2024,江端さんの忘備録

昔から、私は、心配性で損をしているような気がします。

I have always felt that I am losing money by worrying.

私は、『出たとこ勝負』という発想ができません。

I cannot think of 'leaving a matter to chance.'

考えうる可能性を全て準備して、なお、心配をします。

Prepare for every conceivable possibility and still worry.

それらの心配の殆どは、杞憂に終わるですが、たまに、酷い失敗で終わる、ということもあります。

Most of these fears are unfounded, but occasionally, they end in terrible failure.

心配性というのが、「生命に組み込まれたメカニズム」ということは知っています。

We know that worry is a “mechanism built into life.

乳児が、ささいな音や環境の変化で、泣き叫ぶのは、そういう乳児でなければ、生き残ってこれなかったから ―― 過剰な警告を発することができなかった乳児は、簡単に獣に食い殺されて、淘汰されてきたから ―― からです。

Infants cry out at the slightest sound or change in their environment because only such infants can survive -- infants who could not issue excessive warnings were easily devoured by beasts and culled.

「心配性」というのは、「小心者」と置き換えても良いかもしれません。

The word “worrier” might be replaced with “petulant.”

小心者は、心配で心配で毎日が生き辛い、という負の側面があるのですが、逆に、それ故に、でかい失敗を回避して生きていける、という正の側面もあります。

The negative side of being a small person is that it is hard to live each day because of worry, but on the other hand, the positive side is that it allows you to avoid making big mistakes and live your life.

ですから、必ずしも「小心者が100%損をしている」という訳ではないとは思います。

So, I don't think it necessarily means that the “petulant” loses 100% of his money.

ただ、(A)小心者が心配して失敗を回避するコストと、(B)豪胆者が心配しないで失敗に直面するコスト、どちらが安いかを考えると ―― (B)の方がコスト安のような気がするのです。

However, when I think about which is cheaper -- (a) the cost of avoiding failure by worrying about the petulant or (b) the cost of facing failure without worrying about the bold guy -- I think that (b) is the cheaper cost.

多くの人が、コラムやら評論やらで、同じようなことを言っています。

Many people have said the same thing in their columns and critiques.

■ささいなことを気にするな

- Don't worry about the little things

■生きているだけで丸儲け

- You're making a fortune just by being alive

■人生の半分は失敗で作られている

- Half of life is made up of failures

などなど。

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私は、そろそろ「小心者の性格を治療する医薬」が出てきても良いとは思うんですけどね。

I think it's about time there was a “pharmaceutical treatment for the petulant personality.”

安定剤、睡眠薬、そして、煙草やアルコールは、その一助にはなっているのでしょうが ―― これらの手段はデメリットも大きい。

Stabilizers, sleeping pills, and even cigarettes and alcohol may help -- but these measures also have significant disadvantages.

私は、DNAレベルで性格を改造するような薬や技術が欲しいのです(かなり危険な薬になりそうですが)。

I want some drug or technology that would modify personality at the DNA level (which would be pretty dangerous).

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ところが、この心配性で小心者の私が、スピーチとかプレゼンを行うことについては、全く、大丈夫なのですよ。

However, as an anxious and irritable person, I am OK with giving speeches and presentations.

デタラメ英語のプレゼンでも、ほとんどプレシャーを感じたことは、ありません(失敗は多いですが)。

I have never felt pressured to give a presentation, even in bullshit English (although I have made many mistakes).

他の人の、スピーチやプレゼンに対する怖がり方を見ていると、不思議に思えます。

It seems strange to see other people's fear of speeches and presentations.

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で、ちょっと考えてみたのですが、私が怖いものは、

So, I've been thinking a bit about what I'm afraid of,

(1)自分の思うように動かない、自作のプログラム/システム

(1) Programs/systems that I create and don't work how I want them to.

(2)自分が作り、かつ、他のところで予想通りに動かないプログラム/システム

(2) Programs/systems that don't work as expected elsewhere.

であることが多いようです。

It seems to be often the case that it is.

責任の所在(自分の責任)が明確であり、かつ、他人に迷惑をかけている、というものが、私は「恐しく怖い」ようです。

I seem to be “fearfully afraid” of things that are both clear about where the responsibility lies (my responsibility) and are causing trouble for others.

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この文章を書いている最中に、『ああ、これは自分を写す鏡だ』と気がつきました。

As I was writing this sentence, I realized, 'Oh, this is a mirror of myself.

私は、おそらく『他人の仕事の失敗を許せない』性格なのだろうと思います。

I probably have a 'can't tolerate failure in other people's work' personality.

で、それが反射して跳ね返ってきて完成したものが、この心配性で小心者の自分、という訳です。

And then it reflects and bounces back, and the finished product is this worried and petulant self.

そういえば、私、他人のプレゼンとかスピーチを、真面目に聞いたことありません。

Come to think of it, I have never listened to other people's presentations or speeches seriously.

正直、「どーでもいい」と思っています(長いスピーチする奴は"死ね"と思っていますが)。

Frankly, I don't care (although I think anyone who gives a long speech should “die”).

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とは言え、私は、私の性格を変えられそうになりません。

However, I am not going to be able to change my personality.

私は、死ぬまで色々なことに心配をし続けて、その最大の心配は「自分の死と直面する病気や事故」の時に、最大規模で発生すると考えられます。

I will continue to worry about many things until I die, and the most significant worry will occur on an enormous scale during “illness or accident in the face of my death.”

今、そう考えるだけで、すでに、心配で、憂鬱です。

Just thinking about it now is already worrisome and depressing.

もし、生れ変ることがあるなら、今度は、この心配性パラメータを、現在の"0.3"くらいの係数にして欲しい、と願うばかりです。

If I am ever born again, I can only hope that this time, the worry parameter will be a multiple of the current “0.3” or so.

2024,江端さんの忘備録

私が、学生のころ、1年間だけ、軟弱なクライマーをやっていたという話をしました。

I told you that when I was a student, I was a weak climber just for a year.

―― あなたの息子は、冬山どころか、夏の北アルプスの1週間の縦走くらいで簡単に根を上げる、軟弱者でしたよ

その後も、私はずっと登山とは無縁の生活をしてきました。

After that, I continued living without a connection to mountain climbing.

米国赴任中に、ヨセミテ国立公園の壁を登っている点(人)を見た時、本当にビックリしました。

I was shocked to see a point (person) climbing the wall of Yosemite National Park while working in the United States.

この壁は、エル・キャピタン(El Capitan) と呼ばれる花崗岩の一枚岩です。約910メートルの高さを誇り、世界中のクライマーにとって挑戦の象徴的存在だそうです。

This wall is a single granite rock called El Capitan. It is about 910 meters high and is said to be a symbol of a challenge for climbers worldwide.

YouTubeで、この壁(の、くぼみ)でキャンプをする人の映像を見ました。世の中には、もの凄い人がいるもんだなぁ、と、驚きました。

I saw a video on YouTube of people camping on this wall (hollow). I was surprised at how amazing some people in the world are.

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私は、普通の登山でも根を上げるような根性なしですので、ロッククライミングなどは、雲の上の話なのです。

I'm not the type who can climb mountains, so rock climbing is way above my head.

それでも、こういうロッククライミングや、8000メートル級の登山をする人を、「羨(うらやま)しい」とは思います。

Even so, I think people who rock climb or climb mountains of 8000 meters or more are “envious.”

そこから見える風景は、多分「違う」のです。

The scenery they see from there is probably “different.”

そこからは、「非日常的な何かが見える」ということだけは、知っています。

From there, I know that they can see something extraordinary.

私に、『神はいる』ことを確信させ、そして『やつら(神々)は、人間なんぞに目もくれていない』という宗教観を獲得させたのは、アーチーズ国立公園の"アーチ"と地平線まで広がる風景でした。

It was the “arches” of Arches National Park and the landscape that stretched out to the horizon that convinced me that there was a god and gave me a religious perspective that said, “those gods (gods) don't care about humans.”

こういう、問答無用の力づくの『宗教観』は、超非日常的な環境でないと獲得できないのだろうと思います。

This forceful “religious view” that does not allow questions or answers can only be acquired in a highly extraordinary environment.

まあ、ともあれ、私は『人間なんぞに目もくれない神』という宗教観を獲得して、その辺のカルトの戯言を蹴ちらしています ―― ちなみに、私は、『私の神』を『布教』する予定はありませんが。

Well, anyway, I have acquired a religious view of “a god who pays no attention to humans,” and I am kicking around the nonsense of the cults around me - by the way, I have no plans to proselytize my god.

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たしか、「ライトスタッフ」という名前の本だったと思うのですが、宇宙空間に滞在した人の多くが、宗教的啓示を受けて地上に戻ってくる、という話を聞いたことがあります。

I think it was a book called “Light Staff,” but I've heard that many people who have stayed in space have received religious revelations when they return to Earth.

なんとなく、この感じ、分かります ―― 地球を客体として観測するという非日常は、人間を変えてしまうと思うのです。

I understand this feeling somehow - I think that the extraordinary experience of observing the Earth as an object changes people.

それが宗教観に結びつく、というのは、至極当然という気がします。

Naturally, this would lead to a religious outlook.

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ただ、不思議なことに、私、宇宙空間には憧れないんですよね。

But strangely enough, I don't have any longing for outer space.

『宇宙兄弟』は面白かったけど、宇宙飛行士になろうという気持ちにはなりませんでした。

"Space Brothers" was exciting but didn't make me want to become an astronaut.

私は、『宇宙船内で、絶対に酔って(宇宙酔い)、吐く』という確信があり、そして、嫌にはっても、宇宙から地上に簡単に戻ってこれない、と考えるだけで、嫌だなぁ、という気持ちになってしまうのです。

I am convinced that I will get sick (space sickness) and vomit on the spaceship, and just thinking that I won't be able to return to Earth from space quickly makes me feel sick.

あと、宇宙飛行士になるためは、膨大な勉強と訓練、コミュニケーション能力とかが必要で、国家とか予算とかの「ヒモ」がついて回り、そして、驚異的な「狭き門」が、どうにも好きになれません。

Also, to become an astronaut, you need to do a tremendous amount of studying and training, have good communication skills, and have the backing of your country and its budget. I can't help but dislike the incredibly narrow path that lies ahead.

特に、『人から選ばれなければ、宇宙に行けない』という点が、凄く嫌です。

I wouldn't say I like the fact that I can't go to space unless someone chooses me.

ロッククライミングも登山も、非日常であることは同じなのですが、「人から選ばれない」という点がいいです。

Both rock climbing and mountain climbing are extraordinary, but I like that someone doesn't choose me.

努力しだいで、やろうと思えばやれる ―― 形式的には、ですけどね。

If I put in the effort, I can do it if I want to - at least in theory.

これだって、訓練と才能と運がなければ、できません ―― 山では人間は簡単に死にます。

Even this can't be done without training, talent, and luck. People die quickly in the mountains.

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ともあれ、ロッククライミングや、8000メートル級の登山を試みることができる人を、「羨(うらやま)しい」とは思いますが ―― 私は、「羨しい」だけでいいです。

Anyway, I think it's “envy” to be able to try rock climbing or climbing mountains of 8000 meters, but I'm OK with just being “envy.”

未分類

今日は会社を休みにしました ―― もう疲労困憊でダメ。

で、悪魔のPCに対して、様々なインストールを思う存分施しています。

―― このノートPCは悪魔なのか?

昨日の学会発表の終了までは、怖くて手を出せませんでしたが ―― 終ってしまえば、今のお前(PC)なんぞ壊しても構わん。

さあ、私の技能の限り考えられる限りの改造を施してやる ―― 今回の学会発表での、恨みを思い知るがいい。

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で、部屋の中のあらん限りの変換コネクタを探した結果、すでに「失敗していた証拠」が見つかりました。

Amazonで購入しようとしたら『すでに購入済み』と言われて、探してみたら自分で『Lenovoでは稼動しない』とちゃんと警告書いていました。

 

その他、ドライバの入れ変えなど、様々なことを試みましたが、なにしろ、私の部屋には「私の言うことを素直にきくディスプレイ」しかありません。

学会会場のプロジェクタへの、『執拗なまでの嫌われ方』(北海道大学のプロジェクタで全滅、岡山大学のプロジェクタでほぼ全滅)のようなことは発生しませんので、検証のしようがありません。

で、今、iPad対応できるようにして、『学会事務局にはPCを使っているように見せる方向』で検討しています。

パソコンでHDML接続に失敗し、やむなくiPadのパワポでプレゼンしなければならなくなった時の対応

もう私は、NotePCを購入したくないのです ―― これ以上、ガジェット増やしてたまるか。

2024,江端さんの技術メモ

前提

  • iPad用HDMI変換ポートを購入(純正は高いが、iPhoneでネトフリ見る時など重宝しているので、純正の購入をお勧めします)
  • PowerPointのレビュー専用のアプリをインストールしておくこと(レビュー専用ならタダ)
  • 資料はmail経由などを使ってiPadにダウンロードしておく

手順

Step 1 "ファイルのフォルダを開く"

Step 2 ファイルを開く

Step 3 ここをクリックする

Step 4 こういう画面が出てくる(場合によっては、プレゼンテーション画面そのものが出てくることもある)

Step 5 ディスプレイ/プロジェクタの方にプレゼンテーションモードで表示される(といいな)

Step 5 "Step 4"の画面を操作すると、画面が変わる(ちなみに、画面の左下の方を叩くとページが前に戻り、右下の方を叩くとページが次に動く

2024,江端さんの忘備録

「チ。-地球の運動について」は創作物です。

“Chi: About the Movement of the Earth” is a work of fiction.

そのため、すべてが歴史的事実でないことは当然ですが、この本に衝撃を受けた人はかなり多いのではないでしょうか。

As a result, it is only natural that not all the facts are historical, but I think the books impact quite a few people.

現在、アニメ化されてNHKで放映されていますが、素晴しい完成度だと思います。

It has been made into an anime and is currently being broadcast on NHK, and I think it is of a very high standard

次女は、大絶賛していますし、私はすでに絶賛のレベルを越えて、「チ」は、私の中で、一つの哲学と完成しています。

My second daughter is raving about this work, and I have already gone beyond the level of raving, and “Chi” has become a philosophy and a complete work for me.

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私は、以前、「旧統一教会の理解の仕方」として、この地動説のパラダイムを用いたコラムを書きました。

I have written a column in the past using this geocentric paradigm to understand the former Unification Church.

これ

This diary is, and

『地動説を理解できないお前たちは、みんな、サタンだ!』

と、

これ

This column is. 

イラスト

(↑クリックするとコラムに飛びます)

(Click to go to the column)

です。

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私は、カルト教団としても旧統一教会も、毒ガステロを実施した旧オウム真理教も、過去も今許していませんし、未来も許すことはないでしょう。

I have never forgiven the Aum Shinrikyo cult, the former Unification Church, or the former Aum Shinrikyo, which carried out the sarin gas attack in the past, and I will never forgive them in the future.

それは、やつらが「霊感商法」をやり「毒ガス散布」を行ったからです。

This is because they engaged in “spiritual sales fraud” and “distributed poison gas.”

しかし、私は、これまで一度もその「教義」そのものを攻撃したことはありません。

However, I have never attacked the “doctrine” itself.

教義の中身については、かなりバカにしてきましたとは思いますし、ロジックでコテンパにしてきたという実績もありますが ―― 『信仰はロジックではない』ということくらいは弁(わきま)えているつもりです。

I think I've made fun of the content of religious doctrine quite a bit, and I've also had a track record of defeating people with logic, but I think I understand that 'faith is not logic.'

とはいえ、「聖書は絶対」という主張に対し、歴史的には「聖書は少年ジャンプの編集作業と同程度の産物」とも言える事実を知っています(皆さんも世界史で学んだと思います)。

That being said, in response to the claim that the Bible is absolute, we know that historically, it can be said that the Bible is a product on a par with the editorial work of Shonen Jump (I think you all learned this in world history).

新約聖書の編集会議は、少年ジャンプの新連載マンガを決定する、または連載打ち切りを決定する会議と、基本的に同じだったのです。

閑話休題

Leaving that aside,

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日本においては、地動説は争いのない定説として受け入れられています。

In Japan, the heliocentric theory is accepted as an undisputed established theory.

運動方程式、ケプラーの楕円方程式、万有引力係数(さらに正確にはアインシュタインの一般相対性理論 (1915年))を知らなくても、地動説が、同一の物理式で説明可能であり、(原則として)無矛盾であることを、私たち日本人は受け入れているからです。

This is because we Japanese accept the fact that the Copernican theory can be explained using the same physical equations and is (in principle) consistent, even if we don't know the equations of motion, Kepler's elliptic equations, or the gravitational constant (or, more accurately, Einstein's general theory of relativity (1915)).

で、私、かなり、悪意的なことを考えています。

So, I'm thinking something pretty malicious.

―― アニメ「チ。-地球の運動について」を、アメリカ合衆国で放送したら、何が起こるだろうか

"What would happen if the anime “Chi: About the Movement of the Earth” was broadcast in the United States?"

2014年のアメリカ科学振興協会(AAAS)の報告によれば、アメリカ人の約4人に1人が地球が太陽の周りを公転していることを知らないとされています(*)。

According to a 2014 report by the American Association for the Advancement of Science (AAAS), around one in four Americans are unaware that the Earth orbits the sun(*).

(*)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E5%8B%95%E8%AA%AC

進化論に関する調査では、アメリカ人の成人のうち45%が「今から1万年ほど前に神が人類を創造した」と信じており、科学的な進化論を受け入れている人は少数派であることが示されています(*)。

Surveys on the theory of evolution show that 45% of American adults believe that God created humans around 10,000 years ago and that only a minority accept the scientific theory of evolution (*).

(*)https://wedge.ismedia.jp/articles/-/23070?page=2

米国といえば、科学技術の先端国であり、月面着陸やGPS衛星の実用化を成し遂げた国です。ビッグバン説をCosmic Background Explorer(宇宙背景放射探査機)で完璧に証明してみせたNASAもあります。

The United States is a country at the forefront of science and technology, and it is the country that achieved the landing on the moon and the practical application of GPS satellites. There is also NASA, which has perfectly proven the Big Bang theory with the Cosmic Background Explorer.

「カーナビを使いながら地動説を知らない/信じない」という人が一定数いる、不思議な国です。

It is a strange country where some people “do not know or believe in the heliocentric theory” while using a car navigation system.

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この国に、アニメ「チ。-地球の運動について」を放り込んだら、何が起こるか?

What would happen if you threw the anime “Chi: About the Movement of the Earth” into this country?

このアニメ一つで、あの日米貿易摩擦(1960-1994)と同程度の紛争に発展したら ―― それはそれで面白い。

If this anime alone were to develop into a dispute on the same scale as the Japan-US trade friction (1960-1994) - that would be interesting.

そういう、底意地の悪い思惑を持っている人間が、ここに一人います。

There is one person here with such a malicious motive.

2024,江端さんの忘備録

今回の学会では、次女から譲り受けたPCに発表用資料を入れ、持ち込んだのですが、HDMI接続に不具合が発生し、えらい目にあいました。

At this academic conference, I brought the presentation materials on the PC I received from my second daughter. Still, I had a terrible time because of a problem with the HDMI connection.

HDMIインターフェースが完全に壊れているのであれば諦めもつくのですが、10回中2回ほど、プロジェクタへの投影に失敗するのです。

If the HDMI interface were completely broken, I would give up, but it fails to project onto the projector about two out of ten times.

私は前日、会場でこのテストを10回ほど行い、さらに2日目の開始前に3回、昼休憩中に3回動作確認をしたにもかかわらず、発表直前に映像が映らなくなりました。

I had run through the test about ten times at the venue the day before, and even though I had also checked it three times before the start of the second day and three more times during the lunch break, the video stopped working just before the presentation.

―― このノートPCは悪魔なのか?

"Is this laptop a demon?"

と思わざるを得ませんでした。直前まで問題なく動作しておきながら、本番で確実に失敗する。これを悪魔の所業と言わずして何と言うのでしょう。

I couldn't help but think that. It worked fine until the last minute, but it definitely failed in the actual performance. What else can you call this but the work of the devil?

次女のノートPCに大量に貼ってあるステッカーが、ちょっとアバンギャルドで、このPCを学会会場に持ち込む勇気が出ませんでした。

今回は、座長を務めていた中央大学の先生からPCをお借りし、どうにか事なきを得ました。まさに九死に一生を得た思いです。

This time, I managed to get through it by borrowing a PC from the professor at Chuo University who was chairing the meeting. It was indeed a case of escaping death by a hair's breadth.

ただ、この問題は大学のプロジェクタ以外では発生しないのです。自宅のディスプレイでは全く問題なく映ります。これもまた腹立たしい話です。

However, this problem only occurs with the projector at the university. It shows perfectly fine on my home display. This is another annoying thing.

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ともあれ、私がこれから中央大学の教職員や学生の皆さんが困難に直面した際には、可能な限り力を尽くしてお助けしたいと思っています。

Anyway, I will do my best to help the faculty and students of Chuo University when they face difficulties.

「ひいき」というのは、このような個人的な経験や感謝から生まれていくものなのだなぁ、と実感しました。

I realized that “favoritism” is born from personal experiences and gratitude like this.

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それはさておき、当面の間、私の学会活動は続くと思われるため、まずはノートPCの問題を解決しなければなりません。

My academic activities will likely continue for now, so I must first solve the problem with my laptop.

しかし、正直なところ、もうPCにこれ以上お金をかけたくありません。これまでの人生で何台のPCを購入しては処分してきたか――考えたくもありません。

But honestly, I don't want to spend any more money on a PC. I don't want to think about how many PCs I've bought and disposed of.

私にとってPCは「常温で保管したバナナ」と同じくらい、あっという間に劣化するものです。そんなものに自腹を切るのは、非常に腹立たしいです。

To me, a PC deteriorates as quickly as a banana stored at room temperature. Paying for something like that out of my pocket makes me very angry.

とはいえ、購入するのであれば、せめてVSCodeでコーディングできる程度のスペックは欲しい、という欲が出てしまうのも事実です。

That said, if I buy one, I'll want it to have at least the specs to code with VSCode, which is also true.

とりあえず、USB(C-Type)のHDMI変換アダプタを試してみます。HDMIの不具合ごときで、気軽にノートPCを買い替えられるほど、私は裕福ではありませんから(ちなみに、試しました。失敗しました)。

I'll use a USB (C-Type) to HDMI conversion adapter for now. I'm not wealthy enough to replace my laptop casually because of an HDMI problem (by the way, I tried it, but it didn't work).

ともかく、HDMIの問題に頭を悩ませ続けた私は(それだけが原因ではないにせよ)結果的に疲弊しきっていました。

Anyway, I was exhausted due to having been troubled by the HDMI problem (even if that wasn't the only reason).

ホテル、HDMI、不完全燃焼のプレゼンテーション――これらが重なり、私の自尊心もすっかりボロボロです。

The hotel, the HDMI, and the incomplete combustion presentation combined to eradicate my self-esteem.

2024,江端さんの忘備録

『今時、上限6000円のホテルなんて、あるわけがない!』と思っていました。

I thought, “There's no way there's a hotel with a maximum price of 6,000 yen these days!”.

ですので、学会会場からかなり離れていたのですが、会社のネットでそのホテルを見つけた時には、本当に驚きました。

Even though it was pretty far from the conference venue, I was surprised to find that hotel on the company intranet.

取り急ぎ、そのホテルを予約しましたが、昨日、駅から30分歩いてホテルの前に立った時点で、すでに後悔していました。

In a hurry, I booked a room at the hotel, but yesterday, when I stood in front of the hotel after walking for 30 minutes from the station, I was already regretting it.

―― ホテルの前に立った瞬間、ヤニの匂いが漂ってきた。

"The moment I stood in front of the hotel, I could smell the smell of tobacco."

嫌な予感がしたものの、フロントに入ると予感は的中。フロントはヤニの匂いで充満していました。

I had a bad feeling, and when I went to the front desk, my hunch was correct. The front desk was filled with the smell of tobacco.

今回は禁煙室が取れず、仕方なく喫煙室のシングルを予約したのですが、部屋に入った瞬間、ヤニ臭の強烈な圧力で、部屋の外に押し出されそうな気分になりました。

This time, I couldn't get a non-smoking room, so I had no choice but to book a single in a smoking room, but the moment I entered the room, the intense pressure of the tobacco smell made me feel like I was going to be pushed outside the room.

―― ここで2日間眠れるの? いや、そもそも眠れるのか?

"Can I sleep here for two days? Or can I sleep at all?"

そんな不安が頭をよぎりました。

Such worries crossed my mind.

今回は最終セッションで講演の予定があるため、発表練習をしなければなりませんでしたが、部屋にある机は小さく、ノートPCを置いての作業は困難。部屋は狭く、壁はどんよりとした黄色に染まり、一部の壁紙は剥がれていました。さらに、小さなテレビは色補正が狂っており、ギラギラした異様な色を放っています。

I had to practice my presentation this time because I was scheduled to give a talk in the final session. However, the desk in the room was small, so working with my laptop was challenging. The room was also small, and the walls were a dull yellow, with some wallpaper peeling off. Furthermore, the small TV's color correction messed up, giving off a strange, glaring color.

さらに驚いたのは、廊下に設置されていた「アダルトビデオ視聴用カード」の自動販売機でした。

Even more surprising was the vending machine for “adult video viewing cards” set up in the hallway.

そして最大の驚きは、WiFiがないこと(当然イーサネットポートもなし)。まさに「言葉を失う」とはこのことです。

And the biggest surprise was that there was no WiFi (and, of course, no Ethernet port). This is what it means to “lose your words.”

学会開催期間中、私は完全にネットアクセスを失いました(ちなみに、学会会場の大学もWiFiアクセスポイントを公開していませんでした)。結果、学会中の3日間、インターネットから完全に切り離されるという経験をすることになりました。

During the conference, I completely lost my internet access (incidentally, the university where the conference was held did not have a public WiFi access point). As a result, I had the experience of being completely cut off from the internet for the three days of the conference.

これが、私が3日間にわたりブログを更新できなかった理由です。

This is why I could not update my blog for three days.

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ホテルでは食堂で夕食サービスがあるとのことだったので、頼んでみたところ、ここ数年で最も心が寂しくなるような具の入っていないカレーが、プラスチックの容器で出てきました。

The hotel said they had dinner service in the dining room, so I ordered some. They brought out a plastic container of curry with no filling, the most heartbreaking curry I've had in years.

学生時代に旅したインド・ニューデリーの格安ドミトリーにタイムスリップしたような気分でした。

It felt like I had slipped back to the cheap dormitory I stayed in as a student traveling in New Delhi, India.

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いやいや、私も入社当時は、こんな宿に連泊して工場でデバッグしていたものです。

No, when I first joined the company, I used to stay at a place like this and debug at the factory.

いつの間にか、自分が贅沢になってしまったのだと気づきました。

Before I knew it, I realized that I had become extravagant.

「雨露がしのげればそれで十分」と思っていた当時の自分を思い出し、少し反省しました。

I remembered how I used to think that “as long as I could keep out the rain and dew, that would be enough,” and I felt a little sorry for myself.

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ただし、その反省は反省として、会社規程金額以上の部分は自腹で負担するので、せめてヤニ臭のしないホテルへの変更を認めてほしい。

However, as a reflection of that, I will pay out of my own pocket for the portion that exceeds the company's regulations, so please at least allow me to change to a hotel that doesn't smell tobacco.

ヤニの匂いで不眠になり(実際、初日はその匂いで喉を痛めました)、仕事や学会で、私がパフォーマンスを発揮できないのは、会社にとっても私にとっても「Lose-Lose」だと思うんですけどね。

The smell of the tar makes me lose sleep (in fact, on the first day, the scent made my throat hurt), and I think that if I can't perform well at work or academic conferences, it's a “lose-lose” situation for both the company and me.

なんか、もう、泣くのも面倒くさい、という感じでした。

2024,江端さんの忘備録

いつ頃からから、出張などで慣れない土地に行くのが「面倒」と感じるようになりました。

From when did I start to feel that going to unfamiliar places for business trips and the like was “troublesome”?

というか、知らない土地で、予想できないことが起こるかもしれない、と、心配するのが、煩わしいです。

Or rather, I find it annoying to worry about the possibility of unexpected things happening in a place I don't know.

人間は、住み慣れた所に帰ってくると言いますが、つまるところ、『新しい土地で新しい生活を始めるのが、面倒くさい』のだろう、と思っています。

They say that people return to the places they are used to, but I think that, in the end, it's probably because 'starting a new life in a new place is troublesome.'

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一方、都市部への人口流入が止まりません。

Meanwhile, the population influx into urban areas shows no sign of stopping.

コロナ禍の最中に、地方移転現象が発生して、『あ、流れが変わったのかも』と思ったのですが、結局、元に戻ってしまったようです。

During the coronavirus pandemic, people moved to the countryside, and I thought, 'Oh, maybe the tide has turned,' but things have returned to normal.

もちろん、感染リスクが小さくなった今となっては、この流れは仕方がないのかもhしれませんが ―― 何も『完全に元に戻すことはないだろう』とも思うのですよね。

Of course, now that the risk of infection has decreased, this trend may be inevitable, but I also think that nothing will 'be completely restored to the way it was.'

ハイブリッド運用すればいいのに、と。

I wish they would use a hybrid operation.

義務教育や高等教育、または大学の講義にしても、折角、苦労して作ったリモート学習の仕組みです。もっと大いに活用して欲しい、と思います。

The remote learning system has been painstakingly created, whether it's compulsory education, higher education, or university lectures. I hope it will be used to its full potential.

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でも、私が衝撃を受けたのが「青少年の自殺数の増加」です。

However, what shocked me was the “increase in the number of youth suicides.”

「リモートと自殺率」に因果関係が立証された訳ではありませんが、主観的には関連があるように思えます。

Although a causal relationship between “remote work and suicide rates” has not been proven, it seems to be related subjectively.

SNSもその要因ではあるでしょうが、リモート環境がSNSの負の機能を増大していることは推測できます。

Although social networking services may be a factor, it can be assumed that the remote environment is increasing the opposing functions of social networking services.

つまるところ、(1)大都市人口集中、(2)リモート学習環境の撤収、(3)青少年の自殺率の増加の3点から見ても、私の「"リモート環境"礼賛」は、世間とズレているようです。

In the end, my “praise of the remote learning environment” seems to be out of step with the world when viewed from the three points of (1) the concentration of the population in large cities, (2) the removal of remote learning environments, and (3) the increase in the suicide rate among young people.

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で、まあ、なんで、今日、私がこんなことを愚痴っているかというと、新幹線に3時間乗車して、荷物を引き摺りながら歩いている今の状況が、なんとも『面倒くさい』のです。

So, why am I complaining about this today? The situation I'm in now, dragging my luggage along as I walk for three hours on the Shinkansen, is troublesome.'

そう、また、憂鬱な学会発表が始まるのです。

Yes, the depressing conference presentations are about to begin again.

―― リモート発表でいいじゃんか。なんで、何もかもリアルに戻すかなぁ

"Why do they have to make everything real again?"

私は、コロナ禍の機関、国際学会で英語発表2本、稼ぎました。

I made two English presentations at international conferences during the coronavirus pandemic.

海外の渡航が全面禁止された中での、国際学会の発表は ―― まあ、深夜に、自分の家の部屋の中でデタラメな英語を叫んでいて家族に迷惑かけたかもしれませんが ―― 正直、私にとってはパラダイスでした。

With overseas travel completely banned, presenting at an international conference was - well, I may have caused my family trouble by shouting nonsense in English in my room late at night - but honestly, it was paradise for me.

―― こんなに英語がダメダメな奴が、こんなもしょーもない質問しているなら、私も質問してみようかな

学会というは、先端の学問についての議論の場であり、過去の有用な手段を積極的に取り込むことのできる、知的水準の高い人達による会議ですよね。

Academic conferences are forums for discussing cutting-edge academic topics, and they are meetings of people with high intellectual standards who can actively incorporate helpful methods from the past.

『なんで、わざわざ過去に戻るんだ・・・』と、呪詛の言葉を吐きながら、今の私は、荷物を引きずっています。

'Why go back to the past on purpose...' I'm dragging my luggage around while cursing.

2024,江端さんの技術メモ

博多駅のNodeを選んで、GIS-DBを作りなおしてみたが、博多駅から西に抜けるwayがなかったので、抜けるNodeに接続するレコードを手動で作った。

Postgresql + PostGISのデータベースに、エントリを直接投入して、結線道路を一本作る

gidとosm_idは衝突しない数値を選んで、tag_idは、既存の数値を選ぶ(選ばないと弾かれる)

あとは、sourceとtargetからsource_osm、target_osm とそれぞれの座標を引っ張って、あとは、chatGPTに座標を入れると2点間の距離を教えてくれる。

この距離が、 length_m となる。 lengthは、length_m / 92854.2986 の値になる。 length = cost = reverse_cost となる。 cost_s,  reverse_cost_sは、時間を含めたコストらしいが、cost x 6685.509499 の値を入れておいた(まあ、どうでも言いのだろう)

あとthe_geomの値も、ChatGPTが教えてくれる。このSQL文を教えて貰った。

SELECT ST_AsEWKB(ST_MakeLine(
ST_SetSRID(ST_MakePoint(130.4210743, 33.5897456), 4326),
ST_SetSRID(ST_MakePoint(130.4206351, 33.5899416), 4326)
)) AS the_geom_hex;

で、最終的に、こうなった。

INSERT INTO ways (gid, osm_id, tag_id, length, length_m, name, source, target, source_osm, target_osm, cost, reverse_cost, cost_s, reverse_cost_s, rule, one_way, oneway, x1, y1, x2, y2, maxspeed_forward, maxspeed_backward, priority, the_geom)
VALUES (200001, 2000000001, 501, 0.000497554, 46.2, 'ebata', 44351 , 89839, 1882462094, 7992560451, 0.000497554, 0.000497554, 3.3264, 3.3264, NULL, 0, 'UNKNOWN', 130.4210743 , 33.5897456 , 130.4206351 , 33.5899416 , 10 , 10 , 0 , '0102000020E610000002000000f475CF70794D6040DE7AA8C87CCB404097c1BDD7754D60406446D33483CB4040');

で、上手く動いているようです。

SELECT seq, edge, b.the_geom AS "the_geom" FROM pgr_dijkstra('SELECT gid as id, source, target, cost, reverse_cost FROM ways', 51913,23498) a INNER JOIN ways b ON (a.edge = b.gid) ORDER BY seq;

として、

2024,江端さんの忘備録

出生前検診について、私たち夫婦も随分考えたことがありました。

My wife and I also thought a lot about prenatal checkups.

結局、私たちは、出生前検診をしませんでした―― ただ、そう決めた、というだけです。

Ultimately, we didn't have prenatal check-ups - we just decided not to.

少なくとも、私は、他の人の出生前検診について、肯定も否定も評価も批判もしません。

At the very least, I neither approve of nor disapprove of, evaluate, or criticize other people's prenatal checkups.

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ただ、私の判断に、ちょっとだけ背中を押したことがあったとすれば、『子どもと嫁さんと一緒に生きていく日々を、公開していこうと思った』 ―― それくらいですね。

If anything pushed me a little towards making my decision, I thought, 'I want to share the days I spent living with my child.

私が毎日書いている、この日記(ブログ)は、結構、私の人生の「根っこ」だったりします。

This diary (blog) I write daily is quite the “root” of my life.

『他の人の』ではなく『私の』です。

It's 'my,' not 'someone else's.'

『包丁一本 晒(さらし)に巻いて』という感じで、『"index.html"一本、テキストのみで生きていく』で、私はいいんです。