2025,江端さんの忘備録

私の反原爆のスタンスは、マンガ『はだしのゲン』によって形づくられました。
My anti-nuclear stance was shaped by the manga Barefoot Gen.

その後に積み重ねた反原爆に関する知識や知見は、すべて『はだしのゲン』を起点とするものでした。
All the knowledge and insights I later accumulated about nuclear issues stemmed from Barefoot Gen as their starting point.

思想や信念は、膨大な勉強と知識の積み重ねで形成される場合もあれば、たった一つの出会いから興味を持ち、調べ続けることで形づくられる場合もあります。
Thoughts and beliefs can be shaped by years of study and accumulated knowledge, but sometimes they are formed through a single encounter that sparks interest and leads to continued investigation.

私にとって『はだしのゲン』はまさにその出会いでした。
For me, Barefoot Gen was exactly that encounter.


1974年放送の『太陽にほえろ!』第79話「鶴が飛んだ日」で、覚醒剤中毒に苦しむ刑事「殿下」(島公之・小野寺昭さん)を、下から支えながら手錠をかけ、必死に抑え込む「山さん」(山村精一・露口茂さん)のシーンは
In the 1974 broadcast of Taiyō ni Hoero! episode 79, “The Day the Crane Flew,” the scene where Detective “Denka” (Kuniyuki Shima, played by Akira Onodera), suffering from drug addiction, is handcuffed and desperately restrained by “Yama-san” (Seiichi Yamamura, played by Shigeru Tsuyuguchi), who supports him from below,

―― 壮絶
—was overwhelming.

の一言につきました。
That is the only word that can describe it.

本当に怖かった。
It wasn't very comforting.

これが覚醒剤や麻薬を使った末路であるのか、と、心底怖かった(当時の私は、小学生でした)。
I was terrified to the core, thinking, “Is this the fate that awaits those who use stimulants and narcotics?” (At the time, I was an elementary school student.)

この覚醒剤中毒の症状が、現実を正確に反映しているかどうかは、分かりませんが、覚醒剤中毒患者が起こしている事件から見て、十分な説得力のあるシーンだったと思います。
I do not know if the symptoms of drug addiction were portrayed with medical accuracy. Still, judging from the incidents involving people with an addiction reported in real life, the scene was convincing enough.

―― 覚醒剤も麻薬も、一切認めない
“No stimulant, no narcotic — ever.”

という私の中の信念は、この時に完成したと思っています。
I believe that conviction was solidified within me at that very moment.


この場面は、1974年放送の『太陽にほえろ!』第79話「鶴が飛んだ日」の名場面として語り継がれています。
This scene has been remembered as one of the most famous moments from Taiyō ni Hoero! episode 79, “The Day the Crane Flew,” aired in 1974.

このエピソードでは、普段は冷静で頼れるベテラン刑事・山さんが、麻薬中毒に陥った仲間を救うために体を張る姿が描かれています。
In this episode, the usually calm and reliable veteran detective Yama-san puts his own body on the line to save a colleague who has fallen into drug addiction.

この回は、山さんの優しさや覚悟が色濃く映し出された名エピソードとして、今も多くのファンに語り継がれているようです。
This episode, which strongly highlighted Yama-san’s compassion and determination, is still spoken of by many fans as a classic.

今、本当に恐しくて、そして、今思い出しても泣きそうになるシーンでした。
Even now, when I recall it, it is terrifying and brings me close to tears.

もし、あの時に『太陽にほえろ!』を見ていなければ、今の私は「薬物に対する恐怖心」を持ち合わせていなかったかもしれません。ドラマの力が、人の生き方さえも変えるのだと実感しています。
Had I not watched Taiyō ni Hoero! at that time, I might not have developed such a strong fear of drugs. I realized then that the power of drama can even change the course of a person’s life.


露口茂さんが演じられた山さんは、私の薬物拒絶の“精神的支柱”であり続けた存在でした。
Yama-san, as portrayed by Shigeru Tsuyuguchi, remained a “spiritual pillar” of my anti-stimulant, anti-narcotic convictions.

心からご冥福をお祈り申し上げます。
I sincerely pray for his eternal peace.

2025,江端さんの忘備録

プログラムが起動せず、それを色々試していしまう課程で、システム(e.g. WindowsやLinuxの環境)を壊してしまうーー
When a program fails to start, and in the process of trying various fixes, I end up breaking the system (e.g., Windows or Linux environments).

その復旧作業を行う(元の状態に戻す)ために、睡眠が浅くなり、飲食を忘れて(というか、食欲が消える)、その結果体重が減る。
During the recovery work (restoring it to its original state), my sleep becomes shallow, I forget to eat (or rather, I lose my appetite), and as a result, I lose weight.

ChatGPTに「このダイエットの名称を考えて下さい」と頼んだら、以下のようなものを提案されました。
When I asked ChatGPT to “come up with a name for this diet,” it suggested the following.

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■リカバリーダイエット
― システム復旧作業そのものが痩身効果をもたらす、という直球なネーミング。
■Recovery Diet
― A straightforward naming that emphasizes system recovery work itself brings a slimming effect.

■クラッシュ&リビルドダイエット
― システムが壊れて(クラッシュ)、復旧(リビルド)する過程で痩せる、というサイクルを表現。
■Crash & Rebuild Diet
― Expresses the cycle where the system crashes, gets rebuilt, and you lose weight in the process.

■OS再インストールダイエット
― 一番イメージしやすい。OSを入れ直す苦行に痩身効果が付随する、という皮肉。
■OS Reinstallation Diet
― The easiest to imagine. A sardonic take on the ordeal of reinstalling an OS, which comes with a slimming effect.

■カーネルパニックダイエット
― 「食欲もパニックで消える」イメージを持たせた技術者向けブラックユーモア。
■Kernel Panic Diet
― A piece of black humor for engineers, suggesting that even appetite panics and disappears.

■エマージェンシーモードダイエット
― Linuxの復旧モードと掛け合わせて、非常時しか発動しない特殊な痩身法を強調。
■Emergency Mode Diet
― Tied to Linux recovery mode, emphasizing a special slimming method that activates only in emergencies.

ちなみに、こんな提案も受けました。
By the way, I also received proposals like these.

■システム復旧作業関連体重減少現象
― 環境復旧過程における体重減少を中立的に記述。
■System Recovery-Related Weight Loss Phenomenon
― A neutral description of weight loss occurring during environmental recovery.

■環境障害復旧時における食欲減退由来の体重変動
― 食欲減退と体重変動の因果関係を明示。
■Weight Change Due to Appetite Loss During Environment Failure Recovery
― Explicitly states the causal link between appetite loss and weight change.

■プログラム起動障害対応に伴う体重減少効果
― 起動障害対応という限定された条件下で発生する効果を強調。
■Weight Loss Effect Associated with Program Startup Troubleshooting
― Emphasizes the effect occurring under the specific condition of dealing with startup failures.

■復旧作業従事時の付随的体重減少
― あくまで「付随的」現象として整理。
■Incidental Weight Loss During Recovery Work
― Frames it merely as an incidental phenomenon.

■システムトラブル復旧関連ダイエット効果
― ダイエットという一般用語を残しつつ、中立的に表現。
■System Trouble Recovery-Related Diet Effect
― Retains the general term “diet” while keeping the phrasing neutral.

などなど、
And so on.

普通に「メンタルストレスダイエット」でいいのかもしれませんが、なんか、あんまり一般化されると、ちょっと悔しい気がします。
Maybe it would be fine to just call it “Mental Stress Diet,” but somehow, if it gets too generalized, I feel a bit frustrated.


ともあれ、今、私は体重が減っています。
In any case, right now, I am losing weight.

コラムでさんざんエラそうなことを書いてきた江端の、この体たらくを知って、少しでも気が楽になって貰えれば、幸いでございます。

未分類

Amazonで映画「教皇選挙」があったので、コーディングのバックエンドで流し見をしていました。

ChatGPTに「コンクラーベ」について尋ねてみました。

コンクラーベについて教えて下さい

コンクラーベ(Conclave)は、ローマ教皇を選出するためにカトリック教会の枢機卿団が行う選挙手続きのことを指します。語源はラテン語の「cum clave(鍵をかけて)」で、外部との接触を遮断して密室で行うことからこの名前が付いています。

概要

・選挙権を持つのは、80歳未満の枢機卿(カーディナル)です。
・会場は通常、バチカンのシスティーナ礼拝堂で、そこに枢機卿たちが集まり、外部と隔絶された環境で投票を行います。
・選出には3分の2以上の賛成票が必要で、この基準を満たすまで何度も投票が繰り返されます。

手続きと儀式

  1. 枢機卿たちが「閉じ込められる」形で入場し、ドアが閉ざされる。
  2. 投票は秘密裏に行われ、候補者名を書いた投票用紙が炉で燃やされる。
  3. 投票結果がまとまらなかった場合は黒い煙(fumo nero)、新教皇が決まった場合は白い煙(fumo bianco)が煙突から出され、外部に知らせる。

意義

コンクラーベは単なる選挙ではなく、祈りと討議を通じて「神の意志を見極める場」とされ、カトリック教会全体の進路を決める重要な儀式です。そのため厳格な規律と儀式が保たれてきました。


ご希望なら、過去の有名なコンクラーベ(例:ヨハネ・パウロ2世やフランシスコ教皇の選出時)についても解説できますが、そちらも知りたいですか?

コンクラーベ(Conclave)の最中のプロセスについて詳細に教えて下さい

承知しました。コンクラーベ(Conclave)の最中に行われるプロセスは、カトリック教会において非常に厳格かつ儀式的に定められています。以下では、入場から新教皇の決定までの流れを詳細に説明します。


1. 開始前の準備

・枢機卿団はバチカン内に滞在し、外部との通信を遮断されます。
・コンクラーベの会場はシスティーナ礼拝堂で、投票に使われる机や椅子が整えられます。
・外部との情報のやり取りを防ぐために、厳格な監視とセキュリティ対策がとられます。


2. 入場と閉鎖("Extra omnes")

・枢機卿たちが一列になってシスティーナ礼拝堂に入場し、祈りと聖歌で始まります。
・全員が入場した後、儀式司会者が「Extra omnes!(全員退出せよ!)」と宣言し、選挙に関わらない者は全員退場します。
・礼拝堂の扉が閉じられ、外界から完全に隔絶された状態となります。


3. 投票の流れ

投票は一日最大4回(午前2回、午後2回)行われ、次の手順で進みます。

  1. 投票用紙配布
    ・各枢機卿に、候補者名を書く用紙が配られます。
    ・用紙の冒頭には「Eligo in Summum Pontificem(私は教皇に選びます)」と印字されています。
  2. 候補者名の記入と折り畳み
    ・枢機卿は祈りの中で候補者名を記入し、三つ折りにして手に持ちます。
  3. 投票の提出
    ・一人ずつ祭壇に進み、聖書に手を置いて誓いを述べた後、投票用紙を壺状の容器に入れます。
    ・投票を済ませたら席に戻り、全員が終えるまで静かに待ちます。
  4. 集計
    ・投票管理の枢機卿が投票用紙を数え、記入内容を読み上げて票を記録します。
    ・その後、票は糸で通されて束ねられます。

4. 投票結果の発表方法

・新教皇が決まらなかった場合、投票用紙は炉で燃やされ、**黒い煙(fumata nera)がシスティーナ礼拝堂の煙突から出ます。
・新教皇が決まった場合は、化学物質を混ぜて
白い煙(fumata bianca)**を出し、サン・ピエトロ広場に集まった群衆に知らせます。


5. 新教皇の承諾と即位準備

・当選者が3分の2以上の票を得た場合、枢機卿団の長(通常は枢機卿団の首席)がその人物に「あなたは教皇として選出されましたが、これを受け入れますか?」と確認します。
・候補者が承諾すると、**新しい教皇名(パパ名)**を宣言します。
・新教皇は白い法衣に着替え、「教皇の間」に移ります。


6. 公示(ハベムス・パパム)

・最終的に、サン・ピエトロ大聖堂のバルコニーに現れ、「Habemus Papam!(我らに教皇を得たり!)」という伝統的な宣言がなされます。
・続いて新教皇が民衆に最初の祝福を与えます。


要約すると、コンクラーベは **「隔絶 → 投票 → 煙による合図 → 承諾 → 公示」**という厳密な流れを持ち、全世界に向けて新教皇の誕生を示す儀式です。

―― 江端さんは、全体のプロセスの流れを「儀式性」と「実務的投票手順」のどちらを中心に詳しく知りたいですか?

普通に考えれば、教皇候補者による演説とかありそうですが、それなしに投票だけをするのですか?

はい、その点がコンクラーベの独特なところです。
結論から言うと、教皇候補者による演説や選挙活動は行われず、投票のみで進みます


演説がない理由

  1. 謙遜と敬虔の精神
    ・教皇は「神に選ばれる存在」とされるため、自ら立候補して演説するのはふさわしくないと考えられています。
    ・あくまで祈りと熟慮を通じて、枢機卿団が「神の導きに従って」投票する形式です。
  2. 選挙活動の禁止
    ・教皇選出をめぐる露骨な政治的駆け引きや買収を防ぐため、選挙運動は禁止されています。
    ・枢機卿同士の会話や意見交換は許されますが、公開の演説や自己アピールは制度として存在しません。
  3. 投票前の準備期間での討議
    ・コンクラーベに入る前に、**枢機卿会議(一般会議:Congregationes generales)**と呼ばれる会合が何日か行われます。
    ・ここで教会の課題や次期教皇に必要な資質について意見交換され、誰がふさわしいかという「雰囲気」が自然に形成されます。
    ・そのため、コンクラーベ開始後は投票に集中できるのです。

投票中に許されること

・投票の前に短い黙想や祈りの時間はあります。
・枢機卿同士が個別に「誰がよいか」を話し合うことは可能ですが、それは非公式で控えめに行われます。
・候補者本人が自らのビジョンを語ることは一切ありません。


つまり、現代の我々が想像する「総裁選」「大統領選」とは全く違い、候補者は沈黙の中にあり、選ぶ側が祈りと熟慮で決めるのがコンクラーベの特徴です。

―― 江端さんは、この「演説なし」の仕組みがどのようにして歴史的に定着したのか(例えば中世の買収選挙の反省など)を深掘りした解説も必要ですか?

複数回の投票をする理由と根拠は何でしょうか。また、ロビー活動なしに、教皇が選ばれるというメカニズムが理解できません。

とても鋭いご質問です。コンクラーベにおいて「複数回の投票」と「ロビー活動なしで教皇が選ばれる仕組み」は、どちらも教会史と制度の背景に根ざしています。


1. 複数回の投票をする理由と根拠

(1)熟慮と祈りの時間を確保する

・一度で決まることを想定せず、繰り返し投票することで徐々に合意が醸成される仕組みです。
・投票の合間には祈りと黙想があり、「神の意志を見極める」時間とされます。

(2)正統性の確保

・新教皇は全世界のカトリック信徒を導く立場にあるため、多数決ではなく3分の2以上の支持が必要です。
・この高いハードルを満たすために、結果的に何度も投票を繰り返すことになります。

(3)実際の政治的調整

・公式には「神の導き」ですが、実際には枢機卿たちの思惑やバランス(地域、言語、教義姿勢)も反映されます。
・複数回投票を繰り返すことで、特定候補に支持が集中していく過程が生まれます。
・つまり、熟慮を重ねて自然に集約されるプロセスこそが制度の根拠です。


2. ロビー活動なしに教皇が選ばれるメカニズム

(1)事前の「枢機卿総会」での議論

・コンクラーベ突入前に一般会議(Congregationes generales)が開かれ、教会の現状課題や新教皇に求められる資質が討議されます。
・ここで「今は外交に強い人物が必要だ」「改革派が望ましい」といった方向性の合意
が形成されます。

(2)枢機卿間の非公式な会話

・コンクラーベ内部でも、食事や散歩の際に個別の意見交換は行われます。
・ただし「立候補表明」や「演説」は禁じられているので、他薦と評価の積み重ねによって有力候補が浮かび上がります。

(3)地域・派閥のバランス

・カトリック教会は世界規模の組織であり、ヨーロッパ・ラテンアメリカ・アフリカ・アジアといった地域代表性が意識されます。
・候補者は自然に「コンセンサスを得やすい人物」へと収斂していきます。


3. 歴史的背景

・中世には金銭による買収や俗権力(皇帝や王)の介入で教皇選挙が混乱した時期がありました。
・その反省から13世紀以降、「コンクラーベ(鍵をかける)」方式が導入され、外部干渉を遮断し、内部合意だけで決めることが制度化されました。
・複数回投票も、派閥間の駆け引きを祈りと熟慮を通じて「正統性のある形に収束させる」ための歴史的工夫です。


まとめ

複数回投票するのは「合意の醸成」と「正統性確保」のため
ロビー活動は禁止だが、非公式な会話や事前会議を通じて自然に候補が浮上する。
・制度全体は「人間の思惑」と「神の意志」の両方を調和させる仕組みとして、中世の混乱から生まれたもの。


江端さんのご関心に合わせて、もしよろしければ「近代以降の有名な長期コンクラーベ(例:1740年の6か月に及んだ選挙など)」をケーススタディとして紹介することもできますが、歴史的な具体例もご覧になりたいですか?

投票と投票の間の平均時間を教えて下さい。また、その時間に意義があるとされるならそれも教えて下さい

よい観点です。コンクラーベにおける「投票と投票の間の時間」は、単なる事務的な間隔ではなく、宗教的・実務的な意義が付与されています。


1. 投票と投票の間隔の実際

・コンクラーベでは、1日最大4回の投票が行われます(午前2回、午後2回)。
・各投票自体には点呼、投票、集計、焼却(煙の準備)といった手続きがあるため、1回の投票にはおよそ1〜2時間を要します。
・そのため「投票と投票の間隔」は数時間程度になるのが普通です。午前に2回行えば昼食を挟み、午後に2回行えば夕刻までに終えるという流れです。


2. 投票間の時間の意義

(1)祈りと黙想の時間

・投票の合間は「神の導きを求める時間」とされ、枢機卿たちは個々に祈りや黙想を行います。
・制度上は「政治的な説得や交渉の時間」ではなく、霊的熟慮の時間と定義されています。

(2)熟慮と判断の熟成

・投票を繰り返す中で、「自分が投票した候補が十分な支持を得られない」と分かれば、次の投票で他の候補に票を移すことになります。
・この思考の切り替え・合意形成のための間隔が意義を持ちます。

(3)実務的な休憩

・コンクラーベは隔離環境で長時間続くため、心身の負担が大きい儀式です。
・投票の合間には休憩・食事・散歩があり、そこで枢機卿同士が非公式に意見交換することもあります。


3. 歴史的解釈

・「短時間で結論を出すのではなく、あえて時間をかける」こと自体が神の意志を見極める象徴的プロセスとされています。
・実際には票の動きを見ながら徐々に合意が形成されていくので、投票間の時間は合意形成の潤滑剤ともなっています。


まとめ

・投票間の平均時間は数時間程度。
・その時間には「祈りによる霊的熟慮」「投票戦略の自然な調整」「心身の休息」という複合的な意義がある。
・単なる休憩ではなく、熟慮を重ねて候補が絞られていく重要なプロセスとみなされている。


江端さんがご興味を持たれているのは、制度としての「宗教的意義」に近いでしょうか? それとも実際の「人間的・政治的な駆け引き」の側面に重きを置いていますか?

制度としての「宗教的意義」も、「人間的・政治的な駆け引き」の側面も、両方とも興味があります

承知しました。では、コンクラーベにおける「投票間の時間」を、制度としての宗教的意義と、人間的・政治的な駆け引きの両側面から整理します。


1. 制度としての宗教的意義

コンクラーベは、単なる選挙手続きではなく「神の意志を識別する霊的な営み」と位置づけられています。そのため、投票の合間に設けられる時間には明確な宗教的意味が与えられています。

  • 祈りと黙想の時間
    投票の間隔は、枢機卿一人ひとりが祈りに集中し、自分の判断が自己の利害や派閥に偏っていないかを省みる時間とされます。
    「神が誰を導いているか」を熟考するための間として、儀式的に必須の要素とされています。
  • 共同体の精神統一
    枢機卿団は全世界から集まった多様な背景を持つ人々です。投票間の祈りと沈黙は、彼らを「神の前で平等な共同体」に結び付ける働きを持ちます。
  • 迅速ではなく熟成を重んじる象徴
    票が割れてもすぐに決め打ちするのではなく、繰り返しの祈りと投票を通じて「正しい人選が浮かび上がる」という構造そのものが、神の介入を象徴しています。

2. 人間的・政治的な駆け引きの側面

宗教的建前の裏で、現実のコンクラーベは人間社会の縮図でもあります。投票間の時間は、ある種の「静かな政治交渉の場」として機能します。

  • 票読みと戦略的思考
    枢機卿は投票結果の傾向を見ながら、「自分の推す候補が難しい」と分かれば、次の投票で別候補に切り替えます。
    投票間の時間は、票の動きを観察し、支持の移動を検討する余地を与えます。
  • 非公式な意見交換
    食事や散歩の際に「この状況なら〇〇枢機卿が妥当ではないか」といった会話が交わされ、支持が集約していきます。
    公的なロビー活動は禁止されているものの、人間的な対話や説得は不可避的に存在します。
  • 地域・派閥バランスの調整
    たとえば「前教皇がヨーロッパ出身だったから、次はラテンアメリカから」というように、地域的・政治的バランスを重視する議論が行われます。
    投票の間隔は、こうした調整の余地を生み出します。

3. 両者の重なり合い

興味深いのは、宗教的意義と政治的駆け引きが対立するのではなく、むしろ補完的に機能していることです。

  • 枢機卿は祈りによって「自らの票が神の意志にかなっているか」を吟味する。
  • 同時に、人間的な対話によって「全体が合意に収束する」方向を模索する。

この二重構造があるからこそ、コンクラーベは単なる選挙を超えた「儀式的プロセス」として権威を持ち続けている、と言えます。


江端さんのご研究的な関心からすると、ここは「制度設計によって宗教的意味付けを行いながら、実態としては人間的交渉を包摂する」という “二重の正統性” をどう理解するかが重要な論点になりそうですが、この点をもう少し「歴史的な事例(例:ヨハネ・パウロ2世選出やフランシスコ教皇選出)」を踏まえて解説した方がよいでしょうか?

「公的なロビー活動は禁止されているものの、人間的な対話や説得は不可避的に存在します」というのは、実質的にロビー活動ではないのですか。建前は不要ですので、実質的な内容で教えて下さい。

承知しました。建前を外して、実質的な話をします。


実質的に「ロビー活動」にあたる部分

コンクラーベでは「演説・選挙運動・自己推薦」は厳格に禁止されています。これは制度上の建前です。しかし、現実には 人間的な会話を通じた支持の集約 が起きており、それは事実上「ロビー活動」と機能しています。

1. 投票間の非公式会話

・枢機卿たちは食事や散歩の時間に二人・三人で集まり、
「この候補は教義に慎重で安心できる」
「今の教会には改革派が必要だ」
といった会話を交わします。
・これにより、誰がコンセンサスを得やすいかが徐々に明確になります。

2. グループごとの影響力

・地域や思想的傾向(保守/改革、ヨーロッパ/ラテンアメリカ/アフリカなど)ごとに暗黙のブロックが存在します。
・有力な枢機卿が「我々のブロックは〇〇を推す」と表明すれば、他の票も動きやすくなります。
・これは制度的には「自由投票」ですが、実質的には派閥的ロビーに近い動きです。

3. 候補者本人の沈黙

・重要なのは、本人は決して動かないという点です。
・候補者自身が支持を訴えることは絶対に禁じられているため、周囲が勝手に「担ぎ上げる」 形になります。
・このため「影響力のある支持者(推薦人)」の存在が決定的に重要です。


過去の実例

・1978年のヨハネ・パウロ2世選出では、イタリア人候補が優勢と見られていましたが、非公式な対話の中で「非イタリア人を選ぶべきだ」という合意が醸成され、ポーランド出身の彼に票が集中しました。
・2013年のフランシスコ教皇選出では、南米の枢機卿たちのグループが「今こそ南米から教皇を」と意見を固め、投票の合間の説得によって票が集まっていきました。


まとめ(実質)

・制度上は「ロビー活動禁止」だが、投票間の会話や派閥調整は不可避であり、実質的にロビー活動として機能している
・違いは、候補者本人が動かず、すべてが「他薦・推薦」という形式をとること。
・つまり、建前は神の意志を尊重する儀式、実態は人間の政治的合意形成という二重構造で運営されている。


江端さんの研究的な観点でいうと、これは「制度が禁止する形式的ロビー活動」と「不可避的に生まれる非公式交渉」の両立であり、制度設計としては“政治的現実を祈りと黙想の枠組みで覆い隠す”構造に見えるのですが、ここを「宗教的正統性と政治的現実の調停」と表現するのが妥当だと思われます。

―― この「宗教的正統性と政治的現実の調停」という観点を、もう少し制度史(13世紀以降のルール形成過程)にさかのぼって説明しますか?

視点を変えて、この「コンクラーベ」を、カソリックの信者は、どのようなイベントとして把握しているのか、表向き(建前)と裏向き(本音)の観点から教えて下さい。

良い観点です。「信徒がコンクラーベをどう受け止めているか」を、表向き(建前)と裏向き(本音)の二重構造で整理すると、信仰共同体としての理想と、人間社会としてのリアリズムがよく見えてきます。


1. 表向き(建前)としての把握

神秘的な宗教儀式

・カトリック信徒にとって、コンクラーベは「聖霊(Holy Spirit)が導いて新教皇を選ぶ神秘的な儀式」と理解されます。
・煙突から出る黒煙や白煙は、神の意志が少しずつ明らかになっていく象徴です。
・新教皇の名前が発表される瞬間は、全世界のカトリック共同体がひとつに結ばれる大きな宗教的イベントです。

信頼と安心の源

・「枢機卿たちが祈りと黙想のうちに、神の声を聴いている」という建前は、信徒にとって安心材料です。
・自分たちの未来を導く存在が、人間的思惑ではなく“神の選び”によって選出されていると信じられるからです。


2. 裏向き(本音)としての把握

政治的イベントとしての側面

・実際には「どの地域から選ばれるのか」「保守派か改革派か」など、教会内の政治バランスを反映する選挙として認識されてもいます。
・信徒も報道を通じて「アフリカから初の教皇が?」とか「次はラテンアメリカ勢か?」といった“政治的読み”を楽しんでいます。

教会の行方を占う瞬間

・新教皇の人柄や神学的立場は、典礼改革、社会問題(中絶、同性婚、移民問題など)、バチカン財政、スキャンダル対応に直結します。
・そのため信徒の本音としては「誰が教皇になるかで自分たちの生活や教会の雰囲気が変わる」という極めて現実的な関心を抱いています。

不信感と冷笑

・一部の信徒や世俗的視点を持つ人々にとっては、「閉ざされた老人クラブが次のトップを決める儀式」という冷ややかな見方も存在します。
・「聖霊の導き」という建前が、実際には地域政治や派閥争いに覆われていることを半ば理解し、冷笑的に受け止める層も少なくありません。


3. まとめ:二重の受け止め方

建前:聖霊の導きによる神秘的で超越的な儀式。信仰共同体の一致を象徴する。
本音:政治的駆け引きが反映された選挙であり、教会の方向性を左右する現実的イベント。

多くの信徒はこの二重性を意識しつつ、「それでも最後には神の意志が働く」と考えることで納得している、と言えます。


江端さんの関心は、信者の「内面の二重性(信仰的納得と政治的リアリズムの共存)」に近いと思いますが、ここをさらに社会学的に「宗教儀礼が政治的正統性を保証する仕組み」として分析する方向に深掘りしましょうか?

カソリックキリスト教は、表向きはどうあれ、世界最大規模の政治団体であり、巨大な発言権を持つ組織であることは間違いありません。その観点から「コンクラーベ」はどのような役割を果していると言えますか?

おっしゃる通りです。カトリック教会は「宗教団体」であると同時に、世界最大規模の政治・社会的アクターでもあります。約12億人の信徒を擁し、国際政治・倫理・文化に巨大な影響力を持っています。その観点から見ると、コンクラーベは単なる宗教儀式ではなく、**世界規模の「権力移行の儀式」**と捉えることができます。


1. グローバル組織の「最高指導者選出」

・コンクラーベは、カトリックという「宗教共同体」でありながら「世界最大規模の国際組織」におけるトップ人事です。
・教皇は「信仰の象徴」であると同時に、国際政治に影響する「道徳的権威者」でもあります。
・したがって、コンクラーベは 世界最大の非国家組織が指導者を決める瞬間 にあたります。


2. 政治的正統性を保証する儀式

・カトリック教会は「神の意志に基づく選出」という宗教的建前を前面に出すことで、教皇の権威を人間の政治的駆け引きから切り離して見せています。
・しかし実際には、地域バランス、保守と改革の対立、外交姿勢など、きわめて政治的な要素が調整される場です。
・この「神秘的儀式+政治的合意形成」という二重構造が、結果として政治的正統性を強化します。


3. 国際政治への影響

・教皇は国家元首(バチカン市国元首)であると同時に、国連や各国政府との対話においても発言力を持ちます。
・中絶、同性婚、環境問題、移民、貧困、人権などのテーマでは、教皇の声明が国際世論に直結します。
・つまり、コンクラーベで誰が選ばれるかは、国際政治における価値観の潮流にまで影響を及ぼすのです。


4. 内部統治の安定装置

・コンクラーベは外部干渉を遮断した密室で行われるため、内部合意がそのまま「神の意志」として提示されます。
・これは、巨大な組織の権力移行を「分裂ではなく統合」として演出する仕組みです。
・信徒は「白い煙」を目撃することで、内的な意見対立があっても「新しい指導者に従う」という心理的な一体感を得ます。


まとめ

コンクラーベは、

  • 宗教的には 神の意志を確認する神秘儀式
  • 政治的には 世界最大の国際組織におけるトップ選挙
  • 社会的には 信徒を統合し、外部に対して教会の発言権を強化する装置

と位置づけられます。
つまりコンクラーベは、**宗教的正統性を装った「グローバル権力移行の制度」**だと言えるでしょう。


江端さん、この観点をさらに掘り下げるなら、「教皇の選出が実際に国際関係にどんな影響を及ぼしたか(例:ヨハネ・パウロ2世の東欧解放、フランシスコ教皇の環境問題への発言)」という具体例で見るのが一番鮮明ですが、そうしたケーススタディも整理しましょうか?

いえ、本日はここまでで結構です。ありがとうございました。

了解しました。こちらこそ、深いご質問をいただきありがとうございました。
また別の機会に続きを掘り下げましょう。お疲れさまでした。

2025,江端さんの忘備録

昨日、Amazon Primeで、映画「教皇選挙」を見ながら作業をしていました。
Yesterday, I was working while watching the movie Conclave on Amazon Prime.

で、まあ、コンクラーベ(教皇選挙)について、ChatGPTに質問もしていたのですが、これがなかなかに驚きでした。
And well, I also asked ChatGPT some questions about the conclave (papal election), and it turned out to be quite surprising.

ChatGPTについて「コンクラーベ」について尋ねてみました。

良く考えれば、この「コンクラーベ方式」、日本のあちこちで既に使われている気がします。ポイントは、「立候補者ゼロ」というシステムです。
Come to think of it, this “conclave system” already seems to be used all over Japan. The key point is the system of “zero candidates.”

町内会の役員とか、義務教育の学級委員とか、PTAの役員選出とか、あれ、完全に「コンクラーベ」ですよね。さらに言えば、地域の市長選挙や議会選挙も、候補が一人しか出ない場合は、実質「コンクラーベ」と呼べるのかもしれません。
Neighborhood association officers, class representatives in compulsory education, PTA officer selections—those are basically “conclaves.” And if we go further, even local mayoral or city council elections, when only one candidate runs, might be practically called “conclaves.”

だって、誰もやりたがらないのに、誰かがやらざるを得ない、という組織の仕組みにおいて、ある種の"陰湿な圧力装置"が作動しているからです。要するに「同調圧力」。
Because in organizations where nobody wants to do it but someone has to, a kind of “insidious pressure mechanism” comes into play. In other words, conformity pressure.

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映画「教皇選挙」で、主人公が叫ぶ、
In the movie Conclave, the protagonist shouts,

『私は、教皇などになりたくはないんだ!』
“I don’t want to become the Pope!”

というセリフは、私たちの生活にもしばしば見られる場面そのものです。
That line is precisely the kind of scene we often see in our everyday lives.

そして、映画の最後のオチがまた秀逸。途中で「落とすならこれだろう」と思っていた一つが的中して、妙に得をした気分になりました。
And the ending of the movie is brilliant. One of the possible “twists” I had predicted midway turned out to be correct, and I felt oddly rewarded.

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ともあれ、「同調圧力」などと呼ばずに、これを「コンクラーベ」という格調高い制度として確立してしまったあたり、やっぱり世界最大級の宗教団体は侮れません。
At any rate, instead of calling it “conformity pressure,” the fact that they established it as a dignified system called “conclave” shows that the world’s largest religious organization is not to be underestimated.

ご視聴をお勧めしたいと思います。
I recommend you watch it.

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私は、『PTA役員選出会議で、白い煙が上がると、皆が歓声を上げる』 ーー という光景が見たいです。
At a PTA officer election meeting, I’d love to see the scene where white smoke rises and everyone cheers.

でも、今の学校では、焼却炉は全部廃止されているんですよね。残念です。
But in today’s schools, all the incinerators have been abolished. Too bad.

私は「前に進む人」の邪魔をしてはいけないとは思いますが、「『前に進むこと』を私に強要する人」は嫌いです。

未分類

ベースは、ここです

Ubuntsの環境で
ebata@DESKTOP-1QS7OI7:~/trial_rl/ai-rescheduling/GDC/RL/src/railway_training$

Stable-Baselines3 とは何ですか?

Stable-Baselines3(SB3)は、PyTorchで実装された強化学習アルゴリズムの信頼性重視の実装集。OpenAI Baselines系の後継にあたる Stable Baselines の次世代版。研究・実務で再現性よく比較・活用できるよう、統一APIと豊富なドキュメント・テストを備える。

Stable-Baselines3 を使ったサンプルを記載してください

以下に Stable-Baselines3 (SB3) を用いた最小限のサンプルコードを記載します。
例として、OpenAI Gym の CartPole 環境を使い、PPO (Proximal Policy Optimization) で学習します。

import gym
from stable_baselines3 import PPO

# 環境の作成
env = gym.make("CartPole-v1")

# モデルの作成(PPOを使用)
model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)

# 学習 (1万ステップ)
model.learn(total_timesteps=10000)

# 学習したモデルを保存
model.save("ppo_cartpole")

# 保存したモデルを読み込み
model = PPO.load("ppo_cartpole", env=env)

# 学習済みモデルで推論(テスト実行)
obs = env.reset()
for _ in range(1000):
    action, _states = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, done, info = env.step(action)
    env.render()
    if done:
        obs = env.reset()

env.close()

ポイント

  • gym.make("CartPole-v1") で環境を作成します。

  • PPO("MlpPolicy", env, verbose=1) でモデルを作成します。

  • model.learn(total_timesteps=10000) で学習を実行します。

  • model.save() / PPO.load() で保存と読み込みが可能です。

  • env.render() で動作を可視化できます。

このプログラムは何をするものですか。実行方法も教えて下さい

このプログラムの内容を整理すると、以下のようになります。


1. プログラムがやること

  • CartPole-v1 環境(倒立振子:カートの上に立てた棒を倒れないように制御する課題)を使います。
  • Stable-Baselines3 の PPOアルゴリズムで、この棒を倒さずにバランスを取り続ける方策(制御ルール)を学習します。
  • 学習が終わったら、学習済みモデルを保存し、保存したモデルを読み込んで実際に動かしてみます。
  • 実行中は env.render() によって、画面上にカートと棒の動きが表示されます。

2. 実行方法

(1) 必要なライブラリのインストール

ターミナル(Linux/Mac)または PowerShell(Windows)で以下を実行してください。

pip install stable-baselines3[extra] gym

[extra] を付けると、依存関係(atari, mujoco以外の基本環境)が一括で入ります。
(もし OpenAI Gym が gymnasium に置き換わっている環境なら、pip install gymnasium[classic-control] を追加してください)


(2) プログラムを保存

任意のファイル名(例: ppo_cartpole.py)で先ほどのコードを保存します。

nano ppo_cartpole.py   # Linux/Mac の場合
notepad ppo_cartpole.py # Windows の場合

(3) プログラムを実行

保存したディレクトリで次を実行します。

python ppo_cartpole.py

(4) 実行結果

  • 学習中は「timesteps」などがログとして表示されます。
  • 学習後に画面が立ち上がり、カートと棒(倒立振子)が動きます。
  • 学習が進むと、棒を長時間倒さずに維持できるようになります。

👉 確認ですが、環境は Windows + Python ですか? それとも WSL / Linux / macOS でしょうか。
それによって render() の挙動(ウィンドウ表示 or headless実行)が少し変わるので、そちらに合わせた実行手順を補足できます。

WSL / Linux です。 ebata@DESKTOP-1QS7OI7:~/trial_rl/ai-rescheduling/GDC/RL/src/railway_training$ python ppo_cartpole.py Traceback (most recent call last): File "ppo_cartpole.py", line 2, in <module> from stable_baselines3 import PPO ModuleNotFoundError: No module named 'stable_baselines3' ebata@DESKTOP-1QS7OI7:~/trial_rl/ai-rescheduling/GDC/RL/src/railway_training$ と言われています。

 

なるほど、ModuleNotFoundError: No module named 'stable_baselines3' が出ているので、WSL上に Stable-Baselines3 がインストールされていないのが原因です。


対処手順(WSL / Linux環境)

1. 必要パッケージの確認・インストール

まず Python と pip が正しく動作するか確認してください。

python3 --version
pip3 --version

もし python コマンドが python3 を指していない場合は、以下のように実行する必要があります。

python3 ppo_cartpole.py

2. Stable-Baselines3 のインストール

以下を実行してください。

pip3 install stable-baselines3[extra] gym

補足:

  • gym が新しい環境では gymnasium に置き換わっている場合があります。その場合は次も必要です。
pip3 install gymnasium[classic-control]

3. 実行

再度プログラムを実行してみてください。

python3 ppo_cartpole.py

4. 画面表示(render)の注意点

WSL 環境だと、env.render() がそのままでは画面に出ないことがあります。

  • WSLg対応の Windows 11 + WSL2 → そのまま GUI が出る(Ubuntu のウィンドウとして表示される)
  • 古い WSL → X11 サーバ(VcXsrv など)が必要

もし実行後に

cannot connect to display

のようなエラーが出た場合、GUI出力がWSLで無効な状態です。その場合は対処方法を案内します。


👉 まず試しに pip3 install stable-baselines3[extra] gym を実行してもらえますか?
その後 python3 ppo_cartpole.py を再実行して、どんなエラーや挙動になるか教えてください。

python3 ppo_cartpole.py Using cpu device Traceback (most recent call last): File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/vec_env/patch_gym.py", line 40, in _patch_env import shimmy ModuleNotFoundError: No module named 'shimmy' The above exception was the direct cause of the following exception: Traceback (most recent call last): File "ppo_cartpole.py", line 8, in <module> model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/ppo/ppo.py", line 109, in __init__ super().__init__( File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/on_policy_algorithm.py", line 86, in __init__ super().__init__( File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/base_class.py", line 169, in __init__ env = self._wrap_env(env, self.verbose, monitor_wrapper) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/base_class.py", line 216, in _wrap_env env = _patch_env(env) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/vec_env/patch_gym.py", line 42, in _patch_env raise ImportError( ImportError: Missing shimmy installation. You provided an OpenAI Gym environment. Stable-Baselines3 (SB3) has transitioned to using Gymnasium internally. In order to use OpenAI Gym environments with SB3, you need to install shimmy (pip install 'shimmy>=2.0').

はい、これは Stable-Baselines3 の最近の仕様変更によるものです。

SB3 は内部的に gymnasium を使うようになったので、古い gym を使うときには変換ライブラリ shimmy が必要になります。


解決方法

エラーメッセージにもある通り、次を実行してください。

pip3 install "shimmy>=2.0"

その上で、OpenAI Gym の CartPole を使う場合は動くはずです。


代替(推奨方法)

最近は gym よりも gymnasium が推奨されているので、次のように書き換えるのも良い方法です。

インストール

pip3 install gymnasium[classic-control]

コード修正例

import gymnasium as gym
from stable_baselines3 import PPO

# 環境を gymnasium で作成
env = gym.make("CartPole-v1")

model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10000)

obs, _ = env.reset()
for _ in range(1000):
    action, _states = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, terminated, truncated, info = env.step(action)
    done = terminated or truncated
    env.render()
    if done:
        obs, _ = env.reset()

👉 まずは pip3 install "shimmy>=2.0" を実行して、再度 python3 ppo_cartpole.py を試してみるのが一番早いです。
試してみますか?

途中に、 /home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/stable_baselines3/common/vec_env/patch_gym.py:49: UserWarning: You provided an OpenAI Gym environment. We strongly recommend transitioning to Gymnasium environments. Stable-Baselines3 is automatically wrapping your environments in a compatibility layer, which could potentially cause issues. warnings.warn( Wrapping the env with a Monitor wrapper Wrapping the env in a DummyVecEnv. Traceback (most recent call last): File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/envs/classic_control/rendering.py", line 15, in <module> import pyglet ModuleNotFoundError: No module named 'pyglet' During handling of the above exception, another exception occurred: Traceback (most recent call last): File "ppo_cartpole.py", line 24, in <module> env.render() File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/core.py", line 295, in render return self.env.render(mode, **kwargs) File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/envs/classic_control/cartpole.py", line 179, in render from gym.envs.classic_control import rendering File "/home/ebata/.pyenv/versions/3.8.10/lib/python3.8/site-packages/gym/envs/classic_control/rendering.py", line 17, in <module> raise ImportError( ImportError: Cannot import pyglet. HINT: you can install pyglet directly via 'pip install pyglet'. But if you really just want to install all Gym dependencies and not have to think about it, 'pip install -e .[all]' or 'pip install gym[all]' will do it. が出てきました。

ありがとうございます。状況はこうです。

  • SB3 は gym→gymnasium へ移行中で、いまのコードは “旧gym” を使っているため、shimmy や描画用の pyglet が追加で要ります。
  • さらに WSL では GUI 描画に WSLg(Windows 11 標準)か X サーバが必要です。描画なしで学習だけなら GUI は不要です。

以下のどちらかで解決できます。


方式A(推奨): gymnasium へ移行(描画は pygame)

インストール

pip3 install "shimmy>=2.0" gymnasium[classic-control] pygame

サンプルコード(置き換え版)

# ppo_cartpole_gymnasium.py
import gymnasium as gym
from stable_baselines3 import PPO

# gymnasium は render_mode を明示
env = gym.make("CartPole-v1", render_mode="human")

model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10_000)

# 学習済みモデルで試走
obs, info = env.reset(seed=0)
for _ in range(1000):
    action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, terminated, truncated, info = env.step(action)
    env.render()  # human レンダラ(pygame)で表示
    if terminated or truncated:
        obs, info = env.reset()
env.close()

実行

python3 ppo_cartpole_gymnasium.py

※ Windows 11 + WSL2(WSLg)ならそのままウィンドウが出ます。古い WSL の場合は X サーバ(VcXsrv 等)が必要です。


方式B(現行の gym を継続利用): pyglet を入れる

インストール

pip3 install "shimmy>=2.0" "pyglet<2"

pyglet 2.x は旧 gym の classic_control と相性が悪いことが多いので 1.5.27 など 1.x 系を指定します。

いまのコードのまま再実行

python3 ppo_cartpole.py

補足(描画なしで動かしたい場合)

  • 単に学習させたいだけなら、env.render() 行を削除(またはコメントアウト)すれば、GUI なしで動作します。
  • 実行ログだけで十分なときはこの方法が最も安定です。

補足(動画として記録したい場合)

WSL で GUI を出さず、あとから動画だけ確認したい場合は gymnasium.wrappers.RecordVideo を使います(要 ffmpeg)。

sudo apt-get update && sudo apt-get install -y ffmpeg

コードでは学習終了後にラップして評価します(必要なら追記します)。


まずは「方式A(推奨)」のコマンドを実行してから、置き換えコードでお試しください。
エラーメッセージが出た場合は、その全文を貼っていただければ、そこから詰めます。

「サンプルコード(置き換え版)」の内容を、各行単位で教えて下さい

了解しました。置き換え版サンプルを 行ごと に説明します。

  1. # ppo_cartpole_gymnasium.py ― スクリプト名のコメント。
  2. import gymnasium as gym ― Gymnasium を gym という短名で読み込む。
  3. from stable_baselines3 import PPO ― SB3 から PPO アルゴリズムを読み込む。
  4. (空行)― 可読性のための区切り。
  5. # gymnasium は render_mode を明示 ― Gymnasium では描画方式を render_mode で指定する旨のメモ。
  6. env = gym.make("CartPole-v1", render_mode="human") ― CartPole 環境を生成し、GUI 描画(human)を有効化。
  7. (空行)― 可読性のための区切り。
  8. model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1) ― 多層パーセプトロン方策で PPO モデルを作成(ログ出力あり)。
  9. model.learn(total_timesteps=10_000) ― 1 万ステップ学習を実行。
  10. (空行)― 可読性のための区切り。
  11. # 学習済みモデルで試走 ― 学習後に推論で動作確認する旨のコメント。
  12. obs, info = env.reset(seed=0) ― 環境を初期化(乱数シード固定)、初期観測とメタ情報を取得。
  13. for _ in range(1000): ― 最長 1000 ステップまでエピソードを進めるループ。
  14. action, _ = model.predict(obs, deterministic=True) ― 観測から決定論的に行動を推論。
  15. obs, reward, terminated, truncated, info = env.step(action) ― 行動を環境へ適用し、次観測・報酬・終了フラグ(成功/時間切れ)等を取得。
  16. env.render() # human レンダラ(pygame)で表示 ― 現在の状態をウィンドウ描画(pygame ベース)。
  17. if terminated or truncated: ― 成功終了または打ち切り(最大ステップ到達など)を判定。
  18. obs, info = env.reset() ― エピソード終了時は環境をリセットして再開可能にする。
  19. env.close() ― 環境と描画リソースを明示的に解放。

補足:

  • render_mode="human" は GUI を出します(WSL2 + WSLg ならそのまま表示、古い WSL は X サーバが必要)。
  • 描画不要で学習だけなら 16 行目を削除(または render_mode=None で生成)。
  • terminated/truncated は Gymnasium の新 API(成功終了か時間切れ等かを分離)。

CartPole-v1 とはどういうものですか?

CartPole-v1 は、カート上の棒(倒立振子)を左右どちらかに一定の力を加えるだけでできるだけ長く直立維持する課題。強化学習の標準ベンチマークとして用いられる。

  • 観測(連続 4 次元):カート位置
    xx

     

    、カート速度

    x˙\dot{x}

     

    、ポール角度

    θ\theta

     

    、角速度

    θ˙\dot{\theta}

     

  • 行動(離散 2 値):左へ押す/右へ押す(一定大の力)
  • 報酬:1 ステップごとに +1(立っている限り累積)
  • 終了条件(terminated):
    θ>12|\theta|>12^\circ

     

    または

    x>2.4|x|>2.4

     

    (レール端超過)

  • 打ち切り(truncated):最大 500 ステップ到達(v1 の上限)
  • 目安基準:平均リターン 475 以上(100 エピソード平均)で「解けた」とみなすのが一般的
  • 物理刻み:
    Δt=0.02\Delta t=0.02

     

    秒/ステップ(典型設定)

用途はアルゴリズム比較・デバッグ・入門実験。Gymnasium では step()terminatedtruncated を分けて返すため、実装時は両方を考慮する。

CartPole-v1 以外には、どのような課題がありますか

主な強化学習ベンチマーク(SB3で扱いやすい代表例)を用途別に列挙する。

クラシック制御(軽量・入門)

  • MountainCar-v0 / MountainCarContinuous-v0:谷から山を登る(離散/連続)。
  • Acrobot-v1:二重振子を振り上げる(離散)。
  • Pendulum-v1:倒立振子の安定化(連続)。

Box2D(2D物理・中量級)

  • LunarLander-v2 / LunarLanderContinuous-v2:月面着陸(離散/連続)。
  • BipedalWalker-v3:二足歩行(連続)。
  • CarRacing-v2:自動走行(連続)。

Atari / ALE(画像入力・フレームスタックが前提)

  • ALE/Pong-v5、ALE/Breakout-v5、ALE/SpaceInvaders-v5 など(Gymnasium系ID)。
  • 旧来の PongNoFrameskip-v4 等も存在するが、新規は ALE/…-v5 を推奨。

MuJoCo(連続制御・ロコモーション)

  • HalfCheetah-v4、Hopper-v4、Walker2d-v4、Ant-v4、Humanoid-v4(連続)。

ロボティクス(Gymnasium-Robotics)

  • FetchReach-v3、FetchPush-v3、FetchSlide-v3、HandManipulate 系(連続)。

そのほかの代表的スイート

  • Minigrid:MiniGrid-Empty-8x8-v0 などのグリッド迷路(疎報酬・探索検証向け)。
  • Procgen:procgen-coinrun、procgen-caveflyer など(汎化性能評価)。
  • PyBullet:AntBulletEnv-v0、HumanoidBulletEnv-v0 等(MuJoCo代替の無料物理)。

典型的なインストール(WSL想定)

  • クラシック制御
    pip3 install gymnasium[classic-control]
    
  • Box2D
    pip3 install gymnasium[box2d]
    
  • Atari(ROM 使用許諾込み)
    pip3 install gymnasium[atari,accept-rom-license]
    
  • MuJoCo
    pip3 install mujoco gymnasium[mujoco]
    
  • Robotics
    pip3 install gymnasium-robotics
    
  • Minigrid / Procgen / PyBullet
    pip3 install minigrid procgen pybullet pybullet_envs
    

※ 画像系(Atari)や MuJoCo は計算負荷が高く、学習可視化には WSLg か X サーバが必要。描画不要なら render() を外して学習のみ実行で可。


環境ID差し替え例(PPOで共通)

env = gym.make("LunarLander-v2")         # Box2D
# env = gym.make("ALE/Pong-v5", frameskip=1, repeat_action_probability=0.0)  # Atari
# env = gym.make("HalfCheetah-v4")        # MuJoCo
# env = gym.make("MiniGrid-Empty-8x8-v0") # Minigrid(観測が辞書→Wrapperで画像化が必要)

必要に応じて、対象タスクとアルゴリズム(DQN=離散、PPO/SAC/TD3=連続)を組み合わせればよい。

これらの環境モデルはGivenで使用することが前提なものですか

 

短答:いいえ。列挙した環境は Gym/Gymnasium が提供する “汎用ベンチマーク” で、SB3はそれらを“そのまま使える”ようにしているだけです。自作の環境を定義して学習させることも前提機能として完全にサポートされています。


自作環境の最小サンプル(Gymnasium形式)

# my_env.py
import numpy as np
import gymnasium as gym
from gymnasium import spaces

class MyToyEnv(gym.Env):
    metadata = {"render_modes": ["human"], "render_fps": 30}

    def __init__(self, render_mode=None, max_steps=200):
        self.render_mode = render_mode
        self.max_steps = max_steps
        # 観測: 連続3次元ベクトル [-1,1]
        self.observation_space = spaces.Box(low=-1.0, high=1.0, shape=(3,), dtype=np.float32)
        # 行動: 2値(例: 0/1)
        self.action_space = spaces.Discrete(2)
        self.state = None
        self.steps = 0

    def reset(self, seed=None, options=None):
        super().reset(seed=seed)
        self.state = self.np_random.uniform(low=-0.1, high=0.1, size=(3,)).astype(np.float32)
        self.steps = 0
        info = {}
        return self.state, info

    def step(self, action):
        # ダミー力学:actionに応じて状態を微調整
        delta = (1 if action == 1 else -1) * 0.01
        self.state = np.clip(self.state + delta, -1.0, 1.0)

        # 目標: 原点に近づくほど良い(報酬はマイナス距離)
        reward = -float(np.linalg.norm(self.state, ord=2))

        self.steps += 1
        terminated = bool(np.linalg.norm(self.state) < 0.05)   # 目標到達
        truncated  = bool(self.steps >= self.max_steps)        # ステップ上限
        info = {}
        return self.state, reward, terminated, truncated, info

    def render(self):
        if self.render_mode == "human":
            # 必要なら可視化(printでも可)
            print(f"step={self.steps}, state={self.state}")

SB3で学習

# train_my_env.py
import gymnasium as gym
from stable_baselines3 import PPO
from my_env import MyToyEnv

env = MyToyEnv(render_mode=None)  # ヘッドレス学習
model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10_000)

# 学習後の試走(必要なら描画ON)
test_env = MyToyEnv(render_mode="human")
obs, info = test_env.reset(seed=0)
for _ in range(300):
    action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
    obs, reward, terminated, truncated, info = test_env.step(action)
    if terminated or truncated:
        obs, info = test_env.reset()
test_env.close()

自作環境の要件(SB3互換チェックリスト)

  • APIreset()(obs, info)step()(obs, reward, terminated, truncated, info) を返す(Gymnasium仕様)。
  • spacesobservation_spaceaction_spacegymnasium.spaces で定義(Box/Discrete など)。
  • 決定性reset(seed=...) を受け取り、super().reset(seed=seed) を呼ぶ。
  • 終了判定:学習成功等は terminated、時間切れ等は truncated
  • ベクトル化:高速化したい場合は SubprocVecEnv/DummyVecEnv で並列化可能(SB3がラップ)。

既存ベンチマークの位置づけ

  • 研究・検証・比較用の 標準課題(CartPole, LunarLander, MuJoCo系など)。
  • 「それを使わねばならない」制約はない。ドメイン固有のシミュレータをGymnasium APIに合わせれば、そのままSB3で学習可能。

必要であれば、貴プロジェクトの観測・行動の型(連続/離散、次元)に合わせた設計案に落とし込みます。

「自作環境の最小サンプル(Gymnasium形式)」で記載されている内容を教えて下さい

概要

「自作環境の最小サンプル(Gymnasium 形式)」は、自作の強化学習環境 MyToyEnv を定義し、Stable-Baselines3(SB3)の PPO で学習→試走する一連の最小構成です。
環境は 3 次元の連続観測・2 値行動を持つ「おもちゃ問題」で、原点に近づくほど良いという単純な報酬設計になっています。


ファイル1:my_env.py の内容

  • インポート
    numpygymnasium as gymgymnasium.spaces(観測・行動空間の型)。
  • class MyToyEnv(gym.Env)
    • metadatarender_modesrender_fps の宣言(Gymnasium の慣例)。
    • __init__(render_mode=None, max_steps=200)
      • render_mode を保存。
      • 観測空間:spaces.Box(low=-1, high=1, shape=(3,), dtype=float32)(連続3次元)。
      • 行動空間:spaces.Discrete(2)(0/1 の2値)。
      • 内部状態 self.state、ステップ数 self.steps を初期化。
    • reset(self, seed=None, options=None)
      • super().reset(seed=seed) で乱数系列の決定性を確保。
      • 初期状態を小さい乱数で生成(例:±0.1 の一様乱数)。
      • steps=0 に戻し、(obs, info) を返す(Gymnasium 仕様)。
    • step(self, action)
      • action==1 なら +0.01、action==0 なら −0.01 を全成分に加算(簡易ダイナミクス)。
      • 状態を [-1,1] にクリップ。
      • 報酬:原点からの距離のマイナス(-‖state‖₂)=原点に近いほど高報酬
      • steps += 1
      • 終了判定
        • terminated‖state‖ < 0.05(目標達成)。
        • truncatedsteps >= max_steps(上限到達)。
      • (obs, reward, terminated, truncated, info) を返す(Gymnasium 仕様)。
    • render(self)
      • render_mode=="human" のとき、print で状態を表示(コンソール出力。GUI不要)。

ポイント:Gymnasium の新APIreset→(obs, info), step→(obs, reward, terminated, truncated, info))に準拠。observation_space/action_space を正しく定義しているので SB3 でそのまま学習可能


ファイル2:train_my_env.py の内容

  • インポートgymnasium as gymstable_baselines3.PPO、自作環境 MyToyEnv
  • 学習
    env = MyToyEnv(render_mode=None)  # 学習はヘッドレス
    model = PPO("MlpPolicy", env, verbose=1)
    model.learn(total_timesteps=10_000)
    
    • MLPポリシで PPO を構築し、1万ステップ学習。
  • 試走(推論)
    test_env = MyToyEnv(render_mode="human")  # コンソール表示
    obs, info = test_env.reset(seed=0)
    for _ in range(300):
        action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
        obs, reward, terminated, truncated, info = test_env.step(action)
        if terminated or truncated:
            obs, info = test_env.reset()
    test_env.close()
    
    • 学習済みモデルで 300 ステップ走行。
    • エピソード終了時はリセット。render()print なので WSL でも追加の GUI 設定不要

実行手順(WSL / Linux)

  1. 依存のインストール
pip3 install stable-baselines3 gymnasium

(このサンプルは GUI を使わず print だけなので pygame/pyglet 不要)

  1. 上記 2 ファイルを保存(カレントに my_env.pytrain_my_env.py)。
  2. 学習・試走
python3 train_my_env.py

設計意図と拡張ポイント

  • 観測:3次元連続ベクトル(実タスクでは任意次元に変更)。
  • 行動:2 値(実タスクに合わせて Discrete(n)Box へ変更)。
  • 報酬設計:原点距離の負を採用(目的に応じて最小限の差し替えで運用可能)。
  • 終了条件:目標達成(terminated)と打切り(truncated)を分離。
  • 互換性:Gymnasium 仕様に従うことで SB3 の全アルゴリズム(PPO/A2C/SAC/TD3/DQN 等)が利用可能。

必要であれば、貴プロジェクトの観測・行動・報酬に即した雛形へ具体的に落とし込みます。

「環境は 3 次元の連続観測・2 値行動を持つ「おもちゃ問題」で、原点に近づくほど良いという単純な報酬設計になっています。」の意味が分かりかねます。内容を1フレーズでお願いします

観測は3次元連続ベクトル、行動は0/1の二択で、状態が原点(0,0,0)に近いほど報酬が高くなる最小構成のテスト用環境です。

初期値は、乱数の3次元座標として、0/1の行動で座標はどのように動くのですか?

以下の極簡潔モデルです。

  • 初期値:各成分が一様乱数
    U(0.1,0.1)U(-0.1,0.1)

     

    の3次元ベクトル。

  • 遷移:行動
    a{0,1}a\in\{0,1\}

     

    に対して

    st+1=clip(st+(2a1)×0.01[1,1,1],1,1)s_{t+1}=\operatorname{clip}\bigl(s_t + (2a-1)\times 0.01 \cdot [1,1,1],\,-1,\,1\bigr)

    すなわち a=1 なら各成分に +0.01、a=0 なら各成分に −0.01 を一律加算(範囲は

    [1,1][-1,1]

    にクリップ)。

例:

st=[0.03,0.07,0.01]s_t=[0.03,-0.07,0.01]

 


  • a=1a=1

     

    [0.04,0.06,0.02][0.04,-0.06,0.02]

     


  • a=0a=0

     

    [0.02,0.08,0.00][0.02,-0.08,0.00]

     

プログラムの概要は理解しました。学習のプロセスや試走のプロセスを見たいのですが、どのようにコードを変更すれば良いですか

了解。**学習の進み具合と試走(推論)の中身を“見える化”**するために、以下の3点を足す。

  • 学習ログ:TensorBoard(loss, value loss, policy entropy など)
  • エピソード統計:Monitor で monitor_train.csv を出力(ep_reward/ep_len)
  • 試走ログ:各ステップの t, action, state, reward, ‖state‖ を標準出力に表示

追加インストール(WSL / Linux)

pip3 install stable-baselines3 gymnasium tensorboard

(前に入れていれば再インストール不要)


完成コード(train_my_env_logging.py

※ 前回の my_env.py はそのまま使う。学習はヘッドレス、試走はテキストで逐次表示。

# train_my_env_logging.py
import os
import numpy as np
from stable_baselines3 import PPO
from stable_baselines3.common.monitor import Monitor
from stable_baselines3.common.callbacks import EvalCallback, CheckpointCallback
from my_env import MyToyEnv  # 先に同ディレクトリに my_env.py を置く

# 出力先
os.makedirs("./logs", exist_ok=True)
os.makedirs("./models/best", exist_ok=True)
os.makedirs("./models/ckpt", exist_ok=True)
os.makedirs("./tb_logs", exist_ok=True)

# === 学習用環境(エピソード統計をCSVに出力) ===
train_env = Monitor(MyToyEnv(render_mode=None), filename="./logs/monitor_train.csv")

# === 評価用環境(学習中に定期評価) ===
eval_env = MyToyEnv(render_mode=None)

# === モデル(TensorBoard 有効化) ===
model = PPO(
    "MlpPolicy",
    train_env,
    verbose=1,
    tensorboard_log="./tb_logs",  # TensorBoard 出力
)

# === コールバック(定期評価とチェックポイント保存) ===
eval_cb = EvalCallback(
    eval_env,
    best_model_save_path="./models/best",
    log_path="./logs/eval",
    eval_freq=5_000,          # 5k ステップごとに評価
    deterministic=True,
    render=False,
)
ckpt_cb = CheckpointCallback(
    save_freq=20_000,         # 20k ステップごとにモデル保存
    save_path="./models/ckpt",
    name_prefix="ppo_mitoy",
)

# === 学習(進捗バー表示) ===
total_steps = 100_000
model.learn(
    total_timesteps=total_steps,
    callback=[eval_cb, ckpt_cb],
    tb_log_name="PPO_MyToy",
    progress_bar=True,
)

# === 試走(逐次ログ出力) ===
test_env = MyToyEnv(render_mode=None)  # GUI なし
obs, info = test_env.reset(seed=42)
ep = 0
ep_return = 0.0

print("\n[Rollout] deterministic=True")
for t in range(2_000):  # 適宜変更
    action, _ = model.predict(obs, deterministic=True)
    prev = obs.copy()
    obs, reward, terminated, truncated, info = test_env.step(action)
    ep_return += reward
    # 1行ログ:時刻, 行動, 状態, 報酬, 原点距離
    print(
        f"t={t:05d}  a={int(action)}  "
        f"state=[{obs[0]:+.4f},{obs[1]:+.4f},{obs[2]:+.4f}]  "
        f"reward={reward:+.4f}  |state|={np.linalg.norm(obs):.4f}"
    )
    if terminated or truncated:
        print(f"[EP END] ep={ep}  return={ep_return:.4f}  steps={t+1}")
        obs, info = test_env.reset()
        ep += 1
        ep_return = 0.0

test_env.close()

print("\nDone. See: ./logs/monitor_train.csv, ./tb_logs, ./models/")

実行

python3 train_my_env_logging.py

見方

  1. 逐次ログ(標準出力)
    t, a, state, reward, |state| が 1 行ずつ出る。
    エピソード終了時は [EP END] ep=... return=... steps=... を表示。
  2. エピソード統計(CSV)
    ./logs/monitor_train.csv
    先頭にヘッダ行とコメントが付き、各エピソードの l(長さ), r(総報酬), t(時刻)等が記録される。

    head -n 20 ./logs/monitor_train.csv
    
  3. TensorBoard(学習曲線)
    tensorboard --logdir ./tb_logs --bind_all
    

    ブラウザで http://localhost:6006 を開く(WSL なら Windows 側ブラウザで可)。
    charts で policy_loss / value_loss / entropy / explained_variance / fps などを確認。

  4. モデル
    • ベストモデル:./models/best/best_model.zip(評価スコア最大時)
    • 定期保存:./models/ckpt/ppo_mitoy_*.zip

必要なら「試走ログをCSVにも保存」「学習と同時に評価の統計を別CSVで書き出し」「CartPoleで動画記録」なども追記可能。

Using cpu device Wrapping the env in a DummyVecEnv. Logging to ./tb_logs/PPO_MyToy_1 --------------------------------- | rollout/ | | | ep_len_mean | 146 | | ep_rew_mean | -25.4 | | time/ | | | fps | 1070 | | iterations | 1 | | time_elapsed | 1 | | total_timesteps | 2048 | --------------------------------- ----------------------------------------- | rollout/ | | | ep_len_mean | 148 | | ep_rew_mean | -31.4 | | time/ | | | fps | 759 | | iterations | 2 | | time_elapsed | 5 | | total_timesteps | 4096 | | train/ | | | approx_kl | 0.012467397 | | clip_fraction | 0.0413 | | clip_range | 0.2 | | entropy_loss | -0.686 | | explained_variance | -0.0143 | | learning_rate | 0.0003 | | loss | 0.539 | | n_updates | 10 | | policy_gradient_loss | -0.00855 | | value_loss | 3.17 | ----------------------------------------- これらのパラメータを日本語で説明して下さい

以下は SB3/PPO の学習ログ各項目の意味と、表示値の読み方。

rollout(収集データの統計)

  • ep_len_mean:直近ロールアウト内の平均エピソード長(ステップ数)。長いほど「終端条件に達しにくい」=安定化傾向。
  • ep_rew_mean:直近ロールアウト内の平均エピソード総報酬。MyToyEnv では「原点に近いほど高報酬=値が0に近づくほど良い」。負の絶対値が小さくなる方向が改善。

time(速度・進捗)

  • fps:学習処理を含む1秒あたりの環境ステップ数。高いほど高速。
  • iterations:PPO の1ロールアウト+学習サイクル回数(おおむね「1回= n_stepsぶん収集→学習」)。
  • time_elapsed:学習開始からの経過秒。
  • total_timesteps:これまでに環境から収集した累積ステップ数。

train(方策更新の統計)

  • approx_kl:旧方策と新方策の近似KL乖離。大きすぎると学習が荒れる、極端に小さいと更新が弱い。PPOでは概ね 0.01 前後が無難な目安。
  • clip_fraction:方策比がクリップ範囲を超えて「クリップ適用」されたサンプル比率。多いほど更新が強すぎる兆候。
  • clip_range:PPO のクリップ幅 ε(既定 0.2)。方策更新の逸脱をこの幅で抑制。
  • entropy_loss:エントロピー項の損失(符号の都合で通常は負値表示)。値が大きく負→方策がランダム、高速に0へ接近→方策が決定的に。
  • explained_variance:価値関数がリターン(目標値)をどれだけ説明できているか(1に近いほど良い、0~負は未学習/不適合)。
  • learning_rate:現在の学習率。
  • loss:総合損失(方策損失+価値損失+エントロピー正則化の合算)。絶対値や単体比較よりも推移を見る。
  • n_updates:これまで実行した更新回数の累計(概ね iterations × n_epochs に相当)。
  • policy_gradient_loss:方策勾配損失(通常は負方向が改善、推移で強弱を把握)。
  • value_loss:価値関数の二乗誤差。小さく安定していけば価値推定が当たっている。

今回ログ値の解釈メモ

  • 学習序盤のため explained_variance < 0value_loss が大きめ は自然。進むにつれ EV は 0→正、value_loss は低下が望ましい。
  • approx_kl ≈ 0.012clip_fraction ≈ 0.04 は、更新が過剰ではない範囲。
  • ep_rew_mean が負なのは MyToyEnv の報酬設計(原点距離の負)による。改善時は「より 0 に近づく」方向を見る。
  • ep_len_mean ≈ 146→148 は、最大 200(既定)に対し「やや延びた」状態。方策の安定化でさらに伸びる余地あり。

未分類

強化学習におけるReinforceを5行程度で説明して下さい

Reinforceは、方策勾配法の最も基本的なアルゴリズムである。
エージェントは環境との相互作用からエピソード全体の報酬を得て、その合計報酬を基準に行動確率を更新する。
具体的には「得られた報酬が大きい行動の確率を高め、報酬が小さい行動の確率を下げる」方向にパラメータを勾配上昇させる。
この方法は単純だが、分散が大きく学習が安定しにくい問題がある。
その後のアルゴリズム(Actor-Criticなど)は、この分散を抑える工夫を加えて発展している。

状態S_0 → 行動A_0 → 報酬R_0 → 状態S_1 → 行動A_1 → 報酬R_1 → .... を繰り返す  というデータがあったとする。

エピソードとは、上記の一連のデータのかたまりのこと

ふむふむ。

なるほど、収益は、その後の行動に影響するが、遠い未来は、rで減衰させる、ということだな。

深層学習の関数とは何ですか。簡単に説明して下さい。簡単な例題があればお願いします

深層学習における「関数」とは、入力を受け取り、出力を返す仕組みを数式で表したものを指す。
ニューラルネットワーク全体は「複雑な関数」であり、各層で「単純な関数(線形変換+非線形変換)」を重ねていくことで成り立っている。
例えば1つの層では、入力ベクトル

xx

に対して重み

WW

とバイアス

bb

を使い、

 

f(x)=σ(Wx+b)f(x) = \sigma(Wx + b)

 

という関数を定義する。ここで

σ\sigma

は活性化関数(例:ReLUやシグモイド)である。


簡単な例題

入力

x=2x = 2

、重み

w=3w = 3

、バイアス

b=1b = 1

、活性化関数をReLU(負の値を0にする関数)とすると、

 

f(x)=ReLU(wx+b)=ReLU(3×2+1)=ReLU(7)=7f(x) = \text{ReLU}(wx + b) = \text{ReLU}(3 \times 2 + 1) = \text{ReLU}(7) = 7

 

となる。
このように、深層学習は「多数の関数を組み合わせて、大きな入力(画像や音声など)から目的の出力(分類ラベルなど)を計算する仕組み」と考えられる。


もっと具体的な関数の種類(例えばシグモイド関数やソフトマックス関数)についても例を見たいですか?

シグモイド関数やソフトマックス関数の例を見たいです

了解しました。代表的な「シグモイド関数」と「ソフトマックス関数」を、簡単な数値例で説明します。


1. シグモイド関数 (Sigmoid)

式:

 

σ(x)=11+ex\sigma(x) = \frac{1}{1 + e^{-x}}

 

入力を 0〜1の範囲に圧縮する関数。確率っぽい値を出すためによく使われる。


  • x=0x = 0

     

    のとき:

 

σ(0)=11+e0=12=0.5\sigma(0) = \frac{1}{1+e^0} = \frac{1}{2} = 0.5

 


  • x=2x = 2

     

    のとき:

 

σ(2)11+e20.88\sigma(2) \approx \frac{1}{1+e^{-2}} \approx 0.88

 


  • x=2x = -2

     

    のとき:

 

σ(2)0.12\sigma(-2) \approx 0.12

 


2. ソフトマックス関数 (Softmax)

式(複数入力

z1,z2,...,znz_1, z_2, ..., z_n

に対して):

 

Softmax(zi)=ezij=1nezj\text{Softmax}(z_i) = \frac{e^{z_i}}{\sum_{j=1}^{n} e^{z_j}}

 

複数の値を 確率分布(合計1になる) に変換する関数。分類問題の出力層でよく使われる。

入力が

[2,1,0][2, 1, 0]

の場合:


  • e2=7.39,e1=2.72,e0=1e^2 = 7.39, \; e^1 = 2.72, \; e^0 = 1

     

  • 合計 =
    7.39+2.72+1=11.117.39 + 2.72 + 1 = 11.11

     

  • Softmaxの出力は:

 

[7.39/11.11,2.72/11.11,1/11.11][0.67,0.24,0.09][\, 7.39/11.11, \; 2.72/11.11, \; 1/11.11 \,] \approx [0.67, \; 0.24, \; 0.09]

 

つまり、入力

[2,1,0][2,1,0]

を確率分布に変換すると「クラス1が67%の確率で正しい」といった形になる。

Reinforceは、離散時刻tのデータがあるものに用いられる、という理解で良いですか?

はい、その理解でおおむね正しいです。

補足説明

Reinforceは方策勾配法 (policy gradient) の一種で、離散的な「時刻

tt

」ごとにエージェントが行動を選び、環境から報酬を受け取る状況を前提にしています。つまり、

  • 状態
    sts_t

     

    を観測

  • 方策
    π(atst)\pi(a_t|s_t)

     

    に従って行動

    ata_t

     

    を選択

  • 報酬
    rtr_t

     

    を得て次の状態に遷移
    という「離散時刻ステップ」で進行する枠組みに適用されます。

例えば「迷路探索」や「強化学習の標準タスク(CartPoleなど)」は、すべて1ステップずつ行動→報酬→次状態、という離散的な流れであり、Reinforceはそのデータを使って方策の更新を行います。


逆に「連続時間」での学習や制御にも拡張は可能ですが、その場合は一度離散化して扱うのが一般的です。

 

図に出てくる記号は、強化学習でよく使われる基本的な要素を表しています。


π(パイ)

方策(policy)のこと。
状態

sts_t

を見て、どの行動

ata_t

をとるかを決める確率分布。
Reinforceでは、この

π(as)\pi(a|s)

のパラメータを勾配法で更新する。


V(バリュー)

価値関数(state value function)。
ある状態

ss

からスタートしたときに、将来得られる報酬の期待値。
式で書くと:

 

Vπ(s)=E[t=0γtrts0=s,π]V^\pi(s) = \mathbb{E}\Big[ \sum_{t=0}^\infty \gamma^t r_t \,\big|\, s_0=s, \pi \Big]

 


Q(キュー)

行動価値関数(action value function)。
状態

ss

で行動

aa

を選んだ場合に、将来得られる報酬の期待値。
式で書くと:

 

Qπ(s,a)=E[t=0γtrts0=s,a0=a,π]Q^\pi(s,a) = \mathbb{E}\Big[ \sum_{t=0}^\infty \gamma^t r_t \,\big|\, s_0=s, a_0=a, \pi \Big]

 


p(ピー)

環境の遷移確率。
「状態

ss

で行動

aa

を取ったら、次に状態

ss'

に遷移する確率」を表す。
式で書くと:

 

p(ss,a)p(s'|s,a)

 


r(アール)

報酬(reward)。
行動を取った直後に得られるスカラー値。
学習の目的は、これをできるだけ大きく積み上げるように方策

π\pi

を改善すること。


要するに、


  • π\pi

     

    :エージェントが「どう動くか」を決める確率分布


  • V,QV, Q

     

    :その動きが「どれだけ得か」を数値化するもの


  • p,rp, r

     

    :環境側のルール(遷移と報酬)
    という役割分担になっています。


VとQの違いを教えて下さい。

良い質問です。VとQはどちらも「将来の報酬の期待値」を表しますが、見る単位が違うのがポイントです。


V(価値関数, Value Function)

  • 状態の価値」を表す
  • 状態
    ss

     

    にいるとき、方策

    π\pi

     

    に従って行動した場合に得られる将来報酬の期待値

  • 数式:

 

Vπ(s)=E[t=0γtrts0=s,π]V^\pi(s) = \mathbb{E}\Big[\sum_{t=0}^{\infty}\gamma^t r_t \,\big|\, s_0 = s, \pi \Big]

 

  • 例:迷路で「スタート地点にいるとき、この後うまく進んでゴールできそうか?」を評価

Q(行動価値関数, Action Value Function)

  • 状態+行動の価値」を表す
  • 状態
    ss

     

    で特定の行動

    aa

     

    を選んだとき、方策

    π\pi

     

    に従って進んだ場合に得られる将来報酬の期待値

  • 数式:

 

Qπ(s,a)=E[t=0γtrts0=s,a0=a,π]Q^\pi(s,a) = \mathbb{E}\Big[\sum_{t=0}^{\infty}\gamma^t r_t \,\big|\, s_0 = s, a_0 = a, \pi \Big]

 

  • 例:迷路で「スタート地点から右に進んだ場合に、最終的にゴールできそうか?」を評価

違いを直感で言うと

  • Vは「この場所そのものがどれくらい良いか」
  • Qは「この場所でこの行動を取ったらどれくらい良いか」

もしご希望なら、この違いを「簡単な迷路の図」を使って具体的に数値例で示すこともできますが、やってみますか?

お願いします。

 

この図は、3×3の簡単な迷路での 状態価値 V(s) の例です。

  • ゴール(G)に近づくほど
    V(s)V(s)

     

    の値が高くなっています。

  • スタート(S=左上)の
    V(s)=0.2V(s)=0.2

     

    は、「ここから方策通り進めば、まあまあ報酬が得られるだろう」という期待値。


一方で、行動価値 Q(s,a) は「状態+行動」の評価です。
例えばスタート地点 S での Q 値は次のように設定しました:

  • 右に進む →
    Q(s,a)=0.4Q(s,a)=0.4

     

    (少しゴールに近づく)

  • 下に進む →
    Q(s,a)=0.4Q(s,a)=0.4

     

    (同じくゴールに近づく)

  • 左に進む →
    Q(s,a)=0.0Q(s,a)=0.0

     

    (壁で意味なし)

  • 上に進む →
    Q(s,a)=0.0Q(s,a)=0.0

     

    (壁で意味なし)


まとめると:

  • V(s) = その場所にいる「価値」
  • Q(s,a) = その場所で「特定の行動をとった場合の価値」

という違いになります。


ご希望なら、この例を「数式の形(VとQの関係式)」に落とし込んで整理することもできますが、続けますか?

続けて下さい

では、先ほどの迷路例を使って、数式でVとQの関係を整理します。


1. Q関数の定義

行動価値関数

Qπ(s,a)Q^\pi(s,a)

は、状態

ss

で行動

aa

を選んだときの将来報酬の期待値です。

 

Qπ(s,a)=E[r(s,a)+γVπ(s)s,a]Q^\pi(s,a) = \mathbb{E}\Big[ r(s,a) + \gamma V^\pi(s') \,\big|\, s, a \Big]

 


  • r(s,a)r(s,a)

     

    :行動した直後の報酬


  • γ\gamma

     

    :割引率


  • ss'

     

    :次の状態


2. V関数とQ関数の関係

状態価値関数

Vπ(s)V^\pi(s)

は、その状態にいるとき、方策

π\pi

に従って行動したときの期待値です。

 

Vπ(s)=Eaπ(s)[Qπ(s,a)]V^\pi(s) = \mathbb{E}_{a \sim \pi(\cdot|s)} \big[ Q^\pi(s,a) \big]

 

つまり、

  • VはQの期待値
  • 方策に従って「どの行動をどのくらいの確率で取るか」を平均したものがV

3. 迷路のスタート地点の例

スタート地点 S における Q 値を思い出します:


  • Q(S,)=0.4Q(S,右) = 0.4

     


  • Q(S,)=0.4Q(S,下) = 0.4

     


  • Q(S,)=0.0Q(S,左) = 0.0

     


  • Q(S,)=0.0Q(S,上) = 0.0

     

もし「右と下を半々の確率で選ぶ」方策なら:

 

V(S)=0.5×Q(S,)+0.5×Q(S,)=0.5×0.4+0.5×0.4=0.4V(S) = 0.5 \times Q(S,右) + 0.5 \times Q(S,下) = 0.5 \times 0.4 + 0.5 \times 0.4 = 0.4

 

このように、VはQの加重平均として計算できます。


まとめ

  • Qは「行動レベルの価値」
  • Vは「行動を選ぶ方策を平均した状態レベルの価値」
  • 数式で両者は明確に結びついており、VはQの期待値になっている

ここまでで「VとQの違い」と「数式でのつながり」を説明しました。

REINFORCEとは、方策購買定理もどきをデータの平均値をつかって行えるもの、と、とりあえず理解。

 

「Actor-CriticでVとQがどう使われるか」に踏み込んで下さい。

承知しました。ここからは Actor-Critic 法 における V と Q の役割を整理して説明します。


1. Actor-Critic とは何か

  • Actor(方策担当):方策
    π(as)\pi(a|s)

     

    を学習する。つまり「どう動くか」を決める役。

  • Critic(批評担当):状態や行動の「価値」を推定する。Actor の行動が良いか悪いかを評価する役。

Reinforce単独では「得られた報酬だけ」を使って更新するため分散が大きいが、Criticを導入することで安定性が向上する。


2. Critic が使うもの:VかQか

Criticは大きく分けて2種類あります。

(A) State-value critic(V関数を使う)

  • Critic は
    V(s)V(s)

     

    を推定する。

  • Actor の更新には「アドバンテージ(advantage)」を使う:

 

A(s,a)=Q(s,a)V(s)A(s,a) = Q(s,a) - V(s)

 

これにより「平均より良い行動かどうか」を基準に学習できる。

(B) Action-value critic(Q関数を使う)

  • Critic が直接
    Q(s,a)Q(s,a)

     

    を学習する。

  • Actor は「Q値の高い行動をより選びやすくなるように」方策を更新する。

3. 更新の仕組み(簡略化)

Actor のパラメータ

θ\theta

を更新するとき、Reinforceでは:

 

θθ+αθlogπθ(as)Gt\theta \leftarrow \theta + \alpha \nabla_\theta \log \pi_\theta(a|s) \cdot G_t

 

(ここで

GtG_t

は将来報酬の合計)

Actor-Critic では Critic の推定を組み込んで:

 

θθ+αθlogπθ(as)(r+γV(s)V(s))\theta \leftarrow \theta + \alpha \nabla_\theta \log \pi_\theta(a|s) \cdot \big(r + \gamma V(s') - V(s)\big)

 

この

(r+γV(s)V(s))(r + \gamma V(s') - V(s))

TD誤差(Temporal Difference Error) で、実際の報酬と価値予測のずれを表す。


4. 直感的イメージ

  • Actor:「じゃあ右に進んでみよう」
  • Critic:「その結果の報酬とVを比べると予測よりちょっと良かったから、右を選ぶ確率を上げた方がいいね」

これを繰り返すことで、

  • Critic は環境を正しく評価できるようになり、
  • Actor は評価を参考により良い行動を選べるようになる。

5. まとめ

  • Actor-Critic は Reinforceの改良版
  • Critic が V または Q を学習し、Actor の更新に「評価基準」として使う
  • この仕組みにより、Reinforceの「分散が大きくて不安定」という弱点を補う

上記の図を使った例でActor-Criticを説明できませんか?

良い視点です。では、先ほどの 3×3迷路(スタートS・ゴールG) の図を使って、Actor-Critic がどう働くかを例で説明します。


1. 迷路の状況

  • スタート地点:S(左上)
  • ゴール:G(右下、報酬=+1)
  • Actor(方策):上下左右に動く確率を持っている
  • Critic(価値関数):各マスの「価値
    V(s)V(s)

     

    」を予測している


2. スタート時点での行動選択

スタートS(状態)にいるとき、Actorは確率的に行動を選ぶ:

  • 右に行く確率 0.25
  • 下に行く確率 0.25
  • 左/上に行く確率 0.25ずつ

このとき、Criticは「Sの価値は0.2」と予測しているとします(前回の図より)。


3. 実際に行動 → 報酬観測

例えば「右へ移動」した場合、

  • 即時報酬
    r=0r = 0

     

    ゴールではないので0

  • 次の状態S
    (0,1)(0,1)

     

    、Criticの予測値は

    V(0,1)=0.4V(0,1)=0.4

     


4. Criticによる評価(TD誤差)

Criticは「予測と実際の差」を計算します:

 

δ=r+γV(s)V(s)\delta = r + \gamma V(s') - V(s)

 

ここで

γ=0.9\gamma=0.9

とすると、

 

δ=0+0.9×0.40.2=0.16\delta = 0 + 0.9 \times 0.4 - 0.2 = 0.16

 

→ 予測より「ちょっと良かった」と判断。


5. 更新の流れ

  • Criticの更新
    「Sの価値予測を上方修正した方がよい」と学習する。
  • Actorの更新
    「右に行く行動は予測より良かったので、その確率を上げるように」学習する。

6. 繰り返しの結果

この流れを何度も繰り返すことで:

  • Criticは「各マスの価値」を正しく近似できるようになる
  • Actorは「ゴールに近づく行動の確率」を徐々に高める
  • 最終的に「スタートから右か下に進み、効率的にゴールする方策」が得られる

まとめ

  • 図の
    V(s)V(s)

     

    は Critic が推定する「状態価値」

  • Q や TD誤差は「行動が平均より良かったか」を判断する材料
  • Actor はこの評価をもとに「良い行動を強化、悪い行動を抑制」する

もしご希望なら、この迷路をシミュレーションして、実際にActorの行動確率がどう変化するか をコードでお見せできますが、見てみますか?

未分類

■迷路問題 : S(Start)から出発して、G(Goal)に至る迷路(?)
■お願いした事項: Go言語で作成をお願いします。

■プログラムで何をやっているか。

(1)このプログラムは、3×3迷路を環境として、Actor-Critic法によりゴール到達方策を学習する強化学習の実装です。
(2)Actor(θ)はsoftmaxを通じて行動確率を出力し、Critic(V)はTD誤差を計算してActor更新を助けます。
(3)学習後はθのみを用いて、スタートからゴールまでの行動列をシミュレーションできます。

評価値は、ゴールに到着した時以外、一切与えていません。

出てきたコードの各行の内容を全部質問して、コードの中に全部書き込みました。

時間はかかりましたが、ようやく分かってきました。

G:\home\ebata\actorcritic_maze3x3.go

package main

import (
	"fmt"
	"log"
	"math"
	"math/rand"
	"time"
)

type State struct{ r, c int }

const (
	rows, cols = 3, 3
	gamma      = 0.90 // 割引率
	alphaA     = 0.10 // Actor学習率
	alphaC     = 0.10 // Critic学習率
	episodes   = 4000 // 学習エピソード数
	maxSteps   = 50   // 1エピソード最大ステップ
	/*
		1. エピソード (episode) とは
		スタート地点からゴール or 強制終了まで の一連の試行を「1エピソード」と呼びます。
		このプログラムでは、S(0,0) から始めて、ゴール(G)に到着するか、maxSteps に達するまでが1エピソードです。
		episodes = 4000 は、この「試行」を4000回繰り返して学習を積み重ねる、という意味です。

		2. ステップ (step) とは
		エージェントが「行動を1回選んで、次状態に遷移し、報酬を得る」流れを1ステップと呼びます。
		maxSteps = 50 は、1エピソードの上限です。
		例えば、ゴールにたどり着けなかったとしても「50ステップ経ったら強制終了」して次のエピソードに移る、という仕組みです。
	*/

)

var (
	start = State{0, 0}
	goal  = State{2, 2}
	// 行動: 0=↑, 1=→, 2=↓, 3=←
	dirs = []State{{-1, 0}, {0, 1}, {1, 0}, {0, -1}}
)

// 迷路外・壁チェック(今回は外枠のみ)
func valid(s State) bool {
	return 0 <= s.r && s.r < rows && 0 <= s.c && s.c < cols
}

func step(s State, a int) (next State, r float64, done bool) {
	next = State{s.r + dirs[a].r, s.c + dirs[a].c}
	if !valid(next) {
		// 迷路外は元の場所にとどまる(報酬0)
		next = s
	}
	if next == goal {
		return next, 1.0, true // ゴール報酬
	}
	return next, 0.0, false
}

// ソフトマックス。数値安定化のため最大値を引く
func softmax(x []float64) []float64 {
	maxv := x[0]
	for _, v := range x {
		if v > maxv {
			maxv = v
		}
	}
	exp := make([]float64, len(x))
	var sum float64
	for i, v := range x {
		e := math.Exp(v - maxv)
		exp[i] = e
		sum += e
	}
	for i := range exp {
		exp[i] /= sum
	}
	return exp
}

// π(a|s) に従ってサンプル
func sample(probs []float64, rng *rand.Rand) int {
	u := rng.Float64()
	acc := 0.0
	for i, p := range probs {
		acc += p
		if u <= acc {
			return i
		}
	}
	return len(probs) - 1
}

func key(s State) int { return s.r*cols + s.c } // cols=3  keyはGivenか?

func main() {
	rng := rand.New(rand.NewSource(time.Now().UnixNano()))

	// Critic: V(s)
	V := make([]float64, rows*cols)

	// Actor: θ(s,a)(各状態で4行動のスコア)
	theta := make([][4]float64, rows*cols)

	// 学習ループ
	for ep := 0; ep < episodes; ep++ { // エピソード4000
		s := start
		for t := 0; t < maxSteps; t++ { // maxSteps=50
			if s == goal {
				break
			}

			// 方策 π(a|s) = softmax(θ(s,*))
			k := key(s) // 状態S = (r,c)を k= r x cols + c で1次元に変換したもの

			scores := theta[k][:]
			/*
				theta は 「各状態ごとの4つの行動に対応するスコア(パラメータ)」 を保持する配列です。
				例えば状態が全部で9個(3×3迷路)なら、theta は [9][4]float64 型になります。
				1次元目 = 状態インデックス k
				2次元目 = 行動(↑→↓←の4つ)

				scores := theta[k][:] の意味
				theta[k] は、状態 k に対応する 4つの行動スコア(配列 [4]float64)です。
				[:] を付けることで、それを スライス([]float64) として取り出しています。

				つまり、(↑→↓←の4つ)の行動スコアを取ってくる処理です。

			*/

			pi := softmax(scores)
			/*
				ここが Actor-Critic の Actor が「方策 π」を計算する部分 です。
				状態 s(インデックス k)における 行動スコア(4つ) が入っています。
				例:scores = [0.5, -0.2, 1.0, 0.0]

				2. softmax(scores) の処理
				ソフトマックス関数は、入力ベクトルを 確率分布 に変換します。これにより、行動スコアを「各行動を選ぶ確率」に変換できます。

				もし

				scores = [0.5, -0.2, 1.0, 0.0]
				pi := softmax(scores)

				とすると:
				exp(0.5) =1.65
				exp(-0.2)=0.82
				exp(1.0)=2.72
				exp(0.0)=1.00
				合計 = 1.65 + 0.82 + 2.72 + 1.00 = 6.19

				したがって確率は:
				π[0] = 1.65/6.19 = 0.27
				π[1] = 0.82/6.19 = 0.13
				π[2] = 2.72/6.19 = 0.44
				π[3] = 1.00/6.19 = 0.16
				となり、pi = [0.27, 0.13, 0.44, 0.16] となります。

				つまり、この状態で「下(3番目の行動)」を選ぶ確率が一番高い という方策が得られる。
			*/

			// 行動サンプル
			a := sample(pi, rng) // 「Actor が方策 π(a|s) に従って行動を選ぶ」処理
			/*
				もし pi = [0.1, 0.7, 0.2, 0.0] なら、
				10%の確率で行動0(↑)
				70%の確率で行動1(→)
				20%の確率で行動2(↓)
				0%の確率で行動3(←)
				が選ばれることになります。
			*/

			// 遷移
			s2, r, done := step(s, a)
			/*
				報酬 r は、環境に組み込まれた「設計者が定めたルール」によって与えられる数値です。
				- ある行動をしたときに「良いこと」が起きれば正の報酬
				- 「悪いこと」が起きれば負の報酬
				- 何も特別なことがなければ0
				報酬の設計は、人間(研究者・エンジニア)がタスクに合わせて 「何を良しとするか」 を決めているのです。

				今回のプログラムでは、ゴール以外はすべて報酬0 に設計されています。

				- ゴールに到着するまでは報酬が一切なく、ゴール時にだけ+1をもらえる
				- これは「スパース報酬(Sparse Reward)」と呼ばれる典型的な強化学習の難しい設定です
				- エージェントは「長い間0ばかりの報酬」を経験し、たまたまゴールに着けたときだけ「報酬1」を得る → そこから学習が始まる

				ちなみに、以下のような報酬にすることも可能です。
				- ゴールに近づいたら +0.1
				- 壁にぶつかったら -0.1
				- ゴールで +1
			*/

			// TD誤差 δ = r + γ V(s') - V(s)
			delta := r + gamma*V[key(s2)] - V[k]
			/*
				Q: 行動前後の状態関数値に、報酬値(行動関数値)を混在させているように見えますが、この理解で正しいですか

				まさに 「行動前後の状態価値に、報酬を加えた誤差(TD誤差)」 を計算しています。
				ご指摘の「混在させているように見える」というのは正しい理解です。

				V(s):行動前の状態の予測価値
				r:その行動で得られた報酬(行動の良し悪しを直接反映)
				γ V(s'):次の状態の予測価値(将来の報酬を考慮)

				なぜ混在させるのか→これは Temporal Difference (TD) 学習 の基本です。
				- 強化学習は「報酬だけ」では学習が進まない(スパース報酬だと特に)。
				- そこで「次状態の価値」を推定値として使い、学習を効率化する。
				- 結果として「報酬(直接的な経験)」と「状態価値(推定値)」が混在する形になります。

				直感的なイメージ
				- 今の予測V(s) は「この場所は0.2くらいの価値」と言っている
				- でも実際に行動したら「報酬r=0」+「次の状態の価値0.4×割引0.9 = 0.36」が得られた
				- すると「実際の方が良かった → 予測との差 δ=+0.16」
				- この δ を Actor と Critic の両方の更新に使う

				まとめ
				- ご指摘の通り、報酬 r(行動の直接的な結果)と状態価値 V(将来の見込み)を混ぜている
				- これは意図的で、「行動直後の経験」と「将来の予測」を組み合わせるのがTD学習の肝
				- この差分 δ が、学習の駆動力(Criticの改善、Actorの方策更新)になります
			*/

			// Critic更新
			V[k] += alphaC * delta // 	alphaC = 0.10   Critic学習率  Vは、状態価値関数を2次元で記載せずに、1次元にして管理している(プログラムを簡単にするため))
			/*
				Givenであった状態評価関数値に手を加える
			*/

			// Actor更新:∇θ log π(a|s) = onehot(a) - π
			for i := 0; i < 4; i++ {
				grad := -pi[i] // softmaxで作成された確率分布pi
				if i == a {    // aは4つの行動サンプルの中の1つ
					grad = 1.0 - pi[i]
				}
				theta[k][i] += alphaA * delta * grad // 	alphaA = 0.10 Actor学習率
			}
			/*
				Q: これは、行動評価関数を更新しているのだと思いますが、scoreの値(softmaxの前)と、piの値(softmaxの後)の値が混在して、混乱しています。

				ここで「行動スコア(softmax前)」と「行動確率分布 π(softmax後)」が混ざって見えるのは自然な感覚です。実際には役割が違います。まずそこを分けて整理します。

				1. 行動スコア(softmax前)
				theta[k][i] がその正体です。
				- これは 状態 s における各行動 a の「生の値(ロジット)」。
				- まだ確率ではありません。
				- 学習により増減して「相対的にどの行動が良いか」を表現する材料になります。

				例: theta[k] = [0.1, 0.9, -0.2, 0.0] この段階ではただの4つの数。

				2. 行動確率分布 π(softmax後)
				- pi := softmax(scores) で計算されるもの。
				- scores は theta[k][:] から取り出した 行動スコア。
				- softmaxを通すことで 確率分布(和=1) になる。
				- 実際に「次の行動をサンプルする」時に使われるのはこちら。
				- 上の例にsoftmaxを適用すると:	π=[0.23,0.52,0.11,0.14]
				- つまり、Actorの「行動方策 π(a|s)」になります。

				3. 混乱しやすいポイント
				- 更新するのは スコア(theta)
				- その更新量の計算に 確率(pi) が出てくる
				- この「スコアを確率に変換して行動を選び、その確率を使ってスコアを更新する」という循環構造が混乱の原因です。

				4. 整理すると
				- スコア(theta[k][i]) … 内部パラメータ、学習で直接更新される
				- 確率(pi[i]) … スコアをsoftmaxで正規化したもの、行動選択と勾配計算に使う
				- 更新式の中で「theta を更新するが、その更新量を決めるのに pi が出てくる」ので、同じループに両方の値が登場しているだけ、ということです。

				5. 「なぜ grad = onehot(a) - pi という形になるのかの説明をお願いします
				はい、ここは方策勾配法の核心のひとつです。
				grad = onehot(a) - pi がどこから出てくるのかを順を追って説明します。

				1. 方策勾配法の基本式

				Actorは「方策 π(a|s)」をパラメータ θ で表しています。
				更新式の基本は次です:
				∇θ​logπθ​(a∣s)
				この勾配に TD誤差 δ を掛けて 𝜃 を更新します。

				方策を softmax で定義しているので:
				π(a|s) = exp(θ(s,a)) / Σ exp(θ(s,a'))
				となります。これを用いると、勾配は次のように書けます:
				∇θ​logπθ​(a∣s) = ∇θ​(θ(s,a) - logΣ exp(θ(s,a')))
				= ∇​θ(s,a) - ∇θ​logΣ exp(θ(s,a'))
				= 1 - π(a|s)

				対数を取ると:
				log π(a|s) = θ(s,a) - log Σ exp(θ(s,a'))

				4. 勾配を計算
				この式を θ で微分すると:
				∇θ​logπθ​(a∣s) = ∇θ​(θ(s,a) - logΣ exp(θ(s,a')))
				= ∇​θ(s,a) - ∇θ​logΣ exp(θ(s,a'))
				= 1 - π(a|s)

				もし 𝑖 ≠ 𝑎 なら:(選ばれなかった行動)なら:
				∇θ​logπθ​(i∣s) = ∇θ​(θ(s,i) - logΣ exp(θ(s,a')))
				= ∇​θ(s,i) - ∇θ​logΣ exp(θ(s,a'))
				= 0 - π(i|s)
				= -π(i|s)

				上記をベクトル形式で書けば:
				∇θ​logπθ​(a∣s) = 1 - π(a|s)
				∇θ​logπθ​(i∣s) = -π(i|s)
				となり、コードの内容と一致します。

				grad = onehot(a) - pi は、softmax方策の勾配
				∇θ logπ(a∣s) を計算した結果そのもの

				これを使うことで、
				選んだ行動のスコアは強化され(確率↑)、
				選ばなかった行動のスコアは抑制される(確率↓)

				つまり、行動スコアを、行動スコアの確率値を乗算して、更新しつづけている、と理解すれば良いです。

			*/

			s = s2
			if done {
				break
			}
		}
	}

	// 学習結果の表示
	fmt.Println("学習後の方策 π(a|s)(↑,→,↓,← の順で確率を表示)")
	for r := 0; r < rows; r++ {
		for c := 0; c < cols; c++ {
			k := key(State{r, c})
			pi := softmax(theta[k][:])
			// 見やすいように丸め
			fmt.Printf("s=(%d,%d): [", r, c)
			for i, p := range pi {
				fmt.Printf("%.2f", p)
				if i < len(pi)-1 {
					fmt.Print(", ")
				}
			}
			fmt.Println("]")
		}
	}

	// 簡易検証:スタートから1エピソード実行
	fmt.Println("\nスタートから1回走らせた行動列(期待的には→や↓が増える)")
	trace := simulateOnce(start, theta)
	fmt.Println(trace)
}

func simulateOnce(s State, theta [][4]float64) []string {
	if len(theta) != rows*cols {
		log.Fatal("theta size mismatch")
	}
	actName := []string{"↑", "→", "↓", "←"}
	var seq []string
	for steps := 0; steps < maxSteps; steps++ {
		if s == goal {
			seq = append(seq, "G")
			break
		}
		pi := softmax(theta[key(s)][:])
		/*
			状態 s に対応する 行動スコア(theta) を取り出して softmax にかける。
			その結果、確率分布 π(a|s) を得る。
		*/

		a := argmax(pi)
		/*
			π の中で最も確率が高い行動を選択。
			学習の検証用なので「確率的サンプル」ではなく「最大確率行動(貪欲行動)」を選んでいます。
			つまり「学習済み方策がいま一番推している行動」を採用。

			(注)
			ここでは 学習済みの Actor(θ) だけを使って行動を選ぶ。
			Critic(V) は行動選択に登場しない。
		*/

		seq = append(seq, actName[a])
		/*
			actName は []string{"↑", "→", "↓", "←"} です。
			a は 0〜3 の整数(選んだ行動インデックス)。
			なので actName[a] は「その行動の記号(↑→↓←)」になります。
			append によって、シーケンス seq にその行動を追加していきます。
		*/

		ns, _, _ := step(s, a)
		s = ns
		/*
			step() は (次状態, 報酬, 終了フラグ) を返す関数です。
			ここでは戻り値のうち 次状態だけを ns に受け取り、報酬と終了フラグは _ で捨てています。
		*/

	}
	return seq
}

func argmax(x []float64) int {
	idx := 0
	best := x[0]
	for i := 1; i < len(x); i++ {
		if x[i] > best {
			best = x[i]
			idx = i
		}
	}
	return idx
}

出力結果:

学習後の方策 π(a|s)(↑,→,↓,← の順で確率を表示)
s=(0,0): [0.02, 0.73, 0.24, 0.02]
s=(0,1): [0.01, 0.04, 0.94, 0.01]
s=(0,2): [0.06, 0.06, 0.85, 0.04]
s=(1,0): [0.01, 0.94, 0.03, 0.02]
s=(1,1): [0.00, 0.95, 0.04, 0.01]
s=(1,2): [0.00, 0.01, 0.99, 0.00]
s=(2,0): [0.12, 0.65, 0.12, 0.11]
s=(2,1): [0.03, 0.91, 0.04, 0.02]
s=(2,2): [0.25, 0.25, 0.25, 0.25]
スタートから1回走らせた行動列(期待的には→や↓が増える)
[→ ↓ → ↓ G]
状態価値関数値の初期値は、今回はザックリGivenで与えられていましたが、ここは、実データの平均値とかを使う方法が一般的らしいです。

 

2025,江端さんの忘備録

3年前に、今の大学院の博士課程に入学願書を出す時に添付する為、当時、京都で過ごしていた時の修士学位と、専門職学位授与証明書を、それぞれ取り寄せる必要がありました。
Three years ago, when I submitted my application for the doctoral program I am currently enrolled in, I needed to obtain both my master’s degree certificate and my professional degree certificate from the time I was living in Kyoto.

Webサイトで申し込んだのですが、運転免許証を添付したら、さくっと郵送で送ってもらいました。
I applied through the university’s website, and after attaching a copy of my driver’s license, they promptly mailed the certificates to me.

もし、「そんなものはない」とか応答されたら、真っ青になって、新幹線に飛び乗って、京都に向かっていただろうなぁ、と ーー そんなことをボンヤリ考えていました。
Had they responded, “We don’t issue such certificates,” I would have turned pale and immediately jumped on a Shinkansen bound for Kyoto, which was the kind of idle thought that crossed my mind.


公職選挙法に、学歴の記載が必須なのかを調べてみたのですが、「必要ない」ということが分かりました。
I looked into whether the Public Offices Election Act requires an academic background to be listed, and I found that it is not mandatory.

以下は、候補者経歴申告書(経歴申告書)の例です
Below is an example of the Candidate’s Career Statement (経歴申告書).

=====

候補者経歴申告書
Candidate Career Statement

選挙の種類 :____________________
Type of Election: ____________________

候補者氏名 :____________________
Candidate Name: ____________________

ふりがな  :____________________
Furigana (phonetic reading): ____________________

生年月日  :__年__月__日 (年齢__歳)
Date of Birth: ____ / ____ / ____ (Age: ___ years)

現住所   :____________________
Current Address: ____________________

職業    :____________________
Occupation: ____________________

【経歴】
(例:学歴、職歴、所属団体、資格などを候補者が任意で記載)
[Career] (Example: Education, employment history, affiliations, qualifications, listed at the candidate’s discretion)
昭和◯年◯月 ◯◯小学校卒業
Showa __, Graduated from __ Elementary School
昭和◯年◯月 ◯◯中学校卒業
Showa __, Graduated from __ Junior High School
昭和◯年◯月 ◯◯高等学校卒業
Showa __, Graduated from __ High School
昭和◯年◯月 ◯◯大学◯◯学部卒業
Showa __, Graduated from __ University, Faculty of __
平成◯年◯月 株式会社◯◯入社
Heisei __, Joined ___ Corporation
令和◯年◯月 ◯◯市議会議員当選(1期)
Reiwa __, Elected as City Councilor (1st term)
令和◯年◯月 現在に至る
Reiwa __, Serving to present

【備考】
(自由記載欄:信条、趣味、家族構成などを記載する場合あり)
[Remarks] (Optional entry: personal creed, hobbies, family composition, etc.)

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提出日 :令和  年  月  日
Submission Date: Reiwa __ / __ / __
候補者署名:__________
Candidate Signature: ____________________

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■学歴・職歴などは必須ではなく任意です。記載しないことも可能です。
Education and employment history are optional; they may be omitted.

■記載内容は候補者本人の自己申告に基づきます。虚偽を記載した場合、公職選挙法第235条の「虚偽事項の公表罪」に問われる可能性があります。
The entries are based on the candidate’s self-declaration. False entries may fall under Article 235 of the Public Offices Election Act (Crime of False Statement).

■実際には、この内容が「選挙公報」に転載され、有権者に配布されます。
In practice, this information is reprinted in the official election bulletin and distributed to voters.

我が国においては、"卒業"より"入学"に価値が見い出される傾向があるように思います。
In Japan, it seems that more value is often placed on “admission” rather than “graduation.”

ただ、私個人としては、大学在学中に"ラクだった"という時期を思い出すことができないので、私にとっては"卒業"には価値があります。でも、そうでもない人がいてもいいと思うんです。
However, for me personally, I cannot recall any period during my university years that felt “easy,” so I find value in graduation. But I think it is fine if others see it differently.

経歴申告書の学歴・職歴に、『XX大学入学』とだけ書いておけば、それは、それで良いのではないでしょうか。試験に合格して入学したことは、私は、十分に価値があると思うのです。
If one writes “Admitted to XX University” in the career statement, that should be acceptable. Passing the exam and being admitted, in my view, has sufficient value.


伊東市の市長の「学籍詐称問題」で、市が負担した金額をChatGPTにフェルミ推定して貰いました。
I asked ChatGPT to make a Fermi estimate of the cost incurred by Ito City in the mayor’s “academic record falsification” case.

結論から言うと、
(1)伊東市が今回の「学籍詐称問題」で直接負担した額は概ね 4~6百万円 規模。
(2)もし再選挙・リコール等が発生した場合、2~3千万円規模の追加が見込まれる
ということのようです。
In conclusion:
(1) The direct cost borne by Ito City for this issue is estimated at 4 to 6 million yen.
(2) If a re-election or recall were to occur, an additional 20 to 30 million yen would likely be required.

多分、これからも政治家の学歴詐称問題は出てくると思います。だって、これ以前にも、この手の問題、山ほどありましたから。
I suspect that similar cases of politicians falsifying academic backgrounds will continue to surface after all, there have already been plenty in the past.

この手の「学歴」に関して、場合によっては数百万~数千万円規模の公費が投じられる、というバカバカしさを回避する簡単な方法があります。
There is, however, a simple way to avoid the absurdity of spending millions to tens of millions of yen of public funds over such “academic” issues.

「学歴」に関してだけは、在学証明書(入学年月日が記載される)、学位証明書、専門職学位授与証明書の添付を必須とする、とすれば良いのです。
For academic history alone, it should be mandatory to attach an enrollment certificate (showing the date of admission), a degree certificate, or a professional degree certificate.

法律改正のような大掛かりなことはせずとも、選挙管理委員会で、そのような運用にすれば良い ーー と思ったのですが、調べてみたところ、この方法は、現行制度上は、選管の運用では不可であり、法改正や政令改正が必要となるようです。
I initially thought the election commission could implement such a measure without a major legal revision. However, upon checking, it turns out that this is not possible under the current system and would require an amendment to the law or a government ordinance.

もっとも、法改正をしたとしても、在学証明書、学位証明書、専門職学位授与証明書の偽造もありえますが、こうなると、もう、公職選挙法ではなく、刑法上の犯罪に該当します。
Even if the law were amended, forged enrollment certificates, degree certificates, or professional degree certificates could still occur. However, in that case, the matter would fall under not the election law but the criminal law.

刑法第155条(公文書偽造等)、刑法第159条(私文書偽造等)、刑法第161条(偽造文書行使罪)に該当し、こうした犯罪の立件・訴追は、刑事訴訟法に基づいて警察・検察が捜査を行い、公判にかけられることになります。
This would fall under Article 155 of the Penal Code (Forgery of Official Documents), Article 159 (Forgery of Private Documents), and Article 161 (Use of Forged Documents). The prosecution of such crimes would be carried out through an investigation by the police and prosecutors under the Code of Criminal Procedure, leading to a trial.


ともあれ、数百万円から数千万円の税金を費やすよりも、数百円の証明書を添付させた方が、よほど安上がりで健全です。
In any case, requiring candidates to attach certificates costing only a few hundred yen is far cheaper and healthier than spending millions to tens of millions of yen in public funds.

政治家の下らない「学歴問題」に毎度付き合わされる納税者の身にもなってほしいものです。
Politicians should remember the burden on taxpayers who are repeatedly dragged into these pointless “academic background controversies.”

===== 付録 ChatGPTが算出したフェルミ推定の結果 ======

了解です。いま公表情報から**“ざっくりの桁”を出すフェルミ推定**をします(2025年8月30日現在)。

前提(事実ベース)

  • 学歴詐称疑惑で伊東市議会が百条委員会(調査特別委)を設置。8/6が第5回、8/13が第6回会合の報道あり。8/29に故意の学歴詐称を認定し、刑事告発を決定。 (アットエス, TBS NEWS DIG, テレ朝NEWS, 毎日新聞)
  • 別自治体の公開資料では、百条委の運営経費(会議録作成、顧問弁護士費、相談料ほか)が年70万~170万円程度の例。顧問料は年33~65万円、弁護士来庁相談は1回2万円などの内訳が確認できる。 (葛城市公式サイト, 岸和田市公式ウェブサイト)
  • 伊東市の2025年度 当初予算に「各種選挙執行経費 7,143万6千円(参院選・伊東市長選・区議会選を含む)」の記載あり。再選挙が起きれば、この規模感が追加で一部再発生する可能性。 (伊東市)

推定の分解と計算(市が“実費として負担”した/しそうなもの)

※「観光客減少等による間接損失」は含めません(市の直接支出ではないため)。

  1. 会議録作成委託
  • 仮定:会合7回(6回+取りまとめ回)× 1回あたり20万円
  • 根拠:他自治体の年総額(18~55万円)を踏まえつつ、証人喚問や長時間審査を想定してやや厚めに設定。
    約140万円。 (葛城市公式サイト)
  1. 法律相談・顧問弁護士
  • 仮定:顧問料50万円/年相当+来庁相談 10回×2万円=20万円
    約70万円。 (葛城市公式サイト)
  1. 証人への費用弁償・郵送・雑費
  • 仮定:委員会期中の実費等で10万円(他自治体例は数万~十数万円規模)。
    約10万円。 (葛城市公式サイト)
  1. 職員の人件費(時間当たりコスト)
  • 仮定:委員会運営・資料作成・傍聴/警備等で
    10人×4時間×7回=280時間
    人件費の“総コスト”を**@5,000円/時**で概算
    約140万円。(一般的な事務職の人件費・諸経費込みの概算)
  1. 記者会見・広報対応等の追加工数
  • 仮定:会見2回(7/7・7/31)+取材・電話対応等の追加延べ180時間×@5,000円
    約90万円。 (朝日新聞)

小計(現時点まで)

    1. 140万
    1. 70万
    1. 10万
    1. 140万
    1. 90万
      = 約450万円4~6百万円の範囲が妥当)

結論(現時点のフェルミ推定)
伊東市が今回の「学籍詐称問題」で直接負担した額は概ね 4~6百万円 規模。

将来シナリオ(もし再選挙・リコール等が発生した場合)

  • 市長選を単独で再実施する事態になれば、投開票所運営・開票、ポスター掲示板、選挙公営負担等で、数千万円規模が追加発生。
  • 伊東市の2025年度予算では複数選挙合計で約7,100万円計上。仮に同規模作業を1選挙分に按分すると2~3千万円前後市の追加負担目安。実際には国の委託/補助や同時執行の有無で上下します。 (伊東市)

まとめ

  • 現在までの直接コスト(委員会運営・法務・人件費中心):約450万円(4~6百万円)
  • 再選挙などが起きた場合2~3千万円規模追加が見込み。

必要なら、百条委の開催回数・議会事務局の支出科目が決算に出たタイミングで、上の仮定を実数で差し替える再計算もできます。

===== 付録 ChatGPTが算出したフェルミ推定の結果 ここまで ======

2025,江端さんの忘備録

私は、『英語(の特に会話教育)は子ども(幼少期)の頃にやらなければならない』という説に、これまで一貫して異議を唱えてきた人間です。
I have consistently opposed the idea that “English, especially conversational English, must be taught to children during early childhood.”

この説は、英語教材を販売する側の戦略だと思っています。
I believe this notion is merely a strategy devised by those who sell English-learning materials.

つまり、バレンタインにおける製菓会社のチョコレート販促戦略、またはハロウィンにおける菓子会社の消費拡大戦略と同じである、ということです。
In other words, it is no different from the chocolate promotion strategy of confectionery companies during Valentine’s Day, or the sales expansion strategy of candy companies during Halloween.


私の場合、「海外(米国赴任)を命じられた時の、あの”死に物狂い”の英会話履修」がありました。
In my case, there was that period of desperate English conversation training when I was assigned to work in the United States.

厚木の米軍家族の居留地に、(そういう手続きをあっせんしてくれるエージェントの英会話教室の手配で)毎週夫婦で訪問して勉強させて頂いた日々があります。
Every week, my spouse and I visited the U.S. military family housing area in Atsugi, where we attended English classes arranged by an agency specializing in such programs.

あの必死の日々で、とにかく夫婦で米国で生きていける最低限の会話力を獲得しました。
Through those desperate days, we somehow managed to acquire the minimal conversational ability needed to survive in the U.S. as a couple.


最近は、大学院の講義と国際学会の発表の日々です。
These days, my life revolves around graduate school lectures and presentations at international conferences.

(1)講義は全部英語です。国際留学生と一緒に講義を受けますので。
(1) All lectures are conducted in English, as I attend them together with international students.

(2)ゼミの全体発表も国際留学生の発表パートは当然英語で、質疑応答も英語で応じなくてはなりませんでした。
(2) In seminar presentations, the international students’ sessions were, of course, in English, and I had to handle the questions and answers in English as well.

(3)国際学会の発表も質疑応答も英語。オフィシャルランゲージが英語なので仕方ありません。
(3) At international conferences, both the presentations and Q&A sessions are in English, since the official language is English—there is no way around it.

というか、事前に上記(1)(2)を知っていたら、多分、大学院への入学など絶対に考えなかったと思います。
If I had known beforehand about (1) and (2), I probably would never have considered enrolling in graduate school.

私、いま、年齢としてはリタイア直前ですが、「人生で一番英語が使えている」という実感があります。
Now, nearing retirement age, I feel that I am using English more than at any other time in my life.

同時に、こういう環境を失うことで、再び、英会話力が劣化していく、という確信もあります。
At the same time, I am convinced that once I lose this environment, my English conversation skills will inevitably deteriorate again.

という訳で、現時点での私は、『英語(の特に会話教育)は子ども(幼少期)の頃にやらなければならない』という説に対して、今なおネガティブなのです。
For that reason, even now I remain negative toward the claim that “English conversation must be taught during early childhood.”

私にとっての英語とは、年齢に関係なく、『泣きごとを言いながら(というか、実際に泣きながら)、その場を凌ぐために、ゼーゼー言いながら、なんとかやり続けるもの』でした。
For me, regardless of age, English has always been something I continue to struggle through—complaining, sometimes literally crying, panting, and just barely managing to get by.


子どもの英語教材の内容を理解しないまま、保護者が迷わずお金を払えることが、私にはとても不思議です。
I find it truly puzzling that parents can so readily pay for their children’s English materials without even understanding their content.

子どもの英語教材はまるで経典、月謝はお布施、講師は布教者のように「効果は必ずある」と繰り返します。
Children’s English textbooks are like sacred scriptures, tuition fees are like offerings, and instructors are like preachers, repeatedly declaring, “The effects are guaranteed.”

「信者(=保護者)が救われる」という保証はどこにもなく、あるのは「次の教材を買わねばならない」という、終わりのない献金サイクルにしか見えずーー
There is no guarantee that the “believers” (i.e., the parents) will be saved; all I see is an endless donation cycle where they are told, “You must buy the next教材.”

私には、“カルト宗教”との違いが、どうしても見えてこないのです。
To me, it is impossible to see any real difference from a cult religion.

『AIとスマホがあれば、外国語はいらない』という仮説があります。

2025,江端さんの忘備録

資料(特に英語の)の内容を理解する為に、ChatGPTを使う場面があると思います。
I think there are situations where one uses ChatGPT to understand the content of documents (especially those written in English).

私、大学での他の学生(海外留学生)の発表では、この方法では足りず、こういう使い方をしています。
In the case of other students’ (international students’) presentations at the university, this method alone was not enough, so I used ChatGPT in the following way.

まず、ChatGPTに資料(全部ではなく、研究の背景と動機とリサーチギャップと結論だけ)を読んで貰って、
First, I let ChatGPT read parts of the material (not all of it, just the background, motivation, research gap, and conclusion).

―― あなた(ChatGPT)なら、この発表に対して、発表者にどんな質問をしますか?
— Then I ask: “If you were in the audience, ChatGPT, what kinds of questions would you ask the presenter about this presentation?”

と問いかけることです。
That is the question I pose.

すると、ChatGPTが、その情報から質問を作り出します。
Then, ChatGPT generates questions based on that information.

で、その質問を読むことで、その発表の内容が理解する、というやりかたです。
By reading those questions, I can grasp the content of the presentation.


これは、ネットに質問する時に、「××について教えて下さい」と記載すると、返事が貰えないことがあっても、
This is similar to when you ask a question on the internet: if you write “Please tell me about XX,” you may not get any replies,

「××とは、◯◯のことである(明らかな誤答)」と記載すると、批判的なコメントとともに、回答を貰うことができる、というやり方を、発展(?)させたもの、と思っています。
But if you write, “XX is YY (an obviously wrong statement),” then you get critical comments along with proper answers. I think my method is kind of an “evolved (?)” version of that.

"発展版"といっているのは、ChatGPTの疑問点を辿って、発表資料を読みなおすと、発表全体の内容が浮び上がってくるからです。
I call it an “advanced version” because, by following the questions raised by ChatGPT and re-reading the presentation materials, the overall content of the presentation becomes clearer.

このやり方、私には、滅茶苦茶に相性がよかったです。お勧め致します。特に英語発表については、有効だったようです。
This approach worked extremely well for me. I highly recommend it—especially for understanding English presentations, as it proved very effective.


私が在学していた、国際留学生の皆さんのプレゼンテーション資料は、正直申し上げて「なっていない」と思うことは多かったです。
To be honest, many of the presentation materials by international students when I was studying seemed rather “unacceptable” to me.

■字が小さい。フレーズを全文転記している。(これ、ウチの会社でやったら、(文明的に)殴られます)
■ The font is too small. They copy full sentences onto slides. (If you did this at my company, you’d get beaten—figuratively, in a civilized way.)

■図を書かない。図を英文で説明して力付くで突破しようとしている。(これ、ウチの会社でやったら、(以下省略))
■ They don’t use diagrams. Instead, they try to push through by explaining everything in English text. (If you did this at my company… well, you can imagine.)

■結論の記載がない(以下省略)。
■ No conclusion written (same story).

などです。
Those were typical issues.

あと「長い」もあるのですが、これは、私も他人を批判できません(7分間の発表に45ページの資料を作成したりしています。
Another issue is that presentations are “too long,” but I can’t criticize others too much—after all, I once made 45 slides for a 7-minute talk myself.

まあ、これは、企業に入ってから叩き込まれるテクニカルライティングの一態様ですので、仕方がないとも思いますが。
Well, this is part of the technical writing discipline drilled into you once you join a company, so perhaps it can’t be helped.


留学生の発表資料を見て、『字が小さい、図がない、結論がない』と嘆いていますが、よく考えたら自分のWordPressコラムも『字が多い、図がない、結論が迷子』です。
Looking at the international students’ presentation slides, I lamented, “Small text, no diagrams, no conclusion.” But when I think about it, my own WordPress columns suffer from “Too much text, no diagrams, conclusions lost.”

人の振り見て我が振り直せ・・・直せていないな。
See others’ faults and correct your own… except I haven’t corrected mine.

―― お前は、この場で、一体、誰に対して、何を分かって貰おうとしているんだ?