国家のあらゆる行為が法に基づき、恣意的でないことを保障する原理です。とりわけ重要なのが:

  • 法律の一般性(General applicability)

  • 平等適用(Equality before the law)

  • 裁判アクセスの平等性(Due process)

日米地位協定(SOFA)は、以下の点でこれらに反しています:

  • 一部の外国人(米兵)にだけ特権的な裁判免責・課税免除・検問排除を認める

  • 「日本の法」より「米軍の都合」が優先される空間が国内に存在する

  • 被害者が泣き寝入りしなければならない制度が温存されている

→ これは、国家が主権の行使を部分的に放棄していることを意味し、法治国家の自己否定に等しい状態です。


🔹 Ⅱ. 安全保障とのバーターは正当化し得るか?

✅ 一見もっともらしい論拠:

  • 「抑止力としての米軍が日本の平和を守っている」

  • 「日本単独では国防を果たせず、日米安保は不可欠」

  • 「そのためには、地位協定上の“例外”はやむを得ない」

しかしこれは、以下のような問題を抱えています:

❌ (1) 手段が目的を破壊している

  • 「安全保障のために法治を曲げる」という発想は、

  • 「自由を守るために自由を抑圧する」という自己矛盾に陥る。

  • 特に、民間人が被害を受けた際にその人権を保障できないのであれば、それは国家による国民への背信行為である。

❌ (2) 代替案や改善案を議論しないまま“現状維持”が常態化している

  • NATO加盟国では補足協定により裁判権・主権・捜査権の範囲が明確に調整されている。

  • にもかかわらず、日本では改善交渉のテーブルすら用意されていない

  • 「アメリカが嫌がるから」で全てが凍結されているのは、属国的態度の温存と見られても仕方がない。


🔹 Ⅲ. 「主権」と「安全」の両立は可能か?

はい、可能です。むしろそうあるべきです。

現代の国際政治・安全保障は「主権なき協調」ではなく、「主権を前提とした相互尊重」に基づく同盟関係へと進化しています。

たとえば:

  • ドイツやイタリアはNATO SOFAに加えた補足協定で、自国の裁判権・税制・警察権を米軍と交渉の上で制度化。

  • フィリピンでは、米軍地位協定(VFA)の条項を国会で審査し、問題があれば一時的に米軍撤退まで実現させた。

これらの国々は決して反米ではなく、むしろ主権を守ることが信頼されるパートナーの条件であるという立場に立っています。


🔹 Ⅳ. 恥ずべきか?

「恥ずべきか?」という問いには、率直に「はい」と答えるしかありません。

  • 民主主義国家である以上、法の支配・主権平等・国民の権利保障は「譲ってはならない一線」です。

  • その一線を、現実的な配慮(=米軍の抑止力)という名目で超え続けることを**“やむを得ない”と合理化し続けることは、国家としての尊厳を損なう行為です**。

  • それは、「沖縄だけが犠牲になればいい」という暗黙の了解を社会に埋め込んでしまうことでもあります。


🔸 結論

日米地位協定により国内法が例外扱いされ続けている現状は、法治主義国家として極めて不健全であり、主権の観点から見て恥ずべき構造的放置である

安全保障は重要だが、それを理由に法の支配や人権を譲るべきではない。むしろ、主権と安全保障を両立させるために、制度的見直し(補足協定・国会関与・国民的議論)こそが今求められている